食事で防ごう寝たきり・痴呆 




 2.脳卒中を防ぐ食事 





 寝たきり・痴呆状態は、脳卒中を防ぐことによって、かなりの程度で回避できます。脳卒中
は、十分な動物性蛋白質と、塩分の少ないバランスもとれた食事をこころがけることによって
予防できます。では何をどう食べればよういのでしょうか。




 年を取っても必要栄養量は変わらない 





 次の表を見て下さい。日常生活の活動強度が軽い人の年齢別栄養所要量で、健康に生
活していくうえで、必要とされる1日のエネルギー量と栄養素量を年齢別に示したものです。


生活活動強度が軽い人の年齢別栄養所要量
年齢(歳)


20−29
30−39
40−49
60−69
70−74
75−79
80−
エネルギー(Kcal)

2,250
2,200
2,150
1,800
1,650
1,600
1,500
エネルギー(Kcal)

1,800
1,750
1,700
1,500
1,450
1,400
1,250
蛋白質 (g)

70
70
70
70
65
65
65
蛋白質 (g)

60
60
60
60
55
55
55
脂肪エネルギー比率(%)

20−25
20−25
20−25
20−25
20−25
20−25
20−25
カルシュウム (g)

0.6
0.6
0.6
0.6
0.6
0.6
0.6
カルシュウム (g)

0.6
0.6
0.6
0.6
0.6
0.6
0.6
鉄 (g)

10
10
10
10
10
10
10
鉄 (g)

12
12
12
10
10
10
10
ビタミンA (IU)

2,000
2,000
2,000
2,000
2,000
2,000
2,000
ビタミンA (IU)

1,800
1,800
1,800
1,800
1,800
1,800
1,800
ビタミンB1 (mg)

0.9
0.9
0.9
0.7
0.7
0.7
0.7
ビタミンB1 (mg)

0.7
0.7
0.7
0.6.0.6
0.6
0.6
0.6
ビタミンB2 (mg)

1.2
1.2
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
ビタミンB2 (mg)

1.0
1.0
0.9
0.9
0.9
0.9
0.9
ナイアシン (mg)

15
15
14
12
12
12
12
ナイアシン (mg)

12
12
11
10
10
10
10
ビタミンC (mg)

50
50
50
50
50
50
50
ビタミンC (mg)

100
100
100
100
100
100
100




 上の表を見ると、年齢差があらわれるのはエネルギー量だけであることがわかります。蛋
白質、ビタミン類も加齢とともに減少してはいますが、微々たるものにすぎません。つまり健
康を維持していくには、高齢になっても若い人と同程度の栄養素量を摂取し、加齢に応じ
てエネルギー量を減らしていけばよいわけです。

 例えば30−39歳と65−69歳の男性を比べてみましょう。エネルギー量で400キロカロ
リーの差があります。これはご飯なら二膳分、バターをぬった食パンなら二枚分に相当しま
す。朝昼晩の三食のうち、ご飯を一膳、バターをぬった食パンを一枚減らせば、あとは同じ
ものを食べていれば良いわけです。

 ただし日本人の平均栄養摂取量は、カルシュウムの不足、塩分過剰、脂肪の適正比率
オーバーが見られますので、この点は気を付ける必要があります。






 低脂肪の肉を食べよう 





 肉類を十分に摂取することで、寝たきり・痴呆は予防できると繰り返し述べてきましたが、具
体的にはどんな肉を食べたらよいのでしょうか。下の表は、主な肉類70グラムに含まれる
エネルギー、蛋白質、脂肪の量を表したものです。

肉類に含まれるエネルギー、蛋白質、脂肪の量(可食部70Gあたり)

肉の部位
エネルギー(Kcal)
蛋白質(g)
脂肪(g)

かた
129
13.3
7.6

もも
104
14.8
4.3

ヒレ
109
15.0
4.7

サーロイン
165
13.0
11.6

レバー
92
13.7
2.6

むね・皮つき
142
14.4
8.6

もも・皮つき
148
12.1
10.2

ささみ
74
16.6
0.4

レバー
145
10.2
10.9

ロース
220
11.6
18.0

もも
111
14.3
5.2

ヒレ
895
15.1
3.2

レバー
90
14.3
2.4

もも・マトン
157
13.2
10.7

もも・ラム
151
13.2
10.1
加工食品
ベーコン
196
9.0
27.4
加工食品
ボンレスハム
87
13.1
2.8
加工食品
ロースハム
143
11.5
9.7
加工食品
ウィンナー・ソーセイジ
213
9.2
17.4
加工食品
フランクフルトソーセイジ
207
8.9
16.1




 上の表はによると、牛、鶏、豚、羊とも蛋白質の量は、肉の部位によってさほど差はありませ
んが、脂肪の量は肉の部位によってかなりの差があります。お年寄りに肉類をすすめるのは、
エネルギー源としてではなく、あくまで動物性蛋白質の摂取が目的ですので、蛋白質が豊富
で、脂肪の少ない肉を選ぶようにします。

 牛や豚では、もも、ヒレなどの赤身の部位。鶏は、ささみが低脂肪でおすすめせすが、皮
(皮下脂)を除けば、もも、むねの部位も低脂肪になります。レバーは蛋白質ばかりでなく、鉄
分やビタミンAが豊富です。低脂肪の牛、豚がよいでしょう。加工食品では、ロースハムよりも
ボンレスハム。またベーコンやソーセイジは、蛋白質より脂肪の量が多いので避けた方が無難
です。



 肉類は、調理方法によって脂肪の量がかなり変化します。フライや天ぷらなどの衣揚げは、
衣に油が吸収されるためエネルギー量はかなり増えます。また調理に油を使わない網焼きや
ゆでる方法では、調理中に脂肪が抜け落ちますので、エネルギー量は大幅に少なくなります。
エネルギー量を押さえるには、網焼きか、ゆでる、ということになります。

 ただし食事を栄養やエネルギーの面だけで考えていくと、食事が味気ないものになってし
まいます。たまにはトンカツを食べるのも結構でしょう。その時にロースよりヒレを選ぶ、また
ロースなどの脂肪の多い肉を食べる時には、脂肪の部分を切り落として食べる、ラードや
ヘットの代わりに植物油を使うなどの心配りがあればよいのです。





 青背の魚を食べよう 






 肉類と同じくらい食べていただきたいのが、、いわしや、さば、さんまなどの青背の魚です。
これらの魚には、血液の凝固を防ぎ、血栓をを予防し、動脈硬化を抑制するエイコサペンタ
エン酸(EPA)という不飽和脂肪酸が多く含まれています。

 肉類はり良質の動物性蛋白源であり、脳卒中を防ぐには効果的な食品ですが、欧米人の
ように肉類を多量に摂取していれば、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞の危険がましてきま
す。欧米人に比して日本人に心筋梗塞が少ないのは、肉類の摂取量が少ないことに加えて、
エイコサペンタエン酸を含んだ魚を多く食べてきたことがあげられます。



 終戦直後の都市部を例にとりますと、肉類は10グラム未満と非常に少ないのですが、魚介
類は60−70グラムも摂取しており、当時の貴重な動物性蛋白源となっていたことがわかりま
す。ここ10年ほどの摂取量も90グラムを超え、お年寄りでも80グラム以上食べています。

 脳卒中を予防し、心筋梗塞を増やさないようにするには、1日に肉類を70グラムは食べる
ようにし、魚介類も青背の魚を中心に、平均摂取量を90グラムを減らさないようにすれば理
想的です。

 また青背の魚には、エイコサペンタエン酸のほかにも、脳の働きを活発にする核酸など、
肉類にはない成分が色々含まれています。老化防止のために大いに食べていただきたい
食品です。



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