日本全国郷土玩具の旅:大阪府篇.1

----大阪府篇(1)ー1----

----OSAKA----


大阪府の郷土玩具ガイド(掲載されていないもの、廃絶品を含みます)
 北区:(大阪天満宮)うそ。天神旗(花)。

 中央区:神農さんの虎。節供飾りの虎。火防の瓢箪守。

 浪速区:宝珠。宝の杵。今宮戎神社の縁起物玩具。

 住吉区:住吉神社の諸玩。初辰猫。種貸しさん。勝間凧(廃絶)。

 東大阪市:瓢箪土鈴。石切神社の大幣。福巾着守。

 藤井寺市:(道明寺)うそ。うそ土鈴。

 羽曳野市:誉田八幡の土鈴。

 堺市:堺の土人形(廃絶)。蜂田神社の古鈴。

■施設■

 国立民俗学博物館    吹田市千里万博公園10-1
           TEL:06-876-2151

 日本工芸館  大阪市浪速区難波3-7-6
            TEL:06-641-6309




■神農さんの虎・張り子の虎■
 「神農(じんのう)さん」と呼ばれているのは、道修町(どしょうまち)の小彦名(すくなひこな)神社のことで、ここに神農氏が共に祀られています。10センチ程の首振り式のこの張り子の虎は、11月22、23日の「神農祭り」に授与されます。
 神農氏とは、中国の医薬神で、農耕を教え、薬草の効果を身をもって試み、医薬の道を説いた神さまです。
 道修町は、薬品会社・薬品問屋の街です。神農さんの虎は神社の授与品と、この薬品問屋から配られるものの2種類があります。神社からだされるものは、虎の腹部に神農社の紋の「薬」の朱印が押されています。
 江戸時代末期にコレラが流行しました。この時、「虎頭殺鬼雄黄丹」という丸薬の虎にちなんだ、張り子の虎を、小彦名神社に供えて病除祈願をし、それを配ったのが始まりとされています。
 また、この製作者の所では、この虎の他に「節供飾りの虎」が作られています。全長57センチのものから11センチまで、8種類作られています。
 大阪張り子は、かなり古くから作られていたようですが、大正から昭和の初期にセルロイドやブリキの玩具に押されて、作っていた家のほとんどが転廃業してしまい、現存の制作者は2人となってしまいました。

◇(未収録の玩具)この神社の授与品として、この虎の他に、「虎の土鈴」「木彫りの虎」「虎絵馬」があります。

制作者:(神農さんの虎):楠田正雄:守口市竹町23みゆきコーポ301..TEL:06-992-3803
    (信貴山の虎):峯 嘉武:大阪府柏原市上市1-4-2..TEL:0724-73-0423


■天神さんのうそ
 天満の天神さん「大阪天満宮」には、「うそ替えの神事」のうそがあります。この行事は、非常に古くからのもので、180年余続いてきました。
1月15日の初天神のい日に、「鷽鳥御守」の入った小さな封筒が参詣者に配られ、うそ替えの神事がはじまります。
一番太鼓の合図で「うそかえましょう」の声が掛ると、先の御守の入った封筒をお互いにとり換えます。二番太鼓が鳴り「お改め下さい」の声で、全員がその封筒を開いて中をみます。中には厚紙に印刷されたうそ鳥のカードが入っています。
表には「心づくしの神さんがうそを真にかえさんす、ホンニまことにかえさんす、ホンニうそ替えおおうれし」と俗謡が書かれていて、この唄の下方に「金うそ」「銀うそ」「木うそ」の文字が入ったカードに当ると、社務所でそれぞれのうそが授与されます。
 (金うそ・銀うそは、木うそに金や銀の箔がはられたものです。)

天神旗(花)
 天神旗は、7月25日の「天神祭り」出されます。これは、天満宮の授与品ではなく、宮司・寺井種伯さんの提案により、天神橋筋の商店街が作るようになったものです。
天神祭りの始まる7月15日から25日にかけて、天神橋三丁目の商店街が主体となって街を天神旗で飾り、買い物客にも渡されます。
 この天神旗は、もとは天神花といって初天神の授与品でした。

■扇子と寝牛■
 下段、掲載は、いまは廃絶の、「天満宮の扇子(昭和初期)」「木彫りの寝牛」と古い「張り子のうそ」です。この扇子の絵には、五色の餅花を付け、竹の中ほどに木彫りの寝牛が吊り下げられた「天神花」が描かれています。
 昭和12年頃にはの正月の「土鈴」が、また、「張り子のうそ」が授与されていたという記録が残っています。




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(1998.8.10掲載)