春浅く 2 |
尾瀬の春は4月にやってきて、5月には、雪解けを待ち切れないように
一斉に花々が開き、夏を誘う。
最初の雪解けは
川と池溏から始まるらしい(4月末)。
原を通して流れる川は数少ないが、そのほとりに
最初のシグナルがあると、あっという間の早さで、土臭い春が顔を出す。
雪解けはバサッ、バサッと音を立て
そこには、不思議なことに、もう、小さな魚が活動している。
雪解けは川の縁から次第に原の中へと広がり
その下には、去年の植物たちが腐らずにそのまま堆積している。
4月末から5月にかけての上田代
原は活力に満ちている。
土や植物たちが出番が待ち遠しくて下から押し上げるのか
雪が相互に力比べしているのか?
ともかく自然の豪快さ。
雪割れの下からは、間違いなく、土と芽生えの香りが広がる。
鳥達が首を突っ込んで、何かを懸命についばむ。
そのいそがしいこと!!
5月初旬、化粧してない原の素顔がすっかり見える。恋人に出会ったように嬉しい。
このデコボコが「高層湿原」の証、まさに「尾瀬」
凹凸の高低に植物達が棲み分け、花が仲間をつくって咲き分ける。
尾瀬から水がなくなったとき、このデコボコは多分、強烈な帰化植物の寝床となるだろう。
いつまでもこうして続いていてくれと、心から祈る。
雪の解けた後、原はビショ・ビショで
栄養のある川のほとりには、リュウキンカと水芭蕉が共生する。
リュウキンカ(黄色)は、最初、水の中でも咲いている。
比較的乾いた湿地の日だまりにはザゼンソウ、コバイケイソウ、水芭蕉などが
仲よく共同生活をする。
水芭蕉をお見せできませんでした。
その時期、行かないものですから、写真がないのです。
いつか行きたいです。