【民芸館】全国郷土玩具バーチャルミュージアム


鳥取県篇(2)

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倉吉の諸玩具
 県内第2の都市、倉吉市の「備後屋」三好明さんが、「はこた人形」「倉吉張り子」「木製玩具」「土人形(天神ほか)」などの「倉吉の諸玩具」を作っています。
 ※「はこた人形」:こけしに似た手足のない円筒形の張り子。
 この地方では、旧3月3日のひな祭りに土人形の天神を飾る風習があり、それを「泥天神」「土天神」と呼んでいます。昭和30年頃には十軒余の製作者がいたようですが、現在は三好さんだけとなりました。
 倉吉の土人形は、粘土に和紙を練り込んだ土を、成形してから焼かずにそのまま彩色して仕上げるもので、この技法は岡山の久米天神など中国地方の各地でみられます。  三好家の人形作りは、現在の明さんが6代目で、はこた人形の栞によれば、「初めて作られたのは、天明年間(1781〜89)の事で備後の国から行商に来た備後屋治兵衛の創案」と記されています。

制作者:三好明「備後屋」:倉吉市堺町2-919-1..TEL:0858-22-8098

きびがら姉様
 山陰地方には古くから、とうもろこしの皮(きびがら)で作ったきびがら姉様がありました。  かっての因幡(いなば)、伯耆(ほうき)や出雲地方では、頭部から着物にいたるまで全体をきびがらで作った人形を、便所の神としてまつる風習がありました。この神は女性の髪をより美しくするというので、この地方の女性はきびがらの神様(姉様)を進んで作りました。これがやがては美しい髪飾りをそえた郷土玩具になったのだと思われます。
 現在もまだこの地方の女性の間には、作れる方がいられるかも知れません。



■鳥取から島根東部の土人形
 鳥取県内から島根県の出雲地方にかけて、3月3日のひな祭に男子の家では天神を飾る風習があり、非常い豪華な人形も作られていました。この天神の添えものとして土人形が一緒に贈られ、天神の前飾りにされていました。
 したがってこの地方のほとんどで、土人形も作られたわけです。
 これらの天神と土人形は倉吉と出雲を残して、大正から昭和の初期にかけて廃絶したため、その現地ではほとんど見ることができなくなりました。
※次回、島根県篇に、出雲白天神、加茂天神を掲載します。

北条土人形
 北条町の 北条土人形は、加藤廉兵衛老人が焼いているので土地の人には、れんぺい人形の名で親しまれています。この人形はほとんど5、6センチの小型で、大きくても10センチには満たないものです。ていねいに彩色された可愛い人形です。
 種類は、約200種ほどあり、因幡(いなば)、出雲(いずも)、伯耆(ほうき)の地方の、土地の民話、神話、民謡にちなんだものを人形にしています。

制作者:加藤廉兵衛:東伯郡北条町江北624..TEL:0850-36-2657

米子だるま
 お年寄の生きがい事業として始めらたのですが、それが10年以上も続き、今では「手作りだるま」として立派な郷土玩具になりました。
 制作は皆生(かいけ)温泉の「老人憩の家」の作業場で、老人の皆さんの手で作られています。

発売元:米子だるま振興会:米子市中町20・市役所内..TEL:0859-35-0194




---鳥取県篇・終り---


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(1998.10.25掲載)