TATUYA ISHII CONCERT TOUR 2001
ZERO CITY -AQI-
ライブレポート PART 1
【オープニングは重苦しく】
会場へはいると、ステージにはHALのときと同様白い遮幕が下り、ZERO CITYの文字にピンクのライトが投げかけられている。遠くでラジオがガナっているような音がする。ホワイトノイズの向こうに、ハードロックのギターとDJのまくしたてる声がきれぎれに聞こえる(東京国際フォーラム公演では、きれぎれに聞こえてくるのは石井自身の歌声やコール&レスポンスであった)。どこか歓楽街のざわめきを遠くから聞いているような感じがする。開演直前、風がごうごうと音を立て、左右から吹く風が幕を揺らす。
やがて幕の中央が一部上がり、スターウォーズのヨーダを彷彿とさせる風体の者が登場する。尖った大きな耳に幅広のしわくちゃな顔、背が低く黒装束、帽子をかぶり手には杖("TONE"-ツアーグッズの香水-の意匠と同じ、巻き毛の羽のようなものがついている)を持ち、尻尾まである。悪魔なのか神なのか、いずれにしろ人外のものであることが知れる。
「(かん高くボイスチェンジされた声)ヘッヘッヘェ。さて、HALからAQIへと季節を移したゼロシティ。今回は、かのダンス戦争に勝利から30年後のゼロが舞台だ。平和を謳歌しているゼロシティにいったい何が起こるのか。それは見てのお楽しみ。目眩く時が流れ、堕落したゼロシティに未来はあるのか。それとも闇があるだけなのか。それは神のみぞ知る、か? それではゼロのセレモニーの開幕だ(呪文を唱える)♂∇∝★♂∇ホマニクホメラクセレモニーカ∝★◎⊆≒ゞコスップレチンキョゥコスップレチンキョゥ! ヘッヘッヘッヘッヘッ。(嗤いつつ去る)」
幕がおり、幕前に下手から男登場。
「こんばんわ、佐々木フランチェスコです。時は未来、無抵抗主義を謳ったゼロシティ軍は、壮絶な戦争のなか多大な犠牲を払うことになったのだった。しかし天の救いか、突然の大嵐によって世界軍に勝つことができた」(退場)
ナレーション(バックにテーマ曲)
それから30年、モンゴル草原に高い精神を以て建設されたゼロシティ。しかしゼロの民は、今や平和ボケしきった集団と化していた。ところがそこに遙かなる危機が訪れようとしていた。西暦2130年の紀元節の日、ひとりの男がやってきた。彼の名はサウス・ハルヲ、ゼロシティきっての予言者であった。彼の予言は百パーセントの確率で当たっていたため、その影響力はかなりなものであった。その予言とは…
(くぐもった声)三ヶ月後のイジリアン祭の前三日、白い光がゼロシティを覆い、生きるもの全てを消すであろう。その光は半径四百キロを焼き尽くし、さらにその後四百年間は草木も生えない不毛の地と化すであろう。
この予言はゼロの人々を震え上がらせるには十分なものであった。こうして新たな悲劇が起ころうとしているのであった。
【いよいよ開幕】
幕が上がる。ステージは背後からの緑のライトに浮かび上がっている。中央には白い階段、階段の上にはオベリスクのような塔が2本、HALのときは鉄骨を露わにさせていたその塔も、白く塗り替えられ美しい姿を見せている。左右の建物の壁も白く、戦時下であったHALの世界から一変している。
3連の♪ダ、ダ、ダ、ダダダ、というバスドラムが腹に響く。紫色のライトがセットを染める。重苦しいリズムの上に風の音、雄叫び、悲鳴がこだまし陰鬱な空気が流れる。と、さきほどの悪魔がよちよちと登場し、舞台を横切っていく。その冷笑的な口元がなんだかおそろしい。
かん高い雄叫びによってオープニングテーマが締めくくられると、♪なぜに愛はここで終わるのだろう、のメロディが流れる。【TRAUMA】の前奏部だ。同時にステージ上方の塔のところが明るくなり何かが上がってくる。ダンサー2人を左右に従え、大きな玉座に腰掛けた石井ビューティの登場だ。玉座の背後には大きな顔、その左目にはスコープが装着されている。それは見るもの全てを焼き払うレーザーガンのようだ。
石井の衣装は濃い青のロングコートに黒のベルト黒皮の手袋、軍服である。そういえばダンサーもドラゴンスレイヤーズも全員揃いの軍服姿、ステージの美しさと軍服、その対照が見る者を不安にさせる。
ダンサーに続いてステッキを手に石井が降りてくる。そのステッキを肩に担いだ姿で【TRAUMA】を熱唱。テナーサックスのイントロが始まると、会場は歓声につつまれる。【FOXY-危険な恋-】の始まりだ。♪おまえ〜だけだよ〜、で鞭のように腕を振るフリ、ダンサーのしなる身体が美しい。真似したいが隣の人を殴りつけそうなので自粛。
【Rain Song(新曲)】は石井のステージテク炸裂。低いトーンでうつむきかげんに歌い出し、中盤♪愛はいたずらに〜全てを流して〜、で伸ばした手を拳にして体に引きつける。そしてサビ(2度目)直前でひざまずき、♪Somebody
same me〜と熱唱! これでヤラレない客はいるはずもない。歌い出しで「え、なに」と引っ張られ中盤できゅーん、サビで撃ち抜かれる、という三段構成、おみごと!の一言。
オープニング3曲終わって、MCへ
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