5月に進む
月末
04/02/日
『デーヴァダッタ』2日目。わずかに数行進んだ。まだ風景描写しかしていない。腰の痛みも引かない。とくに朝起きる時がつらい。人類が直立歩行していなかった時代みたいに体が退化していて、直立しようとすると痛みが走る。それでもかまわずに思いきり腰を伸ばすと激痛が走るのだが、その後はふつうに歩けるようになる。30歳くらいの時に初めて腰を傷めた時はこのことがわからず、1週間くらい寝込んでしまった。ものの本にも絶対安静と書いてあった。いまは傷めた直後から歩かないといけないとされている。ただ戸外はまだ花粉が舞ってそうなので、住んでいる集合住宅の地下にあるスーパーに行っただけ。ウイスキーのプラボトルと牛乳2本、人参ジュースなどを買った。リュックに入れて背負う。腰が悪化しそうでもあるがこういう負荷を与えないと回復しない。明日は外出の用があるが、歩くことに支障はないので問題はない。
04/03/月
文藝家協会でリアルな会議。知的財産権委員会。いままで知的所有権委員会というのがあったのだが、名称を改めると同時にメンバーも一新した。それぞれに専門領域をもつ著作権に詳しい人々をセレクトしてアドバイスを貰うことにした。テーマはたくさんあったが、内容の濃い話し合いができた。夕食が終わったころに長男から妻に電話がかかってきた。まだアンドラにいるらしい。時間があいたのでひまつぶしにかけてきたようだ。サキソフォンのコンペの審査員の先生の演奏会のリサイタルの伴奏も頼まれていて、それがたいへんらしい。そもそもサキソフォンのソロの曲というのはそれほど多くはない。クラシックの初期の段階では存在しなかった楽器だからだ。だから古典の曲はない。難解な現代音楽か、そうでなければ別の楽器のための作品を無理にサックスで吹くといったもので、伴奏は難しいらしい。長男は勤務している音楽院でも金管楽器の伴奏をすることが多く、まあ、慣れているのだろう。ところで坂本龍一さんの訃報に接した。面識のない方だが、お父ぎみのことはよく知っている。坂本一亀という河出書房の名物編集者だった。長篇新人賞の文芸賞を設置しただけでなく、有力同人誌を回って応募を呼びかけ、高橋和巳などを発掘した。戦後文学を一人で支えていたというほどの人だった。ぼくは学生時代から河出の編集者に連れられて文壇バーに通っていた。そのころはすでに仕事はリタイアされていたのだが、行き先々で怪気炎をあげている坂本さんの姿を見かけた。高校でデビューしたぼくのことも憶えておられて、『文芸』掲載の作品で芥川賞を受賞した時は喜んでもらえた。息子さんがYMOというバンドを結成していることは知っていたから、彼らがまだ有名になる前から注目していた。50年前のことだなと改めて思う。
04/04/火
朝起きると妻がいなかった。車検のために整備工場まで車を移動させたようだ。以前はディーラー任せだったのだが、妻の従弟にこの整備工場を紹介してもらった。誠実なところで、しっかりと手をかけて部品を長持ちさせてくれる。ディーラーに任せるとどんどん新品と取り換えて儲けにしてしまう。ここを紹介してくれた従弟は外資系の銀行に勤めていてまあ、お金持ちなのだが、お金のある人ほど節約術を知っていて、ベンツやWMWをディーラーに任せても下請けの整備工場に任せるだけだと察知して、その工場を調べて直接に運び込んでいた。従ってその工場は外車の整備が多いのだが、、われわれが乗っている国産車も丁寧に整備してくれる。ただ場所が中野区の奥まったところにあり、妻は何度も道を見失ったりするのだが、本日は無事に到達できたようだ。先日、中野から新宿西口行きのバスに乗ったので土地勘ができて、そのバスで新宿に行き、京王で弁当を買って都営地下鉄で帰ってきた。妻は都営の無料パスをもっているので都営交通については詳しいようだ。
04/05/水
腰の具合は昨日より少しましかなという程度。転倒して傷めたので腰のかなり上の方に捻挫があるのかもしれない。来週、毎月通っているスポーツマッサージの予約が入っているので何とかしてもらえるだろう。ただこのマッサージはかなり痛みを伴うので覚悟が必要だ。名人戦が始まった。本日はほとんど動きがない。明日は朝からスケジュールが入っているので中継を見るひまがないのが残念だ。まずは朝8時くらいに起きて体調を調え、10時からSARTRASでリアルな打ち合わせ。午後2時から担当編集者と打ち合わせ。それから文藝家協会のリアルな会議に出向く。すべてリアルで移動が入るので、名人戦を見ているヒマはない。ただ名人戦は夕食休憩があるので、勝負の決着は深夜になるのではと予想される。早く帰ってiPadで見たい。
04/06/木
本日は今月の山場。午後に担当編集者が『光と陰の紫式部』の見本を届けてくれる。その時に完成した『善鸞』のプリントをお渡しする。ついでに『デーヴァダッタ』の構想を簡単に説明する。これだけでも大変なイベントなのだが、その前後にリアルな会議が入った。朝8時に起きて体調を調えてから永田町のSARTRASへ。共通目的委員会に提出する事務局案のチェック。委員長の松田弁護士と、副委員長のぼくとで事務局の説明を聞き、最終案を完成させる。順調に作業は進んだ。本当はこの時間帯に同じSARTRASの別室でWGが開かれていたのだが、これは欠席させてもらった。いったん自宅に戻る。妻がマイナンバーカードに銀行口座をヒモづける作業をやっているので協力する。午後2時。近くの藪蕎麦で作品社の担当編集者と会う。ビールで完敗し、お銚子2本くらい飲む。『光と陰の紫式部』は美しい装丁。ぼくのすべての作品の中でも最も美麗な装丁ではないだろうか。『善鸞』はプリントをお渡ししただけで、過剰な説明は控える。とにかく読んでもらえるだけでありがたい。文藝家協会の常務理事会と理事会。必要な説明をする。疲れたので会食はせずに弁当は妻への土産として自宅に持ち帰る。長い1日が終わった。
04/07/金
妻が車検に出した車を取りに行った。無事に帰ってきたので地下の駐車場で待ち受けて車庫入れを手伝う。午後からは嵐。風がきつく窓に雨が激しく当たっている。高層住宅なのでびくともしない。浜松の仕事場にいると、強い風に家が揺れる。その感じがこういう集合住宅に住んでいるとまったくない。嵐というものにリアリティーがない。ただ地震の時はかなり揺れる。ここに住んで10年。何度か激しい揺れを体験した。さて、昨日『善鸞』を担当編集者に渡したので区切りがついた。『デーヴァダッタ』を最初から読み返している。微調整。いよいよ主人公のライバルが登場する。主人公そのものはまだ少年なので屈託がない。シッダルタは主人公より12歳年上という設定にしている。主人公が10歳なら、シッダルタは22歳ということか。ヤショーダラはその中間の16歳ということになる。この3人にはすでに緊張感が発生している。スリリリングな物語を書くつもりだ。
04/08/土
午後から雨という予報なので午前中に散歩。午後は『デーヴァダッタ』に取り組む。シッダルタの初登場の場面。やや神秘的に描写。そうでないともたない。さて、Footballはいまも選手の移籍が盛んだが、大物の移動は停滞している。今月末にドラフトがあるので、ようすを見ているのだろうが、大物のトレードの見返りにドラフト1巡と交換、といったことがあるとドラフトそのものにも影響を与えることになる。ぼくはいちおうチーフスのファンなので、動向に注目しているのだが、いまのところ大きな動きはない。というか、ワイドレシーバー2枚がいなくなった。スミスシュスターとハードマン。ナンバー1と3がいなくなった。残っているのはスキャントリングと2年目トニー、新人のスカイ・ムーアだけ。去年のいまごろ、タイリーク・ヒルの放出という大事件があった。そこで急遽拾い集めたのがスミスシュスターとスキャントリング、それにシーズンが始まってからトニーを入れた。ギャラの安いレシーバーを掻き集めた感じだ。QBマホームズのギャラが高いので、受け手は2流、3流となる。オフェンスラインも少し弱くなりそうだ。そこをドラフトで補強できるか。去年のドラフトは結果として大成功だった。コーナーバックのマクダフィー、エッジのカラフィッツ、レシーバーのスカイ・ムーア、セーフティーのクック、さらにバックスのシェナルとウィノアムズ、ワトソン、全員がスーパーボウルで大活躍した。そして全体251番でピックしたRBのパチェコ。ランニングバックの活躍で相手が警戒したぶんマホームズの短いパスが通りやすくなった。ただ昨年はドルフィンズに移籍したヒルの見返りで、下位のドラフト指名権がざくざくと入ってきていた。今年はそういうことはないだろうから、しっかりと役に立つ選手をピックしないといけない。それにしても名のあるレシーバーを一人くらいは補強したい。ベッカムなんて余っているのだけれどギャラが高そうだ。やはりトニーとスカイ・ムーアの成長に期待するしかないだろう。オフェンスラインの強化は必要。スーパーボウルでは前半はタイトエンドを2人にしてマホームズを守っていた。これは効果的だった。相手はセーフティーを2人とも下げてロングパスを警戒する。タイトエンド2人にモーションしてからスタートするスロットレシーバー、それにランニングバックを置くと、ワイドレシーバーぱ1人でいいことになる。スキャントリングが残ってくれればそれで充分なのだが、怪我の可能性があるので、あと一人、足が速いか背の高いレシーバーをトレードで獲得できればいいだろう。
04/09/日
今年のスーパーボウルは何度も録画を見返している。スローモーションで選手の動きをチェックする。将棋の対局で、局語に最初から並べ直して検討するようなものだ。週刊ベースボールのホームページからツイッターに移動していると、気になる記事を見つけた。スーパーボウルの終盤のチーフスの2つのタッチダウンはいずれもジェットモーションを途中で止めて引き返すいわゆる「スペースシャトル」でフリーになったものだが、このヒントはレギャラーシーズンの第4週、ジャガーズ対イーグルスの試合にあったようだ。この試合でジャガーズは「スペースシャトル」に成功してタッチダウンを挙げた。そもそもジェットモーションというのは、オフェンスラインの右または左にいたワイドレシーバーが、スナップ前に反対側のサイドに移動するものだ。オフェンスラインそのものはスナップ前に動くと反則になるのだが、左右のレシーバーはポジションを変更しても変更した場所で静止すれば反則にならない。そこで俊足のレシーバーが走って位置を変える。ディフェンスはマンツーマンで守っているなら、対応するディフェンスがあわてて相手に応じて移動する。ゾーンで守っている場合は、隣のディフェンスの位置に移動し、そこから玉突きのようなポジションを変更していく。この玉突きの動きがイーグルスの場合はスムーズで迅速なので、その逆を衝いたらどうかというのが、ジャガーズの狙いだった。これに着目したチーフスのコーチ陣は、スーパーボウルの試合開始から、俊足のトニーとスカイ・ムーアに何度もモーションをさせて、イーグルスのディフェンスの動きをチェックしていた。そしてジャガーズ戦での反省はなく、同じような迅速の玉突きをしていることを確認して、ここぞという時に「スペースシャトル」を試してみたのだ。しかしそこに工夫があった。最初の時は右端にいたトニーが左に向けて走り始めた。ディフェンスが玉突きを始めた時に、トニーはいきなりストップして元の位置に戻ろうとした。だがその時、スナップが始まって、ラインの右側にいたタイトエンドのケルシーが真っ直ぐに前方に向かった。メルシーはチーフスの得点源で、ここぞという時にはケルシーにパスが通る。元に戻ろうとしたディフェンスはケルシーの動きにつらにれてそこで足を止めてケルシーの走路を塞ごうとした。ということで、元の位置に戻っていたトニーは完全にフリーになってしまった。2度目は左端のスカイ・ムーアが同じようにジェットモーションをすると見せかけて元の位置に戻った。その時、2番目の位置にはトニーが入っていた。トニーは前回のタッチダウンを挙げただけでなく、その次のパントリターンで新記録となる快走を見せて敵陣5ヤードに迫るビッグリターンを実現した。相手ディフェンスはトニーの方に目をやってしまった。ルーキーであるしシーズン中のタッチダウンもないスカイ・ムーアは無視されてしまった。ということで、スカイ・ムーアのタッチダウンとなった。これら一連の動きは、きっちりと筋書きができたドラマだと言っていい。1度目のケルシー、2度目のトニーがおとりとなって、相手ディフェンスの動きを止めた。これは巧妙に仕組まれたドラマだった。
04/10/月
まだ腰が痛いのだが、前から予約してあったスポーツマッサージに出向いた。まあ、かなり痛かったが、効果を期待したい。
04/11/火
将棋の中継を見ながら『デーヴァダッタ』に取り組む。最初に影絵芝居の話をしておきたい。シッダルタと幼いデーヴァダッタが影絵芝居を見る。影絵芝居はバリ島などに伝承されている。いまは電気を使うのだろうが、当然昔は蝋燭などで点光源を作っていたのだろう。その前で羊の皮で作った影絵人形を操作する。点光源なので人形を前後するだけで拡大と縮小ができる。つまりウルトラマンみたいな話を展開することができるのだ。インドネシア全体はイスラム圏だが、バリ島にはヒンドゥーが伝わっている。つまりこれはインドから伝承されたものだ。『八千頌般若経』には影絵芝居の話が出てくる。要するに色即是空というのは、われわれが見ているものは影絵芝居にすぎないという考え方だ。映画やテレビというものがあるので、いまのわれわれにもわかりやすいたとえで、そこでどんなおもしろい物語が展開されても、ただの幻影にすぎないということだ。まあ、そうなのだけれど、映画もテレビもけっこう楽しい。パソコンではYouTubeというものもある。われわれは日々、幻影を見ながら生きているのだ。ぼくが見ているスーパーボウルの録画も、ただの幻影にすぎない。でもそこには戦略があるし、足を傷めたマホームズをめぐる感動のドラマがある。人生は捨てたものではない。しかしシッダルタは最初から、一切は幻影であるという見解をとっている。ここからデーヴァダッタとの対立が始まると考えれば、話がわかりやすくなるだろう。仏教哲学を説いても仕方がないので、わかりやすくおもしろい話の中に、存在哲学をさりげなく語ることができれば、と考えている。将棋というのも幻影なのか。でも見ていると楽しい。それが人生というものだ。
04/12/水
神保町でメンデルスゾーン協会理事会。その後、懇親会。久し振りに生きた人々と雑談できた。
04/13/木
神保町で作品社の担当者と打ち合わせ。先日プリントでお渡しした『善鸞』の感想を聞く。善鸞の生年について、ウィキペディアなどに記載されている生年は、一つの推定値で諸説ある。浄土真宗では親鸞の妻は恵信尼ただ一人とし、子どもたちは越後流罪後に越後で生まれたとしている。しかし梅原猛さんなどによれば、関白九条兼実の末娘の玉日姫を、法然の指示で親鸞が娶るという物語が示され、だとすると善鸞は玉日姫の処生で、越後流罪以前に生まれたことになる。こうした推定は他の学者も認めつつあって、今井雅晴さんの『親鸞と如信』には善鸞の推定生年として1202年(?)が提出されている。要するに諸説あるということを説明しておいた。編集者の疑問はそれが最大のもので、あとは修正可能な疑問だけなので、連休の期間で修正すると答えて、細かい疑問点の入ったプリントを受け取った。『天海』ではいきなり入稿してから初稿でいろいろと疑問を出されたのでゲラにかなり追加をすることになったが、今回はまだプリントの状態なので、疑問に応えた完全原稿を入稿すれば校正が楽になる。ということで、原稿そのものはOKということで、あとは初校前のチェックということになる。これは半月もあれば対応できる。SARTRASの会議は来週の理事会が残っているだけで、あとは加賀乙彦賞の授賞式があるだけなので、今月の後半はこの作業に当てることができる。『デーヴァダッタ』もすでに書き始めているので、キリのいいところまで書いて、『善鸞』に戻ることにする。
04/14/金
午前と午後にSARTRASの会議。この組織が著作者の権利を守るために苦心の末に作ったもので、今年度から保証金が配分されるようになったのだが、まだ組織の整備が不充分なところがあり、また教育機関の代表者との折衝も円滑ではなく、問題山積の状態だ。連日のごとく会議があるが、なかなかに進捗しない。長い会議は聞いているだけで疲れる。ただ昨日の担当編集者の打ち合わせは円満に交渉ができて、先への見通しができたので気分は軽い。腰の状態もかなりよくなった。
04/15/土
Footballのドラフト会議は今月の末近くに設定されている。ぼくは大学の試合は見ていないので、どんな新人がいるのかまったく知らない。昨年は4月8日にベースボールマガジン社からドラフト特集が発売され、大いに役立ったのだが、今年はまだ発売されていない。まだわが国ではファンの少ない分野なので、今年は発売中止ではないかと心配していたのだが、来週の月曜日に発売されるらしい。ということは2日後だ。何やらドキドキする。チーフスに関していえば、ワイドレシーバーのスミスシュスターとハードマンが流出、オフェンスラインの左右も欠けたみたいで、ドラフトによる強化が図られることだろう。リーグ全体を見ると、新人QBの動向が注目される。そこで特集発売前ではあるが、ネットで得た情報を頼りに、現在のQBの状況を見ておこう。いまのところ評判のよいQBが6人ほどいる。何しろ去年は1巡指名がスティーラーズのピケットだけだったのだから今年はQBの当たり年ではないか。ストラウド(オハイオ)、ヤング(アラバマ)、リーヴァイス(ケンタッキー)、ベネット(ジョージア)、ダガン(TCU)、リチャードソン(フロリダ)……、その中で5人くらいが1巡で指名されるのではないか。1巡で上位の指名権をもっているのがベアーズと交換して1番目に位置しているパンサーズ、ここはメイフィールドとダーノルドを放出して、ベテランのダルトンを控えに獲得して、万全の構えでQBを指名する。たぶんストラウドだろう。2番手はテキサンズ。ここもQBがいない。ヤングか。これでもう双璧とされる2人が取られてしまう。こうなると、そこそこの先発QBをもっているチームには迷いが出る。3番のカーディナルスはマレーの怪我が心配だが、双璧の2人を取られるとQBは指名しにくい。何しろマレーは4年ほど前の1番指名のQBだ。4番のコルツもライアンを放出したのでQBがいない。3番評価のQBでも採るしかない。5番のシーホークスは昨年ベテランの控えQBだったスミスが復活した。控えのロックもいることだし、4番評価のQBは採らないのではないか。6番のライオンズもゴフがいる。7番のレイダーズはベテランのガロポロを移籍で獲得した。8番のファルコンズはマリオタを放出してハイニケを獲得。ここが微妙だ。意中のQBが残っていれば指名するだろうが、ここまでで3番評価までは消えているので、意中のQBは残っていない。昨年採ったリダーを試してダメならハイニケで行くだろう。9番目のベアーズは1巡指名権をパンサーズに譲ったくらいだからQBは不要。3年目のジャスティン・フィールズにかける。10番目はイーグルス。去年ウェンツを放出した時に代わりに貰った指名権だがQBは不要。11番目のタイタンズが微妙。タネヒルに限界を感じているようで、4番か5番評価のQBが残っていれば指名するのではないか。12番は去年ワトソンを放出した時に貰ったテキサンズがもっているがすでに2番目でQBを指名している。13番目のジェッツの大ベテランのロジャースが移籍しそうだ。14番のペイトリオッツはマック・ジョーンズとザッピーという若手を競わせる方針。すると15番目のパッカーズのところまで5番評価のQBが残っている。ロジャースを放出して控えのラブを先発させるつもりになっているところだが、5番評価のQBがここまで残っているのなら、指名するのではないか。ここまでで有力な5人がすべて採られてしまう。16番目のコマンダーズはウェンツとハイニケを放出してQBがいない状態。去年採ったハウエルがいるけれども、6番評価のQBが残っているなら、とりあえず採って競わせることになるだろう。ここまでで1巡指名のQBは終わり。バッカニアーズはブレイディーが引退したものの、パンサーズからメイフィールドを移籍させた。5年前くらいのナンバー1のQBだ。期待をしているはず。ブロンコスはコーチを替えてラッセル・ウィルソンの復活にかける。心配なのはブラウンズだ。去年移籍させたワトソンが刑事事件の影響で前半出場できず、後半に出場したもののまったくの不振だった。セインツはレイダーズからカーを移籍させて万全の体制。ラムズはスタッフォードが復活できるか。ところでいまは真夜中なのだが、ニコライ堂の鐘が鳴り始めた。ロシア正教のイースターのようだ。ウクライナもロシアもイースターではないか。10年前、いまの共同住宅に引っ越した時は驚いた。ぼくはスペインに息子がいるのでカトリックのイースターは息子たちの動きを見ていればわかる。ロシア正教には計算方式が違うようだ。しかも10年前は1時間くらい鐘が鳴り止まず、信者たちが蝋燭をもって前の道を行進していて何とも不気味だった。今年はまだコロナの余韻が残っているようで鐘もすぐに鳴り止んだし信者も来ていないようだ。
04/16/日
妻と日比谷公園まで散歩。公園の直前で雨。松本楼に入ってお茶を飲む。50年以上も前のことだが、日比谷で学生運動の学生たちが暴れて、松本楼が消失したことがあった。翌日は学生運動の友人が東大闘争で起訴され、その高裁での裁判があって傍聴に言った。裁判は開廷直後に弁護士が「ヒーッ」と叫んだので発狂したのかと思ったのだが、審議の手順に異義があって、弁護士が「忌避」と宣言したのだった。裁判官は淡々と「所定の手続きをとってください」と言い残して去っていった。せっかく傍聴に来たのにあっという間に裁判は終わってしまった。被告の友人はすでに保釈されていたのでそのまま高裁の外に出た。友人の支援者たちが日比谷公園に入って、今後の方針について声高に議論をしていたのだが、それが焼け落ちた松本楼の前だった。焼け跡の整理をしている関係者がいたら、いかにも学生運動らしい一団に殴り込みをかけるのではないかと懸念され、ぼくはいつでも逃げられるような態勢をとっていた。改めて書くがこれは50年前の話だ。ぼくの長男は今年50歳になるはずだが、当然、その時はまだ生まれていない。彼にとって自分が生まれる前の話は、明治時代と大して変わりはないのではないか。その友人はそれから数年後に亡くなってしまった。ぼくにとってもいまでは遠い思い出だ。
04/17/月
待ちに待った『フットボール・マガジン』(ベースボールマガジン社)の発売日。御茶ノ水駅前の丸善の開店直後に入った。こんなマイナーなスポーツのために紙の本を出してくれるベースボールマガジン社に感謝。何と棚の上に平置きになったディスプレーの最も目につくところに積まれていて4冊もあった。ぼくの他にこんなものを買う人がいるのだろうか。ちなみに昨年のシーズン開始直前に発売された選手名鑑はいまだに3冊ほど在庫が残っている。去年のこの号では解説者の有馬隼人さんが、「トム・ブレイディーの後継者」というタイトルで、見事にブロック・パーディーの出現を予言していた。有馬さんの予想では5巡目くらいでどこかのチームが指名するということだったが、実際には7巡の最後の最後で指名されてミスター・イレレバントの称号を得た。2年目のランスが開幕先発、控えにガロポロがいるという陣容で練習にも参加させてもらえない状況だったが、2人の負傷で出番が回ってきた。ガロポロの怪我で途中出場した試合から、カンファ決勝で負傷退場するまで、全勝という見事な活躍だった。その有馬さんによれば今年はQBの当たり年ということだ。去年はQB不作の年で1巡での指名はスティーラーズのピケットだけ。しかしパーディーだけでなく、ペイトリオッツのザッピーもマック・ウィルソンの代役を見事に果たした。例年、3人くらいは活躍するQBが出てくる。2年前は当たり年と言われ、ジャガーズのトレバー・ローレンスは昨シーズンは大活躍でプレーオフにも出場した。あとはペイトリオッツのマック・ジョーンズとベアーズのジャスティン・フィールズが先発をつとめている。49ナーズのランスは怪我で消えてしまった。ジェッツのザック・ウィルソンも不振で今年はロジャースの控えに回りそうだ。3年前はバロー(ベンガルズ)、タゴバイロア(ドルフィンズ)、ハーバート(チャージャーズ)の3人が大活躍で結果としては当たり年だった。同じドラフトで1巡下位でジョーダン・ラブがパッカーズに指名されたのだが、ロジャースがいるので活躍の機会がなかった。今年は先発するのではないかと思われる。5年前はカーディナルスのマリーが注目された。そこそこ活躍しているけれども怪我で低迷している。同じ年にジャイアンツに指名されたダニエル・ジョーンズがようやく昨シーズンに開花した。ジョーンズと実力は互角と思われていたハスキンズはコマンダーズ(当時はレッドスキンズ)に指名されたものの活躍できず交通事故で亡くなってしまった。5年前はブラウンズのメイフィールドとジェッツのダーノルドが注目されたが2人とも低迷。その2人より下位指名だったビルズのジョシュ・アレンが大スターになっている。6年前は1巡トップのトゥルビスキーが消えてしまった。あまり注目されなかったマホームズとワトソンがいまや大スターになっている。7年前はゴフ(ラムズ)とウェンツ(イーグルス)が注目されたが低迷している。8年前のウィンストン(バッカニアーズ)とマリオタ(タイタンズ)も消えてしまった。それよりももっと前のロジャース、ライアン、ラッセル・ウィルソン、スタッフォード、カーなど、いまだにベテランが頑張ってはいるし、話題にもならなかったラマ―・ジャクソンやプレスコットが大活躍していることを思えば、ドラフト情報というものもあてにはならないのだが、今年はストラウドとヤングという双璧(パンサーズとテキサンズが必ず指名する)の他には3人〜4人は有力なQBがいるようだ。しかも彼らは、近年のトレバー・ローレンスやバローを凌ぐ逸材だという見方もある。今年のドラフト中継が楽しみだ。
04/18/火
昨日は夕方、加賀賞の打ち合わせで神田の飲み屋で岳真也さんと軽く飲んだ。本日は神保町のブックカフェで知人と軽く飲んだ。軽く飲んだつもりなのだが、最近、寝酒の時間以外に酒を飲むことがなくなっているのでやや体に応えた感じがする。
04/19/水
本日は公用のない日。このところ会議などが多く集中力が持続しなかった。ようやく『デーヴァダッタ』の冒頭部の修正に取り組むことができた。状況説明のあとで、王と王妃の会話を挿入することにした。これまでの草稿では皇太子妃ヤショーダラと給仕の少年の会話から初めていた。この給仕の少年が主人公のデーヴァダッタなのだが、その前に副主人公のシッダルタのイメージを出しておきたい。さて、明日はネット会議のあとで加賀賞の授賞式があるので1日つぶれる。今週の週末までに『デーヴァダッタ』をキリのいいところまで進めておいて、『善鸞』の採集チェックを開始したい。来週の半ばに仕事場に移動する。連休の間は公用がないので自分の仕事に集中できるはずだ。
04/20/木
SARTRASの理事会。いつも紛糾する。どうでもいいようなことばかりだが、きっちりするのが好きな人が多く、きっちりするまでの議論が延々と続く。こちらは聞いているだけ。終わってから体調を調えて新宿に向かう。加賀乙彦賞の授賞式。今回は第3回。受賞者は四方田犬彦さん。『戒厳』。1979年、軍事政権下の韓国の大学に日本語教師として派遣された若者が、いまの韓国からは想像もつかない緊張状態の韓国でさまざまな体験をする。一種のビルドゥングスロマンではあるが、高齢になった書き手が遙かな過去を追想するというスタイルなのでセンチメンタルな要素が払拭され、社会性のあるルポルタージュになっているところが秀逸で、満場一致で受賞作と決まった。賞状の授与と挨拶を命じられたので、褒めまくった。それだけの価値のある作品だ。2次会、3次会と回って、元八幡行きの最終電車に乗って帰った。最初から控え目に飲んでいたので、寝酒を少し飲んだ。四方田さんとは初対面だったが、明るく語る中に強い自負が感じさせる信頼できるキャラクターだった。
04/21/金
本日からしばらく公用がない。妻に誘われて北の丸の科学技術館へ。衣料品のバーゲンをやっている。夏のジャケットを買う。
04/22/土
千代田区の高層住宅に住んでいる。淡路町、小川町から大手町のあたりまで見透せる。そこに選挙カーがひしめいている感じで、騒々しい限りだ。明日が区議選の投票日だが、立候補者の名前をうるさく連呼されるとその名前が頭の中に入って、こいつだけは入れたくないという気持になる。さて、ドラフトが数日後に迫ってきた。ぼくはいまのマホームズの前のスミスがQBだったころからのチーフスのファンだが、その前はスティーラーズのファンだった。ベンガルズのバローにチェィスがいるように、イーグルスのハーツにスミスがいるように、大学時代にパスの受け手だったなじみのワイドレシーバーがいると、QBのパスの精度は倍増する。相手ディフェンスのマークが厳しくて投げるところがない時に、なじみのレシーバーが動いてくれて、そこに投げることができるからだ。ということでスティーラーズの2年目QBピケットのために、ピッツバーグ大のレシーバー、ジョーダン・アディソンが指名できればと思う。レシーバーを1巡で指名するチームは少ないので、確実に指名できる。で、チーフスもワイドレシーバーがほしい。スーパーボウルに勝ったので指名順はビリの32番目のはずが、ドルフィンズの1巡が指名停止になったので31番目だが、そこまでめぼしいレシーバーが残っているか。テネシー大のジェイリン・ハイアットが欲しい。昨年ドルフィンズにさらわれたタイリーク・ヒルに似た小柄で俊足のランナーだ。そのタイリーク・ヒルの移籍の時に見返りとして去年の1巡指名権の他に(去年の1巡が2つあったのでコーナーバックのマクダフィーの他にエッジのカラフィッツを採ることができた。2人ともスーパーボウルで大活躍だった)、今年の下位の指名権を複数貰っているので、今年もチーフスは大勢の新人を指名できる。去年は7巡目でランニングバックのパチェコとセーフティーのワトソンを指名できた。スカウトの目がよいのか、去年は新人が大活躍した。今年はオフェンスラインが2人、ワイドレシーバーが2人抜けたのだが、まだ補充していない。新人で間に合わせるつもりなのだろう。気になるのはライバルチームの動向で、ベンガルズのバローはオフェンスラインが弱く何度もサックされた。そこを強化されると苦しい。ランニングバックのミクソンもベテランなので新人を入れたいところだ。ジェッツにQBロジャースが移籍するという話が本物ならば強敵になる。ジェッツは去年は1巡が2枠あって、ラインバックとレシーバーを採ったのだが、この2人がディフェンスとオフェンスの新人王になった。ここにロジャースが入ると恐ろしいチームになる。ただ見返りに今年のドラフト1巡を交換することになるのか。ドラフト当日までには趨勢がわかるだろう。トレバー・ローレンスが成長したジャガーズもオフェンスラインを強化すれば強くなりそうだ。逆にQBジョシュ・アレンがベテランになりつつあるビルズは低迷するのではないか。サラリーキャップという、選手のギャラの総額に限度があるFootballでは、成績のよいチームはギャラが払えなくなって有力選手を放出することにになる。チーフスもマホームズのギャラが年々上がっていくので、他のベテラン選手を保有することが難しくなる。タイトエンドのケルシーと、ディフェンスラインのクリス・ジョーンズは必須なので、他のところが弱くなる。そのぶんを新人で補わなければならない。去年はそれがうまくいった。7巡目ルーキーのパチェコのランニングで救われた感じがある。怪我でいなかったヒレアーも戻ってくるだろうが、もう一人くらい新人がほしい。ランニングバックは怪我が多く長持ちしないので、ドラフト上位では選ばれない。スカウトの目に期待して、7巡目くらいで当たり籤を引いてほしい。散歩に出た帰りに丸善に寄った。前から気にかかっていた岩波文庫の『サラゴサ手稿』(ヤン・ポトツキ/畑浩一郎訳)上中下を購入。これがどんな作品なのか何も知らない。一種の長大な幻想譚のごときものかとも思っているのだが、サラゴサというところが気にかかった。スペインにいる長男はサラゴサ高等音楽院というところで指導をしている。サラゴサに自宅がある。ただ50キロほど離れたウエスカという町にも別宅をもっていて、4人の孫のうちの下の方はウエスカの学校に通っているようだ。嫁さんもウエスカの音楽院で働いているので、長男もウエスカにいることが多い。長女はサラゴサの大学なので、どんなふうに暮らしているのかわからない。車は2台もっていて長女も運転するようになっている。サラゴサというのは昔のアラゴン王国の首都だ。ウエスカもレコンキスタの時に30年間だけ首都が置かれた古都だが、サラゴサは本物の古都で、日本でいえば京都みたいなところだ。ぼくはこの街の佇まいが気に入っている。死ぬまでにもう1度くらいは訪ねたいと思っている。『サラゴサ手稿』はこの連休の閑つぶしにと思っている。
04/23/日
昨日の夜、名古屋の孫2人と母親が到着。本日もここに泊まって、明日の1番列車で名古屋に戻る。学校にぎりぎりで間に合うということらしい。
04/24/月
孫たちは始発の新幹線で名古屋に帰ったようだ。こちらは熟睡していた。本日から『善鸞』の最終チェックに取りかかる。まずは冒頭から読み始める。直すところはまったくない。と思っていたら編集者の付箋。確かに1字抜けている。まあ、こういう校正ミスみたいなものは仕方がない。編集者からの注文は、主人公が秘事の法門という秘密の儀式に到る心理的なプロセスをもう少し細かくというもので、これは全6章のうちの第3章になってからだが、もう話の内容をすっかり忘れているので、最初からじっくり読んでいくしかない。
04/25/火
ドラフトは今週の金曜の朝(日本時間)から始まる。この時点でパッカーズのベテランQBロジャースのニューヨーク・ジェッツへのトレードが決まった。見返りにドラフト1巡とか来年の1巡が考えられたのだが、いま得られた情報では今年の1巡の15位と13位を取り換えるのと、来年の2巡をつける、というものらしい。15位を13位に換えても大差ないという気もする。今年のドラフト目玉はQBのストラウドとヤングで、これは1位のパンサーズと2位のテキサンズが採ってしまう。それでもまだリーヴィス、ベネット、ダガン、リチャードソンという才能を感じさせる逸材が残っていて、彼らでも昨年ただ1人1巡で指名されたピケットよりは上だという評価なので、6番目でもいいということになる。3位のカーディナルスはマレーがいる。4位のコルツは明らかにQB指名。5位のシーホークスはスミスがいるけれども、将来に備えてQB指名もある。6位のライオンズはゴフがいる。7位のレイダーズはガロポロがいるが、故障がちなのでQB指名もある。8位のファルコンズはリダーとハイニケがいるけれども、めぼしいQBが残っていれば指名もある。ここまでで6人のQBが消えてしまうけれども、シーホークス、レイダーズ、ファルコンズは微妙で、エッジラッシャーやオフェンスラインを強化するかもしれない。9位のベアーズはもともともっていた1位をパンサーズに譲ったくらいだからQBは不要。10位はなぜかイーグルスがもっていてここも不要。11位のタイタンズはベテランQBのタネヒルの限界が見えてきたので、ベスト6のQBが残っていればゲットするだろう。12位は去年ワトソンを放出した時にブラウンズからもらったテキサンズだが、すでに2位でQBの双璧のどちらかをゲットしているのでQBはここでは指名しない。それで13位のパッカーズということになる。ベスト6のQBがここまで残っているかは微妙というしかないが、今回のドラフトの最大の見所だろう。ぼくの予想ではどこもQBはほしいので、ここまでは残っていない。そうなると3年ほど前に採ったラブという控えQBを先発に回すことになる。ロジャースはここ数年、この時期になると引退をほのめかしたりトレードを希望するのがあたりまえになっていたので、念のために新人をゲットしておいたということで、このラブでも去年のピケットよりは上かもしれない。このドラフトの順番というのはあてにならないもので、去年はビリで指名された49ナーズのパーディーが大活躍した。あのブレイディーも5巡目くらいの下位指名だった。いま活躍しているプレスコットやカーも1巡指名ではない。逆に1巡指名だったウィンストン、マリオタ、トラビスキー、ダーノルドがいまや控えに回っている。従ってQB豊作といわれる今回も、他にも才能と資質をもったQBが何人かいるはずで、パッカーズが13位を要望したのも、とりあえず少しでもいいQBを控えとして確保しておきたかったのだと思われる。このロジャースの移籍はまだ書類を交わしたわけではないのだが、金曜のドラフト順位が条件に絡んでいるので、今日か明日中には本決まりとなるだろう。
04/26/水
朝から雨。昨日の夜、『善鸞』の最終チェック第1章終わる。ここまでは校正ミス的なものだけ。引き続きプリントを読む。明日、仕事場に行くため、本日はこれから出発して御殿場に宿泊する予定だが、朝からの雨。とにかく一泊するのが目的なので遅めに出発する。ようやく3時過ぎに小降りになった感じがしたので出発。ずっと雨だったが渋滞はなく、5時ごろに御殿場に到着。予約したホテルの部屋に入る。朝食のみのホテルなので歩いて近くの蕎麦屋で夕食。雨は止んでいたがすごい霧。ホテルに戻ると朝食用のレストランでウェルカムドリンクの用意があるというので入ってみるとビールのサーバーなどがあって、1人一杯とのことなのでビールを一杯飲み、自動販売機でロング缶を買って部屋に戻る。ウイスキーの小瓶も用意してあったので飲み続けるうちに眠くなった。
04/27/木
朝7時に起きて、ホテルで朝食。8時半に出発すると快適なドライブで10時には浜松SAに到着。昼食のパンを買って、10時半には仕事場に到着した。運転する妻の労苦を軽減するために御殿場で宿泊することにしたのだが、昨日の高速も渋滞はなかったし、今日は車が少なく快適だった。次回からもこういう段取りで移動できればと思う。さて、いよいよ明日に迫ったドラフトについて考えてみる。まずはQBの双璧。アラバマ大のブライス・ヤングとオハイオ大のストラウド。甲乙つけがたい逸材と評価は高い。ヤングの唯一の懸念は身長が178センチしかないこと。相手のディフェンスラインは両手を挙げてパスの出所を押さえようとするだろう。ストラウドの方は191センチで申し分ない。この身長がありながらヤングと互角の評価しかないのでは、オハイオ州立大からこれまでに名のあるQBが出ていないこと。QBはヘッドコーチに代わってグラウンド上で作戦変更するなど戦略ゲームの指揮官なので、将棋の棋士のような頭脳が要求される。本人の頭の良さだけでなく、大学に伝えられた伝統的な戦略のようなものが、ストラウドには欠けているのではという懸念がある。ドラフト1巡の1番指名はパンサーズ。どちらを選ぶかが注目される。戦略的なものは入団後に勉強すれば何とかなると考えれば、やはり背の高さでストラウドだろう。2番のテキサンズはヤングを受け容れるしかない。頭の良さ、戦術眼では、ヤングは他を圧倒している。数年に1度の逸材と言われている。ヤングでよかったという思いのテキサンズファンも多いだろう。逆にパンサーズの方は、あとでヤングの方が活躍すると後悔することになる。ともあれ1番と2番はどちらでもいいというほど均衡している。次に評価の高いQBはケンタッキー大のリーヴィス。発音はリーヴァイスかもしれない。193センチの長身、肩も強く頭もよさそう。ただ少し無理をしすぎてインターセプトが多い。ここが懸念だが、コーチの教育と経験を積むことで弱点はカバーできるだろう。4番のコルツはライアンを放出して新人に賭けている。迷うことなくリーヴィス指名だろう。この3人がベストQBで、ここから先のフロリダ大リチャードソン、バージニア工科大フッカー、ヒューストン大チューンはやや落ちると評価されている。それでも去年のピケットよりは上で、一昨年のトレバー・ローレンスに匹敵するという見方もある。5番のシーホークスはベテランのスミスでプレーオフまで進んだのだが、スカウトの評価でこの4番手から6番手のQBが残っていれば指名する可能性がある。8番のファルコンズはコマンダーズからハイニケを移籍させたがここもお目当てのQBが残っていれば指名するだろう。ここまででQB6人の指名が終わっていれば、それ以外のQBを1巡で指名する必要はないだろう。2巡目、3巡目でも指名できるQBはいる。何しろ去年はビリで指名されたパーディーが大活躍したのだから。20番よりあとのチームはフランチャイズQBがいてプレーオフまで進んだ成績上位チームだからQBの必要はない。それまでのチームで問題なのは、タネヒルに限界が見えてきた11番のタイタンズ、ロジャーズが移籍した13番のパッカーズ、ウェンツだけでなくハイニケも放出した16番のコマンダーズ、ブレイディーが引退してメイフィールドを入れた19番のバッカニアーズ。この4チームはスカウト陣が掘り出しもののQBを探しているだろう。2巡や3巡でも指名できるかもしれないが、密かに目をつけたQBがいるのなら、思いきって1巡で指名するということもあるはずで、意外な選手がピックされるかもしれない。やはりドラフトの花はQBだ。どのチームもエッジラッシャーは必要で、ディフェンスバックも必要で、セーフティーだってほしいはずだが、大学での成績はあてにならないことが多い。大学は本来、学業を勉強する場だから、学業を怠る学生も少なくない日本の大学と違って、アメリカの大学はスポーツ選手の練習時間を厳しく制限している。そこで大学のFootballは単純なプレーで勝負することが多い。そこで目立つ成績を挙げた選手がプロの複雑な戦略に対応できずに消えていくことが多い。そういう点まで考慮したスカウトの調査で、無名でも3巡、4巡あたりで指名されて活躍する選手も少なくないようだ。去年のチーフス、タイリーク・ヒルの放出と交換にもらった21番でディフェンスバックのマクダフィーを指名した。本来の指名順の30番では幸運なことにエッジの大物カーラフティスが残っていた。この2人の大活躍と、7巡指名のランニングバック、パチェコの予期せぬ大活躍で、去年のドラフトは大成功だった。今年もそうあってほしいと思っている。チーフスは31番目。ワイドレシーバーの大物が残っていればラッキー。エッジやコーナーバックの人気選手は残っていないだろうが、スカウトの眼力でこれぞという選手がいれば指名するだろう。ただディフェンスバックやセーフティーは戦略の中で学んでいくところが多いので、大学の有名選手を採る必要はない。昨年は下位で指名したクック、シェネル、ワトソンといった選手がスーパーボウルの支えとなった。ただワイドレシーバーの足の速さと、エッジの腕力は素質に左右されるので、いい選手が残っていることを期待したい。ところで、ドラフト前日となってまた新たな情報が……。3番目の指名権をもつカーディナルスが、この指名権を何かと引き換えてもいいという動きを見せているようだ。あと1日しか期限がないので難しいとは思うのだが、リーヴィスが欲しいというチームがあれば、この権利を買うかもしれない。代償として2巡、3巡、4巡あるいは来年の1巡とかをまとめてバーゲンして、今年の3巡をゲットすれば、コルツに先んじてリーヴィスをゲットできる。ただし多くのチームは、ストラウドとヤング以外には興味はないと考えているだろう。3番では意味がないのだ。ただドラフト開始直前まで、カーディナルスはいつでも交換できるように電話を受け付けるのではないかと思われる。
04/28/金
ドラフト1巡目が終わった。何というか、スーパーボウルもおもしろいが、このドラフト1巡目は実際の試合とは別種の、もう一つの戦略ゲームという感じで充分に堪能した。まず1番、背の低さが唯一の欠点のヤングをパンサーズがピックした。2番は問題なくテキサンズがストラウドを選ぶ。背が高く遠投力があり足も速い。だがQBの場合は戦略についての筆記試験があり、ヤングが最高点なのに対し、ストラウドはそこそこの成績。頭がわるいというわけではないのだが、体力に自信があるので投げて走ればいいだろうという感じ。これはヘッドコーチおよびQBコーチの指導で改善できるだろう。驚きはその次。3番のカーディナルズが交換してもいいよとメッセージを送っていた。これに応じるのは3番手QBがほしいチームだろうと考えたのだが、何とストラウドを採ったばかりのテキサンズがこれに応じた。迷うことなくディフェンスbPのエッジ、ウィル・アンダーソンを指名。トップと同等のQBとトップのエッジを同時にゲットするという離れ業だ。これというのも去年放出してワトソンの見返りに指名権を複数譲られた成果で充分に元をとったといえるだろう。驚きはその次。4番のコルツは3番人気QBのリーヴィスだろうと誰もが思うところだが、意外にも走れるQBのリチャードソンを選んだ。チームの戦略を走れるQBに合わせるという戦略をずいぶん前から検討していたのだと思われる。結局リーヴィスは最後までピックされなかった。QB豊作といわれた今年だが1巡で指名されたのは3人だけ。あとはエッジとタックルが次々に指名されていった。近年、高校や大学ではエッジラッシャーの育成に力を入れている。エッジラッシャーがQBをつぶしにいくのが、最大の防御だということに皆が気づいたのだ。そのエッジラッシャーの攻撃からQBを守るのがオフェンスラインの両端のタックルと呼ばれるポジションで、攻撃的なエッジラッシャーが増えればタックルの需要も高まるということだ。次が守備のコーナーバックで、1巡の終盤になってワイドレシーバーにも声がかかった。ランニングバックとタイトエンドは後半に1人ずつ選ばれただけ。1巡最後のチーフスは、タイリーク・ヒルのような小さくて俊足のハイアットが残っていたのだが、エッジのウィゾマーが奇蹟的に残っていたのでこれをゲット。エッジは7人がピックされたのだが、よくウゾマーが残っていたものだ。2巡以降は明日で、チーフスはまた最後の順番だが、もしかしたらハイアットが残っているかもしれない。どのチームもディフェンスの強化が狙いのようだ。選ばれなかったQBリーヴィスはどうなるのか。2巡目ならどこかのチームが拾うだろう。ファルコンズやタイタンズ、コマンダーズなどはQBがほしいはず。いつも書いていることだが、Footballは日本将棋に似ている戦略ゲームだ。ただ将棋は両チームが同じ戦力で戦うのに対し、Footballの場合も駒の優劣がある。投げて走れて頭のいいQBがいるチームは、最初から飛車が竜王に成っているようなもので、マホームズやハーツなど、QBの能力だけでチームを動かすことができる。ただ今年のスーパーボウルでも、イーグルスのエッジの攻撃を、チーフスはタックルがよく防いでいた。とくにスタート直後は相手のエッジが張り切っているので、守備専門のタイトエンドを入れてタックルと2人で守るなどの戦略で対応していた。今回タックルを指名したチームが多かったのも、タックルの重要さが認識されるようになったからだろう。さて、午後は庭の草刈り。疲れた。午前中はドラフト中継で精神的に疲れ、午後は草刈りで肉体的に疲れた。さらにこれから名人戦の2戦目の決着がつく。今日は長い1日になりそうだ。
04/29/土
本日はスカパーの中継はないがドラフトの2巡と3巡があった。注目されたトップクラスのQBリーヴィスは2巡でタイタンズが、フッカーは3巡でライオンズが指名。タイタンズは昨シーズンの後半タネヒルがまったく不振だったので、リーヴィスなら開幕から先発もある。ライオンズにはゴフというまだ若いQBがいる。フッカーは控えとしてゴフの戦略眼を学び数年後にということだろう。これでコマンダーズは2年目のハウエル、ファルコンズは同じく2年目のリダーを使うのだろうが、コマンダーズにはブリセット、ファルコンズにはハイニケという、先発のキャリアもある中堅QBがいるので、あえて新人は採らなかったのだろう。チーフスの2巡はワイドレシーバーのレイシー・ライス。情報によると「才能はあるが謎めいた選手。素晴らしいスキルと残念な落球が同居」という評価。3巡はタックルのワーニャ・モリス。「パスラッシュに効果的に対応するには体幹の強さが欠けている。アスレチックな特性を活かし、ゾーンスキームのガードとして成長する可能性はある」とのこと。大丈夫かと言いたくなる問題ありのプレーヤーのようだ。落球癖はマホームズの正確なコントロールなら減る可能性はある。ガードというのはオフェンスラインの内側の選手で、両端のタックルは無理でも内側ならという評価。2人とも使い道はあるということだろう。それでもワイドレシーバーには切り札がなく、オフェンスラインは人数が不足している。明日の4〜6巡と、これから始まる最終トレードに期待したい。ぼくが目をつけていた俊足レシーバーのハイアットは3巡でジャイアンツが指名した。体重不足が懸念されてそこまで選ばれなかったのだろう。ジャイアンツは好きなチームなので、ダニエル・ジョーンズの短めのパスをとって俊足でゴールゾーンに飛び込むプレーを見たいと思う。昨日の草刈りの後遺症で足がやや痛いが、『善鸞』に取り組んでいる。3章までが終わった。ここまでは小さな校正ミスがあっただけ。ここから先、担当編集者の指摘のある部分に差しかかるので集中力を強化して取り組みたい。
04/30/日
ドラフト3日目。まずQBの行方。1巡ではヤング、ストラウド、リチャードソンが選ばれた。ヤングは背が低いのが難点だったが総合力を評価されて1番にパンサーズがピック。ストラウドは戦術眼に難点はあるものの背が高く遠投力、走力にも申し分がなく2番でテキサンズ。次にコルツに選ばれたのはリチャードソン。走るQBで、走力も遠投力もラマ―・ジャクソンを凌ぐという逸材。結局、1巡で選ばれたQBはこの3人だけだった。しかしQB豊作の年と言われ、例年なら1番に選ばれるのではという評価の高いQBがあと何人かいた。彼らは2巡、3巡で選ばれることになる。総合力でリチャードソンより上と評価されていたリーヴィスはタイタンズがピック。いまの先発のタネヒルに限界が感じられているので開幕先発もあるだろう。パスの正確さでは随一と評価されたフッカーはライオンズがピック。スーパーボウルにも出たゴフというQBがいるので何かの時の控えということだろうか。去年のブロック・パーディーに似ているとも言われているので、ゴフが負傷した時のためのスペアということだろう。走るQBとしてリチャードソンに次いで評価されたいたロビンソンはブラウンズがピック。鳴り物入りで移籍したワトソンが昨シーズンは絶不調だった。今年もダメなら早い段階でロビンソンに切り替えるかもしれない。雑草的なタフさがあるという変な評価をされていたベネットはラムズ。昨年怪我をしたスタッフォードが復調できないなら先発もあるだろう。198センチの長身QBというユニークな存在のマッキーはイーグルス。ハーツの控えとしてファルコンズからマリオタを移籍させたので控えは不要なはず。ただハーツもマリオタも体を張って走るQBなので2人とも怪我をした場合に備えたのか。短いパスを多彩に投げ分けるハイナーはセインツ。ここはレイダーズのカーをトレードで迎えた。昨年先発のウィンストンもいる。いまや高齢ともいえるカーがダメだった時にウィンストンと競わせるということか。パスに優れ走力もあるということだがなぜかあまり評価されなかったドゥーガンはチャージャーズ。ここは若手のハーバートがフランチャイズQBとして定着している。怪我の場合の代役ということだろう。ひたすらパスで勝負する旧いタイプのパサーとしてそれなりに評価されているオコネルはレイダーズ。ここは49ナーズからガロポロを移籍させたのだが怪我が多いQBなので控えとして先発のチャンスもあるだろう。ユタ大でジェッツのザックウィルソンの控えだったホールがブリンガムヤング大という無名校に移って評価され、バイキングに指名された。カズンズの控えがいなかったのでとりあえずQBを採っておくということか。タイタンズがピックしたリーヴィスがペンシルベニア大にいたころに先発QBとしてリーヴィスより高く評価されていたクリフォードをパッカーズが選んだ。ロジャースを放出して控えのラブが先発に回ることが予想されているのだが、意外にクリフォードの方が活躍するかもしれない。とにかくラブと競うだけの実力者だと見られる。ということで、今年は確かにQB豊作の年だった。15人くらいのQBがどこかのチームに所属することになったので、全体として控えQBのレベルが上がった感じがする。こうなるとライアンとかウェンツとか、クビになってまだ行き場のないQBは引退ということになりそうだ。さてチーフスは1巡目にエッジ、2巡でワイドレシーバー、3巡でタックルを選んだが、本日は4巡でコーナーバック、5巡でエッジ、6巡でディフェンスタックル、7巡でコーナーバックを指名した。選手名鑑にも出ていない無名の選手だが、去年も7巡で選んだディフェンスバックのワトソンとランニングバックのパチェコがシーズンでもスーパーボウルでも大活躍した。スカウトの目の正しさと、夏場の練習における指導者の適切なコーチングの成果を期待したい。
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