序文初代オクサーナ
初代アナスタシア・バージョン1
プリンセス・アナスタシア(初代アナスタシア・バージョン2)二代目オクサーナ(Ver1,2)
スペルマスター・アナスタシア(初代アナスタシア・バージョン3)戦闘のルール
武者修行の基礎
モンスター
苦難の道プリンセス・エカチェリーナ
クイーン(プリンセス)・マルティナクイーン・アナスタシア(二代目アナスタシア)
アナスタシア・ザ・グレート(三代目アナスタシア)所要時間
エンディング改編案
講義に戻る
医学部キャラクター育成学科のページに戻る
東亜大学校のページに戻る
本編は「東亜大学校名作講座」の一環として編纂されたものである。その目的は、「プリンセスメーカー(第1作)」というゲームにおいて、最も優れたキャラクターを育てる方法、さらに、その方法を発見するに至る道筋をも示すことにある。しかしながら、この文は普通にある攻略法として書かれたものではないし、そのように読んでほしくはない。この文章で伝えたかったのは、このゲームの規則を発見する過程、そしてその規則から優れたキャラクターを育てる方法を導く過程であり、あるいは、プレイを通じて一貫している精神である。さらに、これは、東亜大学校名作講座というシリーズを通じて一貫した姿勢である。したがって、この文章には、一般の攻略法と違い、メーカーから横流しされた情報あるいはほかの本の丸写しという箇所は全くない。すべて、著者がプレイあるいは解析した結果、そしてそれから導き出された事実のみで構成されている。だから、読者のみなさんにも、このゲームに関する知識を覚えるのではなく、ゲームを遊ぶときの考え方や精神を感じとり身につけてほしいのである。
なお、あらかじめ断っておくが、本文の記述は、PC-98版でのプレイに基づいている。根本的にはどの機種のプリンセスメーカーでも違いはないはずだが、細かい部分ではいくらかの差異があるものと思われる。本文中には、かなり機種依存的な記述もある。この文章の記述がすべて他機種に当てはまるものではないので、他機種でこのゲームをプレイされる方は注意していただきたい。
いわゆる育成ものの元祖としてプリンセスメーカーがゲーム界に与えた影響の大きさについては改めて述べるまでもない。このゲームが出てから1年余り後に攻略本が出版されたが、家庭用ゲーム機のゲームに比べて二桁市場の小さいパソコンゲームにおいて、しかも発売から1年以上経過したゲームの攻略本が出るのはまさに異例である。この事実が、このゲームがいかに奥が深く、長く遊ぶことのできるゲームであったかを物語っている。
しかしながら、このゲームが世に出てすでに6年になろうとしている。なぜいまさら、と思われる方も多いだろう。少女育成もののゲームでは、可愛らしさを追求するという方向性が主になる。これに関しては、他書でとうの昔に語りつくされていると思うし、私自身の目指すところではないので、この文では触れていない。しかし、最強のキャラクターを育てるための方法論を一貫して追求した文章は、ゲームの発売から7年を経過した現在においても数少ないと思われる。
古い作品だけあって、一通り要領を覚えてしまえば、プレーそのものは単純作業の繰り返しである。極言してしまえば、「クソゲー」である。古くは、名作と言われるゲームも、全て「クソゲー」の要素を持っている。しかしながら、単純に見えて奥の深いところがまさに名作の名作たるゆえんである。現在、コンピューターゲームに関係する技術は驚異的な速度で進歩している。ゲームの内容も、複雑でリアリティーを持ったものになっている。それと同時に、演出効果はどんどん向上している。しかしながら、それだけ奥が深く長く遊ぶことのゲームが増えたかといえば、必ずしもそうとは思われない。むしろ、昔のゲームには、クソゲーであると同時に、今のゲームにない「骨」があるものが多かったと感じられる。そして、このゲームは、「骨」のある最後に近いゲームではないか、とも思われるのである。その観点からも、このゲームを振り返ることは、現時点でも十分に意義のあることと確信する。また、このゲームは、古典的な名作らしく、非常に自由度が高い。したがって、自分で目標をたててそれを徹底的に追求することが必要である。そのような姿勢についても、この文章で伝えることができれば、と思っている。
この文書の編集はとにかく大変だった。書き加えるべきこと、細々とした修正が読み返すたびに出てきて、編集作業をえんえんと続けなくてはならなかった。今度読み返せば、また追加・修正したいところが出てくるだろうが、いい加減きりがないので、このあたりで終わりにしなければならない。おそらく思わぬ誤りや不備がまだ残されているであろう。読者の方々のご叱正をお願いする。
この文章は、教室内外の同僚の協力によって完成したものである。このゲームについてさまざまな情報をくださった諸氏、本ページの母体となったLaTeX版の組版時に有用な数々の示唆をしてくださった諸先輩方に、この場を借りてお礼を申し上げる。医学部保健学科のKappa氏、および、PC-Engine版(しかもβ版!)でさまざまな解析をし、私と熱い討論を繰り返ししてくださった理学部数学科(連鎖幾何学専攻)のAx氏には特にお礼を言わなければならない。彼らのお話を聞いていなければ、第3部のエンディングの分析はなかったであろう。私をこのゲームと出会わせてくれた教室の同僚(冒険者養成専攻)のFS氏のことも忘れてはならない。また、このゲームの解析に大々的に利用したバイナリエディタの作者の方にも感謝しなければならない。そして、このページを読んでくださる全ての方々に、厚く御礼を申し上げる。
1998年6月 執筆代表者 Y.Tori(医学部キャラクター育成学科少女教育専攻)
目次に戻る
東亜大学校とは、1995年に設立された、マルチメディアの総合研究・教育機関である。「マルチメディアについて広く研究を行い、その成果の普及をはかり、もって文化の創造と発展に寄与する」ことを設立の理念としている。創立2周年を機に、その活動範囲をますます広げようとしている。
ゲームと一言に言っても、極めて多種多様なものがある。本校が非常に多くの学部、学科に分科されているのもそのためである。しかし、ここで注意しなくてはならないのは、学生諸君は、ややもすると、ある専門学科に進むことは、その分野についてのひとかどの専門家になることであると考えがちなことである。もちろん、本校を卒業すれば、まもなくその分野について専門家になれるだけの資質は持っている。しかし、学生時代に専ら基礎を養成されてきたのだから、その能力を活用すれば、どのような専門分野にも適合しうるはずである。そうであればこそ、一人のクリエイターが全く異なる分野に属する複数の作品を開発したり、全く新しい発想の作品を開発したりすることもできるのである。専門学科とは、極端に言えば、ゲームを学ぶときの都合上、例を既存の一分野にとって、攻略法を発見するに至る考え方と道筋、過去の作品のシステムの分析と批判、遊ぶ際の精神のあり方などを手ほどきしてもらう一つの場とも言えるのである。したがって、学生時代に大切なことは、特定の(あるいは一つの分野の)ゲームに関する物知りになることではなく、ゲームを遊ぶさいの根本をなす、いわば「基礎ゲーム力」を十分に養うことである。将来何年たっても、どのようなゲームに遭遇したとしても、最も頼りになるのは、この基礎的な力である。また、この力は、将来、全く新しいゲーム、さらには、新しい文化を創造するときにも、その源泉となるものである。本校で学ぶ最大の目的は、この力を養うことにあるのである。このようなわけであるから、東亜大学校の各学部・学科では、この基礎的な力を養うことに最も力を注いでいるのである。
この力を養うためには、優れた作品を徹底的に楽しみ、学び、研究することが最もよい方法であり、同時にそれ以外にその力を養う方法はない。したがって、本校では、その目的を達成するために、優れた作品を題材にとり、考える力、分析する力を養うことを目標として講義を行っている。ここで、この基礎の講義を現在担当している先生方、および担当した経験のある先生方の間で、その内容を文章にまとめてはという提案がなされ、その結果このシリーズが生まれることとなったのである。以上のような目的と背景のもとに、本校の設立の理念に基づいて制作されたこのシリーズの内容が、ゲームを学ぶ人全てにいかんなく吸収され、能力養成の一助となり、ひいては、文化の創造と発展に資することを願ってやまない次第である。
1997年2月 | |
東亜大学校医学部キャラクター育成学科 | |
東亜大学校名作講座編集委員会委員長 | Y.Tori |
目次に戻る
講義に戻る
医学部キャラクター育成学科のページに戻る
東亜大学校のページに戻る
プリンセスメーカー(第1作)は、非常にポピュラーなゲームであり、読者の大半はプレイしたことがあると思う。しかし、この文章を読んでいただくにあたって、このゲームの基本的なルールをきちんと整理しておくことは、このゲームを遊んだことのある人にとっても不可欠であろう。そこで、このゲームの基礎を、復習もかねて簡単に説明しておこう。
プリンセスメーカーとは、孤児である娘を引き取って育てるゲームである。育てる期間は、娘が満10歳の4月から8年間である。ゲームの目的は、「娘の評価を上げること」である*1。娘を送り出すときに、評価が高ければ高いほど、娘は出世する。このゲームでは、1カ月が上旬・中旬・下旬に分けられており、それを単位(この最小単位を、本編では、クールと呼ぶこともある。)としてスケジュールを決め、娘に実行させる。バイトも教育も、原則として、日曜日は休みである(武者修行だけは例外である*2。)。娘にバイトをやらせて稼がせて、そのお金を、娘を教育する費用に当てる。娘に教育を受けさせることによって、娘の能力が上がる。バイトをすることで、直接娘の能力が上がることもある(副作用で下がることもあるが)。その能力が(ゲーム世界の中で)認められることによって、評価が上昇するのである。具体的に、どのような場合に娘の評価が上がるのか、この段落の後に挙げておく。しかし、バイトも教育も、毎日成功するわけではない。失敗することもある。バイトや教育が失敗した場合、その日の効果は全くなくなる。ただし、疲労も増えない。つまり、その日は何もしていないのと同じことになる。バイトで失敗すると、その日の分の給料は当然は入らない。教育の場合は、失敗しても、その日の分の代金はとられる。
*1 ただし、このことがはっきりわかったのはプレイを始めてからかなり後である。その経緯については、第3部に詳しく述べる。
*2 武者修行とは、モンスターの住む地に娘を送り出して、戦闘の経験を積むものである。そこに出てくるモンスターには、日曜日も何もあるはずがない。
ミスコンテストは、出場者10人で、気品・プロポーション・色気をそれぞれ競う。それら3部門について、それぞれ1000人の一般審査員による投票が行われる。そして、3部門の合計得票が最も多かった出場者が総合優勝となる*4。各部門の優勝と、総合優勝が表彰される。このとき、複数のタイトルを1人の出場者が同時に獲得することができる。極端な場合、3部門を独占して総合優勝ということもできるわけである。そして、実際、初期のキャラクターはそれを目指して育てられた。評価の上昇は、次の通りになる。
本文を理解するために覚えておいてほしい基礎知識は、この程度で十分だろう。もっと細かい、攻略法に近い知識が出てきたら、その都度説明する。
目次に戻る
講義に戻る
医学部キャラクター育成学科のページに戻る
東亜大学校のページに戻る