5.便秘を防ぐ食物繊維 





 お年寄りは加齢とともに腸のの筋肉が緩んでしまうため、腸のぜん動運動が弱くなり便秘に
なりやすくなります。便秘は食欲を低下させるばかりか、排便のさいに息むので、血圧を急激
に上昇させ脳卒中を引き起こしかねません。特に血圧の高いお年寄りは、便秘を防ぐことが大
切です。




 朝食後の排便習慣を身につけよう 





 お年寄りの便秘は生理的なもので仕方のないものですが、食習慣を整えて食物繊維の多い
食品を摂取することで便秘は予防できます。
 
 まず朝食をしっかり食べる食習慣を身につけたいものです。朝食を摂ることによって胃が充
満し、大腸へ刺激が伝わるとともに便意が起こります。朝は特に便意を促す胃結腸反射が起こ
りやすいので、朝食後の排便は、習慣化するようにしてください。

 また朝冷たい水やジュース、牛乳などを飲むのも、便秘の予防に効果があります。特に牛乳
には脂肪が含まれているため大腸を刺激してさらに効果的です。便秘予防とカルシュウムの
摂取という一石二鳥の効果がが期待できます。




 食物繊維の効用 





 食生活を整えたうえで積極的に摂りたい食品として、野菜、果物、芋類、豆類、きのこ類、海
草類などの食物繊維を多く含んでいる食品があげられます。

 食物繊維は食べても消化吸収されませんので、以前は価値のないものと思われてきましたが、
胃や十二指腸を刺激して消化液の分泌を促し、同時に食物の腸内滞留時間を短縮させ、老廃
物をいちはやく体外に排泄させる働きのあることがわかってきました。この食物繊維を多く摂るよ
うにすれば便の量が増え、また腸の内部で水分を吸収するので便が軟らかくなり、便通がスムー
ズになります。



 主な食品に含まれる食物繊維のめやす量
ご飯/一杯140g
0.6g
食パン/6枚切り一枚60g
1.38g
そば/200g
4.0g
薩摩芋/1/2個100g
2.2g
じゃがいも/1個100g
1.9g
おから/40g
3.9g
インゲンマメ/40g
5.3g
ごぼう/1/3本40g
4.4g
ほうれんそう/1/3わ80g
3.5g
干し柿/1個30g
4.9g
リンゴ/1個250g
3.3g
干ししいたけ/40g
3.2g




 野菜は生のままだとカサが多く食べにくいので、野菜炒めや煮物などのように火を通すように
すれば、カサが減りたっぷり食べられます。

 例えば、朝食に野菜や海草のたっぷり入った味噌汁やスープ、昼食にはもやしやキャベツ、
ピーマンなどの野菜炒め、夕食は青菜でおひたし、ごぼう・れんこんなど根菜類の煮物。芋や
豆、きのこも野菜と同様に料理し、果物は朝食や間食に食べたり、フレッシュジュースにして飲
むようにしてはいかがでしょうか。

 ただし食物繊維が便秘によいからといって、そればかり食べていたのでは必要な栄養を摂取
することができません。一日に300グラム、毎食100グラム(片手一山分)をめどに、食べるよう
にしてください。




 食生活で一番大事なこと 





 食物繊維に限らず、何を食べるにしても適量というものがあります。肉がよいから、野菜がよい
からといって肉ばかり、野菜ばかり食べていたのでは、栄養のバランスが崩れてしまいます。こう
いった偏った食生活が、脳卒中や心筋梗塞、骨粗鬆症、ひいては寝たきりや痴呆状態を引き
起こすのです。何度も繰り返しますが、野菜も肉も魚もご飯も、全てバランスよく食べることが食
生活では一番大事なことなのです。

 それともう一つ忘れてはならない大事なことがあります。それは丈夫な歯がなければ、これまで
述べてきた食生活を実践していくことが、かなり困難だということです。丈夫な歯があればこそ、
食物を噛み砕けるのであり、必要な栄養を吸収することができるのです。丈夫な歯が、寝たきり・
痴呆を防ぐといっても過言ではありません。

 丈夫な歯が最低二十歯あれば、何でも食べられるといわれています。「丈夫な歯でハツラツ人
生」(工事中)のホームページで、丈夫な歯を維持していくために気をつけたいことを詳述します。



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