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同義語や名前のリストを次世代に口承で伝えるためのもの。記憶を助けるために頭韻や脚韻、また事象の連想などを多分に用いています。『アルヴィースの言葉』や『リーグの歌』のようなエッダ詩もこのようなスールルが元になっていますし、『巫女の予言』や『グリームルの言葉』の中には同様の憶え歌の節が出てきますが、スノッリの『エッダ』の写本に残された同義語や名前のリストは、このスールルという語を狭い意味で使ったものです。

12世紀末のアイスランドで、スカールド詩への興味が増していく中で、スールルも生まれ、スカルド自身たちにとっても記憶を助けるものとして認められたものが、狭い意味のスールルです。スールルは詩語を広い範囲で含み、神々やドワーフ、巨人、ヴァルキュリア、海王たちの名前、また男や女、武器や戦い、海や船と言ったものの同義語に至ります。スールルは、もっと昔の詩の中に現れた名前からできているので、いまでは失われてしまい、他では再現不可能な古語や言葉の使い方の多くを今に伝えています。

もっと広い意味でのスールルとしては、エッダ詩の幾つかに名前が列挙されていることなどが含まれます。ですから、神話の知識を伝えるものとしてのスールルを考えると、スールルのはじまりは、儀式を執り行う者が、後継者の教育に使った儀礼的な文句なのではないかとも考えられます。

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古スカンディナヴィアの儀式に用いられたイノシシのこと。「ヒョルヴァルズルの息子ヘルギの歌」4節と『ヘルヴァルのサガ』十章には、ユールの夜に、このイノシシの背中に刃物を入れることが記されています。生贄を殺す間、誓いが誓われ、「ソーナルゴェルトル」がそのとき「ソーナルブロート(宥めの生贄)」の儀式に、良い収穫を保証するために屠られる。「イングリンガ・サガ」の中では(18章)ソーナルブロートは神託と捉えられている。

以前は「ソーナルゴェトル」は「宥めのイノシシ、宥めの生贄」の意味で解釈されていたが、ズィーフェルス(Sievers)は「群を率いるイノシシ、イノシシのボス」の意味に過ぎないことを提唱し、現在ではこの説が一般的に認められている。一方、ソーナルブロート(すなわち生贄のイノシシ)はもともと、疑いなく、豊饒神フレイルに捧げられた。というのもフレイルの飼う動物がイノシシ、グッリンボルスティ、だったからである。

ソゥルthorrname (ソール、またはトールとも。以下「ソール」とします。南のゲルマン語ではDonar。)ゲルマンの雷神。アース神族の最強の神とされ、巨人退治の神とされます。

1. 文献中のソール。

(a) 古北欧語文献を通じて、ソールはオージンの息子とされる(『詩語法』4;「スリームルの歌」21、32節。「ヒーミルの歌」2、35節;その他スカルド詩には頻繁に見られる)。また、同様の意味として、バルドルの兄弟(兄?)とも呼ばれる(フヴィーンのショーゾールヴル「ホィストロング」16節)。『詩語法』において、スノッリはソールの近親者について次のように述べている。ソールは女巨人のヨルズ(「大地」)の息子(「ロキの口論」58節;「スリームルの歌」1節)。ヨルズはまた「フロージン」「フョルギン」とも呼ばれる(『巫女の予言』56節)。ソールが大地母神である「大地」の人格神の息子であるということは、疑いなく古い伝承に基づくと思われる。

ソールの子どもたちは、彼の力の人格化である。息子たちはモージ(「怒り」、マグニ(「強さ」)(「ヒーミルの歌」34節;「ハルバルズルの歌」53節)。また彼の娘はスルーズル(「力強さ」)である。

ソールの妻は女神シフである。また彼はウッルルの義父であるとも呼ばれる。スノッリによるこのような知識は、スカルド詩に用いられるケニングよっても裏付けられる。しかしながら、ソールのことを「ヴィングニル」とか「フローラの養い子」と呼ぶのはスノッリだけであり、これがスノッリのオリジナルな創作であることもありうる。。恐らくはソールの別名「ヴィングソール」や「フロールリジ」から創られたのではないだろうか。

ソールが巨人の国に旅をする時の同行者は、大概ロキである。「ヒーミルの歌」では、しかし、同行者はティールである。彼の召使いは農夫の子供シャルヴィとロスクヴァである。二人はソールの山羊の足を傷つけた罰としてソールに仕えているのである(「ギルヴィの惑わし」43章;「ヒーミルの歌」38節)。

(b) ソールの住まいはスルーズヘイムル、またはスルーズヴァングルと呼ばれる(「グリームニルの歌」4節;「ギルヴィの惑わし」20章;「詩語法」17章)。そのどちらもソールの力強さを表す名前を持っている。彼の館はビルスキールニルという(グリームニルの歌」24節;「ギルヴィの惑わし」20章;「詩語法」4節)。彼は二頭の山羊タングリースニルとタングニョーストゥルに引かせる車を持っている(「ヒーミルの歌」;「ギルヴィの惑わし」43章)。それで彼は「山羊たちの主人」と呼ばれるのである(「ヒーミルの歌」20、31節)また「車の神」とも呼ばれる(「詩語法」1章)。ソールは力を与えてくれるベルトと鉄でできている小手、そして女巨人のグリーズルがくれた杖グリーザルヴォールルがある。このような持ち物はソールの力強さは魔法のような力によって備わっているという民間伝承に基づくものである。

しかしながら、ソールの最大の持ち物はハンマー「ミョルニル」である。これは巨人と闘う時は恐ろしい武器となる一方で、異教時代の最後の数十年ではゲルマン人の異教を現すシンボルともなるとともに、新しくキリスト教に改宗したばかりの異教徒たちのシンボルともなった。この仮説を裏付ける考古学的資料として、ソールのハンマーと十字架の両方の形を隣り合わせに持つ一つの鋳型がある。同じ鋳型から両方の形をしたお守りを造ることができるのである。

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