フランス・ブルターニュのパラレリピペドゥスオオクワガタ(1/2)

June 27, 2002
by tsuu3@田中

 

パリ


サント・シャペル

 世界中で最も好きな都市はと聞かれたら、たぶんパリと答えるだろう。世界中の都市を知っているわけではないが、パリはとても好きな町である。少なくとも日本やアメリカの都会にはない良さが有る。

 歴史の重みもあるかも知れないが、私が気に入っているのは色である。町並みの色が何とも好きだ。白とオレンジと緑と青。そう、ヒロ・ヤマガタの絵の世界なのだ。実際我が家にはヒロ・ヤマガタがパリを書いた版画が飾ってある。バブル期に購入したものであるが、恐ろしいほど高価だった。今考えても、なぜそんな高価な絵が購入出来たのか、はたまたしてしまったのか不思議でしょうがない。ま、バブル期とはそんな時代だったのだと思う。

 2002年5月3日。日本はゴールデンウイーク真っ最中だと言うのに、出張でフランスに行くことになってしまった。飛行機嫌いの私にとってはかなり辛い旅である。いくらパリが好きだと言っても飛行機だけには乗りたくない。それも10時間以上だ!しかし、しかし、仕事じゃしょうがない(^^;;

 約10年ぶりのパリである。が、ゆっくりしている時間は無い。何しろ今回の出張の行き先はフランスと言ってもパリでは無いのだ。パリから遠く離れた田舎に行かなければならないのだ。

 余談だが、もしパリでたった一カ所観光するとしたらと聞かれたら、迷わずサント・シャペルを勧める。ノートル・ダム寺院と同じシテ島にあるが、ここの2階のステンドグラスはたぶん世界1だと思う。細い階段を登りたどり着いた2Fはまさに13世紀。素晴らしいの一言である。全てのステンドグラスは聖書の場面となっている。美術館を回るのも良いが、是非足を運んで見て欲しい。同じ島のノートル・ダム寺院よりも人は少ないし、そして何より印象深い場所なのでお勧めである。



簡単なフランス地図


カンペール焼のお店


滞在したHOTEL


Benodetの浜辺

 5月4日。TGVに乗りパリを発つ。今回の仕事の目的地はブルターニュ地方に有る、Benodet(ベノデ)と言う大西洋に面した小さな避暑地の町である。最も近いTGVの止まるQuimper(カンペール)まで、パリから4時間30分もかかるのだからそれはそれは田舎である。地図で見ると近くに感じるが、フランスはとにかく日本なんかよりずっとずっと広いのだ。

 TGVはフランスの新幹線と言われているが、日本の新幹線とは全く異なるように思われた。簡単に言えば、日本の新幹線はビジネスのための乗り物だが、TGVは旅行のための乗り物と言ったら良いだろう。とにかく座席が広く、1両の座席数は新幹線の半分程度しか無いのではなかろうか?低料金で日本の新幹線のグリーン車に乗る感じである。これで椅子がリクライニングしてくれたら最高なのだが。

 広大な平原を電車は走って行く。地平線まで畑や牧場が広がる。季節は初春なので、一面菜の花の黄色い畑が広がり、とても美しい。それにしても山が無い。せいぜい丘である。日本とは明らかに異なる風景が長時間続く。途中耐久レースで有名なLe Mans(ル・マン)を通過した。しばらくして、ブルターニュ地方に入って行った。

 ブルターニュ地方はフランスの最も西にあり、大陸から突き出た半島である。カルナックには巨石群の遺跡が有り、歴史的にも有名である。また、この地方に住む人々はブルトン人と呼ばれ、ラテン系のフランス人とは異なり、ケルト民族系の流れをくんでいるそうだ。 言語も独特なブルトン語を受け継いでいる。しかし滞在中、ブルトン語なのかフランス語なのかもわからなかったし、ブルトン語の看板が有ったそうだが、実際にどれがブルトン語の看板なのか、皆目検討がつかなかった。

 ここで、ブルターニュ地方の名物を3つ紹介しておこう。

1.クレープ: 発祥の地である。アルコールがきいており、原宿などのクレープとは全く異なり美味しい。現地では小麦粉で作ったものを「クレープ」と呼び、そば粉で作ったクレープは「ガレット」と呼んで区別している。
2.シードル: 微炭酸なリンゴの発泡酒。有名な産地である。皮の厚い小さなりんごを用いるのだそうである。滞在中2度飲んだが、美味かった。
3.カンペール焼: 世界的にも有名な、ハンドメイドの美しい陶器。青や黄色かオレンジの線の縁取りの中に花や動物が描かれているデザインが特徴。行くまで知らなかったがかなり高価で、日本ではさらに高価になるそうな。

 長時間電車に乗り、バスを乗り継いで、やっと目的のBenodet(ベノデ)にあるHOTEL Ker-moorに到着。それにしても遠かった。仕事でもないかぎり、ここに来ることはないと思う。ホテルは一応三つ星なのだそうだ。しかし、部屋はあまり綺麗ではないし、色々総合してホントに三つ星なのかと真剣に思ったりした(^^;;
さらにフロントのおばさんはジョディ・フォスター似の美人(美人だがあまり好みではない)で、英語が話せたが、部屋への注文の対応など結構きつかった。やはり海外では怒らないと、なかなかこちらの注文を受けてくれないようだ。しかし、怒るほどの英語力があるわけない。まして、フランス語で怒るなど到底無理である。

 ホテルの入り口を真っ直ぐ進むとそこはすぐにビーチで、大西洋が広がっていた。週末になると人々が集まる。今回の週末は暖かい日であったが、初春なのに、泳ぐ子供やトップレスの女性までいた(@@)
抱き合ってキスをするカップルがそこかしこにいるように、フランスは開放的な国なのだと思う。そう言えば、マリーアントワネットなど王妃の出産は公開だったそうだ。また、ルノアールやモネは、男は服を着ていたりするのに、女は裸など、裸の絵画を良く書いていたと思うが、以前あの絵の中の女性は娼婦なのではないかと思っていた。しかし今にして思えば、単に開放的だっただけの事なのかもしれない。きっと、人前で裸になることはフランスでは自然な事なのだと思う。



持っていった採集道具


沢山いたでかいカタツムリ

 さて、仕事の合間をぬっては虫を探してみた。
5月のフランスは朝になるのも、夜になるのも遅い。7時AMに日が出て、9時PMまで明るいのだ。日本と丁度2時間程度ずれている感じである。時間の感覚がつかめないので、時間を気にせず、仕事の合間をぬって探した。

 今回採集のために写真のセットを持って行った。発酵マットの入ったフィルムケース2個。タッパーの中にタトウ5枚、ピンセット、クラフトナイフ、発酵マット。そして、お散歩ネットと毒瓶。
ま、本格的な材割り以外には対応出来るような準備になっている。仕事の合間採集、それも海外出張となればこの程度で十分じゃなかろうか?

 花が結構咲いているので、蝶が飛んでいないかなぁ〜?
大木が多いので、カミキリが歩っていないかなぁ〜?
浜辺の街灯に虫が集まっていないかなぁ〜
いない、なぁ〜んもおらん(^^;;;
信じられない場所だ。これだけ自然が有るのに・・・
そうだ、石をどかせばゴミ虫ならいるだろう・・・ダンゴムシしかおらん(^^;;
くそ〜〜
海に近いからいないのだろうか?

 生き物が何もいないかと言うとそうでは無い。ダンゴムシは結構いるし、でかい.カタツムリも沢山いる。海岸線沿いだと言うのに、家の壁や、塀に集団でくっついている。まさかこれがエスカルゴ??
日本のカタツムリとはデザインが違う、流石フランス(笑)

 あっ、蝶が飛んでいる〜〜〜〜〜〜〜
やっと1匹蝶を目撃する。何となく安心した。大丈夫きっと甲虫もいるだろう。そう自分に言い聞かせ、虫探しと採集のチャンスを待った。


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