学会と医会
学会は学問する場、医会は医者を取り巻く環境について集まって話し合う場、でしょうか。
学会は演題を発表すべく若手医師が修行させられる場、医会はどちらかというと開業医や勤務医でも管理職の人たちが多く参加する場、とも言えます。
10日(日)は皮膚科学会の終了後皮膚科医会が開かれました。もうブログに書きましたけど、学問する場のはずの学会で「トラブルを起こさないための患者への対応」みたいなタイトル(本当はもっと強烈)の講演がありました。
学会には、天疱瘡と類天疱瘡での、自分の表皮を攻撃する抗体の違い、といった講演が本来ふさわしいのです。
一方、医者を取り巻く環境について話し合う皮膚科医会では「OTC薬による接触皮膚炎について」(そのまま)という講演でした。
これにはそれぞれ理由があります。勤務医、特に若手は医会に所属していないのです。
しかし、「トラブルを起こさないための患者への対応」は、大病院の特に救急医療最前線に立たされる若手医師に聞かせたい内容であるため、学会の教育講演にふさわしいということになるのです。
皮膚科医会で「OTC薬による接触皮膚炎について」というテーマで講演があったのは、医療費削減の一案として、水虫程度は保険診療ではなく、OTC薬で済ませてよいのでは、という考えが行政側にあるようです。
これに反論するため、OTC薬(実際は薬剤師の説明も聞いていないので、GTR薬)の副作用の頻度をまとめるという仕事を皮膚科医会の幹事がやっていて、その中間報告という意味だったのです。
市販の水虫薬にかぶれて来られる方は、大変多く、初診時には真菌は見つかりません。
もともと水虫だったのが市販薬でカビは死んだが薬にかぶれたのか、
それとも、
もともと湿疹だったところに水虫の薬を塗って悪化したのか、
判定できない事がしばしばあります。
皮膚科の診療を受けて検査で診断をつけてから治療を始めていただきたいところですが、足が痒ければ、まず水虫と考えて薬局で水虫薬を買って塗る人の方が圧倒的に多いですね。
かぶれて、かゆみが痛みに変わると、それが効果と考えて、さらに塗り続けて、かなりひどい湿疹になってからお見えになる方もいらっしゃいます。
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