1.寝たきり・痴呆はどうしておこるのか 




 寝たきりを招く二つの原因 



 「寝たきり老人」とは、入浴、衣服の着脱、排便、食事、歩行等が自分ひとりではできず、寝たま
まの状態が六か月以上続いている六十五才以上の人をいいます。
 寝たきりはどうして起こるかといいますと、老衰を除けば原因は二つ考えられます。一つは脳卒
中、もう一つは骨折です。
 
 脳卒中には、脳の血管が破れる脳出血と、血管がつまる脳梗塞とがあり、ともに脳の組織を破壊
します。脳の身体機能の領域が破壊されると、全身不随、半身不随の状態になり、寝たきりとなりま
す。また精神機能の領域が破壊されると、痴呆状態を引き起こします。寝たきりになるか、痴呆を
引き起こすかは、紙一重の差と言えます!

 もう一つの原因である骨折ですが、具体的には前腕、足首、大腿骨、腰椎等の骨折です。骨の
形成力が衰えているお年寄りでは、ギプスで固定する期間がどうしても長くなり、固定した部分が
動かなくなります。動かない、痛いといって足を使わないでいると、本当に動かなくなってしまいま
す。「骨折は治ったが寝たきりになった」これがお年寄りには、非常に多くみられます。


 想像を絶する痴呆の症状 



 痴呆とは、一旦獲得された知的機能が、脳の障害により著しく低下し、日常生活に支障をきたす
ような状態になることをいいます。知的能力には、記銘力、記憶力、思考力、計算力、見当識等が
ありますが、特に見当識の著しい低下が痴呆か正常かを判断する基準になっています。

 見当識が著しく低下しますと、自分の名前や、家に帰る道順、家族の顔等も分からなくなってきま
す。また食事をしても、すぐに食べたことを忘れて「おなかがすいた」と言いだしたり、ひどい時に
は自分の便をこねまわしたり、食べてしまったりすることもあります。

 こうした痴呆性老人が、現在約100万人いるといわれ、2010年には200万人を超えると予
測されています。


 脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆 



 代表的な痴呆として、脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆があります。
 脳血管性痴呆は、脳の精神機能の領域が脳出血や脳梗塞等の脳卒中発作で破壊された結果、
生じる痴呆です。
 
 原因がわかっている脳血管性痴呆に対して、、アルツハイマー型痴呆は、原因がまだ解明されて
いませんが、脳の老化が病的に起こったものと思われます。

 どちらの型の痴呆にしても、痴呆状態になってからでは回復はほとんど絶望的ですので、予防す
るしか対策はありません。幸いなことに日本人の痴呆は、欧米人の痴呆と異なって、原因が分かっ
ている脳血管性痴呆が多数を占めていますので、対策を立てやすい分だけ救いがあります。



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