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ワンポイント為替市場 (1-10)
「二十一世紀に生き残る会」HPに寄稿の同名コラムを転載)


2003/1/12
第10回
為替レートの決定要因--国際収支説--
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購買力平価は、確かに長期的な均衡レートの目安になりますが、残念ながらインフ レ率の上下が,直ちに輸出入に影響して需給関係を変化させるわけではありません。

これに対し、国境を越えた資金の受払いを直接反映する国際収支に着目したのが、 国際収支説(国際貸借説)です。購買力平価説より60年も前の1861年に提起されました。国 際間の取引によって生じた貸借(債権・債務)関係のうち、決済期限の到来したものが外国 為替に対する需給となって、為替相場の決定要因となる、というのがその考え方です。

具体的には、為替需給を把握するために経常収支に注目します。例えば、日本の経 常収支が黒字になると、日本の企業が外国から受け取る外貨を円に換える必要が生じ、外貨 を売って円を買う結果、円が上昇します。反対に経常収支が赤字になれば、外国への支払い を行うために外貨を買って円を売る動きが円安圧力になります。

余談ですが、輸出入の受払いを円建てにしても同じことです。この場合日本の経常 収支が黒字であっても日本企業が外貨を売る必要はありませんが、外国企業は円を支払うた めに自国通貨を売って円を買うため、やはり円高要因となります。円建て取引は日本企業の 収益に影響のある為替リスクを軽減する効果はありますが、そのリスクが日本から海外に転 嫁されるだけで、為替レートに与える影響は変わりません。

国際収支説は非常に明快な理論であり、数ヶ月といった短期的な為替の動向を予測 するのに適していると言われます。しかし1980年代以降、経常収支だけで国際間の資金移 動を捉えることは難しくなっています。かつて為替需給の主体は、輸出入業者でした。輸 入業者が円を売る(外貨を買う)一方、輸出業者が円買い(外貨売り)サイドの中心となっ ていました。

資本関連取引の規制緩和が世界的に進み、現在の為替市場における取引量は、財や サービスの輸出入よりも資本取引に関するものが上回っています。日本では信託や生 保、海外では年金基金やミューチュアルファンドといった、いわゆる機関投資家の行動が大 きな影響を持っています。さらに国際間の大型合併・買収が活発になると、企業の海外直接 投資に伴う資金の動きも重要になります。このため、現在では経常収支だけでなく資本収 支を合算し、さらにその内容を分析することが不可欠です。

国際収支説が当初から持っている弱点は、「決済期限の到来したもの」を外国為替 に対する需給とすることです。今は日本でも、輸出入企業が具体的な実需の裏付けなしに為 替予約を自由に行えます。このため先行きの円高・円安見通しの確信度が高まれば、リスク ヘッジのために何ヶ月か先の為替予約を行います。これらは当然為替市場の需給要因で、短 期間にまとめて行えば市場動向への影響も無視できません。しかし国際収支説で定義する需 給となるのは、輸出入が決済された時点ですから、そこには数ヶ月のラグが生じます。

こうした欠点はあるものの、国際収支説の考え方は、実践的な為替予測の方法とし て強力なツールになります。そのため最近は大手銀行、特に世界に拠点のある外国銀行の多 くが、国際間の資金フロー分析を為替予測に利用しています。経常収支と資本収支、シカゴ 先物市場の売買建て玉、それに自行顧客の予約残高や運用資産の通貨配分等を総合して、需 給の実態を捉えようとしています。

次回は、変動相場制時代になって登場した為替レート理論についてお話しします。
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2003/01/05
第9回
為替レートの決定要因--購買力平価説--
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これまで主に現場の視点から、あまり正統的とは言えない為替のコメントを書い てきました。このコラムはいわゆる「〜講座」を目指すものではありませんが、普段目の前の 動きにとらわれがちな自分への反省も兼ねて、しばらく教科書的な観点からお話ししたいと思い ます。

為替レートにはいくつかの決定理論があります。為替レートは最終的には、ある通貨に対する 買いと売りのどちらが多いか、つまり需給によって決まると考えられます。需給のどんな側面に 着目するかによって異なるアプローチがあり、どれも一貫した説明力を持つに至っていませんが、 いくつか代表的なものをとり上げます。

まず、昨年末にしばしばニュースに登場したのが「購買力平価」 です。塩川財務大臣の「購買力平価から見て1ドル=150〜160円がいいはず」という発言をご記 憶の方が多いと思います。これは、為替レートは自国通貨と外国通貨の購買力の比率によって決 定されるという理論です。財やサービスの取引を自由に行えるという前提があれば、同じ商品の 価格は一つに決まり(一物一価の法則)、国内市場と海外市場の間でも同じことが成り立ちます。 この時日本よりも米国の物価が低ければ、日本から米国製品を買うために、円を売ってドルを買 う動きが増加します。このためドル/円レートはドル高円安に動いて均衡点に達するという考え方 です。

購買力平価は、
  基準時点の為替レート×自国インフレ率÷相手国インフレ率
によって求めます。基準時点としては1973年を使うことが多く、これは、日米ともに経常収支が 均衡していた時期というのが主な理由です。インフレ率には消費者物価と輸出物価がよく使われ ます。購買力平価は、長期的な為替レートの趨勢を説明する上では意味があり、ドル/円レートは、 消費者物価ベース購買力平価をドルの上限、輸出物価ベース購買力平価をドルの下限とするバンド の中で、概ね変動してきました。

これらとは別に、プラザ合意以降は日米工業製品卸売物価ベースがドルの上限とする調査もあります。 これに基づき、昨年7月時点で「125円を超える円安には限界がある」としていましたが、今のところ 非常に正確な指標だったことになります。

塩川財務相は、OECDによる消費者物価ベースの2001年平均(150円)を念頭に置いて発言したと思 われますが、輸出物価ベースでは今年第1四半期で90円前後とかなり開きがあります。実勢レート がどちらに近づくかは、日米の国際競争力によるところが大きいと考えられます。その意味で、以 前と違い日本の国際競争力が低下している現在は、輸出物価よりもデフレをより反映した消費者物 価に近づく傾向があってもおかしくありません。

塩川発言に対し速水日銀総裁は、「購買力平価で為替レートが決まるのなら、そもそも変動相場制 には移行していない」と反論し、円安に動きかけた市場に軽いブレーキをかける結果になりました。 この発言自体は現在の市場に対する見方に関するものですが、このコラムにとってはもう一つの意 味があります。それは、購買力平価説が固定相場制を背景とした理論だということです。為替レー ト決定理論には、変動相場制の出現前後で違った流れがあります。ただしどちらが優れているとい うことはできません。次回は、固定相場制を背景とするもう一つの理論である、国際収支説につい てお話しします。
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2003/01/01
第8回
120円割れで「円先高」は持続するか
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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

11月24日付けの本稿で、「現在の方向感のない状態からの出口としては、ドル のじり高とユーロのパリティ割れ再定着の可能性が高い」と予想しました。予想時点で は1ドル=122円台前半でした。12月前半はほぼこのシナリオ通りの動きで125円を上回り ました。しかし中旬以降は、イラクや北朝鮮をめぐる情勢の緊張がドル売り材料となり、 27日のニューヨーク市場では1ドル=120円を割り込み、ユーロも1.04ドル台で引けまし た。

この日は東京市場でも11月13日以来の120円割れとなり、終値も119円97銭でし た。これを受けて 『円、先高観強まる』(28日付日経新聞マーケット総合1面) といった見方が出ています。記事は、「イラク情勢の不透明さなど従来のドル売り材料に 加え、財務省の円高修正方針に否定的な見方を示した速水優日銀総裁の発言を手がかり に円買い・ドル売りが進んだ」としています。

実際にはこの日、前日終値比で13銭の円高、一日の値動きもわずか28銭という小動きに終始しました。その意味で、この記事のトーンはやや不釣合ですが、次のような理由で、「円高」と言いやすい雰囲気が今のマーケットにはあります。

 @ 120円という水準は、相場の転換点となる非常に重要なポイントである
 A 度重なる円高牽制発言にもかかわらず、財務省は介入をしていない
 B ドルに対する不安感が根強い

@とAは円の要因です。日銀短観(大企業・製造業)での2002年度下期想定為替 レートは、9月に続き12月調査でも120円台でした。この水準を意識してか、財務省筋の円 高牽制(むしろ円安誘導)発言も120円台では頻度が上がり、介入の可能性に市場は神経質 になっています。そのためこれまでは120円に近づくと、警戒感からドルが自律反発して きました。従って、介入がないことが明らかになれば、少なくとも一時的にはドル売りの 勢いが増すことが予想されます。ドルへの投資比率の高い海外の資金を、金やスイスフラン に移す動きがすでに鮮明になっています。

Bはドルの要因です。クリントン政権時代に黒字となった米国財政は、 ブッシュ政権で再び赤字となり、さらに戦争による国防予算増大が懸念されています。ラ ムズフェルド国防長官は、対イラク・北朝鮮同時戦争も可能とまで発言しました。アルカ イーダを始めとするテロ不安も依然として存在します。

こうした要因によって120円を割りこんだ円相場の今後を考える上で、以下のような点に注目しています。

 A. 日本の当局が120円割れ定着を容認するか
 B. 対イラク戦争は引き続きドル売り要因となるか
 C. この局面では日米欧の景気見通しが材料になっていない

この答えが出るのは新年入りしてからですが、私はこの三点は全てドルが持ち直す方向に働くと考えています。東京市場が年内の取引を終え、一週間の休みに入った30日の海外市場では、介入なしとの安心感もあって118円台にまで円が買われました。しかしデフレ脱却に打つ手が乏しい日本の財務省が、「円は過大評価」との認識を行動によって裏付ける可能性は高いと思います。

イラク問題は、「タッチ・アンド・ゴー」が市場に織り込まれています。典型的な「噂で売って現実で買う」要因になるでしょう。これとも関連して、市場が再び景気に注目するようになる局面が近づいていると思います。その場合可能性の高いシナリオは、米国経済の立ち直りと日本の景気後退の鮮明化という図式です。仮に米国景気の減速が続く場合にも、今度は日本や欧州がそのあおりを受けることになります。日欧の自力回復シナリオがない以上、円やユーロがこれ以上強くなるのは難しい情勢です.
しかし相場は多数決の世界。皆さんはどうお考えになりますか?



2002/12/08
第7回
市場のマナー
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バブル期には土地や株式に限らず、ゴルフ会員権を始め様々なものが投資・投機の手段になりましたが、企業の財テクバブルの一面を表していたのが、為替取引の拡大でした。総合商社、大手輸出メーカー、石油会社はもちろん、輸出入取引や海外投資の経験が豊富な企業の財務部門は、為替相場のプロと言えます。1984年4月に為替の実需原則(実体取引に対応しない、投機的な先物為替取引が禁止されていた)が廃止されたのを機に、彼らが為替取引を大きな収益機会と位置付け、積極的に市場に参加したのは自然の流れでした。

顧客の為替取引は、大きくて1件あたり1〜2千万ドルでした。しかしバブル期には純粋な投機(いわゆるサヤ抜き)目的の取引で、5千万〜1億ドル単位の売買を一度に行う企業も出てきました。東京市場の一日の為替出来高は、公表数値ではドル/円で80億ドル(今の価値で約1兆円)程度ですので、1億ドル程度でも市場に10銭程度の瞬間的なインパクトはあります。

しかし一部の企業は市場を自分で動かすことを狙って複数行(3〜5行)に1〜2億ドルずつの取引を同時に持ち込むようになり、ドル/円よりも東京での取引規模の小さいドル/スイスフランなどで同様の取引を行うこともありました。

こうした場合も、銀行は顧客の求めに応じてレートをだしました。営業政策上、一方的な関係でのツー・ウェイ・クォートです。銀行間でもお互いの了解の上で、A行がB行を「顧客として」レートを出すがB行はA行にレートを出さない、という関係は存在します。ただしこの場合、B行が上のような行動を取るとA行はレートを出さなくなります。これはマナーの問題で、銀行間の取引では市場の秩序を維持するために、この類の暗黙の了解事項が従来からでき上がっています。

こうしたいわば紳士協定が存在する理由は、為替市場が流動性の点で特異な性格を持っているからだと思います。株や債券では、市場に流通している現物の量に制約されます。為替の流動性は通貨供給量とは無関係という意味では無制限ですが、逆に相対取引の当事者間の合意が全てです。例えば何もない状態から
 A行 "Spot Yen for 100?"
 B行 "70-80"
この瞬間にA行にとって1億ドルの流動性が生まれます。しかしB行は、A行が「Mine」(または「Yours」)と言った瞬間、売り手(または買い手)を探す立場になります。同じ立場の銀行が同時に存在すれば、各行が同様に不利な状況に置かれます

複数行と同時に取引するのは、このB行と同じニーズ(売りまたは買い)を持つ市場参加者を意図的に増やすことによって市場の操縦を図ることを意味します。バブル期の東京市場は、一部顧客のこうした取引によって銀行間で億ドル単位の取引が飛び交い、一時期歪んだものになってしまいました。このため銀行はリスク低減の立場から顧客を選別し始め、市場は正常な状態に戻っていきました。

前回と二度にわたって書いてきたのは、公の規制や監督の及びにくい為替市場が、自由度の高さによって無軌道な状態に陥るのを参加者自身の統制によって防いでいるということです。各国の市場にはたいてい "Code of conduct"(行動規範)というものが存在します。この中には、銀行同士または銀行と顧客間での相場操縦的な行為や相場撹乱を容認しないこと、当事者間以外では具体的な取引の主体名を明かさないことなどが謳われています。こうした規範は、銀行を中心とする市場参加者によって制定・管理されており、日本では「東京外国為替市場委員会」がこの役割を果たしています。

最後に先週の動きについて簡単に触れておきます。塩川財務相の「円は150-160円が妥当」という発言をきっかけに、日本の閣僚や金融当局からデフレを背景とした円安誘導発言が相次ぎました。不安視された米国の景気指標も予想外に強く、125円台後半まで円安が進みましたが、金曜日の海外市場で、米国の失業率の悪化とオニール米財務長官、リンゼー大統領補佐官がともに辞任するという報道からドルが売られ、123円台まで戻しました。

日米の景気については、今後も指標に一喜一憂することはあっても基調的には当面円安要因という見方は変わりません。昨年末と異なり増加傾向にある日本の貿易黒字が円安を抑制する方向に働くが、投資マネーは日本からの流出ニーズの高さに比べ海外からの流入は腰が引けた状態、という点も同様です。ただし、為替に影響のある米閣僚の交代発表が同時に行われたことは要注意です。交代自体はある程度予想されていたとはいえ、米国景気回復に向けブッシュ政権の経済政策に近く変化が出てくるのか、注目したいと思います。
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2002/12/01
第6回
「1ドル122円80銭から85銭の間で」
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先週は比較的落ち着いた値動きの中、ドルが概ね堅調に推移しました。「ドル、先 高観強まる」という土曜日の新聞の見出しほど威勢よくはなれませんが、基調としては違和 感がないところです。

日経平均が9200円台を回復していますが、円相場にとって株価動向は重要な要因で す。非常に単純な指標ですが、米国のS&P500指数を東証株価指数(TOPIX)で割った比率と、 ドル/円レートとの間には、趨勢として高い相関があります。この1年を見ても、昨年のテロ 事件直後から今年の4月始め頃まではS&P500の上昇が大きく、その後半年程度は米国株が先導 して下げる展開、そして10月半ば以降は米国市場の力強い回復に対し日本は足踏み、という 動きを円相場と重ね合わせると、ご理解頂けると思います。

そしてここへ来ての日本株の急回復ですが、日本株全体が景気敏感株という性格を 持っているため、米国景気の腰折れ懸念後退は好材料です。しかし日米比率という点から見 ると、米株も上昇中のため比率自体が日本に大きく有利にはなりません。また日本の場合 金融セクターが依然として足を引っ張るため、株価比率が目立った円高方向を示す可能性は 低いと思います。

さて、今回は「為替取引の基礎知識」めいた話をします。テレビのニュースなどを 見ていると、
 「現在ロンドン市場では、円が1ドル122円80銭から85銭の間で取引されて います」
という言い方をしていますが、これは正確な表現ではありません。彼らはロイターなどの 情報画面で、122.80-85
(80〜85ではありません)という表示を見てこのように伝え ていますが、この表示の意味は範囲ではなく、ドルのビッド(買い手レート)とオファー (売り手レート)です。一時あるテレビ局は「122円80銭、85銭」と読んでいました。ようや く気付いたのかなと思いましたが、わかりにくいという意見でも出たのか、間もなく元に戻っ てしまいました。

ビッド/オファーだけならば株式の取引所での呼び値と変わりませんが、通常の銀行 間取引では「ツー・ウェイ・クォート(Two-way quote)」と言って、上記のように売買両サ イドを出し合います。これが為替市場のユニークなところです。つまり「売りたい」「買い たい」と言ってレートを求めるのではなく、ある銀行が「ドル/円は?」と聞くと、聞かれた 側は相手の意図を予想しながら売り買い両方のレートを出します。銀行間ではほとんど電子 トレーディングシステムを使って、次のような感じで取引が行われます。

 Spot Yen for 10 please. (ドル/円のレートを下さい。金額は1千万ドル。)
 75-80(75銭-80銭) 注:一般に「〜円」の部分は省略します。
 Mine,(ドルを買います) 注:「売ります」なら Yours。

ここまで約5秒。このあと改めて取引内容を確認して(この時は122.80などときち んと書き)終了します。この場合、122円80銭でドルを売った(売らされた)銀行は、 ドル高になると損をしますから、どこかで同額のドルを買わなければなりません。この場合、 他の銀行にレートを求めるか、為替ブローカー(仲介業者)に、例えば122円75銭で買い注文 を出します。(もっと下がると思えばしばらくそのままにして相場をにらんでいますが、い ずれは買い戻さなければなりません。)

ツー・ウェイ・クォートは本来規則でも義務でもなく、銀行間で自然発生的にで きた慣行です。ご覧の通りゲーム的要素があるとも言えますが、レートを出す側に厳しい 負担を強いるものです。従って、他行とお互いにツー・ウェイ・クォートをし合う「レシプ ロ」関係によってこれまで続いてきています。

ビッドとオファーの開きをオファー・ビッド・スプレッドと言います。市場の動き によってもいくぶん変わりますが、ドル/円で1千万ドル程度の取引に対し、安定的に3銭〜 5銭程度のスプレッドでレートを出せる銀行が、市場では一流のプレーヤーとして評価され ます。スプレッドは広くした方が、出す側にとって当然安全ですが、例えば20銭程度にした のでは誰も相手にしてくれません。そういうレートは「オフ・マーケット」つまり市場の 適正な水準を反映していないと判断され、何度か繰り返しているとその銀行に対して他行が レートを出さなくなります。つまり相対市場から駆逐されてしまいます。

適度なスプレッドによるツー・ウェイ・クォートの重要な意味は、市場の客観性が 維持されるという点にあります。為替は相対取引で、取引所のような価格の透明性が本来あ りません。しかし同じ相対取引である債券とは比べ物にならないほど流動性が高い(取引量 が多い)ため、為替ディーラーがリスクを負担しながら売り買い両方のレートを出すことが 可能になります。いわば無数の為替ディーラーの努力が、市場の透明性に関する自浄作用と なっているわけです。

為替市場は、銀行間の相対取引、ブローカー経由の銀行間取引と、銀行対顧客の取 引で成り立っています。レシプロ関係という意味で、ツー・ウェイ・クォートは本来銀行間 のものですが、実際には顧客がこれを求める場合もあり、大口顧客ではむしろ当たり前のよ うになっています。たしかに顧客にとって銀行の言うレートが全てであるため、取引の前に 売り買いを教えず、両サイドを出させることで適正なレートを得ようと考えるのも一理あり ます。銀行としては、一方的な関係にも関らずこれに応じるのには顧客サービスもあります が、為替ディーラーのプライドという意味が多分にあります。

しかし、一方的な関係を利用して利益を得ようと考える人が出てくると、せっかく 築いてきた市場の健全な機能が損なわれる結果になります。(この項続く)
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2002/11/24
第5回
ポジション・トーク
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第4回の最後に、120円は割れたが円は買いづらく、短期的なサイクルからいったん122 円方向と書きました。その意味で、18日以降の円相場の動きはわかりやすいものでした。

そんな中、21日の日経新聞「マーケット総合」面『マーケットウォッチャー』が目に つきました。20日の東京市場が前日比1円50銭ほど円安の122円台半ばになったことを受けた解説 記事です。「前日まで円相場は邦銀経営への不安感の高まりを尻目に底堅かったが、金融 不安→円売り の図式がはっきりと前面に出てきた」と始まっています。しかしどうもこれは 唐突で、「ポジショントーク」に基づく部分が大きいように見えます。

ポジションを持つというのはリスクを取ること、つまり損益が変動する可能性がある状態 です。為替ではドル(他の通貨でもいいですが)の「売り持ち」「買い持ち」というのがそれに当 たります。ポジショントークとは、自分のポジションに有利な情報や材料を伝えようとすることで すが、とかく不自然さを伴いがちです。

今回も例外ではありません。一日前には終値ベースでわずか20銭の円高に「円上昇、銀行株 安に反応鈍く」と見出しをつけていました。しかしその翌日は、銀行株が反発したにも関わらず、 上記の「金融不安→円売り」です。本当に円安が進んだのは、19日の海外市場でした。ドル/円の 122円台半ば、ユーロ/円の123円台、ともにニューヨーク市場で到達しています。その中で、東京から もドル売り持ちの解消(損切り)、さらに買い持ちへの転換が相次ぎ、そういう背景の下に多くの ディーラーがコメントしたと思われます。つまりドルは短期的にはすでに買われてしまった可能性が あります。

実は金融不安もさることながら、19日の海外に始まる円安の重要な背景は、1ユーロ=1ドル の水準をめぐる攻防だったと思います。ユーロは10月に、7月の数日間を除けば2000年1月以来のパリ ティ(1ドル)回復を果たし、さらに1.01ドルも上回りました。しかしそこで伸びが止まり、逆に1ド ル割れ寸前まで下落しています。欧州景気は下り坂で利下げも近いため、この水準でかなりのユーロ 売りが出るのも不思議ではありません。

期待に反して分が悪くなったユーロ買い持ち筋が、対円でもユーロを買うことによって対 ドル相場の下支えを図った結果、ユーロ/円が123円台まで円安になり、ドル/円でも円安が進んだ、 というのが最も現実に近い説明でしょう。ドルを買いにくい日本の投資家が、金利の高いユーロに 資金を振り向けたというのとは少し違いますし、毎週手に入る証券投資の統計にも、その裏付けは 見当たりません。

日米欧が悪材料を抱え、為替は「微妙なバランスの中で動く」などという言い方も見かけ ます。しかし「不良債権問題を材料とする相場の寿命はまだ始まったばかり」と第2回で指摘したと おり、程度の深刻さと問題の持続性から言えば、日本の金融不安、欧州の景気後退とインフレのジ レンマ、アメリカ景気とイラク問題、の順番と考えています。3〜6ヶ月のテーマとしての重要性で 日本の金融システム不安を上回るとすれば、イラク戦争が長期化した場合でしょう。

従って、現在の方向感のない状態からの出口としては、ドルのじり高とユーロのパリティ 割れ最定着の可能性が高いと思います。
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2002/11/17
第4回
円の宿命
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前回は為替需給面から貿易収支にふれました。続いて特にドル/円レートで問題になる 政治的な意味合いについてお話します。

1985年のプラザ合意以前の為替市場では、アメリカの貿易収支は毎月の一大イベント でしたが、日本の貿易収支は、今よりはるかに少ない注目しか集めていませんでした。貿易収支 だけでなく、日本の経済指標全体がほとんど市場から無視されていました。すでに変動相場制に 移行しており,外為法も80年には改正されていたにも関わらず、円は通貨として一人前ではなか ったことが窺えます。

ドル高の是正を目指したプラザ合意により、日米貿易不均衡が為替相場の中で意味を持つ ようになりました。日本の貿易収支が為替相場に与える影響は、こうして政治がらみで拡大し、 第一期クリントン政権は、円高を不均衡是正の一つの柱としていました。

こうした背景から、貿易黒字が縮小しない間は「米国が円安を許容しない」という考え が市場の共通認識になっています。需給そのものとは異なる意味の円高要因です。

それだけではなく、日本の政府もそう考えている結果、経済政策を自ら制約して いるという見方もあります。85年以降毎年、日本の貿易収支は月平均で1兆円前後の黒字を続けて います。昨年度は平均7000億円強でしたが、今年度は9月(最新公表数値)まで1兆円を上回る ペースです。このために、今回のデフレ対策としての日本の円安誘導には限界があり、市場は ある程度それを織り込んでいるように見えます。

一方、「ドルが高すぎるためにアメリカの経常赤字は維持し得ない」と言われます。 この場合のドルとはドル/円レートではなく、たいていの場合FRB(米国連銀)の算出する ドル指数を想定しています。これはアメリカの貿易に占める各国のシェアで加重したもので、 相手国のウェイトはカナダの17%をトップに、ユーロ(16%)、日本(13%)、メキシコ(10%)、 中国(8%)と続いています。2月末のピークからドル/円レートは約10%下落していますが、この 指数の下落は3%弱と、依然高止まりしています。

理由は、中南米通貨と中国元です。アルゼンチン経済危機を背景にドルは中南米通貨 全体に対して上昇しており、指数に占めるシェアが大きいメキシコペソに対する上昇だけで 円に対する下落がほぼ相殺されています。一方、中国は米国の貿易赤字に占める割合で日本を 上回っていますが、元は対ドルでのペッグ制が採られています。非常に狭い幅でのみ変動が 許される、実質的な固定相場制度です。

このため、ドル高を是正しようとすればその大部分がユーロと円にしわ寄せされ、 特に黒字の大きな円がその標的になりやすいという構造は今後も続くことになります。

最後に現在の円相場ですが、デフレ対策や米国の利下げという材料が一応出尽くし、 方向感がなくなっています。先週は投資家のリスク回避傾向が高まる中で、短期金利差に着目 した対ユーロでのドル売りがドル/円にも波及した結果、119円台前半まで円高が進みました。 しかしユーロ圏の景気減速を見ればこの動きにも限界がある上、日経平均が銀行株を中心に低迷 を続ける中で円を買いづらい状況は変わりません。

短期的なサイクルからはいったん122円方向への動きが考えられますが、いずれにしても 小幅な値動きに終始すると思われます。
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2002/11/03
第3回
為替需給について
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変な言い方ですが、総合デフレ対策は大方の予想通り期待はずれでした。

代わって市場を動かしたのは、減速懸念の強まる米国経済でした。10月の消費者信頼感 指数が大幅に悪化、第3四半期のGDP成長率も予想を下回り、景気回復の遅れは明らかでした。 ドルが徐々に下落する中、注目されていた10月の雇用統計とISM(供給管理協会)製造業景気指数が 発表されました。決していい内容とは言えませんでしたが、一層の悪化を織り込んで121円台まで ドルが売られていたため、発表後は122円台前半に値を戻しています。

第4四半期の米国GDP成長率は1%そこそこ、日本の不良債権処理とデフレ対策はスピード 感に欠ける、というのが向こう1ヵ月ほどの市場の前提になると思います。

こうして大きなテーマが小康状態になると、たいてい日本の貿易黒字が材料になります。 今年度上半期(4-9月)の貿易黒字は5兆1213億円に達しました。毎月9000億円近くの円買い需要 が発生したことになります。9月も1兆546億円に上っており、輸出のドル売りが円安の歯止めと なる状況に変わりはありません。

しかし、この要因は今後やや緩和される見込みです。黒字の前年同月比は3月以降 7カ月連続の増加ですが、米国景気停滞の影響で対米輸出が減少を始めました。ここまでは 対アジア輸出が好調でそれをカバーしていますが、米国を含む世界的なデフレ傾向は、今後アジア 経済にも影響を及ぼす懸念があります。

また、貿易黒字を相殺する要因として証券投資の動向があります。日本からの対外投資と 外国からの対日投資をネットすると、4月以降資金の流出が続いており、その金額は9月には約定 ベースで約4兆円でした。1ヵ月で上半期の貿易黒字の8割にあたる金額になります。7月にも ほぼ同額の資金が流出していました。

金額的に大きいのは外国債券への投資ですが、外国株式も10月第2週まで32週の間流出 超を続けていました。もっとも外債投資に関しては、為替に直接影響のない部分も少なくありま せん。銀行部門は大部分の購入資金を外貨調達し、生保による購入も、最近は為替ヘッジ付きが 中心です。9月の外債購入額は売買ネットで約2兆円でしたが、直接の円売りはその半分程度であった と思われます。

今後を考えた場合、金額の規模以上に影響が大きいのは外国人投資家のの対日株式投資 でしょう。これは一般的に為替に直接影響のある形で売買されると言われています。外国人投資家 は6月中旬以降売り越し基調に転じましたが、9月には1兆円を越える売却で日経平均の安値更新を リードしました。10月に入って買い越しが見られましたが、安値を拾う以上の意味をもつか どうかは疑問です。

その理由は総合デフレ対策への失望です。海外の論調を見る限り、大胆かつ迅速な不良 債権処理と、思い切った財政・金融政策に、将来的な株価上昇の期待をかけていました。その 意味で、ムチを弱めてアメを増やした今回の対策は、外国人の対日投資への意欲を高めるものでは ありません。日本株へのアンダーウェイトは、今後も続くことになります。

デフレ対策後、日経平均はかろうじて下落を免れた程度にとどまり、10年物国債の 利回りは1%を割り込みました。こうした環境で今後も対外投資ニーズは強まる一方、外国から の資金は日本を敬遠するとなれば、証券投資のネット流出傾向は今後も続くと思われます。

最後に、日本の貿易黒字は特に為替との関連では、日米間の不均衡にからむ政治問題と 同時に論じられがちです。しかし純粋な需給要因としての面と、政治的要因としての面とは区別 して考える必要があります。政治的な意味合いは別の機会にお話しするつもりです。



2002/10/27
第2回
相場の寿命
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 先週は不良債権処理と総合デフレ対策が、市場のテーマでした。

 小泉首相の「あなたに任せた」という後押しと、米国の官民あげての「がんばれ竹中」コールを背景に、 竹中経財・金融相は大胆な金融安定化方針を打ち出しています。これを受けて為替市場は円が弱含みとな りました。しかし自民党の反発で中間報告が延期されたのに続き、閣内からも再考論が出てきたため、 不良債権処理は当初見込んだほどには加速しないとの見方から、週の後半には円がやや買い戻されました。    

 日経平均株価がやや落ち着いてきたこともあり、「円売り材料が出尽くした」(日経新聞10月26日 『マーケットウォッチャー』欄)という見方も出てきました。円安加速のきっかけとなった竹中経財相の 金融相兼任というサプライズから1ヵ月足らず。市場はもう次の材料を求めているかのようです。    

 「会社の寿命は30年」というコピーがありましたが、市場の材料にはどのくらいの寿命があるのでしょう。 昨年末のエンロン破綻をきっかけに、今年になって米国企業全体の会計疑惑が広まり、春先から米国株価 及び米ドルの下落局面が始まりました。為替市場に関する限りこの材料は8月半ば、つまり米国企業が宣誓書 付きで決算報告を行うまで、約半年間強い影響力を持ったと言えます。    

 この問題が尾を引いた主な理由の第一は当然ながら、業績が信用できない米国企業の株・債券への投資意欲 が減退したことです。第二に、米国の構造的な問題が改めて脚光を浴びました。膨大な経常赤字が海外の投資 マネーで補完されなければドル高維持は不可能、という見方からドル下落に拍車がかかりました。三番目は円 の要因ですが、日本経済は循環的回復の兆しを見せつつあり、政府の景気判断にもそれは表れていました。

 不良債権問題はどうでしょうか。現在は、「貸出債権の再査定と引当てを強化し、公的資金注入とデフレ対策 としての財政支出を各2兆円前後」あたりが有力な線だと言われています。    

 この場合のシナリオとしては、まず景気への悪影響が避けられません。失業の増加、消費の減退、設備投資の 停滞といったことが現実化する一方、デフレ緩和策は不十分だと見られています。第二に、小泉・竹中ライン 以外の政府・自民党は、問題企業の整理を何とか回避して再生させる途を探っています。こうした動きが力を 増して最終的に妥協が成立した場合、銀行の体質改善という構造的課題自体の解決が遅れることになります。 つまりデフレ圧力を多少緩和できても、根強い円売り要因が将来に残ります。第三に外部環境です。米国景気が 停滞の様相を見せる中で日本の輸出が頭打ちとなっており、外需頼みの日本経済に赤信号が灯っています。    

 竹中経財・金融相は『ニューズウィーク』誌とのインタビューで、「1990年代初めに、スウェーデン政府は資本 を[銀行に]投入した。これは正しい対応だったが、株価は下落を続けた。そこで政府はさらに投入資本を増やし たが、それでも株価は下がった。株価がようやく回復を始めたのは、l年後だった。したがって、われわれには 多少の辛抱が必要である」と述べています。    

 不良債権問題を材料とする相場の寿命はまだ始まったばかりです。この円安相場は、1年とは言わないまでも 当分続くと考えるべきでしょう。    

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2002/10/13
第1回
為替はなぜわかりにくいか
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 為替はわかりにくいもの、水物だとさえ言われます。

 一つの理由は為替レートの決定理論が確立していないことです。株価ならば企業業績、金利ならば景気循環と いった「落としどころ」を示唆する要因があります。為替も、経済の成長力やインフレ、対外収支といった要因 で説明されてきていますが、どれも確固たる地位を占めることができていません。

そういう中で、一般の方が為替市場の動向を知るのに手近なものの一つは、毎日の日経新聞「マーケット総合」 面でしょう。ここの『外為』欄には、何によって前日の為替が動いたかが簡単に出ています。例えば、「米国の GDP成長率」「輸出企業のドル売り」「ブッシュ米大統領が早期イラク制裁を示唆したこと」「円売り介入」など です.しかしこの記事はいわば日替わりメニューです。ある日「値ごろ感からの輸出予約」でドルが売られたと 思うと、その翌日に「月初の輸入決済需要」でドルが買われるということもよくあります。

 そこで、もう少し長い目で見られるのが日曜日「マネー」面の『為替金利』欄です。これは一週間の見通しです から、相場の着眼点の参考にもなります。例えば、10月13日には「国内では不良債権処理の加速に伴うデフレ進行 への警戒感がくすぶり、積極的な円買い主体が見当たらない」と出ていました。つまり日本のデフレは円安要因です。

 ところで、為替の変動要因について書いた本にはたいてい、インフレ率の高い国ほど通貨価値が下がる傾向がある と説明されています。それならデフレ国の通貨は買ってもいいのでは?と考えてもおかしくありません.その答えは あとにして、記事の続きを見てみましょう.今度は米国側の要因です。

 「米国も株価や企業収益の先行きに不透明感が強く,一方的なドル高も想定しにくい」これは素直に納得できそう です。しかし最近の円安局面では、米国景気が停滞すれば輸出に依存する日本経済に悪影響を及ぼし、株も円も下が るという見通しが目立っていました。今週は軸足を米国に置け、ということでしょうか。判断の分かれ目は何でしょう。

個々の材料に対して市場が示す反応を理解しようとしても、なかなか一筋縄ではいきません。為替の場合は特に その傾向が強いようです。そのため個別の要因は素直に読み取った上で、それがどういう環境で出てきたのかを一歩 踏み込んで考える必要があります。このコラムでは,そういった視点を紹介できたらと思います。

話を戻すと、デフレの下では実質金利も通貨の購買力も上がるはずです。しかしそのために円が高くなると思っても、 ゼロ金利という異常事態では債券の値下がりリスクを懸念して当然です。また、デフレが株安を起こしている以上、株 もなかなか買えません。結局、円資産に魅力がなければ、円という通貨が買えなくなってしまいます。デフレの通貨は 買いというのは、ある程度正常な経済を持った国の通貨を前提にしていると思います。 当分、円について「デフレ」 が出てきたら円安要因と見ていいでしょう。

もう20年近く前の日経新聞「大機小機」に、「2ヶ月も前の数字の発表に飛びついているようでは一流とは言えない」 というとても印象的な一節がありました。米国の貿易収支が発表され、為替が大きく動いた時のことです。

 当時も為替の乱高下が企業を悩ませていました。コラムの筆者も少なからず不満だったのでしょう。しかし為替市場 のメインプレーヤーである銀行や証券の為替ディーラーは、理にかなっていようといまいと、収益を上げて初めて一流 と呼ばれます。「あるべき」レートを探すのではなく、レートが「なぜ今そこにあるあるか」を知ればいいのです。市 場を動かしているのがそういう人々だと知ることも、為替の不可解さを解く一つのカギになります。

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