丸帆亭 萬釣報 #16 page1   99.12/20 更新                   
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緊急特集!湾岸最後の生態系を埋めないで!
- 丸帆亭 -
12/20.今後に備えて専用の掲示板を開設致しました。⇒      


まずは
フロントページの、
現場の写真を
見て下さい。
長いですけど、どうか読んで下さい。
これはつまらない話しかもしれません。
一般の国民はもちろん、東京都民も、
江東区民の方すら、あまり誰も知らないお話しです。
直接被害を受ける方は、とても少ないと言う
話しであるかもしれません。
逆に、経済的利益供与を受ける方はきっと多いのでしょう。
でも、何も言わずに傍観する事は、
環境破壊の加担者
になりうる問題だと、
私は思います。

東京臨海地区有明、そう、あのフジTVの前のお台場や、有明ビッグサイト、
コロシアム、テニスの森、そんな出来そこないの近未来都市のすぐ近くに、
その広大な水域空間はあります。昔、バブルの最盛期に有名だったダンスクラブ
”ラムザ有明”のあった土地の裏側の水域です。一番分かり易いのは、
レインボーブリッジをお台場方面に歩いて渡れば、左手下方に中洲の木々の緑と
この水域が、手に取る様に眺められるはずです。車では無理かもしれません。
また、東京ガスが、そのほとんどすべてを占有している豊洲埠頭側では、
先端近くに、”メガフロート”等と言う名称をつけて、コンサート会場等、イベントに
貸していたスペースがありますから、そちら側から眺めた方もおられるかも知れません。

通称、”十六万坪”、昔の貯木場の跡です。現在は、材木は一本も浮いておりません。
周りは倉庫群など、ビルと企業の占有地に囲まれて、水辺に出られる一般道は
一本もありません。有明側には4本ほど車で護岸近くまで入れる道もありますが、
すべて金網や鉄条網、あるいは高い塀に遮られて、
水辺を眺める事さえ満足にはできない現状です。
水域の利用も、権利関係は調査不足ですが、秋からの季節に、ハゼ釣りの乗合い船と、
テンプラ船が数十隻利用しているのと、
業務用の船の係留が数隻程度、確認できるだけの、不気味なほど静かな空間です。
私がその存在を知ったのは、まったくの偶然で、三年程前になります。
丁度お台場でハゼ釣りを始めた頃、普段はレインボーブリッジを利用していたのですが、
たまたま自転車で釣行して、レインボーブリッジは渡れない為、
有明から豊洲の迂回路を走ったところ、ビルの隙間から、その広大な水面の断片が
覗いているのを発見し、興味を持ったのがきっかけです。
最初の印象は、対岸(実は中洲)に見えた、石垣とその上に繁った木々の
あまりにも豊かな緑、そしてあまりの広さでした。「此処はいったい何なんだろう??」
が当初の素直な感想でした。
その後、違法ながら、道路脇のフェンスを乗り越える事で、水際の護岸まで
出られる事を発見して、あらためて、これは凄い場所だと感慨を新たにして、
益々興味を深めた次第です。その後、お台場でのハゼ釣りで、
地元のベテランの方々から、あそこは埋立ての計画が進んでいるとの情報を聞いて、
驚くと同時に、何か見捨てられた空間の様に寂しく思ったのですが、
自ら確認する術もなく、数回程、フェンスの中に入って眺めて来る程度で、
月日が過ぎておりました。確か数年前には、埋立て反対 の立看板が、
数ヵ所に立っていた様な記憶があります。

★  雑誌”つり人"1月号を読もう! ★
今回のこの特集のきっかけが、定期購読している
”つり人1月号”です

なんとグラビアページと本文で13頁をさいて、特集を組んでいます。 その記事を読んで、
いくつかの事実関係を知ることができて、まずは少しでも他の皆さんに知って貰いたいと思い、
取りあえずのHPへの掲載としました。本来なら、もう少し個人的に取材と検証をすべきなのでしょうが、
個人で取り組むには、あまりにも大きなテーマで、現段階では、雑誌の受け売りと読み捨てられても
しかたのないレベルですが、場合によっては地道に長期連載として取り組んで行きたいと考えています。
以下、”つり人”の記事の要約を書いておきます。
まずキャプチャーを並べておきましょう。
・十六万坪、21世紀に残すべき釣場
・ハゼの泉湧く理想郷
・バブルの亡霊、臨海副都心開発計画
・地図上から江戸前の風物詩が消える日
・都内最後のハゼの楽園に、最悪のシナリオを描く東京都の愚行
・止まらぬ公共投資、臨海副都心開発の問題点
・高度成長の犠牲になってきたハゼの変遷
・文化的価値を見いだせない東京都
・説得材料の乏しい埋立事業の全容
・工事費400億円は誰が背負うのか
・都職員、そして都民に降りかかる財政再建プランの悪影響

とても充実した中身の濃い記事です。
当然、釣りの雑誌ですから、ハゼの生息と産卵から、それを楽しむ釣り人、
関連業種の話しから、伝統文化の保護継承、そして環境問題へ、
最後には7兆円赤字都政 の公共投資の批判
へと論じている訳です。
勘の良い方なら、この見出しだけでも、内容はわかりますよね。
臨海副都心開発の管轄は東京都港湾局
バブル最盛期の昭和63年3月に埋立ての基本計画(水域の大部分41h)が
立案されて、

平成8年7月に基本方針として35hに縮小(ほとんどかわりませんね)されたものの、
なんと予算は400億円もの債券発行で 補うとの計画です。
現在は国の免許庁の審査と運輸省の許可と言う二つの認可がまだ未決との事ですが、
通らない理由はないでしょうし、計画どおりに実施されれば、
着工はいよいよ2000年、来年から埋立てが始まるのです。

”つり人”さん、よくぞ書いてくれました。と、言いたいところですが、
何度か読み返す度に、
つり雑誌一誌での限界とある種の歯痒さを、感じぜずにはいられない丸帆亭です。

ハゼと言う魚種の保護と釣り人の権利を守る事は雑誌社として当然ですし、
昨今の懐古趣味から、江戸文化の継承と言う切り口も、 たとえ釣り船業界 との
かねあいがあるにせよ、正しいのですが、
この有明の埋立て問題は、釣り人や釣り船、都職員や都税納税者、
そしてハゼ、江戸趣味の通人、そんな些少な関わりで論じるには、
あまりにも大きな後悔を残す問題だと、私は考えます。

やはり問題は生態系です。人間の愚行と時代の偶然から、有明のココだけに
ハゼの聖域が残った。と言う事実と、それがハゼと人間だけの問題ではなく
東京港奥、臨海部の生態系にいかに重要な役割をはたしているか。
そしてそれを失う事の重大さを、具体的なデータと共に提示する事が、
この水域空間を知り、利用している数少ない者の責務ではないでしょうか!。

一雑誌社や私個人で叶う問題ではありませんよね。ではどうすれば良いのか!
それはやはり、問題を世間一般に広める事ですよね。公的機関があちこちの
下請けに依頼して、調査させたデータを 都合の良い部分だけつなぎ合わせて、
デッチ上げた報告など、信じてはダメです。
人は知らないモノに関して、判断を求められても、情報の操作でどのようにでも、
意見が変るものです。


長くなったので、ページをめくりましょう。