Weekly Journal第1編集室21世紀・日本社会の器新時代への奔流富の配分編

      支流から奔流へ富の配分  

   〔正しい・・・公平な富の再配分〕  “国民主権”の戦略的展開が 新時代を創出!

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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード/                       編集長:  津田 真

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プロローグ    国民主権の戦略的展開 ≪富の配分編・・・≫     <推敲> 2005. 5.25
No.1 〔1〕 社会システムが生み出した“富という果実”の再分配分  2005. 7. 3
No.2       <今、何を為すべきか 2005. 7. 3
No.3 〔2〕 富は誰のものか...文明の進むべき理想の道! 2005. 7. 9
No.4 〔3〕 新・民主主義と...ポスト・資本主義の模索 2005. 7. 9
No.5      <生命のシステムを学ぶ> 2005. 7. 9

  

   国民主権の戦略的展開         house5.114.2.jpg (1340 バイト)

    ≪富の配分編・・・プロローグ

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“社会システム”が生み出した“果実である富”、」津田・編集長が、切り出した。「こ

“配分”については...“人権指数”で、すでに秋月茜さんと会話をしています。そ

れから、私は“編集長の一言”でも、“負け組の反撃開始”という事で、すでに我々と

しての立場を主張しています」

「はい!」茜が、身構えて、うなづいた。

「ともかく、この国で、“構造的な負け組”が創出され...努力しても報われない大多

数の国民が出現したことは、“明治維新”以来“未曾有の反動的政策”です。しか

も、その版図は益々拡大し、国民生活は日ごとに苦しくなっています」

「まさに、小泉・政権の、重大な“失政”ですね!」

「そうです...同時に、“国家主義”が台頭し、“富の寡占”も急速に進んでいいます。

  高杉・塾長...この“国家主義”と、“富の寡占化”の流れをどう思われますか?」

「うーむ...これは、しかし、世界的な傾向だと思います...第2次世界大戦後の、

“国際連合による世界体制”が、終焉を迎えようとしているのかも知れません...国

連改革も、常任理事国の“拒否権”などの横暴で、事実上、機能しなくなっています。

高い理想が失われた今、新しい統合的な調整機関が必要になっています」

「そうですわ!」茜が、言った。

戦略核兵器による、世界の冷戦構造が終結した今...」高杉は、緊張感のある微

笑を、茜に向けた。「もはや、先進国どうしの全面戦争などは、とうてい出来ないでしょ

う。そうであれば、“国家主義”、“大国主義”、“領土拡張主義”、などというのは、意

味をなさないのです...」

「そうですねえ...」津田が腕組みをした。「自他ともに認める先進国の日本で...

  “負け組”が創設され、“国家主義”が台頭し、“富の寡占”が進んでいる...これ

は、確かな事です。この民主主義の退行は、まさに時代錯誤もはなはだしいという事

でしょう。

  一方...共産党指導/資本主義体制という...基本的に矛盾をはらんだ人口

12億の中国が、経済成長と並行して、凄まじい“軍備増強”をしています...これ

が、しばらくはアジアの、そして世界の不安定要因になります。

  結局、周辺諸国や世界は、その軍事的圧力に対処しなければならなくなるわけで

す...結局、軍備拡張している国があると、それに付き合わざるを得ないわけです。

中国の覇権は、日本の経済的覇権と異なり、情報統制された共産党主導の覇権にな

るわけです。いったい、どういうことになるのでしょうか...」

「共産党の指導体制が、」高杉が言った。「はたして何時まで保っていられるのでしょう

か...」

「将来的には、どうなればいいと?」茜が、高杉に聞いた。

「“国家主義”、“大国主義”、“領土拡張主義”が、意味をなさないとなれば、ソビエト

連邦のように、中国もまた“分裂”すればいいのです。

  大きい所では、台湾...香港は体制が違いますね。そして、チベットは、明らかに

異質です。内モンゴルなども、問題をはらんでいます。その他にも、極端な経済格差

など、色々あるでしょう...」

「はい、」

「“国家主義”、“大国主義”が、もはや世界戦略において意味をなさない以上、それ

ぞれの民族、それぞれの文化でまとまっていけばいいのです。これはグローバル化と

は逆の流れになるものです...むしろ、反・グローバル化/地域文化の活性化を推

進するものです...

  だいぶ、脱線したようですね、」高杉は、津田に言った。

「脱線は、いつもの事です、」津田が、微笑した。

「しかし、“負け組”創設され、“富の寡占化”おこるというのは...経済の国際競争

や、中国の軍事力の拡大とは、関係のない話です。“負け組”が出現するという

自体、日本の民主主義の退行であり、文化の衰退であり、国家の敗北なのです

「まさに、その通りです!」津田が、唇を引き結んだ。「小泉・政権の、一連の“国民弾

圧の流れ”に対し...8割、9割の“負け組”はどう対処するべきるか...当然、座視

することはありえません...戦後60年間、曲がりなりにも、世界に冠たる経済大国・

技術大国を築き上げた国民です。それは、伊達や酔狂ではありません...」

「そうですね...

  ここは、“企業”“業界”が、結束して“組織的”に動くように、“国民”もまた、“シ

ビリアンコントロール”の確立のために、結束して行動する必要があります」

「はい。そこで、まさに私たちは、“国民主権の戦略的展開”を提言しているわけで

す。国民は、水田や畑のように、ただ大人しく、生産に明け暮れている存在ではない

という事です。この国の主権者として、理想社会建設のために、“戦略的に動く時”

いう事です」

「ふーむ...」高杉は、津田を見つめた。「うまく行きますか...」

「前にも言いましたが...私たち国民、一般庶民は...1人1人の力は、微々たるも

のです。しかし、それは“重力”のようなもので、まとまると宇宙をも支配する膨大な力

にもなります。また、国民1人1人は、“弱い光”に例えることもできます。しかし、弱い

光も、波長をそろえ、集束すれば、強力な“レーザー光線”になるのです...

  この、“重力”“レーザー光線”をアナロジー(類比)とし、この民主主義国家におけ

る、“国民主権の戦略的な展開”というものを、改めて考えてみるということです...

“権力側の国民弾圧”に対し、国民もまた“戦略的に主権を行使”する必要に迫られ

て来たという事です...これは、成功するでしょう...」

「うーむ...そうですね、」高杉が、言った。

「何度でも言いますが、“国民主権”の小さな力を、“重力”のように集めること...そ

れを、“レーザー光線”のように集束して、焦点を合わせる事です!

  この民主主義の総意による力は、国民が覚醒している限り、もっとも確かな正しい

方策だと、私は信じています。それが、“情報公開”“国民参加型”の、“新・民主主

義”原型になります...」

             

「はい!」茜が、赤いハンドブックを、片手で引き寄せた。「...“日本国民の覚醒

日本国民の総意”が、混乱した日本の社会に、“新しい秩序を”創出して行くものと思

います。過去を整理し、法的に清算し...“慣習法”を復活させ...夢も希望もある

“21世紀型”の、“新生日本社会”を築いて行くものと思います!

  私たちは、その意味でも、“ポスト・国連”、“ポスト・グローバル社会”、“ポスト・資本

主義”を考察し、人類文明の新しい枠組みを考察しています。これには、“資源・環境・

未来工学”を担当する堀内秀雄さんと協力することになります。

  堀内さんはすでに、 “人類文明の新しい形態”で、その分野の仕事をスタートさせ

ていますが、それと並行するものになります。どうぞ、ご期待ください!」

 

 

*********************************************************************************

  〔1〕 社会システムが生み出した“果実”

        【正しく、公正な、“富”再配分】 

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「ええ、秋月茜です...ここで、日本の現状を、少し整理しておきたいと思います...

 

  私は、担当する“人権指数”のページでも、“富の再配分の公平性”ということを

問題にして来ました。この問題は、国民1人1人の“人権”の問題と、深く関わってくる

からです。日本は、“国民が主権者”民主主義国家です。

  そして、ご存知のように、“基本的人権”“日本国憲法”によって、明確に保証され

ています。ところが、この“基本的人権”は、資本主義によって深く傷つけられ、その尊

厳を冒(おか)されています。

 

  実際に、日本では、経団連のような財界企業家が権力を握っています。金融破

銀行が国民に大迷惑をかけたにもかかわらず、銀行は国民に頭を下げもしない

状況です。その上で、ゼロ金利で、莫大な国民の富が、銀行側に吸い上げられ、破綻の

穴埋めに使われているわけです。

  さらに、“貸ししぶり”“貸しはがし”までやりました。また、スキミング偽造カード

で預金者が不当な被害を受けても、銀行側はその保証さえもしようとしない傲慢ぶり

です。

  まさに日本では、主権者でもない、単なるシステムである“企業”が、“膨大な権力”

を振るっています。さらに、“富の寡占化”を招き、構造的にも巨大な弾圧者の顔になっ

ています。

 

“主権者である国民”よりも、“企業”の方の“信用度”が高く、社会的

も優遇”され...まさに“主権者である国民を隷属化”しています。こ

こでも、資本主義が暴走し、まさに民主主義を凌駕しているのです...

 

  日本国憲法に照らし合わせても、この状況は許されません...“日本国憲法の

幹である国民主権が空洞化”しています。国民は、この事態に対し、率直に議論を開

始すべきです。また、何故“政治”は、この事態を、長年黙認して来たのでしょうか。

  重ねて言いますが...これほど、この国の“主権者”を、ないがしろにした話はあ

りません。何故、主権者でもない“企業”“財界”が、これほどまでに横暴な権力を行

使しているのか...これは、明確な憲法違反であり、自民党・長期政権の責任であ

り、重大な失政です...

  日本は、確かに資本主義社会を選択していますが、それは憲法で保証されたもの

ではありません。それ以前に、国家の基礎、枠組み、土台は、“国民主権”“民主主

義国家”なのだということです。“資本・主権”の国家ではありません...

 

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  国民は、この現在の事態に対し、もっと“怒り”を示すべきです。もっと、“社会正義”

を発信すべきです。最終的には、“ゼネ・スト”を組織してでも、この国に真の“主権”

“シビリアンコントロール”を確立すべきです。

  そして、社会システムが、相互作用によって生み出した“果実/富/ゆとり”を、

“主権者である国民”に、【正しく、公平に、再配分】するべきです。

  この国は、不景気だとはいえ、“十分に豊な国”です。国民全員に行き届く、“富の蓄

積”があります。主権者である国民は、その再配分を受ける当然の権利があります。

現在は、1部の人が、“富を独占”し過ぎているのです。ところが、小泉・政権は、逆にそ

“富の寡占化”を、強力に推し進めているわけです...

 

  “政治・行政”も、“富”が、主権者である国民に、【正しく公平に再配分】される様

に、全力を尽くさなければなりません。ところが、政治家や、官僚は、本来の与えられ

た仕事を忘れ、まさに私腹を肥やすことに明け暮れています。今では感覚が鈍化し、

国民から叱責されても、反応さえない有様です。

  それから、“勝ち組”“負け組”などという言葉は、本質的に不遜なものです。本来

そんな言葉は、あってはならないのです。また、“労働の二重構造”や、“新しい身分

差別”などは、明らかに反動的なものであり、民主主義の退化示すものです。

 

  1つ言い添えると...“労働の二重構造”は、同じ仕事をしているのであれば、まさ

“高い身分”に対し、別に“上乗せの賃金を支払っている構図”です。しかし、日本で

は、どんな組織であれ、“純粋な意味での身分の違い”は絶対に認めていない、皆が

平等の社会のはずです。それは、憲法の基本的人権によって保証されています。

  ところが、“労働の二重構造”は、日本の社会に“新しい身分差別”という、“インチ

な風景”を、公然と創り出し始めたのです。これもまた、“資本主義の暴走”と、反動

的な小泉・連立政権が作り出した民主主義の退行です。

 

  ともかく...“財界”主導“富の寡占化”などは、もっての他の事です。それは、

“国民の富”を、“強奪”しているに等しいものです。その上、“主権者である国民を見

下し、隷属化”させるものです。日本国民は、どのような形であれ、そんなこと承認し

た覚えは、一度だって無いわけですから...

  ましてや、企業が国際競争力をつけるために、国民に犠牲を強いるなどは、言語道

断、本末転倒な話です。民主主義国家にとって、“何が一番大切なのか”という本質

を、まるで分っていない政治家のすることです。

  今は、富国強兵の時代でも、大国主義の時代でもないのです。為すべきことは、“正

しい社会の器”を早急に取り戻すことです。それが、国力回復の最短の道です!

 

  小泉・政権の右より反動政策は、決して承認できないものばかりです...“企業

減税”をし、その分、実質“国民に増税”に転嫁する...“努力が報われない社会”、

“勤勉が認められない社会”、“優しさの失われた社会”...になってしまいました。

  こうして、社会から“慣習法”が失われ...国民生活は、日々、無味乾燥で、経済

的にも困窮し...時と共に、息苦しくなる一方です。まさに、昔の“ヤクザに支配され

た宿場町”のような有様です...“ヤクザ”“お代官様”が誰に相当するかは、およ

そ想像がつくと思います...

  この国は、実際に、国家の基幹部分で、“悪”“インチキ”が放任され、まさに“ヤク

ザの原理”で国政が動いています...法治国家において、政治が堂々と“悪”“イ

ンチキ”を承認し、それを実践して見せています...

  いったい、法の番人である法務省は、この“法体系の乱れ”に対し、何と思っている

のでしょうか...数年後に、裁判員制度が導入になるのは分りますが、その源流に

ある“法の乱れの大洪水”は、どう処理するのかと言うことです。まさに、緊急事態

す。ここでも、小泉・連立政権は、やっていることが本末転倒になっています...緊急

に必要なのは何か、ということです...

 

  これらは、いずれにしても、“自民党・長期政権”の、堕落した政治のなれの果てで

あり...“小泉・連立政権の重大な責任”であり...“野党も含めた政治全体の堕落

した姿”そのものです...

  政治が、“悪”“インチキ”を、堂々と呑み込むようになり、“国民の目を憚(はばか)

ない”ようになり...まさに、民主政治を自ら破綻させた姿です。“モラルハザード社

会”は、“清・濁を合わせ呑む”ことを前提とした社会の、当然の帰結です。

  この事態に対し、法の番人である法務省は、何故、そのつど、適切な手を打って来

なかったのでしょうか。ともかく今後は、“大洪水の後始末”が、大事な仕事になって

きます。その適切な処理が、次の時代の“法の信頼性”につながっているからです、」

 

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「茜さん、ありがとうございます...」津田が、軽く頭を下げた。「ともかく...

  小泉・政権による、一連の“国民負担・増”は、絶対に認めるべきではありません。

その前に、するべきことが“山ほどある”ということです。国家の基幹部分の、大々的

な外科手術は、“さけては前に進めない”ということです!」

「結局は...“維新”でしょうか?」茜が、首をかしげた。

「そうです...まさに、“維新”でしょう!

  “維新”と言っても、大きく構える必要はありません...まず、出来ることからスター

ればいいのです...“議員の世襲禁止”“議員年金の廃止”で、政治家は自ら

の政治姿勢を正すのが、政治の信頼回復絶対条件す...次ぎに、官僚の“天

下りの厳禁”、“徹底した行政改革”、“官と民の壁を無くす人事交流”...これらは、

行政の信頼回復絶対条件です。そうした過程から、“維新”の大車輪がゆっくりと回

り始めますのです...“天が、ぐらりと回って行きます”...」

「はい、」

「そして、時代は、“人類文明の第3ステージ/情報革命”の中で、“ポスト・資本主義”

、そして“新・民主主義”による理想社会の建設が動き出すわけです。

  日本は、“憲法9条の平和主義”を押し立て“独自の世界平和戦略”を掲げ、その延

長線上に、“地球政府”を創出する国際貢献をして行くということです...」

「はい、」

「さて...話を戻しますが...

  そうした国家の基幹部分/国家の屋台骨を再構築した上で...国家予算等が足

りないということであれば、為政者は、“主権者である国民”に申し出るべきです。国民

は、それではということで、“我慢”もするし、“努力”もするし、“増税”にも応じる心構

えもするということです。

  その“我慢”“努力”“夢”も報われる、“正しい社会の器/正しい国家の器”

創出することが、つまり“維新”なのです。明治維新に相当する、社会体制の大転換

であり、刷新なのです。

  これが、人類文明の第3のステージ、情報革命の中で実行して行こうと言うわけで

す...」

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「そうですね、」茜が言った。「いったい、この国を主導する政治家は、“主権者であ

国民”を、何だと思っているのでしょうか...“企業や財界が主権者”だとでも、思っ

ているのでしょうか...

  政治家や官僚は、その“ポチ”になってしまったのでしょうか...そうでなければ、

今さら反動的な、“富の寡占化”などが起こるはずがありませんもの、」

「うーむ...

  最大の力を持っているのは“官僚”でしょう...しかし、“政治家”のような腕力は

ないですねえ...それから、“マスメディア”というのも、どうも、“1つおかしいところ”

がある...ま、我々は、外部から傍観しているだけで、内部構造のことはほとんど知

らないわけですが...」

「そうですね、」

「しかし、日本のテレビ文化というのは...ますます“イヤミ”で、“苦いもの”になって

来ましたねえ...芸能やスポーツが、そもそもニュースであることがおかしいのです。

そうしたものは、スポーツ新聞やインターネットのホームページなどに限定された、趣

味の世界であるべきです。そして、ビッグイベントの場合は、特別に一般ニュースでも

取り上げられるという程度の、国民の選択に任せるべきなのです...

「かっては、そういうメリハリはきいていたと思います、」

「そうです...

  それが、今ではNHKでさえ、トップニュースが大リーグの松井選手の活躍だったり

するわけです。野球という、ゲームの上での活躍が、それほど重大事なのでしょうか。

他に重要案件は無いのでしょうか。まさに、この国は、“モラルハザード”、“文化の衰

退”、“新しい身分差別の出現”、“政治の右傾化”等で、全体が沈没しかけている状

態なわけですが...」

「何故、NHKは、動かないのでしょうか?」

「つまり...NHKには...視聴者として眺めている限り、“公共放送としての自覚”

は、ほとんど見当たらないと言うことです」

「うーん、どうしてなのでしょうか?」

「むろん、これは...頭が狂っているのではなく、“意図”したものです...しかし、何

故そうするのか、その“意図”が、国民には理解しがたいわけです...何故、ニュース

番組が、硬直してしまったのか。何故、松井やイチローだけなのか...本来の公共放

送の任務は、いったい何処へ消えてしまったのでしょうか...

  しかし、茜さん...“官僚や政治家やNHK”等に見られる、こうした“ねじれ現象”

を正すのが...あるいは、その“特権意識”を一掃するのが...実は、この国の“構

造改革の真髄”なのかも知れません...

  現在の、この状況下では、国民による“シビリアンコントロール”などは、無きに等し

いのです。したがって、国民の不満は、“支持政党なし”に鬱積(うっせき)して行ったわけ

です。ともかく、この状況は、変えなくてはいけません...」

「はい、」

「したがって...当面、国民としては...

  一連の増税国民負担増には、断乎応じられないということです。“穴のあいたバ

ケツ”に水を継ぎ足すのは、断乎拒否するということです。これは、決して、過大な要

求でも、不当な要求でもありません。むしろ、当然すぎる要求です。

  この程度の改革も、スッキリと断行できないのであれば、“正しい社会の器”が確

立しません。このままでは、社会全体に“信用破壊”が起こってしまいます。社会機能

がクラッシュしてしまいます」

「そうですね、」

<今、何を為すべきか...>       house5.114.2.jpg (1340 バイト)

 

「では、どうするかということです...

  うーむ...これは、何度も言っていることですが...まず、“国民が立ち上がる”

とです。この国に“シビリアンコントロール”を確立することです。公共放送である“NH

Kの解体再編成”を急ぐことです。同時に、まず、“消費者団体の連合体”“第2・公

共放送として認知”することですね。そして、そうした新しく参加してくる公共放送を、

“浄財”支援して行くということです」

「はい、」

「ともかく、国民1人1人が、声を上げて行くことです。それが、“新・民主主義”の時代を

切り開いて行くことになります。全ては、“国民・市民の覚醒”が、新時代を切り開いて

行く“カギ”になります...」

「できることは、全て実行して行くということですね」

「そうです...

  それから、“NHKの解体再編成”の中で、本来の公共放送に求められる任務の部

分を、個別に“独立の公共放送”として立ち上げて行くのはどうでしょうか。つまり、“民

主主義の牙城に特化した公共放送”...それから、“日本文化の守護神に特化した

公共放送”です。その事を、しっかりと推進するだけでも、膨大な事業になります。

  そして、それが良いものなら、必ず国民に支持されます。しかし、過去の柵を引き

ずった、歪んだものであれば、淘汰されて行きます...

  そうした、“シビリアンコントロル”の確立が、“維新”を引き起こし、“新・民主主義

社会”を実現する“芽”に育って行きます...

 

  いずれにしても、“新・民主主義社会”“国民・市民の参加型”です。そして、情報

革命の中で、“間接・民主主義”から“直接・民主主義”の比重を高めるものです。基本

戦略は、【情報公開】【国民参加型・評価システム】【正しい公正な富の再配分】です。

  むろん、これは“叩き台”として掲げたものであり、“情報公開”と“国民参加”の中

で、“理想的な社会の形”を創出して行って欲しいと思います...」

       wpeA.jpg (42909 バイト) wpe4F.jpg (12230 バイト)

「はい、」茜が、うなづいた。それから、支折の方を見た。

「私は、支折さん...一刻も早く、小泉・政治には終止符を打つべきだと思います

けど、」

「ええ、」支折が、うなづいた。「とにかく、今の政治は、デタラメですよね、」

“郵政改革”の問題もありますけど、ともかく、この“ふしだらな政治”/“ふしだらな

国民負担増”に、終止符を打つことが先決なのではないかしら。日をおうごとに、あら

ゆる事態が、悪化して行きます...

  “郵政改革”などは、“維新”の中で、何も柵のない状態で、スッキリと国民主権の

立場に立って、再構成すればすむことです...そこに、“利権”の入り込む余地な

ど、本来あってはならないのです...“新・民主主義社会”のもとで、全く新しくスター

トして欲しいと思います...」

「うーん...、“維新”の中でね、」支折が、うなづいた。「それが、いいんじゃないかし

ら...それに賛成します。“利権の絡んだインチキ”は、“維新・革命”の、“回天/天

が回る”中で、キッチリと排除して欲しいと思います。

  早く...透明な、“新・民主主義”の時代に入って行きたいですよね...」

「はい、そうですね...

  ともかく、この国は、“法治国家”なんだということを、再認識して欲しいと思いま

す。いいかげんな、乱れたことをやっていても、体系のバックグラウンドは、今もしっ

かりと機能していることを、忘れないで欲しいと思います。

  “必ず、法的処理がなされる”ということ..“悪事のやり得”は、絶対に許さない

ということ...いずれは、“法で厳しく罰する”ということを、社会にしっかりと明記

べきです。その“社会的約束”“社的保証”がなければ、“維新”も、絵に描いた餅

に終ってしまうのです。

  ましてや、“憲法改正”などは、まさに“カラ約束”“絵空事”になってしまいます。

今のようなな状態で、いったい誰が新憲法を守るというのでしょうか...その“約束と

保証”の領域が、腐ってしてしまっていては、まさに額に入れて飾っておく以外に、何

の使い道はないわけです...」

「はい...」支折は、ミケの頭をなで、うなづいた。

 

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   〔2〕 “富”は誰のものかwpe7C.jpg (48861 バイト)    index.1019.1.jpg (2310 バイト)   wpeB.jpg (27677 バイト)

    ・・・・・ 文明の進むべき理想の道 ・・・・・

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「政治・担当の青木昌一です...ええ、ここは一応、私が準備しました...

  “富は誰のものか!”...この言葉は、秋月茜さんが、“編集長の一言”で、<編

集長・代理>として...使われた言葉ですね...」

「あ、はい...」茜が、ノートパソコンから顔を上げた。「そうです、」

「ええ...

   社会システムが、その相互作用で生み出した...“果実/富/ゆとり”...これ

は誰のものか...本当に、誰のものなのでしょうか?

 

  “近代・民主主義のパラダイム”の中で...“共産主義”“資本主義”が、世界を

二分して争い...これに、1つの結果が出たかに見えました。しかし、勝ち残った資

本主義体制のもとで、“資本の暴走”が始まり、“巨大な投機マネー”が暴れ、“資本が

民主主義を凌駕”し...これは、人類・万民のために役立っているとは言えません。

むしろ、弊害が顕著になっています...そこで、“ポスト・資本主義”が課題として浮

上しました...

 

  “富”とは、そして“資本”とは...本当に、誰のものなのでしょうか...“民主主義

のパラダイム”においては、それはやはり、“民衆”のものなのではないでしょうか...

  あ、それから...1つ言い添えておきます...私たちは、“21世紀/人類文明の

第3ステージ/情報革命”においても...依然として、この“民主主義というパラダ

イム”は堅持して行くつもりです。当面、人類の“文明史的な大艱難の時代”を、民主

主義のもとで乗り切っていくことを、前提とします...

 

  ...ええ、秋月さん、こういうことでいいでしょうか?」

「はい...“民衆が覚醒している限り”...“民主主義というパラダイム”は、一番間

違いのない社会システムだと思います。ただし、日本と世界の現状は、“民衆の覚醒”

ということに関しては、大いに不満があります。

  ただ、それがいわゆる...“民主主義の第2段階”...“新・民主主義”になるの

だと思います...“新・民主主義”では、“民衆の覚醒”が第一であり、絶対条件にな

ります...」

「では、了承していただけると言うことで、」

「はい、もちろんです!」茜は、頭を下げて、うなづいた。

「ありがとうございます...さて、それでは、話を戻しましょう...

  ええ、“富は、誰のものか”...少なくとも...“富”は...いわゆる“勝ち組”が、

独占していいものではありません...ここは、“民主主義のパラダイム”のもとで、“シ

ビリアンコントロール”して行くべきものでしょう...

  したがって、現在あるような、支配階級の独占物ではないということですね...

産・流通・小売という“企業システム”は、確かに生産性を向上させ、社会を豊にする

のに貢献しています。しかし、“消費者/民衆”があっての生産性の向上であり、“企業

ステム”だけが単独で、消費社会を支えているわけではありません。

  それは、あくまでも、社会における相互作用なのです。したがって、“富”“企業シ

ステム”に偏在し、“富の寡占化”が起こるようであれば、それは正しい姿に修正しな

ければなりません。“民主主義のパラダイム”においては、“富は主権者である民衆の

もの”であり、豊な社会とは、“民衆が潤う”ことです...“企業が潤う”のは、筋が違い

ます...」

「その通りですわ」茜が言った。

「津田・編集長は...“編集長の一言/負け組の反撃開始”で、“ビールの不当な

値上げ”に対し、“消費者が戦略的に、“ビール会社を1つぶっ潰す”ことを提案してい

ました。これは、“生産者”に対する“消費者の反撃ということですね。確かに、これは

正しい方向だと思います。

  “民主主義のパラダイム”における“主権者/消費者”は、“富の配分”に関して、

もっと大幅に権利を主張すべきです。一方、企業システムは、あくまでも方便(目的のため

に使する、便宜の手段)であって、“主権者である国民を隷属させる”などは、基本が間違って

います。日本国憲法にも、明確に違反しています...

  この“憲法違反”という言葉を、法の番人である法務省は、どう受け止めているので

しょうか。“憲法違反”“モラルハザード”を、そして洪水のように社会に溢れた“犯

罪”を、法務省はいったいどう処理するつもりなのでしょうか。

  死んでしまった犯罪被害者は生き返りません。傷ついた犯罪被害者は、傷が癒え

ない事もあります。倒産してしまった会社は、元に戻らないと言うこともあります。“時

間は取り戻せない”のです。ですから犯罪被害者は、せめて、“正しい法の裁き”を求め

るのです...なぜなら、この国は、“法治国家”だからです。そして、それを信じている

から、この国が成り立っているのです...」

「そうですね...法務省は、“裁判員制度の導入”もいいのですが...法の網がズタ

ズタに引きちぎられて行くのを、黙って眺めているつもりなのでしょうか...」

「少なくても憲法には...」青木が言った。「“企業”“資本”が主権者だとか...

“官僚”“政治家”が主権者だとかとは、書いてないわけです...そんなことは、何

処にも書いてないのです...

  しかし、日本の現状は...“資本の原理”から派生した“権力”や、“富”を核とした

企業システムが...“国民を隷属化”しつつ、“膨大な権力”を振るっているのが実態

です...

  民主主義国家の土台である“基本的人権”企業システムが大幅に侵食している

のです。資本主義は、もともと極めてダイナミックなものであり...悪く言えば、行儀が

悪く...それゆえ、手綱を緩めると、“経済原理で全てを支配”してしまう傾向があり

ます。

  もちろん、良い面もあるわけですが、“支配”という“権力”を持つことが、大問題なの

です。もともと、主権者でもなく、選挙権もない企業が、経済原理で全てを支配すること

が、国家の大問題なのです」

「ええ...はい...」

 

        house5.114.2.jpg (1340 バイト)      wpeA.jpg (42909 バイト) 

NHKをはじめ、マスメディア全体も、結局、この“資本の原理/経済の原理”に侵され

たわけです。そのために、“文化の原理”が駆逐され、“慣習法”“伝統文化”“日

本の精神”が衰退して行ったわけです。

  政治を担う政治家や、行政を担う官僚も同様です。“私腹を肥やすこと”が全てにな

り、本来の政治や行政を大きく歪めて来たわけです...そして、まさに自分が、“一切

れのパン/一杯のワイン”を余分に飲みたいがために、この国に“モラルハザード”

引き起こしてしまったわけです。まさに、醜態です...

  本来、“資本の原理/経済の原理”という暴れん坊を押え、“正しい社会の器”を守

るのが、政治や行政の役目です...しかし、“悪代官”のように、悪事が当り前になり、

本来の感覚が麻痺してしまったのです...」

「でも、」茜が、胸に手を置いた。「これは、世界的な傾向なのではないかしら...国

際的な投機マネーもそうですし、共産党主導/資本主義体制の中国でさえ、汚職が

し、体制を揺るがすほどにまでなっています...」

「そうですね...

  もはや、資本主義もまた、“万民に夢を与える力”を失ったと言うことでしょう...ダ

イナミックな側面があり、確かに強者は“1人勝ち”が出来ます。しかし、“民主主義の

パラダイム”のもとで、“1人勝ち”でいいのか、ということです...

  すでに日本では、“物”から“心”へ、価値観がシフトしつつあります...やはり、

本主義の終焉/ポスト資本主義の時代に入ったんだと思いますね。折しも、“第3の

波/情報革命”の爆発的なスタートで、人類文明は“第3のステージ”に入りつつある

わけです...

  ええ...秋月さん、こういうことでいいでしょうか。秋月さんの意見を参考に、私とし

ては、ずいぶん長く話してしまいました...」

 

                 

「あ、はい、」茜は、ノートパソコンのディスプレイを、スクロールした。「そうですね...

青木さんの説明で、ずいぶん理解が深まりました...参考になることも、多かったと

思います」

「政治・担当者として...少し別の角度から切り込んでみましたが...」

「ありがとうございます...

  ええ、確かに、“資本主義の終焉”が見えてきたと思います。共産主義も、資本主義

も、非常に優れたものです。しかし、結局は、その歴史的な運用において、また歴史的

なデザインにおいて、“間違い”があった...“矛盾”が拡大し“袋小路”に入り、理想

の社会を実現する術(すべ)を失った...と言うことではないでしょうか...

  それゆえに、“21世紀/人類文明の第3の波/情報革命ステージ”に入った今、共

にその時代的な役割を終えて行く運命にあります...

  ソビエト連邦の解体により、共産主義社会が、“1つの終焉”を迎えたのは、ご存知

の通りです。“何が間違いだったのか”...これは、あえて私の口からは申しません。

それこそ、その方面の論客が、言いたいことが、山ほどあるでしょう。そうした議論は、

その方々に譲ります...

  さて、そこで...勝ち残ったはずの資本主義社会ですが...こちらの方も、実は、

無傷ではすまなかったわけです...冷戦構造が終結し、緊張感のタガが緩んだせい

で、世界は“平和の配当”に預かるのではなく...即、各地で“様々な紛争”が、頭を

持ち上げて来たのが実態です...宗教対立/民族対立/過去の歴史的な恨みの

数々...また、それをあおる人々や、集団や、国家政策もあるわけですね...

  一方、そうした中で、グローバル化がますます加速しました。そして、投機マネー

暴走し始めました。世界には、“巨大な富の塊”と、アフリカのような“巨大な貧困の

塊”が出現し、世界の混乱を加速させています。こうした風景を眺めるにつけても、明ら

かに資本主義体制が終焉しつつあることを印象付けます...

  この体制のままでは...弱肉強食、自然淘汰、生態系の中での摂理は保たれま

すが...何故、人類文明が発祥したのかという意味が失われてしまいます...私

たちが、長年かけて築き上げてきた、“豊な文化”とは何だったのかということです。

社会システムが作り上げた、“科学技術文明”“富/ゆとり”は...いったい、何の

ためだったのかということです...」

  青木が、黙ってうなづいた。

「私たちは、それから...

  “人類文明の第3ステージ”をデザインする中で...“グローバル化”という、文明

の巨大な流れも、“見直すべき”だと考えています...これは、ひたすら国際化してき

た人類文明の、ターニングポイント(折り返し点)になるものです。

  これまで、人類文明は...無限の空間に対し、欲望のままに拡大してきました。車

や、飛行機の発達がいい例です。しかし、これからは文明全体のデザインが必要だと

言うことです。地球生命圏の、環境との対話が不可欠だということです...」

「やはり...」青木が言った。「“脱・グローバル化”“脱・車社会”の、“ポスト・資本

主義”が、次のステージでしょうか?」

「そうですね...

  他にも、基礎的な問題は、まだまだあると思いますが、とりあえずは、そうしたことが

条件になるでしょう...

 

  くり返しますが...戦略核兵器下の冷戦構造が終結し、“20世紀という1つのメル

クマール(目印/指標/標識)の時代”が終ったのだと思います...そして、それは単に、

共産主義と資本主義の時代が終焉し、“ポスト・資本主義”の時代がやってきただけ

ではないということですね。

  そこにやってきたのは、“第3の波/情報革命”という大波だったわけです。人類文

明が、文明としての、巨大な“第3ステージ”に入りつつあるということです。“第1ステ

ージ/文明の曙”、“第2ステージ/産業革命・戦争・核兵器”...そして“第3ステージ

/情報革命”が、いよいよ21世紀と共に、爆発的にスタートしたいうことです。

 

  20世紀は、アインシュタインの“特殊・相対性理論”で幕を開けました。その、“特

殊・相対性理論”が提唱された1905年は、奇しくも日露戦争の日本海海戦の年と重

なります。その20世紀の始まりと共に、日本も極東アジア辺境から...惰眠を貪って

いた中世・江戸時代から...一気に世界の列強に参入して行ったわけです。

  20世紀は、それから、“一般・相対性理論”“量子論”の時代へと、ダイナミックに

推移して行きます。そして、それらの理論から導き出された“原子爆弾”が、広島と長

崎に投下され、第2次世界大戦が終結します...

  日本にとっては...“劇的に、世界の列強に参入することで20世紀がスタートし、

量子論による原子爆弾で、その野望が砕かれる...”という...まさに“夢を見/そ

の夢から醒めたような、激動の時代”だったわけです...

  また、初めて...海外に陸軍を展開し、“植民地政策をした時代”であり...これ

もまた、初めて、“他民族に対し、多大な迷惑をかけた時代...”でもあったわけで

す。そして、それは、国民にとってもまた、過酷な戦争だったわけです...

 

  でも...敗戦後は、メルクマール(目印/指標/標識)となる、“良き昭和の時代”を創

出しました...この半世紀の間は、全日本史の中においても、特筆すべき、“夢のよ

うなの平和と繁栄の時代”でした...

 

  もはや、地球は狭くなり、このように時代は二度と来ないでしょう...では、どんな

時代が来るのでしょうか...」

「うむ...どんな時代が来るのでしょうか?」青木が、たたみかけて、茜に聞いた。

「難しいですね...

  21世紀に爆発的にスタートした“情報革命”は、人類文明を、“第3のステージ”

シフトしつつあります...それは、“ヒトゲノムの解読”という、まさに情報革命の時代

にふさわしい、巨大科学によってスタートしています...20世紀における相対性理

と同じなのです...この“ゲノム解読”により、生命科学は飛躍的に進歩するでしょ

う...」

「すると...21世紀は、ゲノムがカギになるのですか?」

「間違いなく、カギの1つです...

  でもそれは、“量子論”核爆弾を生み出したように...“ゲノムの解読”は、“神

の領域に踏み込む”という、大きな不安を抱えています...“第3ステージ/情報革

命”の舞台は、遺伝子操作・生命操作の時代に足を踏み入れて行くことにもなるので

す...

  それは、果たして、人類を幸福へ導くのでしょうか...“知り過ぎた不安”、“知り過

る不幸”...というのもあるわけです。このステージでは、地球生命圏/生態系/

命...そして“生命倫理”というものが、非常に大きなテーマとなって来るでしょう」

「ふーむ...」

 

              wpeA.jpg (42909 バイト)          

 

「ええと...言いたいことは、色々あるのですが...」茜が、赤いメモ帳を押えた。「こ

のぐらいにしておきます...ここでは、“富は誰のものか”、という話ですね、」

「そうですね、」青木が言った。「さて、“富”の話に戻りましょう...

 

       “富を、どのように再配分するか・・・”

 

  これは、政治においても、最大の課題の1つです。どのような、再配分が最適なの

でしょうか...これは21世紀型/“新・民主主義社会”の創出においても、重要なポ

イントとなってきます。

  つまり、“文明の進むべき理想の道”は、どういう社会形態がいいのか、ということ

です...この間、  編集長の一言 で、秋月さんから、“ポスト・資本主義”という課題

が提唱されました...まさに、これは、“第3の波/情報革命”の津波の中で、大上

段に構えた議論になりそうですね。

  秋月さん、そのガイドラインは、どのように描いている訳ですか?」

 

  〔3〕 新・民主主義”と・・・

          “ポスト・資本主義”の模索・・・

            wpeB.jpg (27677 バイト)

 

“民主主義”と“資本主義”ダブルスタンダードの優位性は、

 

「はい...」茜は、スーツの襟元に手をかけ、青木の方にうなづいた。「まず...

  人類文明にとっては、“持続的経済成長”よりも、大切なものがあります...それ

は、今後の“人類文明をどうデザインして行くか”ということです...“持続的可能な

経済成長”という論理では、この“文明史的・大艱難の時代”を、乗り越えて行けない

のではないでしょうか。

  そもそも、ここに間違いがあります...私たちが、好むと好まざるとに関わらず、激

動の時代が必ずやって来ます。現在の社会体制の延長線上には、人類の明るい未来

は描けないと言うことです。このことは、ほとんどの人が、実際に感じていることだと思

います。人類文明の再構成も、日本の社会体制の“維新”も、不可避なのだと言うこと

です。

 

  これは本来、“未来工学”の堀内秀雄さんの担当する領域ですが...“人権”

“富の再配分”の観点からも、いよいよ“人類文明のデザイン”が、大問題になってき

ました。まさに、差し迫った課題になってきたということです。そのためにも、今の“陳

腐化”してしまった国連組織にとって代わる、“地球政府”が必要となってきます。

  共産主義が終焉し、資本主義が生き残り...現在は、民主主義と資本主義の“ダ

ブルスタンダード”の時代です。しかし、本来“ダイナミック”“行儀”の悪い資本主義

は、巨大な“投機マネー”となって、人類文明にとって大きなマイナス要因となってき

ました。

  生き残った資本主義が、“投機マネー”というモンスターを生み出し、民主主義社会

を凌駕し、暴れ回っているのです...しかし、この“モンスター”は、“民主主義の原

理”によって、処理しなければなりません。それが、“ポスト・資本主義の模索”になり

ます...つまり、文明の第3ステージで、そこにふさわしい“新しい価値システム”

構築しなければならないわけです...

 

  同時に、民主主義システムも、“新・民主主義”に脱皮して行く必要があります。これ

は、私たちの定義している、狭い意味での“新・民主主義”ではありません。文明の歴

史全体を視野に入れた、第3ステージの社会形態を創出するということです...」

「うーむ、なるほど...」青木が、眼鏡の縁に手をかけた。「理論派の秋月さんとして

は、忙しいことになりそうですね、」

「はい...

  でも、高杉・塾長もいますし...津田・編集長もおりますわ。それに、青木さんた

ちも、」茜は、青木に媚びてみせた。

「はっはっ...私は、理論的なことは苦手です」

「ともかく...」茜は、肩をかしげた。「課題が大き過ぎて、私の手には余るものです。

そこで、分る所から始めようと思っています。

  当面は、如何に“富という栄養分”を、社会へ還流し、社会全体が豊でダイナミック

に波動して行くかを考えてみます...」

「そうですね、」

「現在の日本は、まさに混乱しています...

  “国民主権”国家の中で、“企業”“資本”が幅を利かせ、“主権者”が弾圧に等

しい仕打を受けています。さらに、“新しい身分差別”が起こり、“富の寡占化”の流れ

が加速しています。いったい、誰が、“こんな事態を画策”したのかを、しっかりと見極

める必要があります...」

「うーむ...

  日本は...“官僚・絶対優位性”の社会が、長い間続いてきました。やはり、カギ

は、そこでしょう...かって、支配階級は“貴族”であり、それから“武士”に移り、明

治以後は、いわゆる“官僚”であり、“役人”なったわけです。この“官の支配”は、まだ

強烈に、脈々と生きているという事でしょう...

 

  国民には、“知らせず/遠ざける”と言うことで...いわゆる“国民の声”が、全ての

政策形成の段階から排除されてきたわけです。“お上”の言うことは、“絶対”と言うわ

けです。これが、戦後民主主義の中でも、ずっと脈々と生き残り、この国に“官・民格

差”を形成し続けてきたのです。それが、官の支配”だったのです...

 

  ところが、ここ10年か20年ぐらいでしょうか...国民意識としても、急速に“官・民

差”が無くなって来たわけです。国民は、“役人”というものを、自分たちと“同レベ

ル”のものとして見るようになった...“官僚”としては、そのことに非常な危機感を感

じたのでしょう...

  “政治家”“マスコミ”を巻き込んだ“新しい身分差別”創出は...オブラートで

包んだようなもので...これは、“官僚が仕掛けた反動政策”でしょう...“富の寡

占化”も、この国の大企業や富裕層を巻き込んだもので、オマケけのようなものです。

しかし、こんなシステムは、極めて不安定で、長続きしません。まさに、テロや混乱を招く

ものです。私は...こう見ていますがね...」

「ふーん...政治・担当者の嗅覚ですね...そうかも知れませんね...こんな、“大

それたバカ”をやるのは、考えてみれば、“官僚”以外には思い当たりませんね」

「そうでしょう...

  “政治家”は、1人1人は立派なことを言いますが、合計してみると、あの有様です。し

かし、政治家というのは、“バカ”はやりますが、考えることが単純政治的腕力が効

いているのが特徴です。マスコミ人も、“バカ”をやりますが、必ず世間を意識していま

す。良きにつけ、悪しきにつけ...その意味では、安心でもあるのです...

 

  しかし、現在、“日本の中心で起こっているバカ.../新しい身分差別の創出/

労働の二重構造/国民への一方的な負担の押し付け/上から下へ拡大したモラル

ハザード...”は、極めて陰湿であり、弾圧的であり、世間というものを完全に無視し

ています。これは、“官僚が仕掛けた臭い”がします...

  “全体の大きさ/アホらしさ/図々しさ”も...“天下り構造”や、“官制談合”や、

“厚生官僚の一連の汚職”等に見られるものと、同質のものです。おそらく、“官僚”

が、その筋の合意を取り付け、線を結んで行き、輪が完成したのでしょう...

  これは、確かに、秋月さんの言うとおり、政治・担当者の嗅覚かも知れません...

まあ、あくまでも、想像ですがね...証拠はありません...」

  茜は、かすかな笑いを浮かべて、深くうなづいた。

「でも、誰かが仕掛けたのは、間違いありませんわ...この、現実が、目の前にある

わけです...」

「その通りです...まさに、その通りなのです...

  私などは、“官僚嫌いのDNA”を、持って生まれたのでしょうか...何故かは分り

ませんが、“生まついた時から”“理屈ぬきに”官僚というものがが嫌いです。ところ

が、こうした人は、案外と多いのです。“日本人の官僚嫌い”は、そういうわけで、非常に

根深いものがあります。“官の支配”と言うのも、つまり、それほど根深いものがあると

言うことでしょう...」

「よく分りますわ!」茜が、首を斜めにふった。

「それに対抗できるのは、やはり、国民の“シビリアンコントロール”でしょう。国民の

批判は政治家に集中していますが、“もっと巨悪”が、その陰にいて、国民の批判

晒されていないという事です。ここに、デモ行進などで、直接圧力をかけることが、必要

になってくるかも知れません...ともかく、自浄作用が機能することは、期待できませ

ん。しかし、彼等も、主権者の“シビリアンコントロール”の下には、あるわけです」

「そうですね...ええ、今回は、官僚に話が集中しましたが、しだいに“コトの実態”

いうものが、見えて来たと思います...

  さて、話を戻したいと思います...」

「はい」

「ええ...私たちは、“ポスト・資本主義”を準備しなければならない時期に来ていま

す。では、それは、どのようなものになるのか...高杉・塾長は、理想は“生命システ

ム”だと言われていますね?」

 

<生命のシステムを学ぶ>   

       house5.114.2.jpg (1340 バイト)  wpe4F.jpg (12230 バイト)  wpeB.jpg (27677 バイト)

「ああ...はい...」高杉は、窓辺でコーヒーカップを片手に持ち、支折と話してい

たが、茜の方にうなづいた。それから、ゆっくりと窓を離れ、作業テーブルの方へ歩い

て来た。

「お願いします、高杉・塾長...」

「うむ...そうです...ヒントは、そこにあると思います...」高杉は、歩きながら、茜

にうなづいた。「何度も言うことですが...

  この“エントロピー増大(熱力学の第2法則)宇宙”の中では...構造を維持・進化させる

ことのできる方法は...“たった1つ”しか観測されていません...それは、外部か

らエネルギーや組織体を取り入れ、エントロピーを排泄するという方法です...人類

文明が、この世界で確認しているのは、唯一、このシステムだけなのです...」

「はい、」茜は、作業テーブルのそばに来た高杉を見上た。

  高杉は、茜を見ながら、椅子を引いて腰掛けた。

「これは“新陳代謝”の風景ですが...“生命活動”そのものの姿です...」

「はい...」

“生命”とは、“そのことの連鎖”なのです。この、エントロピー増大宇宙の中で、“何

故、このようなシステムが存在するのか...”、それは分りません。しかし、そこに

“命”が眼前し、“認識”が発現し、そして“私が私であり続ける”のです...

  “私が私であり続ける”には、エネルギーを取り入れ、エントロピーを排出し続ける

必要があるのです。この世とは...“私とい鏡”に映った“夢の世界”でもあるわけ

ですから」

「...」茜は、黙って、うなづいた。

“生命システム”とうのは...まさに奇跡的に...まさに、神が創り出した創造物

なのでしょう...実に良く出来ています...それに、底知れないほど、奥が深い...

しかし、何故、エントロピー増大が支配する宇宙に、こんなシステムが出現しているの

かは分りません...が、ともかく、我々が学ぶべき、最高のシステムです...」

「はい、」

「さて...では、どう学んだらいいのか...

  社会システムを、文化的で、豊に、ダイナミックに波動させるには...“富”を人体

に流れる血液のように、まんべんなく循環させるのがいいのでしょう...例えれば、

血液を一部の臓器だけでが独占してしまっては、人は病気になり、衰弱してしまうわ

けです。

  “富”も、“正しく公平に再配分”されなければなりません。“独占”、“寡占”、“私物

化”は、ガン細胞や、外部からの異物の侵入と同様に、社会そのものを弱体化させ

ます...これには、社会システムそのものが、防護機能を発動し、適切に排除しな

ければならないわけです...

  つまり、人体においては、こういう場合は、“自然免疫機構”が反応します。ちょっと

専門的になりますが...

 

  マクロファージ樹状細胞などの食細胞が、“サイトカイン”と呼ばれる一群のシグ

ナルタンパク質を分泌しますね...これらが、炎症反応を引き起こすわけですね。“サ

イトカイン”は、それから“適応免疫機構”B細胞T細胞等も活発化させ、異物を排

除するわけです...

  私たちは、日本の社会において、“自然免疫機構”“適応免疫機構”という、二重

の免疫機構を発動し、国家のガン細胞や様々な疾患異物を、徹底的に排除しなけ

ればなりません。官僚組織も、いったんは解雇し...それから、再構成が必要になる

かも知れません...

  行政組織も、主権者の“シビリアンコントロール”の下にあるのだという事を、しっか

りと明記する必要があります。それが、津田・編集長たちがずっと主張してきた、“維

新”なのではないでしょうか、」

「まさに、その通りです!」津田・編集長が、むこうのテーブルで、高杉に強くうなづい

た。

「あ、塾長...話は違いますけど、」支折が、前髪をかき上げた。「“全身性エリテマト

ーデス/SLE”という...自己免疫疾患がありますよね...この間、塾長が話して

いました...あれはどうしておこるのかしら?免疫系の暴走だと聞きますけど...」

「うーむ...“全身性エリテマトーデス”...ですか...

  確かにあれは、免疫系の暴走だが、原因は何かと聞かれると、難しい...だから、

いわゆる、免疫系の暴走なのでしょう...」

“女性に多い”んですよね、」

「そうです...女性の方が、10倍も多い...

  まあ、女性は子供を産む関係上、免疫系が強化されているからでしょう。それだけ、

防御が硬いわけです。したがって、調整も難しいということでしょう...

  ま...“全身性エリテマトーデス”の話は、ここで話すには、テーマが大きすぎる。別

の機会にしよう」

「あ、はい。すみません」支折がうなづいた。

 

“行政機構/官僚組織の解体・再編成”は...」津田が、作業テーブルの方にや

ってきながら言った。「日本再生キーポイントになります...まさに、それが、良くも

悪くも、“今日の日本”を作ってきたわけですからねえ...

  “郵政”もそうですが、様々な功績は認めますが、そろそろ再構成する必要がありま

す。ともかく、“維新”を断行しないことには、国家の全システムが、立ち行かなくなって

しまいました」

「そうですね!」青木が、強くうなづいた。

                                        

 

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