過去の魂(2007/11)


2007/11/24(Sat)

 仕事で水戸へ。
 水戸の周辺にはツインリンクもてぎであるとか北海道行きのフェリー乗り場がある大洗とかに良く出かけていたのだけれど、水戸駅に降り立ったのは今回が初めてだったのだ。つまり、電車で行ったという訳やね。
 で、天王台駅に車を置いて、常磐線でトコトコと水戸まで一時間半。持って行った文庫本を四分の一も読み終わらないうちに着いてしまった。考えてみれば、うちから横浜までも電車で一時間半であり、銚子までも一時間半である。近いね、水戸。
 さて、仕事が終わって飲みに行って、最後まで付き合った結果、結局泊まることに。で、翌日はそこから直接幕張へ出勤。偉いなぁ、俺。いや、そんだけ。



 今日は家で一日何もせずにのんびり。
 と思ったのだけれど、あまりの天気が良さにいてもたってもいられずに洗車&ワックス。雨の多い梅雨から秋にかけては、撥水性を重視してイオンコートを使っていたのだけれど、天気の良い日が続くようになったため、オーセンティックに戻してみた。
 イオンコートの撥水性は、これはもう疑いようもなく素晴らしいのだけれど、ギラっとした艶が今ひとつ。ただ、雨の後に五分も走れば水分がボディに降り積もったホコリを巻き込みながら吹き飛んでくれるので、極端な話、ちょっと汚れてきたなぁと思ったらホースでざっと水をかけ回し、その辺をぐるっと走ってくるだけで洗車が完了してしまうという点に捨て難いものを感じるのだ。
 一方、オーセンティックの落ち着いた深みのある艶は、施工直後に惚れ惚れと愛車を眺め回す愉しみをもたらしてくれる。その代償として、どうも水分と反応し易いようで、湿気の多い日などはホコリを吸着してしまい、時期によっては艶を維持していられる時間が短い気がする。というよりそもそも、屋外保管の車には向かないのかも知れない。
 なんにせよ、艶も撥水もソコソコの割に高価なシュアラスターに戻ることはない、かな。

2007/11/18(Sun)

 那須へ行ってきた。旧ヨウラ工業系のイベントでだ。って、どんな系だ。
 まぁ、そんなことはどうでもよい。どうでもよいが、親方とかやーふると出かけるのは随分久しぶりだ。
 まぁ、そんなことはどうでもよい。というか、俺と娘とキムラくん+一名は千葉から出発し、親方とやーふるとその他三名は青梅から出発した訳で、目的地で合流してパスタとピザを食い、風呂に入ってみやげ物を買った後はそれぞれ別行動、というか解散、という具合だったので、一緒に出かけたという感じではなく、たまたま那須で会ったねー、という程度のこれはイベントだ。

 まぁ、実はそんなことはどうでもよくって、やーふる達と別れた後、行きがけに見つけた真岡の怪しい焼肉屋(?)へ帰りに寄ったのだ。
 なんというか、外観がまず怪しさ満点なのだ。とちぎ牛と鯨がメインであることを謳うために、それぞれを模したオブジェが店の前や屋根にあって、ただしそれらもかなり怪しい作りなのだがさらに、手書きで書かれた、その店で扱われているとちぎ牛や鯨といった食材の確かさを謳う文言が、店主の思惑とは全く正反対に作用しているのだ。
 つまり、『怪しくない』ことをアピールしていること事態が『怪しい』というジレンマなのだが、その怪しさがどれほどのものなのかを確かめるために、大人三名、小学生一名は入店したのだった。
 さて、最初にこの店の業態が焼肉屋であることを書いたが、実は、店内に入り各席にコンロが備え付けられていることを知るまでは、この店の業態がいかようなものであるか、我々一行には知る術がなかったのである。
 定食のようなものが食べたかったのである。というか、期待していたのである。ところが意に反して、出されたメニューには生肉の写真が、それらの部位を示す言葉と料金とともに掲載されており、例外的に鯨の竜田揚げという調理済みの料理も掲載されてはいたがしかし、我々の求める手間要らずかつ話のタネになりそうな旅先で見つけたちょいと美味いもの的な日和った料理などは、存在すら許されていないようであった。
 ともあれ、確かに同じ品質のものを同じ量だけ都心部で食べる場合よりは遥かに安価であることは理解できるが、定食を食べるつもりで入店した我々の懐事情とメニューに記載された金額との折り合いをつけるために、ヒレであるとかカルビなどという単一部位のみで主役を張れるような食材については見て見ぬふりを決め込み、臓物中心の安価かつ、つんくプロデュース的な寄せ集め食材に解決の糸口を見出したのであった。
 で。怪しさ満点の外観であったりオバちゃんであったり、ここに書かなかった様々な突っ込みどころを含むネガティブ要素ばかりを化学融合させたようなこの店ではあるが、食材は結構まともなのである。というか、美味いのである。怪しいことにしてしまったオバちゃんも、実はとても優しくサービス精神に溢れた人で、よくよく考えてみると、『怪しい』という色眼鏡でこの店の一次的評価を下してしまった我々に非があったのではないか、と。
 という訳で、『やられる気』満々で向かった先で『やられず』に消化不良を起こしている、という感じなのだ。もっとも、外観と実情が異なる、という状況に惹かれるからこそこのような店に入ってしまう、という俺も俺だが。

2007/11/13(Tue)

 CR-Xに萌えているという話を昨日書いたが、八十年代中頃には、周囲にホンダ乗りが多数いたことを思い出した。
 まず、高校の同級生が卒業直後に初代プレリュードを中古で買った。そいつは身長が百八十センチ以上ある奴だったのだけれど、サンルーフ(初代プレリュードは廉価モデルのEを除いて電動サンルーフが標準装備だった)から突き出た頭髪をなびかせながら走っているという話を聞いて大いに笑わせて貰った。
 高校を卒業してすぐに勤めたカー用品店の先輩社員が初代シティのターボIに乗っていて、一緒に遊びに行った旧軽井沢でオーバーヒートのためにエンジンストールし、水温が下がるまでの間、窓を全開にして汗だくになりながら夕寝をした。軽井沢が夏でも涼しい、というのが嘘であることを知った十八の夏であった。
 そのカー用品店の同期の奴が地元のお坊ちゃまくんで、やたらと流行を追う奴だった。入社直後に当時大ヒットした赤のファミリア(いわゆる323)を新車で購入するものの、すぐに飽きて出たばかりのワンダーシビックのSiに買い換えた。そのあまりのお大尽ぶりにアタマにきた俺は、散々焚きつけて高価なカーオーディオやらタイヤやアルミをそいつに買わせ、ローンまみれにしてやった。と思ったら、その借金はその後そいつの父親がポンと払ってチャラになったらしい。あいつは今、どこでなにをしているやら。
 そのカー用品店に良く来ていた二代目プレリュード(紺/銀)のお兄ちゃん(独身)は、仕事が休みになると必ず店に来ていて、仕舞には店員でもないのに店のお使いまでやっていた。で、ガソリンスタンド上がりの強引な店長に無理やりHKSのボルトオン・ターボを買わされるも調整がうまくいかず、結局ノーマルよりも遅いまま廃車となり、しばらくしてセルボ・ターボに乗って店に現れ、あろうことかその店に就職するも一週間も持たずに辞めていった。
 もう一人、良く来ていた白のシティターボIIに乗っていた航空機整備士の気弱なおっちゃん(独身)は、くだんの店長に薦められるまま、ノーマル・タービンとインタークーラーを今度はブリッツのターボとインタークーラーに換装するという大技に出て、でもやっぱり借金を残したまま車は廃車という羽目に。その後二度と店に現れることはなかった。
 その店の近所のホンダベルノとのコラボ企画で、発売されたばかりの初代CR-Xを店内に展示することになったのだが、その企画での最初の購入契約者は、シティターボIに乗っていた先輩社員だった。しかもそれは、ベルノから出張してきていたおねーさんの気を引くためだった。
 その会社の重役(あだ名はガンツ先生)が店舗の二階の事務所に常駐していたのだが、社用車として初代ビガーの3ドアハッチを使っていて、何かの用事で俺がその車を使わせて貰うことになった時のこと。駐車場から道路に出た直後に右折車線に入ろうとして目の前に止まっていたトレーラーをかわそうとしたのだが、目測が甘く、トレーラーの後部に突き出たフレームがビガーの左クォーター・ウィンドウを突き破ってしまった。とりあえずバリバリになったウィンドウのまま用事を済ませて店に帰り、泣きそうになりながらガンツ先生に報告したところ、よほど気に入っていた車だったらしく、ジャンジャンバリバリになった無残な様を見てがっくりと肩を落としていた。かなりのカミナリ親父だったが、その車を使えと言った自分にも非がない訳ではないと言う理由で、怒られはしなかった。今考えると、素敵な大人だった。
 最後に、その店の後輩がこれまた出たばかりの初代インテグラ(クイント・インテグラ)を買い、その車でくだんの先輩社員と三人で温泉に行った時のこと。卸したての新車なのに、スーパー林道などと言う未舗装路を土埃まみれになりながら延々走らされた。その後、八ヶ岳でロープウェイに乗り、溶岩石だらけの遊歩道でビデオカメラを持ったまま転倒した俺は、鋭く突き出た溶岩石によって右手のひじの辺りに五センチほどの裂傷を負った。骨が見えるほど深い傷だったが、出血はほとんどなかったため、持っていたタオルで傷口を巻いて医者にも行かずそのまま予約してあった温泉宿に行った。怪我をしたのかと宿の女将に聞かれ、傷を見せると慌てて当番医を調べてくれて、宿の車で病院へ行き、治療を施してもらった。五針ほどの傷であったが、今もなお、肉をえぐり取られた痕が残っている。
 と、ここまで書いておいてなんなのだが、「ホンダ車」というキーワードはあまり関係なかった気がする。

2007/11/9(Fri)

 最近、猛烈に二代目CR-Xが欲しくて欲しくてしょうがない。
 以前に乗っていたんだけれど。セリカを買う時にあっさりと手放したんだけれど。なにを以ってしてあの車にもう一度乗りたい、と思わせるのだろう。高速道路では120Km/hを超えたあたりからさっぱり直進しようとしないハンドリングだろうか。あるいは成人男子が絶対に普通に座れない荷物置き場以外に用途のないビニール地のリアシートだろうか。それとも何度交換してもすぐに抜けてしまうリア・ハッチのダンパーか。はたまた目一杯チルトアップしてもヒール&トゥを決めようとすると膝が当たってしまう低すぎるステアリングだろうか。いやいややたらとストロークの長いマニュアル・シフトに違いない。スポンジーで全く効かないブレーキも捨て難い。
 さて、こんな素敵な車にもう一度乗りたい、と思うのは必然であろう。なによりもそのスタイリングは今見ても格好良い。いや、超格好良い。もちろん、色は黒。グラストップはいらない。グレードはあの時乗れなかった後期型のB16Aを積んだSiRで。オリジナルの造形美をぶち壊すリアスポイラーなどはいらない。ビカビカに磨き上げて、ブレード・ランナーの世界観たっぷりにネオン・サインがボディに映り込む街中を、霧に煙る峠道を、晴れ渡ったドニントンパークのような丘陵地帯を、駆け抜けてみたい。
 もちろん、マスタングでも可。

2007/11/4(Sun)

 うちの近所のシネコンには『プレミア・シート』なる席があって、通常の座席よりも二割ほども高い価格設定なのだが、どんなもんかと座ってみた。
 朝一の回で『ALWAYS 続・三丁目の夕日』を観たのだが、通常の座席は七割程度の埋まり具合。娘と二人で席に着いた時には、俺達が座った座席以外のプレミア・シートは全て空き。予告編が始まる頃に隣の席に二人連れが。本編が始まる直前にさらにその隣にもう一人。二十四席あるプレミア・シートの稼働率は約二十パーセントであった。
 さて、プレミア・シートの置かれたスクリーン真正面のブロックの通常の座席は、横十八席である。プレミア・シートは横十二席。つまり、一人当たりに割り当てられた横幅が、プレミア・シートは通常の座席の一・五倍ということになる。
 縦方向の余裕はどの程度かというと、実はプレミア・シートの両側の座席が車椅子用のスペースになっているため、通常シートとの比較は明確ではないものの、足を投げ出した状態で席に腰掛けても前席のシートバックに届かないほどの余裕があった。
 肝心のシートは、錦糸町の東京楽天地が近代ビル化される遥か昔にブルース・リーの映画を観た劇場のションベン臭い解れかけたシートが雨の野外で泥濘に座り込んでいるようなものだと思えるほど、快適。当時のロードショウの大人一名の入場料が千円であったから、二倍強の値段でこの進化には正直驚いた。
 と、ここまではあくまでも座席の話であり、映画そのものの価値に対して支払う対価のことではない。
 昨今の映画は大体一律千八百円であろう。俺が一番良く映画を観ていた昭和五十年代は千円から千二百円。ずっと疑問に思っていたのは、どんな映画も料金が一緒、ということだ。
 つまり、予算百万円の映画も一億円の映画も市場では均一料金になってしまうのである。さらに、設備が異なる映画館の間でも、複数本立ての映画でも均一料金である。
 と、ここまで引っ張っておいてなんなのだが、そのカラクリは、ここでは不問に処す。って、何様。まぁ、低予算でも観て良かったと思う映画もあるし、逆のケースも多々ある訳で、公開前に個々の映画の料金を決めるのは無理があるんじゃないかと自分の中で結論が出ているからなんだけど。最終的にDVD化された時の価格設定で、売れた(DVDが売れそうな)映画ほど低価格であるという傾向を見れば、その映画の適正価格が需要と供給の原理に従っているのは明らかだしね。
 映画そのものは、良かった。思わず、泣けた。まぁ、泣くつもりでこの映画を観に行った訳だけれども。ただ、プレミア・シートには子供料金の設定がないので、娘の料金は六割り増しくらいになっていたのだけれどね。

2007/11/3(Sat)

 キムラくんとドライブ。
 海までドライブしよう、と言いながら、キムラくんがアドレスVを乗り回したり、成田の中古車屋でアウディA6に惚れ惚れとしたり、さくらの山公園で離着陸する飛行機に見入ったり。結局蓮沼まで来た頃には陽は沈み、辺りは暗くなり始めていた。
 なので浜辺には出ず、財布の中に東金のラーメン屋の餃子無料券が二枚入っていたのを思い出したので、農道をのんびりと走らせながら東金まで出て、ラーメンと餃子とサービスライスを食う。
 それからさらに多古まで行っていつもの喫茶店にピットイン。すると仕事関係の知り合いが仕事をサボってコーヒー飲んでたり。
 店を出て、下総から利根川沿いを行くルートで帰宅。
 なんだか色々あった割に平穏な休日でした。


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