弁護士河原崎弘代襲相続/弁護士の相続相談
相談
父は10年前に亡くなりました。昨年、叔父(父の兄)が亡くなりました。 叔父には、妻も子供もいません。 父の兄弟は他に1人います。
父が生きていれば、父は叔父の相続人の1人です。父が亡くなっているので、私には相続権がありますか。
相談者は弁護士会の法律相談室を訪れました。回答
親などが生きていたならば相続できたのに、死亡していた場合に、代わりに、子などに相続させる制度があります。これが代襲相続です。
叔父の相続人は、配偶者(この場合、いない)、および、以下の親族です。
第1順位は、子供
第2順位は、直系尊属(あなたの父の父母=祖父母)
第3順位は、兄弟姉妹
この場合は第1順位、第2順位の相続人がいませんので、 第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。 兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、その子供が相続人となります。これを代襲相続(民法887条)と言います。あなたのお父さんが亡くなっていますので、あなたはお父さんが相続する分を、あなたが代襲相続します。相続分は1/ 2です。父の弟も1/2 相続します。
代襲相続の諸形態は、下記のようになります。相談者のケースは、Bです。
相続関係図@
親子の代襲相続祖父 == === 祖母 (死) | | ==== == == == == == == | | | | | | 叔父 亡父 叔母 | | 本人
直系血族の代襲相続
この場合は、亡父に代わり本人が代襲相続します。 本人の相続分は、父の相続分と同じで、1/2×1/3=1/6 です。
相続関係図A
祖父と孫など(直系血族)の代襲相続祖父 == === 祖母 (死) | | ==== == == == == == == | | | | | | 叔父 亡父 叔母 | | 本人 | | 孫
祖父と孫など(直系血族の代襲相続)
上記の場合、 本人(代襲者)が死亡していても、孫が代襲相続します(民法887条3項)。
相続関係図B
兄弟姉妹の子の代襲相続---- -- -- ---- -- -- -- | | | | | | 父の兄 亡父 父の弟 (死) | | 本人
兄弟姉妹の代襲相続
亡父に代わって亡父の子(本人)が代襲相続します。
相談者の例です。
この場合、 代襲相続しますが、遺留分はありません。
相続関係図C
兄弟姉妹の孫などの代襲相続はない---- -- -- ---- -- -- -- | | | | | | 父の兄 亡父 父の弟 (死) | | 本人 | | 子 ×
兄弟姉妹の孫などの代襲相続はない
民法889条2項は、887条2項を準用していますが、3項を準用していません。
この場合は、代襲相続しません。
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法律
(民法887条)
1 被相続人の子は、相続人となる。 2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。 但し、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。 3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合に準用する。
(民法889条)
1 次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。 一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。 二 被相続人の兄弟姉妹 2 第887条第2項の規定は、前項第二号の場合について準用する。