3.塩分を減らして脳卒中予防 





 脳卒中を引き起こすもう一つの大きな原因に、高血圧があります。高血圧の九割は、原因のは
っきり分からない本能性高血圧といわれるものですが、加齢、遺伝、塩分過剰など何種類もの原
因が組合わさって、血圧が高くなると思われます。




 お年寄りは味付けが濃くなりやすい 





 下の表は血圧の区分を年齢別にみたものです。


男性正常
男性境界域
男性高血圧
女性正常
女性境界域
女性高血圧
30−39歳
78.3%
15.0%
 6.6%
91.2%
 6.1%
 2.4%
40−49歳
63.8%
21.4%
14.9%
75.3%
17.2%
 7.4%
50−59歳
52.7%
26.1%
21.2%
59.0%
27.5%
13.3%
60−69歳
43.4%
30.2%
26.2%
46.9%
35.3%
17.6%
70歳以上
36.7%
34.6%
28.7%
34.8%
35.5%
29.4%


 年を取ることによって、確実に高血圧が進行していくことがわかります。加齢や遺伝は避けられま
せんので、血圧を正常に保つためには、塩分の摂取量を減らすことが重要になります。
 



 ところが年を取ってくると、味覚を司る味蕾細胞がかなり減少し、味を感じる能力が衰えてきます。
そのため、塩分過剰が脳卒中を起こすことを知っていても、お年寄りには知らず知らずのうちに味
付けが濃くなり、塩分過剰に陥りやすくなります。その分若い人より塩分を減らすのは大変なことだ
と思われます。
 塩分に対する好みは、幼児期に形成されるといわれ、お年寄りにとっては、長年にわたってなじ
んできた味付けです。それを、やみくもな減塩にによって変えようとすると、今度は食欲不振に陥
ることが心配されます。
 無理な減塩で食欲がなくなれば、栄養不足になり、体力が衰えてしまいます。減塩をすすめるの
は、血圧の上昇を防ぎ、脳卒中を引き起こす危険因子を少しでも取り除くためなのです。血圧はが
ったが、体力が衰えたでは逆効果です。食欲の低下を招くことのないような減塩対策が必要です。




 上手な料理で無理なく減塩を 



 

 日本人の塩分摂取量は、一日平均12.5グラム(平成2年国民栄養調査)で、60%は醤油、
味噌、食塩などの調味料、40%が魚介加工品、小麦加工品、漬け物などの調味料以外の食品が
占めています。
 無理なく塩分を減らすには、まず塩分の多い食品を減らし、次に塩分の多い調味料を控えるよ
うにします。下の表は主な食品に含まれる塩分のめやす量を表したものです。同じ材料でも生の
物と加工品、また加工品でも加工の仕方により塩分の量が、異なってくるのがわかります。



食品に含まれる塩分のめやす量
主な調味料
塩分のめやす量
主な魚介加工品
塩分のめやす量
主な肉加工食品
塩分のめやす量
主な小麦加工食品
塩分のめやす量
主な漬け物
塩分のめやす量
コンソメ・乾燥/4g(小さじ一杯)
2.3g
さけ・生/一切れ200g
0.5g
コンビーフ缶詰/一缶190g
3.9g
食パン/6枚切り一枚60g
0.8g
かぶ・生/一個90g
0.0g
こいくち醤油/18g(大さじ一杯以下同じ)
2.7g
さけ・塩ざけ/一切れ110g
8.9g
牛・大和煮缶詰/一缶
3.2g
コッペパン/一個50g
0.7g
かぶ・ぬかみそ漬け/一皿30g
0.8g
うすくち醤油/18g
2.9g
さけ・くんせい/一枚27g
1.7g
焼き豚/一切れ15g
0.5g
フランスパン/一個240g
3.8g
きゆうり・生/一本98g
0.0g
ウェスターソース/16g
1.4g
さsけ・水煮缶詰/一缶190g
1.9g
ベーコン/一枚20g
0.4g
ロールパン」/一個30g
0.4g
きゆり・ぬかみそ漬け/一皿30g
0.8g
中濃ソース/16g
0.9g
あじ・生/一尾99g
0.4g
ボンレスハム/一枚20g
0.6g
クロワッサン/一個30g
0.7g
だいこん・生/一本720g
0.3g
トマトソース/18g
0.3g
あじ・開き干し/一枚77g
2.4g
ロースハム/一枚17g
0.5g
うどん・ゆで/一玉250g
0.3g
だいこん・ぬかみそ漬け/一皿30g
1.3g
トマトケチャップ/18g
0.6g
あじ・くさや/一枚91g
3.0g
フランクフルトソーセージ/一本15g
1.4g
干しうどん/一わ160g
4.9g
だいこん・たくあん漬け/一皿30g
2.1g
麺つゆ/18g
1.6g
さんま・生/一尾98g
0.2g
ウィンナーソーセージ/一本15g
0.3g
そうめん・ひやむぎ/一わ50g
1.5g
だいこん・奈良漬け/一皿30g
1.7g
米味噌・甘口/18g
1.1g
さんま・開き干し/一枚105g
4.0g
サラミソーセージ/一本115g
4.7g
中華麺・生/一玉130g
0.4g
だいこん・守口漬け/一皿30g
1.3g
米味噌・淡色辛口/18g
2.2g
さんま・みりん干し/一枚41g
1.7g


中華麺・ゆで/一玉200g
0.2g
だいこん福神漬け/一皿30g
2.3g
混み味噌・赤色辛口/18g
2.3g
さんま・かば焼き缶詰/一缶85g
2.1g


中華麺・蒸し/一玉170g
0.6g
だいこん・切り干し/一皿30g
0.1g
麦味噌/18g
1.9g
あさり・なま・/5個18g
0.2g


マカロニ・スパゲテイ/一袋300g
0.0g
なす・生/一個90g
0.0g
豆味噌/18g
2.0g
あさり・つくだ煮/一皿10g
0.7g




なす・ぬかみそ漬け/一皿30g
0.5g
金山時味噌/20g
1.2g
あさり・水缶詰/一缶190g
2.1g




はくさい・生/一枚90g
0.0g
米酢/15g
0.1g
ほたて貝柱・生/一個25g
0.1g




はくさい・塩漬け/一皿30g
0.5g
マーガリン/13g
0.3g
ほたて貝柱・煮干し/一個8g
0.5g




はくさい・キムチ/一皿30g
1.1g
バター/13g
0.3g
いか・生/一ぱい120g
0.6




わさび・生/一本42g
0.0g
マヨネーズ/14g
0.3g
するめ/一枚120g
3.4g




わさび・わさび漬け/一皿30g
1.0g
フレンチドレッシング・分離型/16g
0.7g
いか・塩辛/一皿20g
2.3g




ザーサイ/一皿30g
4.1g


いか・くん製/一袋68g
2.4g




メンマ/一皿30g
2.4g


蒸しかまぼこ/一本200g
5.1g




らっきょう/一個8g
0.2g


焼き竹輪/一本90g
1.8g




梅干し一個8g
1.7g


はんぺん/一枚100g
2.0g








さつま揚げ/一枚50g
1.3g








魚肉ソーセージ/一本50g
1.0g









 ・上手な魚介類の食べ方 





 魚介類は、塩分の多い練り物は極力避け、又開き干しなどの加工品より生の物を料理する
ようにすれば、かなり減塩できます。しかし、料理する時に調味料を多量に使ってしまえば、せ
っかく塩分の少ない物を選んだ意味がありません。魚介類に限らず、塩分控えめの料理方法
が重要となってきます。
 次に料理する時に気をつけたいことをあげてみます。ちょっとした工夫で、塩分を無理なく減
らすことができます。






 ・上手な減塩料理法  





(1) 新鮮な材料であれば、その持ち味が域、薄味でもおいしく食べられる。
(2) ゆず・レモン・すだちなどを添えて、柑橘類の酸味を利用する。
(3) 酢漬けや酢であえるなどして、すの酸味を利用する。
(4) 香辛料や種実のかおり・風味・辛味で、あじのアクセントをつける。
(5) 照り焼きなどにして、表面だけに味をつける。
(6) 網焼きやフライパンで焼き、こうばしさをつける。
(7) 暖かい物は暖かいうちに、冷たい物は冷たいうちに食べる。中途半端な物は、薄味だと
    まずく感じる。






 ・上手な麺類の食べ方 





 小麦加工品では麺類に注意が必要です。干麺は塩分が多いので、ゆで・生の物を選ぶよう
にします。同じ干麺でも日本そばには塩分が含まれていませんので、おすすめです。麺類で問
題になるのが麺つゆの塩分です。麺つゆは薄く作り、薬味や七味唐辛子などを使って味を引き
締めれば、薄味は気になりません。また、麺つゆを全部飲まずに半分残せば、塩分を確実に減
らすこいとができます。





 ・上手な漬け物の食べ方 





 漬け物は、少量であってもかなりの塩分が含まれていますので、できるだけ控えたい食品です。
どうしても食べたい時は、浅漬け物っを選び、七味唐辛子の辛味で味を整えれば、薄味でもお
いしく食べられます。また、かぶ、きゅうり、だいこなどを香辛料・香草と一緒に酢に漬けてピ
クルスにすれば、塩分を気にせず食べられます。





・上手な味噌汁の飲み方 





 味噌汁一杯には2.3グラムの塩分が含まれており、飲みすぎると明らかに塩分過剰となります。
しかし、味噌汁は日本人の食事には欠かせませんし、また味噌は植物性蛋白質を始め、リノール酸
やビタミン、ミネラルも含まれた質ののよい食品ですので、塩分を抑えて上手に飲みたいものです。
 塩分を抑えるには、味噌汁の具をたくさん入れ、飲むというより具を食べるようにするとよいで
しょう。具が多ければ多いほど、汁は少なくなり、塩分も少なくなります。いろいろな具を入れれ
ば栄養価も高まり、一石二鳥です。




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