縮刷版98年5月下旬号


【5月31日】 ジャコジャコとモーゼルを組み立てるものの、色塗りと接着が中途半端なんで完成には至らず。一応銃身をつけてグリップをはめて形ばかりは作ってみたが、中学生のそれは大昔にプラモデル版のモーゼルを作った時に比べると、なんとなくボディが小さくなったよーに感じたのはこっちが大きくなったからなのか。もちろん全長なんかでは前に買ったエアガンの「ダブルイーグル」なんかに比べてはるかに長いんだけど、銃身の太さボディの重厚さでは手に持った感じで「ダブルイーグル」の方がはるかにごっつい。比べてモーゼルの銃身のスリムさは、贔屓目だけどはるかに美しく映る。考えてみれば好きなワルサーP38もルガーP08も銃身がスリムな銃でかつドイツ製。その是非は別として兵器のカッコ良さっちゃードイツってなイメージは、こんな所にでも出ているのかもしれんなー。9割9分は贔屓目だけど。

 眠い中を無理矢理起き出して青山スパイラルホールへ。無論吉川ひなのとデートするためで、ホールの3階で待ち合わせすること30分。仕事先から息急ききって駆けつけたひなのと腕組んで青山のカフェテラスへと繰り出す僕はまるでSHAZNAのIZAMのよーに美しかった、完・・・・などとゆー妄想は単に時差ボケ(別名夜更かし)の白昼夢であって、現実には大勢の中の貧相な1人として遠くからひなのを眺めていたに過ぎなかったんだけどね。それでも有名芸能人を間近に見られる機会ってのは少なくとも工業の新聞にいちゃー滅多にあるもんじゃなく、折角タカラが「ジェニー」のファンションショーを開いて吉川ひなのをゲストとして招くってお知らせを受けた以上は、たとえ日曜日であろーと昼下がりであろーと出ていかざるを得ないのです。単なるミーハーとゆー説もあるが体面上却下します。

 そもそも「ジェニー・ファッションGIG’98」を名付けられた今日のイベント、タカラが誇るお人形さんの「ジェニー」の今年の展開計画を発表するための発表会で、中身的には小学館の雑誌「CanCam」の中でジェニーが新しいファッションモデルとしてデビューしたってコンセプトでファッションショーや、日本エアシステムのスッチーにJR東海の新幹線のパーサーの服を着た人形のお披露目なんかが行われた。とくに「CanCam」とのタイアップでは、フランドルから出ているブランドの「INED」が全面的に協力して、ジェニーのために服をデザインしてそれを誌面で紹介しているそーで、ショーには「INED」の服を着たファッションモデルが同じ服を着たジェニーを持って次々と登壇し、かぶりつきの席でその細いおみ足を楽しませてくれた。えっ、服はどーした? どーしたんだろー??

 いやちゃんと服は覚えているよ、忘れるはずがないじゃないかその奇天烈ぶりそのメルヘンぶりにアドレナリンが脳内をかけめぐり、時差ボケ(だから寝不足だって)に眠い目もいっぺんに醒めちまったぜ。それは今回のショーで発表された「ミス・ジェニー」が紹介された場面でのこと。300人以上の応募者から選ばれた石塚愛子さん18歳がステージに現れていた時に着ていた服は、黒いブラウスに大きな白い丸エリが付き、袖はふくらませたちょうちん、ボトムもでっかいブルマー風で裾がしぼってあってそこに白いレースのフリルがヒラヒラし、にょっきり伸びた足は膝上から黒いストッキングが包んでいて、おまけに頭には黒い大きなウサギの耳が付いているって寸法だ。まま夏の有明を歩いていても、絶対に何かのコスプレかと思われるほどの現実離れしたデザインに、ひなの侮りがたしとの意を抱く。

 が私もまだまだ子供だった。素敵なゲストとして満場の拍手に迎えられて登場した吉川ひなのの着ていた服は、紫と黒の縞模様で構成されたふわふわドレスでウサギも亀もかーるくけっ飛ばす迫力。膨らんだスカートをめくるとペチコート風のインナードレスが金色に輝き目がくらむ。ショー後のインタビューでは「今時珍しいほど女の子しているドレスでしょっ」と自慢していたけれど、いくら女の子でもピンクと黒の縞模様が1番似合うのは世界でもひなのちゃんだけやねんね(さんま風)とツッコミを入れたくなるほどに、その独創の独走ぶりは傑出していた。インタビューで例のIZAMとの関係を聞かれた時に、嫌がらずに素直に答える様にちょっとは感心もしたけど、その後で「ウェディングドレスは13メートルひきずります」と言うあたりに、やっぱタダモノじゃーねーぞとの意を強くする。

 会場で見かけた広報の人に「モデルグラフィックス」にあった水玉螢之丞さんが及川ミッチーの人形を所望していることを教えてあげて是非作るよーにと念押ししてから新宿へ。ロフトプラスワンにかの萩尾望都さんがご出演あそばされると聞き、20年来のファンとして矢も楯もたまらず出かける。会場につくとすでに中は満杯の状態で、仕方なく舞台前の柱脇に場所を確保して着席、ビールを煽りながら始まるのを待つこと30分あまり。いよいよ登場した萩尾望都様の菩薩のよーなそのお顔、知性あふれるそのお声、雅やかなそのしぐさのすべてから発せられる金色のオーラに、のっけから気圧され圧倒される。ホンモノだぁああああ。

 聞き手として登場したのは、バンダイビジュアルから発売された萩尾望都さんのCD−ROM「サンクトゥス」を企画構成した映画監督の佐藤嗣麻子さん。映画「エコエコアザラク」を撮った人だから結構繊細とゆーか触ると切れそーなイメージを勝手に抱いていたけど、登壇した佐藤さんはよく喋るしよく食べる賑やかで楽しげな人で、お顔も深窓の令嬢とゆーよりは草食恐竜とゆーか山本コウタローとゆーかとにかく個性的な面立ちで、そんな2人のかけあいによって始まったトークショーは、手始めに佐藤監督の萩尾望都体験が自らの口から暴露され、かつてバレエと見に行った時に見掛けた萩尾さんの手を、18歳だった佐藤さんがつかもうとして我にかえって踏みとどまり、ロビーに出てサインをもらったとゆー話が披露され、そしてそのさらに昔の小学生だった時にも、萩尾さんにファンレターを書いてプレゼントまで贈ったことがあったと語られた。

 それからネットで募集した質問に萩尾さんが答えていく段となり、あと1年で終わると言われ続けて何年も経ってしまった「残酷な神が支配する」の衝撃のラストシーンが、佐藤さんの強い要望により何と萩尾さん自身の口から会場に集まっている人に向けて披露された。それは「間抜けなジェルミ」(萩尾家にて命名)と「鈍感なイアン」(同)があーしてこーしてこーなって・・・と言ってしまうとお怒りの方も大勢出そーなので教えない。教えたところで佐藤さんが「裏切る人」と言うよーに、披露したのと違った結末を迎える可能性も無いわけではないので、ここは会場で聞いてしまった人も含めて、この先どーなるのかと期待しつつ不安を抱きつつ見守って行きたい。で、ホントはいつ終わるの?

 会場には途中から夢枕獏さんも加わって、創作の時にどーいった点で悩むのかといった話とか、夢を活字で見るとか漫画で見るといった話等など、同じクリエーターとして話がはずむ。獏さん曰く、萩尾さんのすごい所は話がちゃんと終わるところだそーで、これを言うと会場から笑いが漏れるあたり、いかに夢枕さん自身が話を終わらせない作家ってことの証明にもなるけれど(そこにすかさず「栗本薫にはならない、って言ってましたよね」と突っ込む佐藤さんもすごいが)、言われてみればどんなに人気があろーとも、ズルズルと引き延ばして収集のつかなくなった作品ってのが萩尾さんの場合思い浮かばない。「残酷」もラストまできっちり決まっているから1年先か3年先かは不明だけど、必ずやラストを迎えるはず。「肩こりと腱鞘炎が良くなったら描きたい」と言っていた、SF物とか丘の上にある家の話の続きとか三角関係がドロドロしている話とかが読めるのも、そんなに遠い話ではないかもしれない。

 萩尾さんが「トーマの心臓」を描いていた頃のエピソードに話が及び、最近でたエッセイ集にも触れられていた編集者が編集長になってしまい終わらせろと言われて、あと何週間か頑張らせて欲しいと突っ張った話なんかが改めて披露されたけど、そこにとんでもない裏があったことが解り、萩尾さんっておっとりとしているよーで、あれで結構計略家なのかもしれんと考える。何でも萩尾さん、アンケートが低いと打ち切られてしまうため、知り合いの人たちに頼んで葉書を編集部まで出してもらう作戦をたてたそーで、それに応じた坂田靖子さんは、学校の名簿を持ち出して片っ端から名前を借りて手紙を書いて送ったらしー。

 さらに毎回の連載の扉絵を読者にプレゼントしてしまうとゆー、当時としては異例で今だって異例な作戦も遂行し、見事たくさんのアンケート葉書を集めたとか。おかしかったのが1回だけ2色の時があって、そこに坂田靖子さんが何と100通もの葉書(こっちはたぶん全て自分名義)で応募して来たそーな。その1枚1枚にカットが入っていて、萩尾さんのキャラを描いたものもあったそーで、これを聞いた会場から思わず「見てー」との溜息が漏れる。すべて萩尾さんの家に取り置いてあるそーだから、いつか日の目を見ることもあるでしょー。


【5月30日】 天気が悪い中を洗濯に勤しむ。3週間ためると流石に1杯では始末しきれず3杯回してそれでもシャツが何枚か余った所でエンプティ。珈琲を飲みながら2度目の「ジオブリーダーズ」LD版を見る。物語そのものはおおよそしか理解できないけれど、とりあえずはお札の意味とか神総合警備のメンバーのおおよその得意技とかを理解、それから何かのモデルガン系の雑誌でリアルと紹介されていた梅崎真紀の2丁モーゼルの排莢シーンを確認して、ちゃんと飛んでるよよく描くなーと関心する。いやなにせ昔持ってたモーゼルってただのプラモデルだったんで、薬莢、飛ばなかったんだよね。

 ってことで上野までフラフラ、久しぶりにアメ横とかガード下の店舗群とかをナメ、相変わらずの人出をかき分けて「まんがの森」に向かうも、伊藤明弘さんの原作本の方の「ジオブリーダーズ」は2巻と3巻しか置いてなくって買うのを断念する。だって別のお店で1巻見つからなかったら、まるで生殺しだもんね。そのまま地下鉄に向かう途中で角の玩具やをフラリ覗くとおおこれは。その昔出た時に買いたくてでもお金がないからあきらめていた、火薬でブーバックする組立キットシリーズは東京マルイの「モーゼルミリタリー712」ではないか。もはや何かの運命とあきらめてその場で購入、けどプラモデル(まあ半分はプラモデルみたいなもんだから)なんて買ってはいるけど(1万円エヴァとか)作ったことなんて15年くらいないもんで、これはどーしたものかと悩みもだえる。ああ手に持ちてー薬莢飛ばしてー、でも作るの面倒くせー。

 とか思いつつ秋葉原へと移動。ゲーマーズとかリバティーとか石丸とかを覗いたあとで今や秋葉原の聖地と化しつつあるラジオ会館へと入り、「海洋堂ホビーロビー」でショーウィンドーを下からアオる。ゴジラの棚の前でないことは確かですね。けど昔のガレージキットって良く知らないけれど塗装がなんかザラザラしてて、美夕なんて紙粘土みないたな質感になっている。これって塗料が進歩したからなのか塗装の技術が進歩したからなのか下地塗りのお陰なのか素材が変わったからなのか。知識がないのがなんか恥ずかしいけど、とにかく模型なんてすっげー遠ざかっているもんで、手に持つ「モーゼル」の重みを感じながら、やぱり完成品買った方がよかったかなーと考える。

 1階下がってにわかに出現した巨大古本屋で同人誌屋でグッズ屋をのぞくと「ジオブリーダーズ」の既巻3巻分をあっけなく発見、文庫版の川原泉さんは「バビロンまでは何参る?」といっしょに購入して帰途につく。けど「ホビーロビー」の向かいにある超オーディオ屋(JBLとかタンノイとかすっげースピーカーが並んでる)といー古漫画屋のあるフロアの昔ながらの電気屋といー、およそラジオとは無関係なおた系ショップの出現をどー思っているんだろーか。せいぜいがゲーム屋くらいまでなら理解できただろーけれど、およそ異なる人種(コミックファンとガレキファンとオーディオマニアが合致する、とは現在あんまり思えないもんで)の集団での到来は、やっぱ異質に見えるのかも。って言っている間にも秋葉原には、同人誌屋ができフィギュア屋ができしていつかのパソコンの街への変貌が、さらにはおたくの街へと大きく様変わりを遂げていくのかも。あたしゃ大歓迎、だけど。

 自宅そばの模型屋でタミヤのアクリル系の塗料とか筆とかヤスリとかを買い込み、ついでに夕飯の材料も買い込んで部屋に戻る。まずは腹ごしらえと「バーガーヘルパー」に挽き肉を混ぜて手作りハンバーグを作ったら水気が多かったのかツナギが少なかったのか、ほとんどそぼろ状になってしまい泣く。匙で食う手作りバーグの哀しさよ。さて仕事だと箱から材料を取り出してモーゼルを組立始めるが、昔作ったプラモデルとは部品の点数も手間も違ってたちまち袋小路へと突入。ナマの樹脂の色がイヤなんで色を塗りながら作っているから乾くまで手出しができず、おまけに接着にバリ時間がかかるため適当なところで切り上げる。完成までにはあと2−3日はかかるかな。その間は仕事も読書のパス・・させてはくれないよなー。明日のロフトプラスワン、どーすべか。

 後ろで由美かおるが出演している21年前に制作されたタイムトラベルが主題のSFドラマが流れていて、その変わってなさに由美かおるの存在そのものがタイムトラベルでありSFじゃねーかと嘆息する。宇野重吉も若いなー(嘘)。ロッキード事件を批判するよーな内容とか、走っている車とかダンスの場面の服装とかに70年代を感じるけれど、それを除けば今見ても画質に古びたところがなく、21年とゆー時間を気にせず結構のめり込んで見ていられた。しかしちょっと前にやってたつげ義春さん原作のドラマといー、来週放映する伊丹十三宮本信子出演のドラマといー、NHKってすっげーソフト資産を持ってるってことを今さらながら実感する。こーなれば少年ドラマシリーズも、と言いたいことろだけど流石にこれは無いんだろーなー。せめて題名は忘れたけれど線路脇でサイボーグの生首が笑うSFドラマは放映してくれい。


【5月29日】 朝っぱらから録画しておいた「星方武侠アウトロースター」を見る。ルパン三世ならいざ知らず、とにかく厳重で虫も漏らさぬ警備の刑務所から、ど素人な若造の癖に主人公だからって理由だけであっけなく抜け出してみせる、これがお約束って奴だとすれば安易だと謗りたくもなるけれど、ナマズ髭のとっちゃん坊やに眠らされたメルフィナが、目覚めた瞬間に見せたキョトンとした表情が可愛かったから良しとする、この姿勢を安易と謗りたくば謗れ。つまい萌えるハマるトキメくってなーそーゆーことなのだよ。

 しかし伊東さんの原作本も第2巻が発売になったけど、エラくアニメとストーリーが違っているので吃驚。XGPは最初からジーンの持ち物だし、氷のヒルダは最後まで悪い奴だし鈴鹿とエイシャはジーンとは別にツルんでる。桃饅くってるのは「純クレ」の名前ド忘れしたあの丸い子みたいだけど、クタール2なのでこれくらいのカロリーじゃーぜんぜん太らないゾナ、ねっ鈴にゃん。原作本でもメルフィナのスッポンポンは炸裂していて、おまけにぐにゅってな場面も用意してあって最高と叫ぶ。でもぐにゅっとされて微笑むあたりがアニメの清楚なメルフィナと違っていてどっちを選ぼかちょっと悩む。どっちのぐにゅっ、が良いか試してみてーよー。

 などと朝っぱらから煩悩を炸裂させつつ空気枕ぶく、ぢゃない夢枕獏さん原作岡野玲子さん絵の「陰陽師」第7巻を読む。晴明ん家の傍若無人な居候(なのか)、真葛が大活躍のエピソードに、お兄ちゃんはね、お兄ちゃんは思わず頬摺りしたくなる。でも流石に地下鉄の中でページに頬寄せてズリズリはできないので、こみ上げるニマニマ笑いを抑えてページを来る。宮中で開かれた歌合わせを邪魔せんと企む怨霊・菅原道真に怖い物知らずで挑む真葛の囲碁対極、次々を打たれる白と黒の碁石に都を見せ、人生を見せ、宇宙を見せるその盛り上げ方にとにかく感動。それにしても雷として落ちてきた稀代の怨霊・菅公を、「太宰府に送られてめそめそ詩を書いていたオヤジ」と謗る、真葛っていったい何者なんだろー。

 劇場版「パーフェクトブルー」の解説本とも言える「パーフェクトブルーリミックス」(ぶんか社、1300円)を購入、ホームページで苦労の連続だった制作過程を赤裸々に振り返って恐ろしげな今敏監督による、岩男潤子さんへのインタビューが普通のインタビュアーなら後込みしたり遠慮したり気をきかせ過ぎたりで聞けない所まで踏み込んでいて、なかなか読ませる。何せ冒頭から「この役は重かったですか」だもん。もちろん理由は「岩男さんが昔アイドルだったことを知ってるから、周りの人間はやっぱり気を遣ったんでしょうね」って背景を受けての本人の気持ちを慮ったもので、そんな過去を抉るような問いに、岩男さんも投げず起こらず答えている、というか答えがちゃんと載っている。

 「パーフェクトブルー」をして「岩男さんにとって、この仕事は生きていく上での転換点で出会った作品だったんじゃないかな」と、遠慮会釈なしに畳み掛ける今監督も凄いけど、そんな過去から逃げず正面で受けとめる気構えには強く感嘆。とにかく岩男さんの役作りへにかける意欲がひしひしと伝わって来るインタビューになっていて、アーティストの気持ちアーティストのみぞ知る、ってゆーかこーゆーインタビューをやられちゃうと、記者の立つ瀬がなくなるね。本はほかに図版とか設定画とか満載で、巻末には今監督に原作の竹内義和さん、脚本の村井さだゆきさんの鼎談もあってこれがまた読ませる。装丁も美しくカラーも豊富、見せて読ませて1300円は超お得、なので映画見た人は買って読もう。まだの人は映画見に行ってそれから読もう。

 感嘆したところで文化放送へ行って岩男潤子さんにストーキングしに行く、ぢゃない文化放送に岩男さんが出席する記者発表会を見に行く。ボトムアップ、ってソフト会社が去年作ったラジオ番組制作シミュレーション「ドキドキONAIR」の続編が7月中旬に発売されることになったとかで、その制作発表会が開かれたってことで、会場には文化放送のアニメとゲームの番組を仕切る、片寄プロデューサーはじめ、今や林原・三石に匹敵するビッグネーム(とゆー比較が正しいのかは別にして)の横山智佐さん、そして岩石男? ぐふふふふっと今さんに思わしめた岩男潤子さん、それから新鋭になるのか永島由子さんが登場して、華やかに記者会見を彩ってくれた。もう真正面1メートルで見ちゃったぜ岩男の唇下のホクロをさ。(横山の鼻の下のホクロも見えた、かな)

 文化放送が監修したこのゲーム、プレーヤーは「おたっきぃ佐々木」になって、じゃないおた佐々みたくラジオ番組のディレクターになって出演交渉から番組内容からスポンサーから放送時間から設定して番組作って放送して、ってことをやるってな内容で、13週間みごとヒット番組に育て上げられたら、あなたは名プロデューサーとして四谷三丁目の輝く星となれるのだぁぁ。髭の片寄さんも登場して激励ってよりは叱咤して歩いているそーだし、おた佐々も前作に出演した小森まなみさんもゲーム内に登場する予定とか。これからおた佐々に、じゃないラジオディレクターになろうってな人には結構な勉強になるんだろーね。就職には7月じゃー遅いかもしれないけれど。

 会見で片寄氏、「しろしろしろと言われれば女装だってセーラー服だって着る」と断言したので希望者は手紙を書くのが吉。声優さんのコメントではそうだね横山さんの「ない知恵を絞り、乳はありますが」ってのがなかなかに苦笑でございました。いや真横から見ても正面かと思うくらいに、アレなもんで御座いますから。岩男さんは短く「本音トークがずいぶん出来た」と話してくれて、「パーブル」で剥けて結婚で抜けた後のひらき直り具合に期待がかかる。永島さんが「よごれトークもたくさんあるよ」と意味深長な発現、でも汚れトークっていったい何だ? 心配なのが「MAZE」の予告編で脱力感を世間にまき散らした御大・あかほりさとるさんも出てるって事。だけど「友情出演っていうけど誰に対する友情なんだろ」ってな片寄さんの危ない発現もあって、なるほど愛されるキャラクターなんだなーとの思いを、あかほりさんに対して改めて抱く。


【5月28日】 イリャ・テッセな魂人のために(意味不明)仕事をしながら「トライガン」を見る。「トライガン・マキシマム」に登場している謎の牧師、ウルフウッドとヴァッシュとの邂逅が描かれるエピソードだったけど、原作とゆーか7月に発売の「トライガン」第3巻きでも同じよーに描かれているんだろーか。時期的にいえば邂逅からなんらかのエピソードを経て2年後、名をかえてひっそりと凡庸に暮らすヴァッシュが現れる訳で、残りの放映話数でそこまで描かれるのかも疑問だけど、せめて初代のクライマックスになる(んだと思う)「フィフス・ムーン事件」あたりまでは、ちゃんとやって頂きたい物。それとも原作とアニメじゃーちょっとずつ設定が違うんだろーか。砂蒸気の中のプラントに、羽根はえた姉ちゃんがいなかったこともあるしなー。ミリィさんは相変わらずのホヨホヨぶりが最高。実物大フィギュアでねーかな、枕にすんだけどな。

 どこから来るかしら、な朝になったので赤坂で仕事。次から次へと有名所のクリエーターを独立させて話題のソニー・コンピュータエンタテインメントに佐藤明副社長を訪ねて近況を聞く。うずうずしてた人がここを先途と飛び出したとゆーよりは、いつまでいてもらっちゃー空気が淀む、ってのは言い過ぎだけどどこかなれ合うところが出てきたり、組織が積み重なって即断即決に齟齬を来すこともあったから、指令系統をぐっとシンプルにしてかつ責任感を持って会社に依存せず仕事に邁進してもらえるよーに、ややもすれば追い出し気味に会社を設立してもらったと聞いて、これはなかなかに底知れぬパワーを秘めた会社なのかもしれんと、ちょっと尊大な言い方だけどSCEを見直す。

 本当か嘘かはともかくとして、自分たちが5年で今日の地位を築き上げた以上は、別の会社が5年で同じだけの規模にならないとは絶対に言えないと、認識しているのも自明の理とはいえそれはそれで潔い。滅私奉公終身雇用なんて言うも無駄だと解っているからこその、実力本位仕事本位な風土を大切にしてかつ継続してく、そのためにもうすでにあれやこれやと策を講じる機動力は、クリエーターが出世して役員になってしまう羽田の会社にはないのかも。もちろんSCEが今の成功に満足して勝ち逃げするとは思えないから、もしも仮に例の鳴門巻がそこそこの成功を治めるよーな事態になれば、その上をいく手段を講じて今ふたたびな世界1の奪取に走り出すことになるんだろー。今のままではたぶん第2戦も、赤坂の勝利に終わりそーな気がする。特定個人に社長の人が入れ込む見苦しさも、白紙だって音痴だって売ってみせるなコンテンツ1番のコンテンツ界からちょっと遠い秋元さん頼も、そんな未来をうーっすらと伺わせるんだけど、どーだろー、ねえ亀仙人。

 アメリカにある得体の知れないページに「ドリキャス」をサポートする会社として名前が出てるんだけどとスクウェアに電話したのがマズかったのかなあ。更新された際に消されてしまったところを見ると、きっと抗議か何かしたんだろー。他にも日本の会社はたくさん出ているから、明日から1つづつ仕事にかこつけて潰していくか。ナムコ、コナミ、エニックスに驚きのコンパイルとかティー・アンド・イーとかがどんどんと消えて、残るはやっぱりなWARPと、そして我らがSEGADだけだったりしたら、ちょっと寂しい気がしないでもないし、あるいはこんだけしたサポートしないの? ってな逆の意味でとられかねない恐れもある。まーそーなれば今は鷹揚なSEGAだって、メリケンはん、お痛は許しまへんってな事になるんだろーけどね。

 気になる話を確認しるためにバンダイビジュアルに電話するが、いきなりは何なのでまずは「ガンダムのLD−BOXどんなもん出てますかー」ってな個人的にまーったく興味のない話をふる。かつてLD−BOXで最高に熟れたのが「Zガンダム」の35000セットで、聞くと「ガンダム」はそれを大きく上回る、世界最高(当たり前だあ日本しかねーよ)を記録しそーな見通しとか。今はまだ集計中なのではっきりした数字が出たらまた詳しく聞きなおそー。きょうびOVAで1万枚売るのは超大変、にも関わらず高いBOXが4万枚近く売れてしまうのはやっぱり「ガンダム」が「ガンダム」であるから、なんだろー。あたし? もちろん買うけど、まだ予約してねーんだよな。秋葉じゃーたぶん予約なしでも買えるから安心なんだけど、でもこれだけ売れてるとちょっと心配になるなー。

 とかいって個人的にいささかも関心のない話題で話をつなぎならが渡辺繁社長の会社に最近はバンダイのデジタルエンジンプロジェクトのリーダーに復帰した鵜之澤伸さんが頻繁に出入りしているって話を確認、聞くと結構あーだこーだと話し合ってるそーで、40過ぎた方やふくらんでこなた輝いている2人のとっちゃん坊やが、楽しく仕事を出来る会社を心からうらやましく思う。渡辺さんがプロダクションI.G派で鵜之澤さんが4。C派ってのはホントの話なんだろーか、だから最近は4。Cの仕事が増えているってのもホントの話なんだろーか。アニメ業界は複雑で素人にはなかなか理解できないなー。

 などと昔話に花を咲かせつつ、徐々に確信へと迫り、LD−BOXで最リリースされる「オネアミスの翼」(近づいて来たぞ)のライナーが新しく書き下ろされたものだと聞く。個人的にはDVDを購入したいところだけど、ほら限定物とかプレミア物に弱い性分が置場所の無さをけ飛ばして、きっとLD−BOXを買ってしまうんだろーなー。最近はエモーションの15周年を記念して「ダロス」やら「トワイライトQ」やらを再リリースしているバンダイビジュアル、なので是非ぜひ是非と「御先祖様万々歳」の復刻をお願いする。まさか工業新聞の記者からお願いされるとは思わなかっただろーけど、ほら僕アニメにはちょっと疎いから、あんまり人気のない作品でもリリースをお願いしたいんですよごめんなさいねビジュアルさん。

 以上でほとんど聞きたいことは聞き出したのでオッケー、と大嘘をつきつつ、青弓社から出た「ポップ・カルチャー・クリティーク」の第2巻「少女たちの戦歴」を買う、決闘広場でデュエリストと闘っているウテナの姿が表紙に大きく描かれ、隅にやっぱり剣を取るサファイアが描かれているあたりに、今有るウテナも手塚のおかげ、なのかもと考えやっぱりすっげー人だったんだなーと感嘆してしまう。嬉しかったのはカルトな人気を得るにいたったエコエコロジストが愛して止まない傑作ドラマ「エコエコアザラク」の我らが愛と哀しみのスーパーヒロイン、黒井ミサを演じる佐伯日菜子様さま様について結構な分量が割かれていたこと。ウテナの評とか魔法少女に関する考察とかも面白いけど、ファンなら「エコエコ」の文章を読むためだけに買い、だよね。って自分に向かって言ってどーする?

 でその「ウテナ」だがとうとう出ました胸はだけ3バカ大将物語、みたいなはじまり方をする「少女革命ウテナ」のゲーム「いつか革命する物語」が。もっと激しく動くかと思ったオープニングがちょっと紙芝居っぽくっておかめに結構ザラザラしていて、盛り上がらないテーマソングに脱力感をうっすらと覚える。テレビと同じ場面を使った絵の動きがすばらしく見えるくらいにゲームのたえに描かれた絵にはなんだか違和感がつきまとう。まあ今後ゲームをやり込んでいけば、監督の立てた文法にのれて、楽しめることになるのかもしれないんだけれど。さても面白い、のかなーこのゲーム。


【5月27日】 ズレているのが気になって夜も眠れないので向かって左側に寄っているのを直して見栄えを良くする。ずっと隙間が気になっていたのが、ズレを直すと途端に不思議と実物に近く見えて来て、って別に実物をじっくり見たこともないけれど、ふくらみ具合もアイドルの水着写真集に見るような、気分をソソるものになって、ついつい息づかいも荒くなって来る。制服姿のバージョンならともかく、何故に着物でとは思わないでもないけれど、100年近くは生きているように見えても、例のデパート火災を同時代的に経験している彼女だから、やっぱり身につけていても不思議じゃないんだろー。ってことで直りました美夕のパンツ。

 パンツといえば某Aikaほどじゃーないけれど、結構見えるのが新発売なった「ジオブリーダーズ File−X ちびねこ奪還」のOVA。ジャケットの伊藤明弘さんのイラストからして、神楽総合警備の菊島雄佳のがしっかりのぞいていたりして、中のライナーでもやっぱり雄佳が見せていてくれたりして、裏側のモーゼル持った梅崎真紀の先っぽは見えないけどその下の丸球はのぞいてたりして何だかほっぺたが落ちそうになる。本編の中でもエスカレーターの手すりから飛び降りる桜木高見がお約束に見せてくれるし、デパートの中でおっかけあっこするバケ猫なんて全編通じてスッポンポンだぁああぁ。何か幸せ。

 まあその辺りは本質とは関係ないから先に置くとして、肝心のお話の方は原作を知らない人にはちょっと難しいかもしれないなー。登場人物の説明もバックグラウンドのブリーフィングも一切無しに、いきなり原子力発電所に巣くうバケ猫の退治に乗り出していく主人公たち。引っぱり込んでテンポに乗せてしまうとゆーより、世界観のファンを納得させつつ新しいエピソードを提示するって印象で、メディアミックスの1つとゆー位置づけを認識した上で、ビデオを見る必要があるみたい。ってことで原作はよー買わねば。

 おやおやこんなところに「ドリームキャスト」のマークを発見。「ジオブリーダーズ」略して「ジオブリ」では運転手担当の姫萩夕がパジェロか何かに乗ったまんまワイヤーで吊される場面で、ひっくり返った顔の目玉がくるくる渦巻きになっている。色はオレンジじゃなくって黒だけどね。ところで「ドリームキャスト」のニックネームだけど、かの飯野賢治閣下が「D2」発表会場で1番乗りの栄光をかさにき・・・じゃないバックに抱いて「『ドリキャス』そう決めた」とほざ・・・じゃないおっしゃっておられましたのでそーします。長い髪には巻かれろ重い体重には潰されろがわが家の家訓なもんで、ええ。

 舞井武依さんの「魔王の子供達」(白夜書房、3200円)を読む。5つの星がなんたらな漫画みたく、冒頭に年譜があって何やらかにやらが起こって結果地上に平和が訪れて、ってなバックグラウンドが決められて、けれどもそのあたりに関してのお話は一切描かれておらず、事後譚のよーに魔王と人間の娘と息子と、その仲間と親戚一同のドタバタな日常が描かれる。まさに帯にあるよーな、けれども一風変わった「ホームコメディー」。末尾の方に来てさらに子孫の物語へと話が進むけど、今のところはそこまででうち止めになっていてちょっと残念。後書きに「こーしちゃおられません」とある以上は、まだまだお話は続くし続いているんだろー。期待、していーのかな。


【5月26日】 有名なのか「フレッシュネスバーガー」。恵比寿から渋谷へと向かう道の途中に1軒あることは前から知っていたけれど、少し渋谷寄りにもう1軒あるのを見つけて、あるいは恵比寿か渋谷あたりではトレンディーでナウな(死語土砂崩れ)ハンバーガーショップだったりするのかもしれん。とまれメダルゲームで隠れた人気と実力を誇るシグマの新しいマシンの発表会に行った際に時間があったので隣りにある「フレッシュネスバーガー」で朝御飯。カウンターにいる茶髪った兄ちゃんの触ると殴られそーなワイルドな風貌はともかくとして、ベーコンエッグを挟んだバーガーとスイス風に泡立てした珈琲を飲むがこれがどちらもなかなかで、内覧会が始まるまでの時間をしばしくつろぐ。しかし客、来ないなー。

 いつの間にか隣りにアミューズメントメディア総合学院の開発部とかが入居していて驚いたゾナ(クタール2、だね)、なシグマ本社ビルに行くといつもゲコゲコ鳴いているカエルマシーンが撤去され、夢殿もビックリする巨大な6角形のメダルゲーム機が中央にデンと鎮座ましまし、派手は音楽を成らしてメダルをジャラジャラと落としている。その名も「SHOVEL MASTER ぶりまけ権造」は、台が左右に動いてメダルを落としていた大昔の(僕が覚えている範囲の)プッシャーと呼ばれるメダルゲームとは形もやり方もまるで違う。投入口から入れたコインはコンベアによって上へと運ばれ、そこからパチンコ玉のよーに垂直に建った壁の前をコラコラっと落ちて行き、下の水平なフィールドへと積み重なる。

 後ろからブルトーザーががしーっと出てきてメダルをプッシュ、玉突で一番手前にあるメダルがガケを落ちてWIN口へと落ちてくるって寸法。おまけに垂直の壁の真ん中あたりに設けられているゲートをくぐると、ルーレットがクルクルと回っていろいろな役にストップ、中にはショベルマスターすなわちネコ(一輪車)を押してる我らが「権造」が上から何枚かメダルを落としてくれて、さらに役が重なってタワー形のランプが一番上まで灯った瞬間、一番上に取り付けられたショベルがぐいーんと回転してフィールドの上でぴたりと止まり、何と150枚ものメダルをぶちまけてくれる。「ぶちまけ権造」の本領発揮って訳だわな。

 コンベアでどんどんと運ばれるからメダルもどんどんと食われるけれど、その分メダルがどんとんと落ちて来るから、これが結構長い間遊んでいられる。ルーレットにはハズレはないし、権造は「大工のゲンさん」なみにフォトジェニック(?)な表情をしているから、普及すればこれで結構人気が出るかもしれないかもしれないかもしれない。人気確定にはあとはプロモーションが必定で、ここはカエルの縫いぐるみをかぶりたがってる広報エキスパートのお姉さんに、地下足袋はいてニッカボッカ姿でヘルメットかぶりねじりはちまき、んでもってネコ押して恵比寿から渋谷までを「フレッシュネスバーガー」かじりながら3往復すれば完璧、だと想うけどいかがでしょうか。あたしもカエルくらいならかぶりすけど。

 メディコム・トイからリリースが届いていたので開けて一瞬気を失う。おおこれだぼくがまっていたふぃぎゅあはこれなんだ。沸き起こる魂の叫びに目を開き、再びよくよくリリースを読んでそのまま現金書留封筒を買いに走りたくなる衝動にかられるも、とりあえず仕事中なんで我慢する。何をそんなに興奮しているのかって、これが興奮せずにいられますかって。メディコム・トイとえばあのベストセラー、初代ルパン3世の”ふーじこちゃん”こと「峰不二子」様さま様の着せ替えセットが登場だぁあああ。どうだい、気を失っただろ?

 絶賛考評発売中の人形の方はフロントジップの開いた間からのぞく巨大なバストがウリだけど、着せ替えセットに入っている衣装は黒シャツにジーンズにスカーフ姿のが1着、ピンクのチャイナドレスにピンクのハイヒールが1着、そしてツートンワンピースで胸ポッチもくっきりな衣装が1着の都合3着分に何となんとなんとあの「くすぐり棒」までセットになって、3800円で提供(おー!)とあるではないですか。10月下旬の発売で通販のみの提供だそーなので、不二子ちゃん持ってる人なら即コンプリート、持ってない人も比較的出回って来たのでまずは不二子ちゃんを購入し、ついでに衣装も予約してしまおー。美夕じゃーちょっと着せられそーもないから、ここは不二子ちゃんも是非買うわねば。(ああぼくがこわれていく)

 限定品に弱いのは昔も今も変わらぬ旨さ、6000部限定ってな記述を見つけてついつい買ってしまったよ舞井武依さんて人の「魔王の子供達」(白夜書房)を3200円も出して。どーゆー出自の漫画家さんで、何に連載されていて、どーゆージャンルの作品なのかの予備知識は一切なし、だけんどさっき言った限定って要素に、表紙に描かれている耳つき少年少女たちのイラストが、これは絶対に面白くないはずがないと電波をビビッ(聖子風)と送って来た。案の定の大正解で、10年とゆー年月を通じて描かれた漫画の昔懐かしいファンタジー風絵柄から、最近の(あんまり変わってないけど)確実に上達している絵柄まで、成長の軌跡を伺いながら楽しむことができた。3000円を超す値段の本が漫画とはいえ果たして6000部も売れるのか、って疑問はあるけれど、本屋に1冊しかなかったところを見ると案外人気の人なのかも。ちなみに手元にあるのは3744番でーす。


【5月25日】 実はモウ持っていたりして3冊ともにドンぴしゃり、だった(私信)森雅裕の「北斎あやかし絵帖」(集英社、2100円)を読む。「探偵北斎江戸を走る!」とでも惹句がつけばピッタリの内容は、権力をめぐるおエラ方の謀略に載せられながらも持ち前のバイタリティーと洞察力で秘密を見破りひと泡ふかす、ってな痛快無比な小説で、謎の絵師写楽の正体とかも絡んで来て読む人のページを繰る手を止まらせない。時代劇のような勧善懲悪とはらなず善も悪も相対化した中でのレッテルに過ぎず、間を漂う一介の下職・北斎の、それでも絶対無比な己を貫く鮮やかな生き様に、どっち付かずの身で漂う我が身を重ねて溜息を付く。文句無しの千葉周作いやさ秀作。杉浦日向子「百日紅」ファンにもおススメね。

 古いホテルが側に建ち、メルセデスが居並ぶ駐車スペースと眼下に見おろす赤坂プリンス別館に、何故かけたたましいビデオゲームの音が鳴り響く。タイトーが開いた業務用ゲーム機のプライベートショウはお世話になりましたなブリティッシュ・ペトロリアムとは無関係の会社とも目と鼻の先、だけど人造人間キカイダーやらハカイダーを広告に使うセンスはあっても業務用ゲーム機までは流石に手を出していないと見えて、タイトーの人が出品作品をあらかた説明し終えた後で、質疑応答に移った時もいつもの「3つありますが」的質問のギャラクチカ・マグナムは聞かれなかった。聞いて頂けた方がこっちが質問する手間が省けてかつ会場でツラを晒さなくって良いんだけどネ。

 で肝心のプライベートショウで目玉は男性のみならず女性ゲーマーにも人気があるらしー「サイキックフォース」の待望の続編、その名も「サイキックフォース2012」だぁぁあ、って大袈裟かな。いや大袈裟ってことは無いだろー実際に見たデモンストレーションの、360度オールレンジバトルを採用した超能力大戦アクションゲームの迫力は、地べたでペタペタと闘いを繰り広げるスタンダードな格闘ゲームとは趣を事にして、例えて言うなら「超時空要塞マクロス」で戦闘機とミサイルが視点移動をしながら飛び交う通称「板野サーカス」を見たときの感動に近い、ってやっぱりちょっと大袈裟だね。けれども手前に近づき奥に離れ上がり下がって飛び回るキャラクターを見ていると、ゲームも遠くへ来たもんだあ、ってな気になるよ、ほんと平面が下がって来るインベーダーで1面クリアが1度の実績しかないあたしとしちゃー、さ。

 さても「サイキックフォース2012」は前作より練り込まれたアクションと多彩になったキャラクターがウリ。らしーけどゲーム性については前述の理由で語る資格がないためフリープレーはご遠慮申し上げ、どこかの女性ライターがすっげースピードでレバーを回しボタンを叩いてバトルする様を背後霊しながら、ポリゴンで描かれた美少女キャラクターが見えるのもお構いなしに空を飛び回る様に、目を皿のよーにして見入る。前作を知らないだけに、アニメ版「サイキックフォース」のCMに出てくる超人ロックもどき、スターシマックもどきな兄ちゃんとの関係が解らないけど、「2012」ではそのキースが失踪した後に立ち上がった新生ノアと、軍のサイキッカーたちが闘うってな設定のよーで、そこにフリーのサイキッカーが絡んで3つ巴のバトルが展開されるんだとか。6月には登場の予定。ウェンディー、良いです。

 日販から届いた6月の新刊情報をペラペラ。「ひまわりの祝祭」に続く藤原伊織さんの新作「雪が降る」が前作から結構早くリリースの予定でこれは結構売れるでしょー。内容は一切知らないけれど。それから今は亡き幻の雑誌「KITAN」で連載されていた(「頓智」だったっけ? どっちも似たよーなもんだけど)加門七海さんの見仏記「うわさの神仏」が集英社から発売の予定で、普段のしかめ面した雰囲気のある小説やら風水本やらとはひと味もふた味も違う、「じぱんぐ」ノリのお軽い全国行脚の旅の模様をぐふぐふ笑いながら楽しめることだろー。宮部みゆきさんの「平成お徒歩日記」(新潮社)も同じ旅行記だけど、こっちは吉良邸から泉岳寺までを歩いてみたり江戸の2大刑場を訪ねてみたりってな昔の名所旧跡(なのか?)を歩いて訪ねる内容。この夏は右手に本書左手にペットボトルを持ちながら、てこてこ東京の街を歩く人の姿が見られるかもね。

 漫画をコミュニケーションに使う、そのお手伝いをしている仕事をしているアコワークを久方ぶりに訪ねる。少年キング廃刊編集長だった社長の人も元気そーで何より、だけどここん家が編集している情報誌に青木光恵さんのエッセイ漫画が連載されていたのを発見してちょっと驚く。代々木の会社を出てJR東日本のビルに向かうと線路端に知らんどる間にこぎれいなお店がたくさん出来ていてこれまた吃驚、いつの間にか出来ていた橋を渡って向かいの高島屋に行けるよーになっていて、これだったらJR東日本の中にある記者クラブに詰めて、始終ジョイポリスとか東急ハンズとか紀伊国屋書店とかで暇を潰してる生活も悪くなかったなあー、などとサボりの虫が疼く。むずむず。

 せっかくだからホビーの館に寄ってマーケティングリサーチ、モデルガンのコーナーを舐めるもモーゼルはない。今は人気、ないのかなー。中笈木六さん御用達の24連発パイソンはあったけど、弾を撃つ用事もないのでこちらはご遠慮、本当は撃ちたくなる時もあるんだけど、やっちまったら破門どころか獄門なんでグッとこらえて下のフィギュアのコーナーへと歩を進める。なかなか見つけられなかったツクダホビー製「吸血姫美夕」のアクションドールを発見、1回、2回、3回と棚の前を言ったり来たりしてはきびすを返し、ついには着物バージョンを買ってしまって店を出てからすさまじい自己嫌悪にかられる。ああいったいぼくはどこにいってしまうのだろう。

 そんな気持ちも家に帰ってフクロから取り出し箱から取り出して表情を愛でるとすーっと抜けるから不思議なもの。別に添い寝も吊しもしないけど、テレビで見たあのキャラクターが出来はともかくリアルな(人形に過ぎないとはいえ)存在として目の前にあるのを見て触ると、やはりなんとも言えない感動を覚える。制服バージョンも欲しくなって来たぞー、ってな具合にキレた堰から水がとめどなく溢れるよーに、これから多分わが家にはフィギュアがどんどんと増え、ますます空間を狭めていくんだろー。ああぼくはこんなところにきてしまった。


【5月24日】 LD三昧、ってもてめえで金出して買ったLDを、それも1人で真夜中に見るだけだから贅沢って雰囲気は皆無だけど、周囲にも家族にも一切の気がねなく薔薇くるくるなお耽美アニメを見られるんだから、人によっちゃー贅沢もこの上ないと思うかも知れない。で解るよーに見たのはもちろん「少女革命ウテナ」の第10巻。「黙示録編」へと突入してアンシーの秘密暁生の正体がつまびらかになっていくシリーズは、本放送を見ている時も結構ドキドキしていた記録がある。それでも、さらに忌まわしい最終回が控えていよーとは思わなかったから、まだまだ純情だったのかも。浜松方面ではようやっと黒薔薇編に入ったとかで、欠かさず見ている助教授には第33話は見逃すな、と進言しておこー。

 助教授と言えばジターリングといっしょにお贈り差し上げた「聖少女艦隊バージンフリート」が女子学生にことのほか好評だったと聞き、「アニメージュ」の今出ている最新号で男性陣が軒並み低い点数を付けたにも関わらず、女性陣が結構まともな点数を付けていた、その違いの一端を現実社会にも見た思いがする。処女がどーしたって内容のアニメを広く一般に見せる行為を、例えば男だったら妙に自意識過剰になって(恥ずかしいなあ、変態だと見られてないかなあ)と思うけど、当該の女性たちはそんな男の純情なんって一切がっさい関係なく、恥ずかしいまでの性話を女子校であけっぴろげにスカートばたばたやる感覚で昇華してしまうのだろーかと考える。とまれ女性には受ける、って結果が数例報告され初めておりますので川島社長@ビーム・エンタテインメント様、プロモーションにもちょっと変化を持たせてみるのも一興かもしれませんぜ。

 そのまま「攻殻機動隊」のメイキングLDを見る。例のオープニングアニメはもちろんのこと、アニモの彩色がどーとかレイヤーがなんだとか透過光のエフェクトがあれだとかってな、デジタル職人の方々にはかって知ったるデジタルアニメの秘密があますところなく明らかにされていて、素人ながらも結構世の中すっげーことになっているんだと驚愕する。フチコマが動き回る場面はやっぱり手描きで描いているみたいで、その原画がばばばばばっと流れる場面に昔ながらのアニメの雰囲気を見つけて安心する、がそれに色塗るプロセスでのデジタル作業の積み重ねには、昔日の手作業の面影はない。にしてもどーしてI.Gのアニモのオペレーターって女性ばっかりなんだろー? これはこれで昔日の色彩の人たちが女性ばかりだった影響なんだろーか??

 まま「DTエイトロン」を見る。アニメばっかりやね、土曜日の深夜だってーのに、てな愚痴は置いといて、デリートされそーになったリターナーたちを助けに、はるか彼方はネビュラの星(嘘)からやって来た我らがヒーロー「エイトロン」、閉じていく扉を次々をこじあけ、撃たれても撃たれても弾を跳ね返して突き進み、よーやくたどり着いたリターナーたちの目前で、デリートビームをその身に浴びて力尽きて消滅してしまう。予想以上に頼りないヒーローだけど、物語はそんなことは抜きにして、多分本筋の管理社会からの脱出をテーマにいよいよ対決の色を強めていくみたいで、時折現れては寒い冗談をはきまくる逆さパイロンの「クラスター」の正体を含めて、謎を1つ1つ解き明かしながら、予定調和な対決からの進化へと向かうか、それともよくある自然に帰れへと向かうのか、さらに意外な結末が待つのか、眠らない限りは見ていこー。目ん玉の義務で。

 プログレッシブがDNAに刷り込まれている難波弘之さんお得意のモ、ルト博士も吃驚のシンセサイザーのど派手な音色が、真夜中の静かな部屋に響くなーと思いながらも就寝、開けて仕事に向かい1日中新聞を読んでいる。夜になって始まった「新日曜美術館」を観賞、後半のミニ特集で「森村泰昌の空装美術館」でやっていて、目を皿にしていたら終わり掛けに「モリクラマシーン」が映った場面で行列に並んでいる帽子被った丁髷すなわち僕の姿がほんの一瞬だけ見えた。見えたかな? あの時に撮影したモリクラは今もちゃんと鞄に入れてあるから、希望者があれば名刺に貼って差し上げましょう、でも2度目に合った時名刺のモリクラと見比べて違うジャンと言われ兼ねないからやめといた方が良いかな、だって美しく写り過ぎてるんだもん、モナリザとしての私。


【5月23日】 春の陽気に誘われて。ってもすでに夏の香りが町中を包んでいて、暑いのなんのって正直長髪には辛い時期でおまけにてっぺんが無いから日光が直射、これはタマランと丸善で買ったクリスティーの帽子を被ってマルチメディア景気(なのか?)にわく秋葉原の町を散策する。前にまずは秋葉原デパートの本屋で内藤泰弘さんの「トライガン・マキシマム」(少年画報社、495円)を購入、読むといきなり2年後の話になっていて戸惑うけど、後書き漫画によれば間を埋める徳間版「トライガン」の3巻目で180頁の書き下ろしを鋭意制作中とかで、夏にはどーして月に大穴が開いたのかを読めるだろーから、とりあえずは作者自ら「グーな出来」と言うアニメを見つつ、刮目して(こないだからこればっかり)待ちたい。西瓜口して青筋たててスタンガンぶっぱなすミリィさんのどアップ、最高っす。

 真っ先に向かうはいつもの「ダイナミックオーディオ」。発売なった「少女革命ウテナ」の第11巻と「星方武侠アウトロースター」の第1巻とそれからビデオはすでに出ている「攻殻機動隊」のメイキングをいずれもLDで購入する。「ウテナ」は前回と同じモノクロトーンのジャケットで男2人にサンドイッチにされたウテナの顔がなんかエッチ。「攻殻」の方は前に予約したビデオが遂にI.Gから発売されず結局バンダイビジュアルからのリリースになったもので、もしかしたらDVDも出るのかも、と思ったけど病は気から、じゃない急がば回れ、じゃないチャンスは2度ない3度ある、でもないがとにかく見つけた時に買うのが吉だとね、まーそんなこともあって購入してしまった次第。「アウトロー」はジャケット、カッコ良いぞ。

 知らんどる間に「海洋堂ホビーロビー」が秋葉原駅前のビルに移っていて吃驚。これまで万世橋の向こう側でひっそりと世のフィギュア好きのために開いていた店が、正真正銘の秋葉原に居を構えるとあって、確かにLD屋さんとか同人誌屋さんとかゲーム屋さんとか増えていたけれど一方ではエッジなハイテクジャンキーな街でもあった秋葉原に、オタクの真骨頂「フィギュア」が堂々と 入ってきたのかと心で(ブラボー!)と叫ぶ。完成品塗装済みの「クレクレタコラ」に「マジンガーZ」が欲しかったけど持ち歩くのも不便なんでお見送り。「ダーティーペア」の限定品巨大レジンキャストはケイが2万でユリが2万5000円(髪の毛長い分かな?)でこっちは経済事情から諦める。買ってもきっと怖くて作れないんだけどね。

 凄いのは通路側にショーウィンドー形式で並べられた古典的フィギュアの数々。ダイコン4のオープニングで活躍したお姉ちゃんのフィギュアから何からとにかく凄い数のフィギュアがズラリと並んで壮観、積み上げられた歴史の重みをズシリと感じ、かつそれぞれが放つ輝きをキラリを感じてしばし見ほれる。ひっそりと営業していた時代より、こーして実物を明るい光の中で堂々と展示するその意味は、ふらり立ち寄ったオーディオな人々パソコンな人々が、その素晴らしさに引き込まれて存在を認識し認知すること。決してアレな趣味じゃないんだと、解ってもらえるその意味でも、移転して店を広げる意味はあったと思う。しかし入り口で放映されていた「タイガーマスク」に子供が見入っていたのが印象的。美麗じゃないけど汗のあるアニメが放つエナジーを、子供は純に感じたのか。

 さあお待ちかねのイベントだあ。もしも招待状なんか持たずに秋葉原なんか散策していたら、きっととんでもない目にあっていただろーね。いったい何人集まるのか心配しつつも冷やかし気味でいこーと考えていた例のイベントが、2時に到着するとすでに長蛇の列でおまけにそれが第2回目の整理券の配布と来た、ってことはすでに1回目は満席か、ってことは5000人がちゃんと集まったってことなのか。いくらタダとはいえたかだか1会社の1タイトルの1プロモーションが、5000人も動員できるだけのパワーと持っているとは信じていなかっただけに、あらためて1000万人都市・東京のパワーを知る。となかなかクリエーター本人のパワーを認めたがらないところが、僕の嫉みでもあるんですけどね。

 けど関係者にマスコミにスクルーの招待もあった1回目はともかく、2回目も全席埋まったって事実は、たとえ「ドリームキャスト」って新世代ゲーム機のデモが見られるかもしれないってことだけで行った人があったとしても、その人気の程はやっぱり真正面から受けとめなくてはいけない。だけにそんなタイトルへの、そしてハードへの期待の大きさを受けとめるだけの内容を持ったプレゼンテーションになるのかだけを注目しつつ、飯野賢治プライベートショウたる「D2ワールドプレミア」が開幕するのを待つ。ちなみに座った席は1階9列44番。隣りに来たカップルが「浜村さんが」「大丈夫かなあ」なんて話しているのを聞くと、もしかしたらA社の人で例の大リストラのことを心配しているんだろーかと考えるけど、面倒だし引っ込み思案なんで「クビになりそーなの?」とは聞かない。

 にひゃにひゃ喋るN経新聞の記者が女性陣に囲まれて11列あたりに割り込んで来たのを耳そばだてて確認しつつ、待つことおよそ20分。予定より遅れて始まった「ワールドプレミア」は、場内の明かりが落とされたとたんに2階席あたりから壮大な「ワープコール」が始まって、信徒たちの情熱の程を見せつけられる。続いてスクリーンに地球が映し出され、自然が映し出され、重低音やら火薬の爆音やらに驚かされ、そして実物の2倍はある(嘘)飯野さんの巨大な顔がスクリーンへと映し出されて始まった挨拶に、よーやくこの日を迎えたことの喜びを語る飯野さんの嬉しそうな心境を見る。

 ピアノとバイオリンとチェロによる「D2メインテーマ」の演奏に続いて、壇上のさらに上方にセリ上がった席から飯野さん直々による「D2」のデモがスタート。会場を見渡し関係者席に開きがあるのを見つけて「ふざけた人たちもいますが」と釘、それから「ドリームキャスト」向けに作っていることをずーっと黙っていたことを謝り、晴れて今冬に「ドリームキャスト」対応としては最初の正式対応タイトルとして発売されることを喧伝して、それからオープニングムービーのデモへと移る。その出来たるやまるで実写、顔の表情手足の仕草そして舞台となる飛行機の中の造形に至るまで、緻密なCGで作り込まれていてプロなゲーム屋さんたちを含めた見ている人たちのド肝を抜く。

 ローラが落としたコンパクトを広い青年が手渡そうとする瞬間、機内に立ち上がったテロリスト2人が、あろーことか気密が鉄則の飛行機の中でサブマシンガンを乱射する。それでも飛行機に穴が開かないところを見ると、もしかして空砲だったのか、それとも「D2」の舞台になる1999年12月25日には飛行機の強度も上がっているのか、なんて余計な想像をしつつ緻密なCGに目は釘付け。やがてはるか宇宙より飛来した隕石が、どんぴしゃりのタイミングで飛行機の羽根にぶつかるにつけ、まるで「幻魔大戦」のルナ姫みたいだねーローラってな思いが頭をよぎる。幸いにして飛行機は大雪原へと不時着、なぜか山小屋で無事保護されていたローラのところに、機内で銃を撃ちまくったテロリストの1人が外からやって来て、迎え打つ山小屋の先住者が銃を向けるとほとんど「宇宙家族カールビンソン」(だったかな? とにかくあさりよしとお作品)に出てくる動物みたいに腹から手足をニョキリと出して、ローラたちを襲い始める。

 ってところで再び飯野さんによる解説。どーやら「D2」は一種のアクションRPGとしれ作られているよーで、リアルタイムで処理される3Dの世界の中を、ローラを操作して現れる”宇宙からの物体X”を次々と倒していく内容になっているみたい。所々はシューティングの要素も入るかな。とにかくリアルタイムの凄さは見える場所のどこに行こうと勝手ってことで、場合によっては敵に出会わずエンディングまで進むこともあるらしー。山があればその向こうに行き、海があれば砂浜におりて日がな太陽を眺めることが可能なゲーム。イベントの間に何度も飯野さんが口にしていた「リアルワールド」を真に実現するためには、「ドリームキャスト」の登場は必定だったってことでしょー。

 さても”偉大”な「ドリームキャスト」を提供してくれる、我らがセガを率いる男が当然の事ながらショーにも登場、その名も「自動車屋のなれの果て」(大川功談)たる入交昭一郎を迎えた時の飯野さんの嬉しそうな表情といったら、まるで2階席から「ワープコール」を投げた学生たち以上に心酔しているってイメージで、そんな期待をあけっぴろげに受け入れる入交さんのキャラクターは、やっぱりそれなりに得難いものなのかもしれない。「出来るよね」と聞いた入さんに「たぶん」と答える飯野さん、「絶対といって欲しかった」と問い直す入交さんにその時は無言だった飯野さんだけど、その心酔ぶりからきっと絶対に冬までには仕上げてくるだろー。

 戦闘場面で雪原を歩くローラの後ろ姿に揺れるヒップの柔らかさを感じ、振り返るローラの目線に色っぽさを感じて、どんな絵でも描いてしまうCG技術の格段の進歩、リアルタイムに表情を返ることのできる「ドリームキャスト」のハードウエアとしての格段の進歩に、ここは素直に仰天しよー。もちろんグラフィックが美麗だからといって、ゲームとして正解かどーかは別だから、それは発売してからのお楽しみとしたい。ゲーム画面でストッキング姿のローラが雪山を足埋もれさせて走る姿に寒さが感じられなかったこととか、手足がやっぱり棒みたいなこととかはともかくとして、やはり刮目して待つべきタイトルなんだろー。

 以下は余談。「ドリームキャスト」はメディアが何になるのか確か公式にアナウンスされていなかった気がして、先の発表会では会場にいた亀仙人がCD−ROMの2倍は容量がある新しいCD−ROMとかって話していたのを聞いたけど、会見では飯野さんが途中「これがDVD」って瞬間言ったよーな気がして悩む。飯野さんが「予想より1万円は安い」とゆー「ドリームキャスト」がDVDとは思えないだけに、どっちなんだろーと頭をひねる。あるいはどちらも空耳で、とうにCD−ROMと決まっているかもしれないので、知っている関係者は失笑してやって下さい。


【5月22日】 聞くと驚く人を用意していますとね、2月にセガ・エンタープライゼスの入交昭一郎にインタビューした時に聞いたことがあって、これまでマーケティングとかプロモーションがイマイチで、良いハード良いソフトがあっても売れなかったりしてたセガが、これで少しは変わるかななって、ほのかな期待を抱いたものだけど、しかし真実の意味で本当に心から驚かされることになると、昨日の今日まで感知できなかった自分が情けない。あとは時代の詐欺師が夢を鋳型へと押し込んで、自分の色へと染め上げていくのを手をこまねいて見ているしかないのか。

 兜クラブでセガの決算を聞きに行って配られた執行役員制度の導入ってなリリースは、たぶんセガの運命を大きく変えた出来事を公式に記したペーパーとして、博物館に永遠に展示されることになるだろー。何をそれほど驚いているのかって、知っている人は知っているあのセガが役員の数を10人に減らしてそこにあの秋元康さんを社外取締役に迎えることを決めたって話に驚いてるんだよ驚いただろ。セガが昨日満を持して(背水の陣で)(最後のあがきで)(なりふり構わず)送り出した新世代ゲームの仕掛けに、秋元さんが加わっているってのはパーティー会場で見掛けたから解っていたけど、まさか1部上場企業の取締役、戦略立案にまで関われるご身分になられていたとは。本人にとては出世だけど、執行役員に”降格”されて身分的には秋元の下になった例えば鈴木裕さんとかって、今回の措置をいったいどー思っているんだろーか。

 別に社外取締役にプロモーションが下手ならそれを出来る人、音楽業界が暗いならそこに明るい人を読んでくるのは間違いじゃない。例えばメディアミックスをもっと仕掛けなくっちゃいけないと思って、角川書店の角川歴彦社長を社外取締役に加えたのは実に納得できる。角川さんはバンダイの山科誠さんとも結構親しいから、山科さんが今度の事をどー思っているのか聞いてみたい気はするけど、それは別としてこれでセガのゲーム発で、面白い展開を期待できるよーになったかもしれない。「バッケンローダー」とかって何か動いているのかな。けどねえ、音楽に詳しいって読んだ人がゲームな音楽アニメな音楽をどれほど理解できるのか、ってな経歴した持ってない三枝成彰さんってのが気に掛かる、っちゅーか気に入らない。

 それにも増して解らないのが秋元さんの起用で、聞くと最高経営責任者たちが総意で決めたってことだから、つまりはそーゆーセンスの人たちが経営の舵取り役にいる会社ってことで、一時が万事と考えて、そろりそろりと船から降りる用意を始めた方がいーのかも。いきなり「ドリームキャスト」でやってくれちゃっている秋元さん、次なる暴走がどこに向かうか、ヤジ馬的に興味がない訳じゃないけれど、その結果「サクラ3」は出ても「サクラ4」の頃には羽田はすすき野原になっていて、赤い会社も帳簿まで赤くなっていたら洒落にならん。心ある人はきっと秋元さんの失敗の数々を段ボール箱に入れて羽田に送りつけることになるだろーけど、数が多すぎて会社の前の白い広場に段ボール箱が積み重なり、それを見てCMのお陰で段ボールハウスが流行ったなんて言い出しかねないからなー。どーしたもんだか。

 続けざまにアスキーの会見。すでに登場している大川功CSK会長に次のアスキー社長に内定した特別顧問でCSK専務でもある鈴木憲一さんなのに、肝心な(といっても何ゆーか注目を集めているってだけでグループ的序列でいう肝心ではないので悪しからず)西和彦アスキー社長はまた来ない。鈴木さんが表情を変えずクールな声で「私たちより先に出たんですが」と大川さんに言っていたのが印象的で、前回に続く記者会見への遅刻に、大川御大の怒りも爆発西さん蜂の巣なんて構図にならないものかと、カメラをかまえてMDを回してみたんだけど1分も経たずにちゃんと西さん登場と相成り、しずしずと会見の方が始まってしまった。なーんだ遅刻はチャラかいな、いやいや返ったらコッテリと絞られているに違いない。大川の顔は1度もない、って有名な(今作った)話だもんね。

 にしても「毎日が楽しくて仕方がない」はちょっとないよねー、西さん。気持ちは実によく解る。解るけれどもたとえ日本PC界の立役者であったとしても、自分の務める会社を存亡の危機にまで陥れた人物が、銭勘定から開放されて(誰の責任だ)右脳を使い始めたらアイディアが湯水の如く湧いて来て、昔マイクロソフトでソフト作ってた時代を思い出して言ってしまった言葉であっても、削られる予算に人員のなかで最良のものを目指して雑誌やら本やらゲームを作っている人たちにとって、こりゃ反発の的になりかねない。それもひがみとやっかみのカタマリであるブンヤ風情の前で言うんだぜ、明日はきっと「わがまま」「身勝手」ってな内容の見出しが紙面を踊るだろー。ここもそーだったいするけれど。


【5月21日】 めっちゃんこ不自然なイントネーションの「めっちゃんこ自然」な名古屋弁にひっくり返りながら「センチメンタルジャーニー」を見る。「どじこいてめいわくかけんよ、しんぱいはしんぱいだて、ぶっとばすでな、たーけー、ばいとしとったころだわ、わやくちゃになってまって、だでなあ、おもっとったんだけど、かのじょおるし、やめろて」・・・ああだんだんとイライラして来た、セリフにそれほど大きな間違いはないけれど、イントネーションが決定的に違うんだよね、何か関西弁入ってるよーな。他の地域でもやっぱ地元民にとっちゃー違和感ありまくってるんだろーか。「あみりゃーと」って偉大だなあ。

 「ゲームWAVE」で「SEGA」のCMを見る。ハードを紹介する訳でもソフトを紹介する訳でもない、いわゆるイメージ広告てやつで、主婦と警官がどっかの通路にある段ボールハウスん中から、半身を出して叫んでるってシチュエーションだったけど、ストーリーもなければメッセージも希薄で、何を訴えたいのかイマイチ分からなかった。本日発表の例の”次世代機”じゃー、マーケティングとプロモーションに力を入れるって、バイク乗りの社長の人はおっしゃっておられちゃってくれましたけど、その結果がホームレス? 奇をてらって意表を突くのも悪くはないんだけど、結果スベっちゃー何にもならない気がして、先行きがホント心配になって来る。今日の会見ももしかして、段ボールで囲った中からイリさん、華々しく登場するのかな??

 「WIRED」買う。映画レビューのコーナーでは「ムトゥ 踊るマハラジャ」を小林弘人編集長が大推薦で、その星の付け方らるや5つが満点で8つでも9つでも足りず書ききれないくらいに星を並べろと断言、つまりはそのくらい凄い映画だってことを自ら筆をとって喧伝している。試写で見てからもー2カ月以上はたったかもしれず、ちょっとその興奮が薄らいでいたところだったけど、極彩色のカラー写真でめばちこバッチリなミーナがにっこり微笑みかけて、その下では石立鉄郎のくせにインドではスーパースターなムトゥ役のラジニカーントが、赤いマフリャー華麗に扱い、集団でポーズを決めていて、じわじわとあの感動あの興奮あの爆笑あの涙が、じりじりと心の底から再びわき上がって来た。

 6月中旬に公開も決まったみたいで、いよいよ本紙でもレビューを書く時が来たみたい、なのでいっちょド派手にインド映画元年を盛り上げるよーな内容のレビューを、近日中にモノにして無理矢理掲載させてしまおー。しかし編集長コレに感動したのか来月はマサラなインド映画の大特集する予定で、あれだけの映画がほかに何十本もあるのかと思うと、ブームになったその後に来る、極彩色な映画の宴が今からとっても待ち遠しい。さてもまずは特集を刮目して待とう。

 すでに超満員に膨れ上がったホテルニューオータニ鶴の間に言って例の夢がなんとかな発表会が始まるのを待つ。時間ぴったりに始まった映像は何と。TBSの鈴木史郎アナが登場して埼玉かどっかの校庭にぐるぐる渦巻き模様に机が並べられてたってニュースを読み、それからホテルニューオータニでセガ・エンタープライゼスの新世代ゲーム機の発表があるとゆーニュースを読んでとって付けたようにハタと気付き、故逸見さんにもひけをとらないわざとらしい演技で関連性を云々して、どひゃーな感じを来場者にいきなり与えちゃってくれた。

 をいをい、と思いながらも待つこと数分、登壇したのは身長推定未定の我らが入交昭一郎社長。フランクに会場内の社員の人と同じオレンジ色のポロシャツを着て、ジャケットをはおってやおら新世代機の発表を開始した。まず名前は「ドリームキャスト」、すでにネットとかに出回っていた情報どーりじゃん、CPUは日立の「SH4」、これもまー同じかな、OSは「ウィンドウズCE」、なーんだオレのモバイルギアと同じじゃん、モデムは標準装備、だとしたらいったい幾らになるんだろー、などといちいちあれやこれや考えさせられつつ、粛々と発表は進んでいく。

 発売時期は11月20日で値段は未定、ふーんでも会見でボロリと「2万から3万円でこれだけの性能が」なんて漏らしていたからきっとこの程度で収まるってことでしょー。およそ噂どーりの内容に、ハードは十分解ったからソフトの方の話をしてよと思ったら、ラインアップの発表は9月中旬で「東京ゲームショウ’98秋」では実機でのデモを行うとだけ言って、すっげーゲームが発売されるとか、よほど話題のサードパーティーの引き抜きがあるとかいった、ハードとは車の両輪の片方であるソフトの話がほとんど(まったく)出ず、いささか拍子抜けとゆーか残念な内容の会見だった。

 入交社長が新世代機で期待するSCEばりのマーケティングとプロモーションを展開するって面でも、洗練されているかとゆーとそーでもなく、かといって「せがた三四郎」ほどドロくさくもない中途半端で妙に居心地に悪い、TVのCMそのままに一種のヤバゲな雰囲気を会場内に振りまいていた。それが頂点に高まったのが、CGで描いた入交さんの顔がスクリーン上に登場して、「やあぼくイリサン」的ワザとらフランクな口調で話をさせ、「こーんなこともできるんです」と手元のコントローラーでグリグリと顔の角度を変化させ、「ほらこーんなことも」と人膚からメタルにしたりクリスタルにしたりといった具合にテクスチャーを張り替え、頭のてっぺんをへこませ、後ろに渦巻きをグリグリ描いたりってなデモンストレーションを行った時。売らなきゃってな意気込みも変わろうとゆー意志も見えるけど、どこかに子供に媚びようとしてハイパーじゃないヨーヨーを買い与えてしまうよーな、得も言われぬズレが感じられて仕方がなかった。

 面白いかな、と思ったのはコントローラーにぶっ差すメモリーカードがまんま液晶形態ゲームになるって仕組みで、本体の発売が11月20日だってのにこの液晶ゲームは、ゴジラのソフトが入って7月には早くも発売されてしまうのだとか。積んでるCPUは8ビットだし、液晶も小さく雰囲気は「たまごっち」に近かったけど、SCEのPDA戦略が出た時に言われた業務用ゲーム機との連携なんかが、「ドリキャス」発表会ではビジュアルによって示されていて、考えるこたーどこも同じなんだと日本人の横並び意識の根深さに改めて気く。抜け駆けは許さないってお国柄故の事態なのかもしれないけれど。どっちにしたってPDAだってソフトがなければタダのメモリーカード、とりあえずは7月発売の「ゴジラ」にちなんだソフトをPDAに入れる発表があって、「ドリキャス」の先触れとしてどれくらいの関心を示されるのか、要観察だろーね。

 せがた三四郎が居合いで4本の竹を切ったあと、正面を向いて部屋の中央線に向かって剣を一閃っせるとおや不思議、モニターが切った線から2つに別れてパーティー会場への花道となった場面はちょっとカッコ良かったかな。いずれにしても今までにあまりない雰囲気づくりは、かねてから「マーケティングとプロモーションが鍵」と言っていたことが、成果はどーあれ実現されつつあることを表しているのかもしれない。

 パーティー会場にはコンピュータソフトの業界ではエラい人たちが溜まっていたので、背後霊をやり小判鮫をやりながら適当に話を聞いて回るも、次世代機向けソフトの開発をやってますと明言したところは1社もなし。リリースには年末までに5タイトルは出せると話があったけど、ほとんどが自社ソフト(アーケードからの移植も含めて)ってことになるんだろーか。それともハードを引っ張る画期的なソフトの投入が始まるのか、その辺りが見えてこないと、廣瀬副社長(推定)が言うように半年で150万台ってな販売台数を確保するのかを断言するのが難しい。見せてくれ、早く、ソフトを。

 会場では「プッチンプリン」のCMで見掛けたオバサンが含まれているゴスペル唄いみたいな団体が唄ったり、「ドリームキャスト」のPRを仕切っている秋元康氏とか明後日が楽しみな飯野賢治さんがインタビューを受けていたけれど、気にせず場内をウロウロし、間際まで粘って話を聞き出ーとしたけどかなわず、とりあえずお土産をもらって帰途につく。途中カステラでも入っていそーな巨大な箱を包み紙をあけて中を取り出すと、出て来たのはスタンド付きの透明な張り合わせたアクリル板で、隙間にはなんと入交さんがニコニコ微笑んだ絵柄の入った、お札とゆーか一種の株券みたいなカードがはさまっている。

 結婚式でもらいたくない引き出物のナンバー1がカップルの絵皿だったりするけれど、それに近い雰囲気があって後に結構な逆プレミアムがつくかもしれんと・・・・つきそうもないよなと・・・・考えながらそのアイディアの奇抜さに茫然自失となって立ちすくむ。これも秋元か? としたら本気でしゃぶりにかかっているなあ。珍しい品物なので来週あたりに「まんだらけ」とかに持ち込まれるかも。並べたところで誰が買うのかは謎だけど。約1人の今日も来場していた世界でも最高クラスのイリさん親派を除けば。


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