崇神天皇12

2025年12月

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12/01/月
今年の正月から書き始めたこの「崇神天皇」というタイトルのノートは、20年前に出した「角王」に始まる3部作のリメイクを目指したものだった。実際に出したのは3冊なのだが、当初の構想では4部作になるはずだった。ペイパーバック版という売れなければならない判型にもかかわらず期待どおりには売れなかったので、3作で打ち切りになった。実は4作目も半分くらいは草稿を書いていた。昨年『デーヴァ』を出して長篇はもう書かないと宣言したのだが、この半分まで書いた草稿をどうするか考えているうちに、全部を最初から書き直して4部作を完成させるという途方もないアイデアを思いついてしまった。それが今年の正月で、20年前のデータが残っていないことから、紙の本を見ながら打ち込んでいきつつ、気がついたところは修正するという作業を続けて、既存の3部作はすべて入力し、プリントして赤字を入れるという作業を試みたのだが、2作目を読み返すとあまりおもしろくなかったので、そこで作業がストップしてしまった。そこで少し考えて、3作目の『日本武尊』だけでも完成させたいと思い、赤字を入れていくうちに、エンディングを大幅に書き換えることになった。プリントして赤字を入れ、入力も終わった。結果としては原典を大幅に書き換えることになったので、まったくの新作といっていいものになった。これは独立した作品としてストックしておきたいと思った。次に1作目の「角王」を『崇神戦記』というタイトルで完成させた。いまは挫折した2作目のプリントを読み返している。今年の正月の段階では、年内までに4作を完成させる予定だったが、作業は大幅に遅れてしまった。締切のある仕事ではないので、自分で納得できるまで時間をかけるつもりだ。まだ今年は一ヵ月あるので、二作目(タイトル未定)の赤字チェックを年末年始の期間に終えて、入力作業に進みたいと思っている。Footballは残り5週。すべてのチームがバイウィークを終えたので勝敗がわかりやすくなった。プレーオフの当確ラインを11勝6敗とすると、現在6敗のチームまで可能性を残していることになる。Aカンファから見ていく。10勝2敗がペイトリオッツとブロンコス。3敗のチームがいないので、シード1位はこの2チームに絞られた。まったく意外な展開だ。ペイトリオッツのメイ、ブロンコスのボー・ニックスが新たな英雄となるのか。8勝4敗で4チームが並んでいる。ビルズ、コルツ、ジャガーズ、チャージャーズ。これも意外。ビルズが4敗もしていることが意外で、残りの3チームは意外によく頑張っているということ。これで6枠が埋まり、不振の北地区はレイブンズとスティーラーズが6勝6敗で並んでいるのでどちらかが地区優勝となる。7勝5敗のテキサンズは圏外。これに同じく6勝6敗のチーフスがかろうじて徳俵で残っている。チーフスはテキサンズ戦の直接対決があるのでこれに勝てば可能性は残る。Nカンファは9勝3敗が3チーム、ベアーズ、ラムズ、シーホークス。これに8勝3敗1分のパッカーズと、8勝4敗のイーグルス、49ナーズが続く。これで6枠。南地区のバッカニアーズが7勝5敗で地区優勝候補。これで7枠が埋まるので、同じく7勝5敗のライオンズは圏外ということになる。ベアーズの健闘が注目される。2年前のドラ1ケイレブ・ウィリアムスがついに開花したか。6勝5敗1分のカウボーイズと、7勝6敗のパンサーズは勝ち越してはいるもののプレーオフ圏内は遠い。それでも3年前ドラ1のヤングがようやく少し勝てるようになった。強豪のイーグルスがライオンズがシード1位争いに遅れをとっている。いよいよ世代交代が起ころうとしている。メイ、ボー・ニクス、ケイレブ・ウィリアムス、ヤング、それにストラウドも入れていいだろう。今シーズンは怪我に悩まされているがダニエルスも去年は活躍した。新鋭QBがいよいよ台頭してきた。そのなかで、ロジャースとスタッフォードがどこまで頑張れるか。そしてチーフスが生き残れるか。おもしろくなってきた。

12/02/火
孫娘がスペインに帰るカウントダウンがゼロに迫ってきた。本日は日本で親しくなったお友だちとミュージカルを見に行ったあと、合流して中華の夕食。日本で通信社で働いている女性とのこと。とてもかわいい人だった。そのあと、秋葉原にスーツケースを買いにいった。AKB劇場のあるところで、驚くべきことに深夜に近い時間なのにインバウンドの人々で満員だった。孫娘はまだ日本の国籍をもっているので、タックスフリーのレジに並ばなくてよかった。息子が結婚式を挙げたころは、円が強かった。スペインで買い物をするのが楽しかった。いまはまったく逆の立場になった。日本のものは何でも安い。だから大きなスーツケースが必要になる。さて、ぼくは文藝家協会百周年の「文士劇」の担当をしている。出演者の人集めがたいへんだったが、どうにか人数が揃ったので、配役の試案を作って事務局に送った。協力してくださっている女性の理事の方々のご意見を伺って調整していきたい。来年は何だか忙しくなりそうだ。

12/03/水
孫娘は明日、旅立つ。この三ヵ月は、有意義な日々だったと思う。病院での研修だから緊張もあったと思うが、実に多くの知人、友人ができた。同時に、日本の東京という都市での日々の体験が数多くの思い出となった残っているはずだ。八月の末に着いた時は猛暑だった。いまは真冬のような寒さになっている。紅葉というものを体験したのもいい思い出になっているだろう。コンビニや、居酒屋や、カラオケなど、日本の文化を体験したこともよかったと思う。

12/04/木
孫娘を成田まで送っていく。昔、スペインの人々が来日する時は、成田まで車で迎えにいったものだが、いまはそれだけの気力がない。人数が多い時は、荷物を八重洲まで届けて、あとはバスで行く。孫娘の滞在中、嫁さんと次女が来た時は、電車で東京駅まで荷物を押していった。今回も孫娘一人だけなので電車で八重洲に向かう。といっても大きなスーツケースが2つとキャリーがあるので、孫娘、ぼく、妻の三人で荷物を運んでいく。御茶ノ水駅は最近の改修工事でエレベーターがついたのでありがたい。ただエレベータの位置が東京行きの最後尾に近いところで、東京駅のエレベーターは先頭に近い南口にあるので、ホームの端から端まで、荷物を押していく。南口から八重洲に向かう通路には、車椅子用のスロープがあるので、改札口までは支障なくたどりつける。バスに乗り込み、成田に着く。レストランでカツカレーを食べさせ、搭乗手続きをしてスーツケース2つを預け、孫娘はゲートの向こうに去っていった。別れ際には何度もハグをした。孫娘と妻とは泣いていた。スペイン人はこういう時に必ず泣く。ファミリーという意識が強い。大事なことだ。飛行機が飛び立つところまで見ていたかったのだが、成田の第一ターミナルは工事中で、デッキに出られないし、窓もすべて塞がれている。仕方がないのでバスに乗って東京駅に向かった。自宅に帰ったら、7時のニュースの前の天気予報をやっていた。妻のスマホのラインに、孫娘から、まだ飛行機が動いていない、というコメントが入っていたので、成田空港のホームページを見ると、7時直前に1時間40分遅れで飛び立ったとのこと。乗り継ぎが2時間しかないのでこれはアブナイ状況だ。しかしわれわれの手を離れているのでどうしようもない。成田で飛行機の飛び立つところを見ていたら、いつまでたっても飛び立たないところを目撃することになっていたかもしれない。今日は快晴で、自宅から富士山が見えた。孫娘と川口湖のあたりに日帰りバス旅行で行ったことがあって、富士山はよく見えたがまだ雪は少なかった。今日の富士山はしっかり雪が積もっていて富士山らしい眺めになっていた。孫娘の出立の日に、富士山が見られてよかった。

12/05/金
孫娘の乗った飛行機はまだ中継地に着いていない。乗り継ぎは難しそうで、次の便ということになる。孫娘は英語ができるので何とかするだろう。考えてみると、長男がベルギー王立音楽院に入学して、その後、スペインで暮らすようになったあと、ぼくと妻は何度もベルギーやスペインに出かけたのだが、乗り継ぎができなかったことはなかった。何年か前、イギリスに行った時に、出発が大幅に遅れたことがあったが、ヒースローへの直交便だったので問題はなかった。乗り継ぎというのは厄介なもので、いくつか思い出がある。次男が大学を卒業した時に、ぼくと次男でブリュッセルへ行ったことがある。当時は直交便があったのだが、安売りチケットを探したらチューリッヒの乗り継ぎ便しかなかった。これは緊張した。妻がいっしょだとすべて妻に任せていたが、妻がいないと自分で対応しないといけない。ぼく一人でスペインに行ったこともある。パリで乗り継ぎだったが、マドリッドに着いて乗客のスペイン人たちと行動を共にしたら、ゲートの外に出そうになった。あわててバッゲージクレームの表示を探して、反対の方に向かうことになった。シェンゲン協定というものがあって、ユーロ圏内の人々は、シェンゲン協定の参加国への移動は、入国審査が不要なので、荷物を預けていない人は、そのままゲートの外に出ていくのだ。いったんゲートから出てしまうと荷物をとりにいけなくなるので、アブナイところだった。シェンゲン協定といえば、イギリスのヒースローで乗り継いだ時、当時のイギリスはユーロに加盟してはいたが、島国なのでシェンゲン協定には加わっていなかった。たとえばパリでの乗り継ぎなら、われわれ日本からの旅客はパリでユーロ圏への入力審査ということになる。ところがイギリスではまだトランジットのままで、スペインで入国審査ということになる。スペイン語で何やら質問されたので困惑した。ホテルの予約があればホテル名を告げるだけでいいのだが、息子の家に泊まるので、息子がスペインにいるということを伝えないといけない。パリで乗り継ぐ時も、全日空を利用するとターミナルが少し離れていて、移動経路が通常と異なっている。これは最初の時はよくわからなかった。往路と復路で経路がまったく違うということを事前にネットで調べてあったので何とか対応できたのだが、何も知らないとうろうろするところだった。外国というのは怖いところだ。まあ、孫娘は英語がちゃんと話せるので何とかするだろう。というところで、本日は午前中のネット会議のあと、午後は神保町の出版クラブで旺文社のコンクール。各分野の錚々たるメンバーが集まる年に一度のこの会議は、まあ楽しい会でもあるし、緊張もする。今年も無事に終わった。自宅に帰って妻に孫娘のようすを聞く。結局乗り継ぎには間に合わず、航空会社がアブダビのホテルを用意してくれたとのこと。長男がバルセロナまで迎えに行く予定だったが、到着が翌日になると仕事があるので行けなくなり、義兄に頼むか、嫁さんが行くか、とにかく大きなスーツケース2つにキャリーとリュックがあるので、一人では移動できない。まあ、もう大学6年生なので、タクシー乗り場まで移動してバルセロナのホテルに宿泊するなど、何とか対応できるだろう。とにかく飛行機の遅延というのは、すべての予定が狂ってしまう。サースデーナイトはライオンズ対カウボーイズ。先週チーフスに勝ったカウボーイズは土俵際で踏みとどまっていたのだが、ライオンズに押し切られてシーズンが終わった。チーフスも他人事ではない。月曜のサンデーナイトの試合でテキサンズに負けるとシーズンが終了する。その後も全勝するしかない。奇蹟を期待したい。

12/06/土
孫娘はアブダビのホテルで一泊したあと、飛行機に乗り込んで、一日遅れでバルセロナに到着したとのこと。父親のわが息子は仕事があったので空港に迎えに行けず、義兄夫婦に迎えにいってもらった。息子の嫁さんは五人兄弟の末っ子なので、頼りになる親戚がたくさんいる。おかげで何とか孫娘は自宅に帰り着いた。そのようにして孫娘の三ヵ月に及ぶ滞在は終わった。ほっとして疲れが出た。とくに妻の疲労と、寂しさみたいなものが、これからドッと出てくるのではと思われる。穏やかな老夫婦二人きりの生活のなかに突如として入ってきた孫娘の存在は、ものすごいプレッシャーだったが、何とか無事に終わった。それにしても家族とか親戚というのは何だろうと改めて思わずにはいられなかった。孫娘がいたので、兄の納骨に参加できなかった。父の墓が大阪にあるので、そこに納骨することになったのだが、その墓の管理責任者はぼくになっているので、墓地の事務所に電話連絡するなど、手続きが必要だった。とにかく無事に納骨できたようだ。ところでぼくは文藝家協会の仕事を長く続けてきたので、協会が御殿場の富士霊園内にもっている文学者の墓にも参加している。まだ生きているので文字が赤字になっているのだけれども、名前も刻まれている。ここは富士山が爆発しない限りは、これからも存続して、文学を愛好する人々が参拝してくれるのではと思っている。自分が死んだあとのことなどどうでもいいという思いはあるが、孫家娘はこの三ヵ月のことを記憶してくれているだろう。日本語と英語をチャンポンにしたような言葉でいろんなことを語り合った。ぼくにとってもいい思い出になっている。大学の計らいで東京ドームの試合を見にいくことになった孫娘に、野球のルールを教えたのもいまとなっては楽しい思い出だ。決勝点が犠牲フライで入ったのだが、孫娘はそのことをしっかり理解していた。

12/07/日
年末に向けての日常が戻ってきた。孫娘がいると彼女の行動がわたしと妻の生活の最優先事項になってしまうので、そのあいまに自分の作業を挟んでいくということをやっていた。三ヵ月は長かったが、終わってしまえば、あっという間だった。明日はFootballの試合がある。火曜から土曜まではスケジュールがぎっしり入っている。その次の週も週末以外はスケジュールが入っていて、さらにその次の週、本来なら浜松の仕事場に移動する時期にも、文士劇の打ち合わせが入っていて、なぜこんなに多忙なのかと思うくらいに隙間なくスケジュールが入っている。多忙なのは大半がSARTRAS関係だが、SARTRASに参加しているのは文藝家協会を代表して参画しているので、基本は文藝家協会だ。協会は来年は百周年を迎える。何やかやと忙しくなるだろう。そんなことより、明日のFootballが心配だ。チーフスはテキサンズと対戦する。テキサンズは7勝5敗。三年目の新人QBストラウドが不調で、負傷の影響もあり、控えのミルズが先発したのだが、そこから連勝が続いている。ストラウドを復帰したのでどうなるか。南地区はコルツとジャガーズが4敗なので、テキサンズはワイルドカードを狙うしかないのだが、6勝6敗のチーフスとしては、ここで負けるとシーズン終了ということになる。チーフスはとにかく残り5試合を全勝するしかないので、明日からはトーナメントが始まると考えないといけない。今年はなぜ不振なのか。ライスが復帰したのでレシーバー陣は揃っているはずなのだが、パチェコの負傷でランニングが機能しなくなった。ディフェンスも反則が多いのは、少し無理をしているからだろう。チームというのは、少しずつ弱くなっていく。ここ数年、ドラフトの指名順位はつねに31番か32番だった。スーパーボウルに出場しつづければそういうことになる。スーパーボウルに出なかった年もチャンピオンシップまでは進んだので、ドラフト順位は30番か29番だった。これではいい選手は採れない。今シーズンでケルシーやクリス・ジョーンズは引退するだろう。チーフスの王朝は終わったということか。今シーズンはペイトリオッツのメイ、ブロンコスのボー・ニクス、ベアーズのケイレブ・ウィリアムスなど、3年以内のQBが活躍している。いよいよQBの世代交代が始まったのか。QBが若いということは、QBへのギャラが少ないということで、そのぶんのギャラを他の選手に回すことができる。弱点を的確に補強することができる。成績の悪い順にドラフト指名できるというシステムと、ギャラの総額を限定するサラリーキャップ制で、世代交代を促している。だからチーフスの衰退は必然といっていいだろう。考えてみれば、ペイトリオッツのQBがブレッドソーからブレイディーに代わった時、ぼくは応援していた。だがあまりに強すぎるので、ライバルのペイトン・マニングのコルツを応援するようになり、ペイトリオッツがスーパーに出ると、弟のイーライ・マニングのいるジャイアンツを応援した。スティーラーズのロスリスバーガーを応援したこともある。推しのチームが随時変わっていくというのがふつうのことで、この数年ずっとチーフスを応援していたことが特異な状態だったのかもしれない。今シーズンのプレーオフをじっくりと見て、次世代の推しのQBを見きわめたいと思うのだが、ペイトリオッツがビルズに勝った試合のメイはよかった。ケイレブ・ウィリアムスの試合はあまり見ていないが、ベアーズはディフェンスで勝っているところもあるので、ケイレブがさらに成長すればすごいチームになる可能性がある。ラインやレシーバーを補強すればさらに強くなるだろう。ブロンコスがこれほど強くなるとは思いもしなかった。ボー・ニクスは浮き沈みの激しいQBだと思っていたのだが、今シーズンは安定している。勝ち方を覚えたということかもしれない。チーフスだけでなく、ビルズ、レイブンズ、ベンガルズといったAカンファの強豪も今シーズンは不調だ。Nカンファのイーグルスやライオンズも調子が出ていない。ラムズのスタッフォードだけが頑張っている。バイキングスからシーホークスに移籍したダーノルドも好不調の波はあるものの成績は残している。コンシーズはプレーオフの先が読めない。群雄割拠の戦国時代に入ったようだ。

12/08/月
テキサンズ対チーフスはスカパーで中継があった。時々見ていたが勝つ気がしなかった。チーフスの今シーズンが終わった。王朝の終焉だ。いつかはこういう日が来ると思っていた。この7年間、カンファ決勝戦敗退2回、スーパーボウル出場5回で3勝2敗。すごい成績だ。カンファ決勝敗退だとドラフト順位が29位か30位、スーパーボウルに出場すると負けなら31位、制覇すれば32位。こういうドラフト順位が7年間続いたのだから、戦力が少しずつ衰えていくことは必然だ。サラリーキャップ制があるので補強することもできない。とくにオフェンスラインとランニングバックの弱体は否めない。それでもつねに僅差の勝負にもちこんでいたのだが、競り負けることが多かった。また来年、というわけにもいかない。チームの立て直しには数年かかるだろう。ブレイディーのいなくなったペイトリオッツも6年間、沈滞していた。今シーズン、ようやく2年目QBのメイが開花して、シード1位に近づいている。ただマホームズは健在なので、弱点を補強していけば、来年はプレーオフに進出できるだろう。

12/09/火
近くの医院で健康診断。さて、ぼくのFootballシーズンも終わったので頭を切り換えたい。社会問題についても考えてみたいが、昨日は地震があった。ぼくが住んでいる高層住宅は、建物の中層階にバネが入っていて、地震があるとバネのところで折れ曲がって「く」の字になって振動する。最上階はまったく揺れず、中層階に近いところは大きく揺れる。ぼくはその中層階に近いところに住んでいるので、震度3なんのに長い間揺れていた。孫娘がいた間に、震度2だったことがあるが驚いていた。スペインは地震のない国だ。地盤は強固だ。ただ乾燥地帯なので水には苦労している。孫娘の住んでいるサラゴサという街の周囲には砂漠が広がっている。首都のマドリッドも同様だ。マカロニウエスタンと呼ばれるクリント・イーストウッドの西部劇は、スペインで撮影された。気候も風土も違う日本で三ヵ月を過ごした孫娘は貴重な体験をしたことだろう。この地震や津波の多い国に、原子力発電所を設けることには、最初から疑問があったはずだが、ぼくは原発というものは必要な施設だと思っている。このまま石油を燃やし続ければ、温暖化は後戻りできないところに進んでしまう。福島の原発事故は二つの点でミスがあった。想定外の津波が着たことと、発電機が水没して原子炉の冷却ができなくなった。前者は防潮堤を2倍、3倍にしておけばよかったのだろうが、それは不可能だ。水没することを予想して対策を立てる必要があった。発電機を地下室に置いたというのが最大のミスだ。せめてどこか安全な場所に予備の発電機を設置しておけば対応できたはずで、ごく簡単な対策を立てていなかったというのが致命的なミスなのだが、そのことを指摘する人がいないのはなぜか。細かい対策について何も言及せずに、政府は再稼働を推進し、反対派はただ反対の声を上げる。これでは議論は進まないし、何の解決にもならない。「もんじゅ」という高速増殖炉が事故を起こしたことがあった。あれば原子炉の冷却に水ではなく液体ナトリウムを用いていた。金属ナトリウムは、水のなかに放り込むだけで水素が大量に発生して大爆発を起こす危険な物質だ。その危険性について無防備すぎた。こんなイージーミスが起こるこの国の原発は信用できない。しかし理想を言えば、原子炉をほんの少しパワーアップして、水の熱分解ができるようになれば、水素を大量に得ることができる。昨日のニュースで、水素で走る電動自転車が紹介されていた。充電して走るのではなく、カセットボンベを交換するだけで一瞬にして走行可能になる。乗用車は水素で走るようになれば、充電設備が不要になり、カセットボンベの交換だけで走ることができる。そのための水素を原子炉で得られれば温暖化を防ぐことができる。さて、シーズンが終わったような気分ではいたが、本日の試合、チャージャーズが延長戦でイーグルスに勝った。今シーズンはまったくの混戦だ。タイタンズも2勝目を挙げて、来年のドラフト順位も混戦になってきた。現在のシード順位を見ておく。Aカンファはペイトリオッツとブロンコスが11勝2敗で首位。9勝4敗でビルズ、ジャガーズ、チャージャーズ。ここまで5チームだが、北地区のチームが入っていない。スティーラーズがレイブンズに勝って7勝6敗。レイブンズはチーフスと同じ6勝7敗だが、まだ地区優勝の可能性はある。残り1枠は8勝5敗のテキサンズとコルツだが、ストラウドが復帰したテキサンズに対して、コルツはダニエル・ジョーンズがアキレス腱断裂でQBがいなくなった。ヘッドコーチと親しい44歳のリバースに声をかけたらしいが、トレーニングをまったくやっていないのではないか。残り4試合。テキサンズとコルツが1勝3敗なら、チーフスもまだ全勝すればチャンスはある。Nカンファはラムズとシーホークスが10勝3敗で首位。どちらも西地区なので地区優勝もかかっている。続くのは9勝3敗1分のパッカーズ。9勝4敗でパッカーズ、ベアーズ、49ナーズ。8勝4敗でイーグルスとライオンズ。ここまでで7チームだが、例年負け越しでも地区優勝という南地区が入っていない。バッカニアーズとパンサーズが7勝6敗で並んでいる。このどちらかが枠に入るので、ライオンズが圏外ということになる。スーパーボウル候補はメイが躍進したペイトリオッツか、ボー・ニクスのブロンコス、それに地区優勝の可能性のあるロジャースのスティーラーズ。ジョシュ・アレンのビルズはワイルドカードになりそうで、そうすると初戦でスティーラーズと当たる。勝った方が調子を上げてスーパーボウルーというシナリオも考えられる。Nカンファは西地区が強い。3敗で並んでいるラムズ、シーホークスに4敗の49ナーズ。北地区も強い。パッカーズ、ベアーズ、ライオンズ。イーグルスはハーツが絶不調でダメそうだが地区優勝は大丈夫だろう。

12/10/水
本日はメンデルスゾーン協会理事会。どういうわけかこの任意団体の理事長をやっている。昔は年に一回コンサートを開いていたのだが、理事および会員の老齢化によって、いまは年に一回の会報を出しているだけだが、会報の発送作業があるので理事の一人の自宅に集まった。これはけっこう遠い。妙蓮寺というところだ。彼はぼくたちが昔活動していためじろ台合唱団のメンバーでもあるので、夫人とわが妻も親しく交際していた。彼の家は昔は八王子めじろ台にあって、ぼくも同じところに住んでいたので交流があった。その後、彼は大倉山に住んでいたこともあり、その家も、いまの妙蓮寺の家も、合唱団の練習場所兼飲み会会場として訪れたことがあった。ずいぶん昔のことで、ここを訪ねるのは久し振りだが、何となく道を覚えていて、到達することができた。東横線はどんどん便利になっていく。目蒲線(いまは目黒線)が日吉まで乗り入れるようになり、さらに新横浜まで線路が延びて、そこから相鉄線で海老名や相模台まで行けるようになった。さらに横浜地下鉄が日吉につながっている。さて本日は往路は千代田線で明治神宮前で乗り換えたのだが、復路は日吉で目黒線に乗り換えて、溜池山王で千代田線に乗り換えた。こっちの方が少し早かった。目黒線には三田線も乗り入れている。ぼくは鉄道網というものが好きで、ひまな時は地図を眺めている。いま住んでいるところに引っ越したのも、JRの御茶ノ水駅に近いだけでなく、徒歩5分以内に地下鉄三線(千代田線・丸ノ内線・都営新宿線)の駅があり、10分歩くと銀座線神田駅、日比谷線秋葉原駅、半蔵門線神保町駅があるからで、どこかに出かける時に、どの線に乗るかを考える楽しみがあるからだ。いや、引っ越した時はまだ武蔵野大学に勤務していたので、通勤のことしか考えなかったかもしれない。いまの住居から通勤していたのは6年間だが、JR中央線は便利だった。快速が走っているから新宿までが近い。東京駅に行くのにも便利だ。孫娘は主に千代田線を利用していたけれども、すぐにJRにも慣れた。スイカというものがあるのでどこへでも行ける。外国人旅行者も鉄道を乗りこなしている。孫娘のスマホには英語版の鉄道案内が入っていて、最短の経路を即座に示してくれる。日本が観光地として人気があるのも、スマホで何でも検索できるようになったからだろう。名所や人気飲食店なども検索すればすぐに出てくる。さて、年末までスケジュールがぎっしりで、今年はなかなか浜松の仕事場に行けない。

12/11/木
35歳の時に専用ワードプロセッサを使い始めた。その直前に、玩具のようなパソコンを購入した。平仮名キーボードの練習のために購入したのだが、サラリーマンを辞めた時のわずかな退職金で仮名タイプを買って練習したので、ほぼブラインドタッチで打てるようになっていた。タイプライターは指の力で印字するので力が必要だったが、パソコンはスイッチを押すだけなので指が軽い。そのパソコンは玩具のようなものだったが、やがてウィンドウズ3.5が出た時に使い始めた。まだMS−DOSの上にアプリを載せたようなもので、時々何かの拍子にDOSの黒い画面が出てくるような過渡期の製品だったが、やがてウィンドウズ95が出て安定して使えるようになった。そのころまではノートサイズの専用ワープロを使っていて、パソコンはネット検索とプリンターの作動のために使っていた。当時のパソコンは電話線につながっていてファクスを送る機能もあったから、短い原稿はプリントする必要もなかった。やがて編集者もパソコンを使うようになったので原稿をメールで送れるようになった。ウィンドウズ98が出て、あとはとくに新たな機能みたいなものもなく、いまに到っているのだが、ウィンドウズは定期的に新しいものが出て、さまざまなホームページもそれに合わせるようになったので、いまぼくの使っているパソコンはほとんどネットには使わなくなっている。メールのやりとりと、原稿が書ける。それで充分で、ネットの検索はiPadで充分だし、会議にもiPadで参加している。ただこの機械は生活にも必要なので、そのうち新しいパソコンを買わないといけないとは思っている。まだ大学の教員をしていたころに、ウィンドウズ10が出て、これは大学の技術者が導入して、使いやすいように調整してくれたので問題なく使えたのだが、妻が使っているパソコンを見ると、ぼくがいま使っている旧い機種とはまったく違い画面になっているので、まだしばらくはこのまま仕事を続けたいと思っているのだが、いろいろと不具合が出ることもあって、そろそろかなとも思っている。35歳で専用ワープロを使うようになったのは、ぼくの人生で大きなエポックだった。それまでは書き直したり清書したりすることに時間を浪費していた。ワープロなら画面上で修正ができるし、プリントして赤字を入れて赤字だけ入力すれば完成原稿になる。歴史小説を書くようになると、歴史的事実の確認をネットに頼るようになった。ドストエフスキー四部作や『ディーバ』ではロシア語やサンスクリット語をネット上の辞典に頼ることになった。が、そういう大きな仕事も、もう終わりだと思っている。とはいえ手書きで原稿を書こうとは思わないので、あと一回くらい、新しいパソコンを買うか、二台を並行して使うということでもいいかなと思っている。

12/12/金
ぼくは終戦直後に生まれた。戦争を直接知っているわけではないが、父は出征していたし、母は空襲を体験しているので、戦争の残滓みたいなものはぼくにも伝わっている。それから高度成長の時代を高校生、大学生、サラリーマンとして体験した。そういう上昇気流みたいなものとともに自分も成長してきたので、世界はだんだんよくなっていくという楽観的な気分をずっともっていたのだが、気が付いてみると、世界は悪くなっていくように見える。まずは戦争だ。地域戦争みたいなものが各所で起こっているが、その背景として冷戦の雰囲気がずっと続いていて、しかも大きな潜在力をもっているように感じられる。いまも続いているウクライナの問題と同様の課題が、台湾にもあって、日本という国がぎりぎりのところで選択を迫られる日が近づいているように思う。一方で、人権、平等、世界平和といった、西欧のブルジョワ社会が築いてきた理念が、各所で崩壊して、衆愚の民衆によるポピュリズムの時代が復活しそうな気配がある。ナチスドイツや戦前の日本の民族主義は、民主主義の制度のなかから生まれたもので、民主主義というのは一足飛びに衆愚政治につながる危険性をはらんでいる。そういう時代にぼくたちは生きているのだなということを感じてはいるのだが、後期高齢者となったぼくはただ見守ることしかできない。孫娘と三ヵ月いっしょに暮らしたことで、いまの日本は貧しくはあってもいい国だということを実感した。食べ物がおいしい。これば大事なことだ。25年ほど前、ぼくがベルギーやスペインに時々行っていたころは、円の価値が高く、ブリュッセルもバルセロナもおいしいものが安くいただけると実感していたのだが、いまは円が安く、日本の食べ物が安価で美味だと評判になっている。経済が衰退しても飲食業界は厳しい淘汰のなかで、より安価で美味なものを提供しようと努力を重ねてきた。チェーン店やコンビニの激しい競争があっても、街中華とか、地域商店街などの個人経営の店も努力を重ねていて、それがいまの日本を造っているのだと思う。ただ孫娘が病院で研修を受けていたこともあって、日本の医療が充実していることは確かではあるが、地方病院の困難な状況がマスコミで報道されているのを見ると、一つの曲がり角に来ているかなという感じは伝わっいくる。ぼく自身が高齢者で医療のお世話になっているのだが、日本の政治は西欧に比べれば発想が遅れていて、公共機関が弱点をもっているように感じる。これをどうすればいいのかはわからないが、日本という国はいいところもたくさんある一方、各所で歪みを生みやすいシステムで構築されているようにも感じられる。

12/13/土
昨日のサースデーナイトの試合で、バッカニアーズがファルコンズに惜敗した。これはちょっとした事件だ。今シーズン出だしは快調でNカンファ南地区首位を走っているバッカニアーズが調子を崩して、これで7勝7敗となった。この南地区はブレイディーがいたころから、負け越しでも優勝、といわれるくらいレベルが低い。ブレイディーのあとを受けたメイフィールドがバッカニアーズを支えてきたのだが、同期のライバルのシーホークスのダーノルドに差をつけられている。同地区のパンサーズの今週の相手はまだ3勝しかしていないセインツだ。これに勝つとパンサーズは8勝6敗となって単独首位になる。3年前のドラ1QBのヤングが、初めてプレーオフに進出するのか。2年前のドラ1ベアーズのケイレブ・ウィリアムスとの対決が楽しみになってきた。さて本日は週末にもかかわらず武蔵野大学の文学賞高校生部門の授章式。ZOOMなので自宅にいるだけでいいのだが、受賞者2人と、選考委員の町田康さんと4人だけになってしばらく会話をしなければならない。ぼくの方が先輩なので司会みたいなことをやらねばならなかった。町田さんが少しはしゃべってくれたのでよかった。この文学賞はぼくが武蔵野大学の専任になった年に始めたもので、もう十数年続いている。ぼくは旺文社のコンクールの審査員もやっているのだが、今年の武蔵野大学の応募者のレベルは異様に高かったので、2作を選んだのだが、2人とも才能が感じられた。こういう意欲的な若者が応募してくれるというのは、文学の未来はまだ明るいのではないか。

以下は随時更新します


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