アイルランド紀行 96年8月12日〜8月17日

 夏休みを利用してアイルランドに行って来ました。今回の旅のテーマ、というか目的は、以前から非常に興味を持っている、ケルトの文化に接すること、そしてそれに関わることではありますが、enyaの音楽が一体どんなところで生まれたのか、彼女の生まれ故郷に行ってみることでした。
 いつもは、一人旅の私ですが、今回は学生時代にお世話になり、そもそも私のイギリスはまりへのきっかけを作ってくださった恩師の中央大学教授、宮崎昭威先生の取材旅行と時期が重なるという幸運に恵まれ、4年ぶりに同行させていただくことができました。
宮崎先生は、自著「アイルランドの旅」(おそらくここまで詳しく歴史が書かれたほぼ日本で唯一のアイルランド旅行ガイド)の改定の為に約2週間旅行をされました。そのうちの1週間いっしょに旅行をしたわけです。
 今回、宮崎先生は教え子で、私の先輩でもある、中九州短期大学講師、加藤巌氏、先生の本の中の絵を描かれる画家の正木女史の3人の旅行で、私が加わり一行4人といったところです。

 前書きはこのくらいにして、さっそくアイルランドへ行ってみましょう。(写真をクリックすると大きな写真が見られます)


8月12日
1.Shannon(シャノン)

 日本からの直行便のないアイルランドへは、ヨーロッパのどこかで乗り換えなければなりません。もっとも便数も多く、近くて便利なのはやはりイギリスです。ロンドンのヒースロー空港に着くなり、翌日のアイルランド西部、Shanon(シャノン)空港行の切符を買いに二つ隣のターミナルまでトランクを転がし、昼頃到着の便を予約、この晩はロンドンの友人宅に一泊しました。
 いよいよ、イギリス出国ですが、なんとパスポートコントロールはありません。もちろん、両国共EUではあるのですが、飛行機で、しかもNon EUの私も何もチェックがないのです。もともと、アイルランドは第一次大戦後独立するまでは、イギリスの一部でしたし、今も北のUlster(アルスター)地方は、北アイルランドといってイギリス領になっています。この為、今でも、イギリス国内扱いのまま、アイルランドへ行けるのです。
 ヒースローから約1時間ちょっとでシャノン空港に到着です。 だだっ広い平原に小さなビルがポツンという感じの空港ですが、アメリカ大陸に一番近い空港であることから、ニューヨークからの直行便も多数就航している空港です。ロンドンヒースロー空港の混雑の関係で出発が少々遅れたため、到着も少し遅れましたが、当たり前ですが混雑もなく、レンタカーのカウンターへまっしぐらです。もちろん、入国審査はありません。
 レンタカーを借り、一路待ち合わせのリマリックの街を目指します。しかし、まだまだ待ち合わせの4時までは約3時間ほどあり、レンタカー屋の話だと30分ぐらいで着くということなので、空港の近くのBunratty Castle(バンラティ城)を観ることにしました。
 が、その前にお腹のすいていた私は、その傍らにあるパブで昼食にすることにしました。イギリスのパブのご飯も大変おいしいのですが、ここのはさらにジャガイモがおいしく、茹でたキャベツの味も格別でした。
 これが、お城です。非常に良く保存されていて、見所が一杯です。しかし、ここでの興味はそれ以上に昔の町並みが復元されているところです。言ってみればアイルランド版日光江戸村といったところでしょうか。あそこまでうるさくはありませんが150年前の小学校に入れば、当時の服装をした先生がアイルランド語(ゲール語)を教えてくれますし、農場に行けば畑を耕し、家畜が飼われています。本気で見ると何時間かかるかわからないので、街に向かう事にしました。


2.Limerick(リマリック)
 ドライブすること約20分。大きな川を渡ります。これが、この国一の川、シャノン川です。この川の河口に開けたのがリマリックの街です。人口約6万人、アイルランド4番目の大都市です! 目指すは駅、といってもあわてて車を借りてしまったのでまともな道路地図はありません。が、動物的勘でなんと一発で駅に到着。なかなかこんでおり、駐車場に入れようとし、めずらしく有料なのでお金を探していると(まだ着いたばかりで、どれがいくらかわからない・・・)向こうの方から私を呼ぶ聞きなれた声がするではありませんか。なんとか、無事に合流しました。
 駅前のホテルに宿はとっておいてもらったので、まだ日も高いので、早速4人で出発です。とりあえずリマリック観光は明朝です。


3.Askeaton(アスキートン)
 リマリックから国道N69を走って約30分。アスキートンの村に到着です。人気のない寂れた村ですが、かなり大きな僧院の廃虚と崩れかけた城が残っています。城の方は残念ながら私有地のようで近づくことはできませんでしたが、僧院の方はかなりの規模で、また回廊の部分が美しく残っていました。非常に小さな村だったのですが、ツーリストインフォメーションがありました。
     


4.Glin(グリン)
 グリン城という大きな城があるという話を聞いたので向かってみましたが、結局、国道沿いにある門しかみつかりませんでした。しかもその門が喫茶店になっていて、どこにも入るところがないのです。地図にも載っていませんし、多分の個人の邸宅になっているのでしょう。このあたりの道路は海岸線にそって走っており、なかなかのドライブコースだと思います。


5.Carrigafoyle Castle(キャリッガフォイル城)
 さらにN69を進み、脇道にそれて、舗装もしていない道を3Kmほど走ると、湿地帯にそびえる塔型の城が視界に飛び込んで来ます。陸側が崩れ落ち、深くえぐられたようになっていますが、てっぺんまで登れるようになっていたので、早速登ってみました。
 周りには、何も視界を遮るものがなく、静かで、なんでこんな湿地帯にわざわざ、と考えさせられる城でした。
   

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