秋の装い 2 |
雲間から一瞬の光の帯が
原を走る
蜃気楼のように
そこだけ、木々が存在を主張する。
そんなに広くない原が、急にとてつもなく広くなり
音もなく野分の風が
蜃気楼に向かって道筋を付ける。
野分の風は仲間を誘うように、そこだけ、草紅葉の色を変える。
そして、すぐ、次の風が
方向を違えてやってくる。
夏には、ニッコウキスゲがカバ色の歓迎をし、ワタスゲやサギスゲが白い綿帽子を振るのに
今はどこへ行ったのか。
午後、集団の喧噪と移動が終わった後、時として、人っ子一人いない原に出会う。
夏の盛りに大勢の人を支えた木道は
ひっそりと休養する。
そこで静かに交わされるのが、植物達の秋の物語である。
あまりにも密やかで
立ち止まるのを遠慮したくなるが
引きつけられて
その時は、もう友達となっている。
ピンクのナガバノモウセンゴケもカラカラになって冬支度。