デーヴァダッタ07

2023年7月

6月に戻る 8月に進む 月末
07/01/土
今年も半分が終わった。『光と陰の紫式部』が敢行され、『善鸞』もいまゲラになっている。今年は2冊の本が出る。デッドストックだった『人麻呂しのびうた』も歴時作家協会で電子書籍にすることになっている。来年は『デーヴァダッタ』を出す。その先のことは何も考えていない。『デーヴァダッタ』はライフワークになるだろう。まだ冒頭部分を書いただけだ。主人公のデーヴァダッタは釈迦(シッダルタ)より12歳年下。だがしだいに対抗心が芽生えてくる。あまりにもパーフェクトなシッダルタを、何とか貶めたいという邪悪な欲望がいま芽生えようとしている。ここから隣国のコーサラ国の王子との関わり、釈迦の妻ヤショーダラとの関わり、放浪の旅に出たシッダルタのあとを追ってマガダ国に行き、最終的には『観無量寿経』に出てくるビンビサーラ王とアジャータシャトルの物語に関わることになる。1000枚くらいの大作になるかもしれないが、できれば600枚に収めたい。シッダルタのキャラクターがいい感じになっている。シッダルタが主人公なのかもしれない。ぼくは邪悪な人間は書かない。デーヴァダッタは主人公だから、行動だけ見ていれば邪悪なことをやっているけれど、モチベーションはピュアだといった感じになる。その点では『善鸞』と同じだ。親鸞の義絶された不肖の息子という立ち位置ではあるが、ピュアで善意の人というキャラになっている。デーヴァダッタもそんな感じで書きたい。さて、本日はレゴマスターズの放送日。今回はわが孫たちの対戦する日。お題は帽子。用意された衣装のうち1点を選びそれに合う帽子を作るというもの。ただしモーターなどの仕掛けを使えるのでどこかで動きを演出しないといけない。孫たち三田ブラザーズは蝶々のデザインの衣装を選んだ。まさか審査員の一人、森泉さんの祖母が蝶々のデザインで有名な人だと知っていたわけではないだろうが、次男の方がさまざまな色合いの蝶々を作り、長男が仕掛けを考えた。そのさまざまな蝶々が頭上で飛び回っている仕掛けを作成したのだが、問題はそれを頭に載せて5メートルほど進み、そこで手を離して5秒間、もちこたえないといけない。それがたいへんな難関だったようだが、次男がかぶって5メートル進み、最後の手を離すところで帽子がぐらついてなかなか手が離せなかったようで、しかし最後に手を離して5秒以上もちこたえた。こうしたたくまざる演出が奏功したようで、5対0の圧勝だった。この対戦はもちろんビデオで収録されたので結果は知っていたのだが、何を作ったかは「帽子」としか知らされていなかったので、実際に映像を目の当たりにして、すごいものを作ったものだと感動した。

07/02/日
昨日7月に入ったので本ゲラのチェックを始めた。白ゲラで文章のチェックは済ませてあり、本ゲラへの転記も完了していたので、あとは校正者のチェックを確認するだけ。入稿前に編集者の文章に関するチェツクは終わっているので、校正者のフリガナについてのチェックに対応するだけ。だが、集中力が必要で付かれる。1日1章が限界だ。昨日1章、今日は2章のチェックを終えた。全体は6章あるので1週間で完了だが、それからしばらく時間を置いて、気になるところがないか考えてみたい。

07/03/月
第3章のチェックを終える。SARTRASの入力WG。聞いているだけで疲れた。ぼくは副理事長という立場なので、SARTRASの側から見ている。文藝家協会の代表としては事務局長が出席しているので、発言は控えている。歴時作家協会賞の候補作、ほぼ目を通した。届いてない本があと1冊あるのだが、新人賞、文庫新人賞、作品賞の3部門、それぞれ「推し」の作品が見つかったので、これで気は楽になった。みんなプロの作家だから、さすがに文章は安定しているし、展開がうまい。仕掛けも作っている。ただ手慣れすぎてインパクトのない作品もある。「推し」の3作は、手慣れた上に、これはすごいぞ、という書き手の意気込みが感じられる。

07/04/火
第4章まで終わる。フリガナだけの問題なのだが、ここまで見てきて、統一性が保たれていないという気がした。もう一度、最初からチェックし直した方がいい。面倒だが著者としての責任なので、しっかりと対応したい。作品の中身についてはまったく問題はない。

07/05/水
近くの主治医のところに出向いて月に一度の検診。問題はまったくない。本日は『デーヴァダッタ』を読み返す。いま難しいところに来ている。内容として難しいところに来ているのではなく、主人公シッダルタのキャラクターがいま分裂しそうになっている。ここは本腰を入れて対応したい。

07/06/木
文藝家協会評議員会、常務理事会、理事会。午後2時から6時まで。4時間の会議はきつい。ネット会議に慣れてしまったので、目の前に人がいるのも疲れる。まあ、必要な役目は果たした。

07/07/金
『デーヴァダッタ』を進めている。ルンビニー園の宴の前に、一つシーンを挟むことにした。少し抽象的なテーマを出しておく。これで展開が引き締まる。日曜に「まほろば賞」の選考がある。すでに候補作は読んでいるのだが、さらに読み返す。いちおう目安として点数をつけておく。あとは実際の選考会の流れに任せたいと思う。

07/08/土
本日はレゴマスターズのある日だが、敗者復活戦なので、先週勝ち上がった孫たちは出てこない。来週は予選の総集編なので少しは映るのではないかと思う。本日は将棋の王位戦をずっと見てしまった。藤井くんが優勢だったが、何かの拍子に佐々木さんが優勢になった。コンピュータは攻め合いに出よと命じていたが、藤井くんは考えた末に攻めずに相手に手を渡した。そこでまだコンピュータの評価は五分になったのだが、藤井くんは相手に攻めさせておいて、守り切った感じの対局だった。相手が飛車を捨てて攻め続けたのだが、藤井くんが飛車を取った瞬間にコンピュータの判定が80%になった。取った飛車を敵陣に打って、あと金があれば詰めになるのは素人でもわかった。それで相手の攻め駒の金を取りにいき、その攻防がおもしろかった。自分の仕事もしていた。『デーヴァダッタ』はここまでの修正を終了してようやく先に進める。まだまだ長い道程だが、道筋は見えてきたように思う。

07/09/日
本日は日曜だが「まほろば賞」の選考会。いつもは主催者の五十嵐勉さんの自宅近くの下丸子の公共施設なのだが建替工事中とのことで自由が丘。ぼくは交通マニアなので、どういう経路で行くか考えるのが楽しみ。御茶ノ水から渋谷へ行くのは簡単ではない。神保町まで歩いて半蔵門線か、神田まで歩いて銀座線。それ以外なら必ず一回乗り換えになる。新御茶ノ水から千代田線で明治神宮前乗り換えで副都心線、直通で自由が丘まで行ける。往路はこれにした。特急が来たので早かった。ただ明治神宮前の乗り換え経路が長くてわかりにくい。帰りはもっと楽な乗り換えにしたいと思い、大井町線で大岡山乗り換え、同じホームの反対側に目黒方面行きが来る。目黒から先は南北線なら溜池山王で千代田線に乗り換え、三田線なら神保町で新宿線に乗り換える。来た電車が三田線直通だったのでそのまま神保町へ。そこで下りて歩こうかとも思ったのだが、素直に一駅だけ乗って小川町。2回乗り換えだがこちらの方が楽だったし、目黒線に乗ったのは初めてだったかもしれない。昔は目蒲線といって蒲田行きだったのだが、いまは東横線で日吉まで行けるだけでなく、そのまま新横浜、さらに海老名まで行けるようになった。昔、新横浜で用があった時、帰りは新幹線に乗ったのだが、これだと一回乗り換えになる。いまなら神保町まで乗り換えなしで行ける。これはすごいことだ。「まほろば賞」の選考そのものは、とくに議論することもなく、一回の投票ですんなり決まった。あとの飲み会も楽しかった。

07/10/月
ネット会議1件。ABJ監査委員会。これは参加するだけでいい会議。日大文芸賞の選考会が金曜日にあるので候補作を読み返す。同人誌優秀作の「まほろば賞」と比べると文章力は拙いのだが、ヘタウマみたいな面白さがある。

07/11/火
深川ギャザリアのユニクロでポロシャツなどを買う。『デーヴァダッタ』少し進める。ホームページの「新刊案内」に最新作の「光と陰の紫式部」についてのコメントを書くのを忘れていた。

07/12/水
猛暑が続いている。ぼくが住んでいるのは集合住宅の南西向きの部屋で陽当たりが良すぎて熱い。晴天の日はカーテンを閉めてしのいでいる。ぼくの仕事用の机は西向きなので夏の西日の直射を受ける。遮光カーテンを閉めていても赤外線の放射を肌で感じる。それでも机に向かっている。『デーヴァダッタ』の主人公デーヴァの幼少期の回想を入れることにした。ストーリーの展開を急がずにじっくりとプロットを進めていきたい。生母の名前が必要だ。ネットのサンスクリット辞典のお世話になっている。『青い目の王子』『迷宮の王子』を書いた時もこの辞書で登場人物の名前を設定した。今回の主人公の名前は仏典などで登場する提婆達多のサンスクリットだが、「ヒマラヤ杉」という意味がある。ヒマラヤには「雪の住処」という意味がある。「聖なる樹木」といった意味だろうと思う。さて夜は加賀乙彦さんを偲ぶ会。岳真也さん主催で、長篇選集を出版している作品社の社長と担当編集者も出席していた。『善鸞』のゲラをやってます、と言ったあとで、『デーヴァダッタ』を書いているというと二人とも驚いていた。

07/13/木
SARTRAS分配委員会。つねに紛糾する会議。『デーヴァダッタ』少し進む。

07/14/金
新宿住友ビルの京料理美濃吉で日大文芸賞選考会。新宿に行く時は都営新宿線に乗ることが多い。JRの御茶ノ水駅が長く工事中で改札口が少し遠くなっているせいもあるが、中央線で武蔵境の大学まで通っていた想い出があって、あまり乗りたくないという気もするからだ。マッサージに行く時は三丁目で下りるのだが、本日は住友ビルなので京王線の新宿駅まで行く。ここから京王プラザホテルまで長い地下通路がある。どういうわけか途中で何カ所かアップダウンがある。昇りはエスカレーターがあるのだが、下りは階段。この下り階段が後期高齢者には辛い。しかし足腰の鍛錬にはなる。美濃吉は以前は高層階にあったのだが、ビル全体の改修工事のあとは2階に移った。これは楽だ。選考のあとで会食がある。コロナの1年目の時はノンアルコールビールしか飲めなかったが、いまは何でも飲める。焼酎の水割りを飲む。去年、選考委員の入れ替えがあって、4人の選考委員のうち男性はぼくだけになった。それもまた楽しい。

07/15/土
週末は猛暑になるという話で外出はせず。『善鸞』の校正。一度途中までチェックしたのだが、フリガナをつけるものとそうでないものの統制がとれていないことに気づいて、もう一度最初からやりなおした。校正者が鉛筆でチェックを入れたところ、ルビをつけたくない漢字をノートに記入しながら、少し多めにルビをつけていく。本日だけで半分進んだ。あと1日あれば完了する。土曜はレゴマスターズがある日だが、本日のTBSは特別番組なのでお休み。来週は予選の総集編なので孫も少しは映るだろう。

07/16/日
『善鸞』の初校のチェック完了。白ゲラを精読して自分で入れた赤字は最初に本ゲラに転記してあるので、校正者の疑問に応えただけだが、それでも明らかなこちにのタイプミスがいくつかあった。これは自分では気づかなかった。やはり文章を読んでいまうとなかなか目に入らないのだろう。人名の間違いなど重要な指摘があったし、こうした方がいいという指摘もあった。ありがたいことだ。こういう校正者の見識があるから世の中に作品が出ていくことになるのだ。さて、これで作業は終わったのだが、しばらく手元に置いて、気になることがあれば再チェックしたい。ただ再校でもう一度読み返すので、気になるところが出てこなければこのまま返してもいいと思っている。

07/17/月
猛暑が続く。パソコンが載せてあるぼくの作業机は西に面しているので西陽をまともに浴びる。カーテンが閉めてあっても遠赤外線の気配を感じる。ダイニングテーブルに移動してノートにメモを書く。『デーヴァダッタ』は新たな章に入る。コーサラ国のジェータ王子が登場する。のちに祇園精舎の広大な土地を提供する祇陀太子だ。のちにシッダルタの故郷カピラヴァストゥはコーサラ国に滅ぼされるのだが、それはジェータ王子の異母弟の代になってからで、ジェータ王子は友好的だった。この王子を通じて、主人公のデーヴァがコーサラ国を訪ねるという展開になる。

07/18/火
妻が疲れ気味なので上野松阪屋に弁当を買いに行く。猛暑なので無理をせず、文京区のコミュニティーバスに乗る。100円。住居の集合住宅のすぐ近くにバス停がある。冷房の効いたバスで快適な移動だ。湯島天神に向かうぼくの散歩コースを走っていく。天神さまの手前で右折して坂を下り、松阪屋前で下りる。このバスは広大な円を描く一方交通の路線を辿る。帰りは途方もなく時間がかかるので、千代田線の湯島駅まで少し歩く。散歩というほどではないが、それでも自宅に閉じこもっているよりはましだ。

07/19/水
なぜかSARTRASでリアルな役員会をやるというので猛暑の中を出かける。SARTRASは首相官邸の隣のビルにある。千代田線国会議事堂前駅から長い地下道を通って溜池交差点に近いところから地上に出る。このあたりは首相官邸の警備の人がたくさんいて裏道はゲートで閉鎖されている。表の道を辿ってビルに入る。理事長、副理事長2名、常務理事2名、事務局長というメンバー。明日の理事会の事前説明。ZOOMでもいいと言われたのだが、もう一人の副理事長が他の用事があるのでリアルに出席するというので、こちらも事務所に出向いた。いい散歩にはなった。

07/20/木
SARTRAS理事会。聞いていただけ。紛糾している時は余計なことを言わずに当事者に任せた方がいい。『デーヴァダッタ』を進めている。ジェータ王子が登場して話が展開するようになった。

07/21/金
どこまでも猛暑が続く。散歩に出た。暑い。神保町の100円ショップキャンドゥに出向いてノートとボールペンを買う。ノートはメモをとるのに使う。外出用のバッグの中とか、パソコンの横とか、各所にノートが置いている。従って1冊のノートに順番に書くのではなく、アトランダムな記述になっている。時々前のページを読み返すと3年前だったり、もっと前の大学の教員をしていたころのノートだったりする。志都呂イオンなどという記述もある。浜松のショッピングモールで妻が買い物をしている間に、フードコートでメモに記入した時のものだ。『天海』の初めの方だったりする。そういうのを見ると感慨がある。初めの方を書いている自分は、その後の展開も知らないし、全体の完成形も知らない。これからどうなるかわからずに書いている。そこがおもしろい。いまぼくは『デーヴァダッタ』の初めの方を書いているのだが、これからどうなるか知らない。もちろん歴史上の人物であるから、ある程度の展開はわかっている。成道した釈迦のあとを追って教団に入りながら、さまざまなところで釈迦の邪魔をすることになる。最終的には『観無量寺経』の冒頭部のように韋提希夫人と阿闍世王の話に関わっていく。いまはくだ釈迦の育ったカピラヴァストゥ城が舞台だが、これからコーサラ国に出向いたところで第一部が終わる。コーサラ国には祇陀太子の妹の勝鬘夫人がいるし、叔母にあたる韋提希夫人がいる。カピラヴァストゥを滅ぼす瑠璃王子が生まれる経緯の描かれる。後半のプロットにつながる布石を打っていくことになるのだが、全体の完成形が見えていないので、すべては手探りの作業だ。そこが楽しいといえば楽しいのだが、不安で苦しいという感じもする。なので『天海』の初めの方のノートを見ると、手探りで書いている感じが伝わってくるとともに、ちゃんと単行本が仕上がったという成果があるので、そのまま手探りで書いていけば大丈夫だよと過去の自分に語りかけたくなる。作品が出版できずデッドストックになった例はあるが、メモをとっていながら作品が完成しなかったことは、たぶんない。手探りで進んでいても、必ずゴールにたどりつくことができる。ということは、手探りの段階でも、先の見通しはある程度胸の内に出来ているのだろう。

07/22/土
土曜日は「レゴマスターズ」の放送日。今回は予選のダイジェストということで、わが孫が映るかどうか不安だったが、レゴで帽子を作った場面がかなり長く放送された。弟がレゴの帽子をかぶって5メートル進んで手を離すところがスリリングだった。帽子についている花や蝶々は弟が作ったものだが(兄は駆動のメカニズム担当)その作業も映し出されていた。そういう細かい作業が得意で、色の組み合わせなどのセンスが天才的なところがある。

07/23/日
7月もかなり進んできた。『善鸞』のゲラを明日発送することにして最終チェック。いつもコンビニから送るのだが、前回送った時にトラブルがあったので、今回の集合住宅の宅配便サービスに頼もうと思う。お中元などを届けにきてくれるサービスがある。電話をかけて取りに来てもらえばいいのだが、とうした作業は妻に任せているので、妻に頼まなければならない。

07/24/月
『善鸞』のゲラを送付。一箇所、長い挿入があるのでその部分のデータを担当編集者にメールに添付して送る。新宿三丁目のマッサージ。肩が軽くなった。『デーヴァダッタ』はアッサジという神官がジェータ王子にウパニシャドについて語る。釈迦成道前の一般の人の世界観のようなものを示しておきたい。イエスにとっての旧約聖書のようなものだ。

07/25/火
いつも行く深川ギャザリア。今日は買い物をする予定がないので、妻が買い物をしている間、ひたすらショッピングモールの中を歩いていた。ただここはスーパーマーケットといくつかのテナントが入っているだけの小規模なモールなので同じところをぐるぐる歩き回ることに。浜松の仕事場にいる時は志都呂イオンという広大なモールに行く。新幹線の中からも見える戦艦のような巨大な建物だ。長い通路に面した店が3層に列なっている。東京でも郊外に行けばそういうところがあるのかもしれない。

07/26/水
本日は王位戦の2日目なのでiPadでアベマTVの中継を見ながらパソコンに向かう。梵我一如の紹介。説明っぽくならないように、アッサジとジェータ王子の対話で展開していく。うまくいっていると思う。午後は女子サッカーのコスタリカ戦を見る。男子のワールドカップではコスタリカに負けてピンチになったあとスペインに勝って予選突破を決めた。女子は危なげなく快勝。ただしスペインも勝って得失点差で負けている。引分では2位通過になり、アメリカの山に回ってしまう。スペインには勝たないといけない。実力は互角に見えるのだが、シュートの精度がスペインとは違う感じがする。あとは偶然の幸運を待つしかない。ここ2試合はほとんどシュートを打たれなかった。ディフェンスがうまいということだが、スペインが相手では何本かはシュートを打たれる。キーパーがどれほどの実力かはこの2試合では見えなかった。

07/27/木
猛暑が続く。ぼくの仕事のスペースはダイニングルームに隣接しているのだが、窓がゆるやかにカーブしていて、ぼくのパソコンの台はまともに西陽を浴びる。今日は昨日までに書き溜めたメモの入力作業をしたので、夕方もパソコンに向かった。ダイニングルームのエアコンだけでは対応できないので、作業をしているぼくの頭の上にあるエアコンも作動させた。これで直接に冷風を感じることができて、何とか作業を続けることができた。何という猛暑かというほどに暑い日が続く。明日はこの猛暑の中をリアルな会議に臨まないといけない。

07/28/金
午前中の会議なので少し早起きして虎ノ門ヒルズ駅の近くのJRRS(複製権センター)に赴く。ここに間借りしているJARRDという組織の説明会。ぼくが副理事長を務めているSARTRASもここに間借りしていたことがある。以前はよくこの建物に通った。その後、SARTRASは時前の事務所を開設したので、ここへ来るのは久しぶりだ。以前は虎ノ門ヒルズの駅ができていなかったので、千代田線の霞ヶ関から歩いたものだが、この猛暑の中を歩くのは大変だ。幸い、新しい駅が開設されたので、わずかな徒歩で到達できる。この駅に下りるのは初めてで、なかなかの施設だと感動する。ビルへの通路がまだ工事中のところがあるのだが、銀座線の虎ノ門駅までも地下通路で到達できるようだ。帰りにその通路を行ってみようかと一瞬考えたのだが、銀座線だと神田駅から地下通路で須田町の交差点に出ることになる。散歩にはいいのだが、猛暑の中を歩く気にはなれない。自宅に帰ってネット会議が2件。いずれも3人だけの会議で、これは自分も発言しないわけにはいかない。ネットで3人で話すというのも奇妙なものだ。手を上げるボタンを押して発言するというふつうの会議とはまったく別のミーティングになる。マイクをオンにしたまま、雑談ふうに言葉を交わすことになる。ネット会議はiPadにマイク付のイヤホンを差し込んで話をする。本日は妻が在宅だったので、夫が独り言みたいにしゃべっているのを横で聞くことになる。あとで声がでかいと怒られた。

07/29/土
早起きして9時すぎの新幹線に乗り宇都宮へ。宇都宮アート&スポーツ専門学校の顧問をしていて年に一度、講演をする。時間ぴったりに講演を終えて、昼食のあと宇都宮駅に戻る。自宅に帰ってレゴマスターズを見る。決勝の1回戦。残念ながらわが孫たちのチームは最終決戦に残れなかったが、善戦した。街の一画をレゴで作るという課題だったが、本が折り重なったようなユニークなビルを作った。これはすごい発想だった。時間がなくて、プランではあった動くドラゴンを作れず、その動かないドラゴンも一部が壊れたのだが、それでも全体のデザインは思いどおりにできた。最終決戦に進出した東大チームと東工大チームは、ほとんどプロというような人たちで、技術も経験もある人たちを相手にアイデアだけでよくここまで闘ってこれたと思う。ともかくこの番組が毎週あるので、とても疲れてドキドキした。まずは終わってほっとしている。本日の講演は朝起きて新幹線に乗り込むまでが仕事みたいなところがあって、あとは駅まで迎えの人が来てくれていて、彼らの指示に従っているだけでよかった。講演の内容は、教壇に立てば即興で出てくるものだが、今回は事前に漱石のテキストを作って送ってあったので、そのテキストに沿って話すだけできれいに時間を消費できた。

07/30/日
宇都宮の講演が終わってほっとしている。後期高齢者となっているので、最近はいささか足どりがおぼつかなくなっている。まあ、頭はボケていないだろうが、人名が出てくるためにタイムラグが必要だ。これは昔からのことで、間があかないように無駄話でごまかしながら、何とか思い出そうと試みて、うまく出てくる時と、出てこない時がある。島ア藤村はスッと出てよかった。時々「ふじむら……」と言いかけて名前は何だったかと考え込むことがある。森鴎外とか、田山花袋とか、樋口一葉とかも何とか出てきた。大学の教員をリタイアしてからは文学の話をすることも少なくなってきた。本日も猛暑であったが無事に自宅まで帰り着けた。本日は日曜日で、休息しつつ『デーヴァダッタ』は進めている。釈迦出生の直後に未来を予言したアシタ仙人とシッダルタの会話。ここは作品の前半の山場だ。

07/31/月
早起きして永田町のSARTRASへ。共通目的委員会の予備査定。ぼくは副委員長だが、全体の副理事長でもあるので、責任を感じている。公正で透明性の高い審議をしないと思っているのだが、「公正」とは何か、時々考え込む。野球のバッターが前方に球を打つと「フェアー」だということになる。これが絵に描いたようなフェアーだ。とにかく球を前方に飛ばすしかない。夕方は女子サッカーの中継を見る。ボール支配でスペインに圧倒されている。わずか23%のボール支配で、4対0で勝ってしまう。すごいとしかいいようがない。宮沢選手の驚異的な俊足カウンターで先制点を取れたのが勝因。予選突破の決まっているスペインも勝ちにこだわって攻めに攻めるのだが、なでしこはバックス5人、ミッドフィルダー4人にキーパーと10人でゴールを死守した。何かの拍子に球がとれると前に蹴る。するとそこに宮沢選手が走り込む。この繰り返しで前半に3得点。終了間際にも田中選手の個人技で4対0の圧勝だった。スペインのバックス3人がすべて鈍足に見えたのは、宮沢選手の俊足のせいだろう。ボランチの長谷川選手を温存してのこの圧勝は、チーム力の勝利だが、去年あたりの練習試合ではボロ負けしていた記憶がある。今回は男子サッカーの料理人を帯同させたことも効いているのではないか。


次のページ(8月)に進む 6月へ戻る

ホームページに戻る