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5.運命の人(三) 6.運命の人(四) 7.約束の海 |
●「沈まぬ太陽(一)(二)−アフリカ篇−」● ★★☆ |
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2001年12月 |
本作品は、全5巻となる長編。 主人公・恩地元は、日本のフラッグ・キャリアである国民航空の組合委員長を勤めた人物。彼は委員長として、航空安全管理および社員の待遇改善のため、ストも辞さず果敢に会社との交渉にあたる。しかし、その結果として委員長辞任後に彼が受けた扱いは、カラチ(パクスタン)、テヘラン、ナイロビと10年にもおよぶ僻地勤務でした。それも僻地勤務は2年限りという内規を無視した、流刑と呼ぶにふさわしい異常な人事です。恩地自身だけでなく、恩地の妻・子供たちも理不尽な行為の犠牲にならざるを得ません。 この左遷人事は決して架空のものではなく、山崎さんがケニアの現地で世話を受けたO氏の事実談だと言います。それも、日本を代表するべき大企業において平然と行われた事実に、空恐ろしさを感じます。 |
●「沈まぬ太陽(三)−御巣鷹山篇−」● ★★ |
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2002年01月 1998/08/12 |
15年前に実際に起きた、
日本航空の御巣鷹山墜落事故を描く一冊。 本篇は「アフリカ篇」にて主人公らが最も危惧していたこと、利益優先の経営方針から生じた必然的結果としての、幾つもの航空事故を象徴する事例として描かれます。 |
●「沈まぬ太陽(四)(五)−会長室篇−」● ★★☆ |
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2002年1月 |
御巣鷹山事故後、経営刷新という理由で、総理に請われ関西紡績の国見が会長として国民航空入りします。そして、恩地も国見に直に請われ、新設された会長室のスタッフとして加わります。 しかし、国見らが努力するほど、利権を握って離さない幹部たち、官僚、政治家と癒着した体質が改善を阻み、厚く立ち塞がる現実が露わになっていきます。主人公たちの奮闘は、まるで蟷螂の斧のように感じられます。 航空、鉄道と、元々政治家の思惑に左右される業界ですが、それにしても主要幹部が多く利権に手を染めている実態は、想像を絶するものがあります。半官半民、独占企業、それらが、会社に対する責任より自分の利益を追求する体質を生み出していることは明らかです。 |
●「運命の人(一)(二)」● ★★ |
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2010年12月
2009/05/18
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昭和46年、日本と米国との間で締結された沖縄返還協定。 ニュースソースを守るため慎重な記事掲載を崩さなかった弓成だったが、ふとしたことからそれは“外務省機密漏洩事件”として大きな波紋を広げ、自らおよび外務省の女性事務官が逮捕、起訴されるという大きな社会事件に至る。 沖縄返還という日本にとって喜ばしいニュースは勿論、私にも覚えがあります。しかし、政治経済には当時未だ興味がなかった所為か、本事件については何も記憶がありません。 それでも第1・2巻は未だ始まりにしか過ぎない筈。この後、もっと大きな物語に発展していく気配が感じられます。 (一)1.外交官ナンバー/2.パリ会談/3.機密文書/4.出頭 |
●「運命の人(三)」● ★★ |
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2011年01月
2009/06/23
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第三巻は裁判が舞台。 法廷における弁護側・検事側の論争がかなりの部分を占めますので、ストーリィとしては動きの少ない巻。それでも一応大学で法律を専攻した身ということもあり、法廷論争もそれはそれで面白く読みました。 いずれにせよ、事件の発覚を描いた第1・2巻と、弓成の再生を描く第4巻を繋ぐ巻であれば、こうした展開はやむを得ないものでしょう。 8.証人/9.春遠く/10.明暗/11.控訴審/12.最高裁 |
●「運命の人(四)」● ★★ |
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2011年02月
2009/07/27
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最高裁での敗訴、父が一代で築いた家業の廃業と、全てを失い、家族を捨て、最後に宮古諸島の伊良部島へと至った弓成亮太が、島民の温かさ、沖縄の知人に励まされ、再生への道を歩んでいく最終巻。 とはいうものの、本書第4巻の主人公は、弓成というより沖縄と沖縄の人々というべきでしょう。 ちょうど日系二世部隊の苦闘を語った「棄民たちの戦場」を読んだ直後の所為か、沖縄の人々もまたもうひとつの“棄民”だったと言うべきではないか、と感じました。 13.沖縄/14.チビチリガマ/15.鉄の暴風/16.OKINAWA/17.土地闘争/18.少女事件/19.ヌチドゥ宝/20.米国立公文書館/21.大海原 |
7. | |
「約束の海」 ★★ |
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2016年08月
2014/03/19
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先日逝去された山崎豊子さんの遺作となった未完大作の、完結していた第一部。 本作品の骨子は何かというと、一つは志望大学に落ちて防衛大学には合格していたという単純な動機で入隊した花巻二尉が思いもせぬ海難事故に遭遇して、国を守るということの覚悟を試されるストーリィ。そしてもう一つは、それまで自衛隊に何の関心もなかった民間女性=小沢頼子が、花巻と知り合い、また海難事故の報道を知って自衛隊という存在とはそもそも何なのか?と考えようとするストーリィ、の二重構成。 自衛隊とは日本、そして日本国民にとってどんな存在なのか。そもそも自衛隊自体が正しく認識されていない。もっと遡れば、“戦争放棄”という憲法上の言葉だけが独り歩きしていて、戦争の放棄、武力の存在という意味がどういうことなのか、逃げるだけできちんと考えようとしてこなかったことが全て、と思います。 ※本書を読んで自衛隊に関心を持たれた方にお勧めしたいのは、杉山隆男“兵士シリーズ”。それらを読むと、自衛隊だからこその涙ぐましい努力も感じられます。常にその姿勢を問われているからこそ、世界の中でも稀に見る模範的な組織になっているのではないでしょうか。 1.潜水艦くにしお/2.展示訓練/3.衝突事件/4.海難審判/5.去るべきか |