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       iPS細胞時代のスタート (U)  

 
  
  
         〔iPS細胞/人工多能性幹細胞の基礎知識〕

 
     
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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード          担当 : 外山 陽一郎  /厨川 アン 

  INDEX                         

プロローグ              ...今年の夏は、嵐の前の静かさ...  2008. 7.28
No.1 〔1〕 再生医療への ・・・道・・・ 2008. 7.28
No.2        <日本での法的な準備・・・> 2008. 7.28
No.3        <再生医療を患者へと導く ・・・水路・・・>   2008. 7.28

      

 

        プロローグ            

                              

「また、暑い夏がやって来ました...里中響子です...

  ボス(岡田)と同じで、私も8月生まれです。夏は大好きな季節です。毎年恒例で、夏は

軽井沢・基地で静養しておりますので、今年も来てしまいました。私ひとりなら、別に問

題はないのですが、今年は外山陽一郎さんと、厨川アンにも来ていただきました。

  そういうわけすので...《iPS細胞時代のスタート/T》に引き続いて、《iPS細胞

時代のスタート/U》は、避暑地・軽井沢でということになります。私のささやかな我儘

を、どうかご容赦願います。あ、お二人の方も喜んでいますよ。それに、折原マチコさん

秋月茜さんも、すでにやって来ています。軽井沢・基地は、久しぶりに賑やかになりそ

うですね...

  去年の今頃は...2007参議院選挙の真っ最中の、7月16日/“平成19年・

新潟県中越沖地震”が発生しました。去年の夏の軽井沢は大混乱でした。私たちも“東

京電力/柏崎刈羽原発”の、震災=重大事故を受け...《脱・原発へ舵を切る

それからページを分割して、《極楽浄土のインフラ建設/宗教における第4の道》と展

開し、本当に大忙しでした。

  去年の夏と秋は、そうした中で過ぎて行きました。気がついた時には、もう立冬の季

節に入っていました。そうした状況に比べると、今年は静かな軽井沢が戻っています。で

も、ガソリンの高騰・・・マスコミ文化の凋落・・・行政システム全体の空洞化・・・政治の不

在・・・で、日本丸を失いつつあります。

  まさに、嵐の前の静けさでしょうか。いよいよ日本も、そして世界も...“文明の折り

返し”が迫っているのを感じます...」

 

《危機管理センター》を預かる者として、総合的に考慮すると、【日本版/ニューディ

ール政策】を執行すべきだと思います...

  日本も、〔維新・前夜〕の世相です。自民党“潔くない大政奉還”・・・“長期的/国

家戦略の希薄な野党連合”・・・その中で、“新しい政治の波”を、国民は期待している

のではないでしょうか。でも、それが、ギャンブル資本主義を超えた、〔21世紀・維新〕

になるかどうかは、これからの国民の動向/世界の中の日本人の動向にかかっていま

す。

   《危機管理センター》としては、真に安定した社会を実現するために、〔人間の巣の

パラダイム〕=【日本版/ニューディール政策】を推進したいと考えています。“万能型

/防護力”をもつ〔人間の巣〕が、感染症も含めた総合的対策になるからです。

  私たちは、いわゆる“思想集団”なのですが、こうした方向の“政治集団の結集”

を待ち望んでいます...」

                      

「ええ...

  そういう状況ですが、ともかく、《iPS細胞時代のスタート/U》を開始したいと思い

ます。外山さんアン、どうぞよろしくお願いします。あとで、マチコさん茜さんにも参

加してもらいますわ」

「やあ...」外山が、両肩を回した。「それは、にぎやかになりますねえ!」

「お二人は今、何をしていますの?」アンが聞いた。

「あ、軽井沢の駅まで出かけていますわ。《クラブ・須弥山》羽衣弥生さんを、駅まで

出迎えに行っています...そのついでに、おソバを食べ、アウトレットモールでショッピン

グをして来るそうですわ」

「あらあら...お楽しみですのね。私も、さそってもらいたかったのに、」

「また出かけましょう」響子が、頭を傾げた。「まだ、食料品の買出しもありますわ」

「そうですね...」アンが、うなづいた。「赤毛のアンとしては、まずは仕事、仕事!」

  響子が、口に手を当てて笑い、うなづいた。

「ビールがうまそうですねえ!」外山が、宙を仰だ。

「その方は...」響子が言った。「マチコさんに任せておけば大丈夫...それから、

生さんも、ポンちゃんも、やって来ますから、」

「はは...万事、抜かりはないですね!」

「はい!安心して下さって結構ですわ!」

  〔1〕 再生医療への ・・・道・・・ wpe67.jpg (8822 バイト)  

                   

 

「えっと...」アンが、氷の入った麦茶のグラスを置いた。「さあ...いいかしら...」

「はい...」響子が、グラスをまとめ、脇の方へやった。

「ええ...“再生医療への道”ということですね...

  iPS細胞が確立されたことで、発生学幹細胞科学など、様々な研究分野が活気づく

と期待されています...中でも、最大の活況を呈しているのが、再生医学の分野です。

“乳歯幹細胞バンク”の設立や...ええと...心臓移植しか残された道のなかった心不

全患者の、再生医療での成功のニュース(/大阪大学)なども、この分野の話ですね。

  それから...これは日本ではないのですが、iPS細胞を使ったマウスの実験で、重度

の貧血症治療に成功したというニュースもあります...」

「はい、記憶にありますわ...」

「こうしたニュースで...

  社会的にも期待の高まっているiPS細胞ですが、本格的に患者の身体に移植される

までには、まだ、少なくとも10年はかかるだろうと見られています。臨床で使うとなると、

安全性の確認が、非常に重要になります...

  ヒトES細胞は、発見からちょうど10年になるようですが...世界で1例目の臨床研究

が、ようやく、アメリカで始まるかどうかの段階と言われます...それがどういうものなの

かはよく分かりませんが、やはりアメリカが1番進んでいるようですね」

ヒトES細胞臨床試験は...」響子が言った。「そんなに難しいのでしょうか?」

「そうですね...やはり、安全面での確認で、臨床での応用は遅れているようです...

  まずES細胞には、長期にわたる培養などの影響があるようでます...それから、

人由来の細胞である点などは、iPS細胞なら解決できるかも知れませんが、移植後に、

ガン化する危険などもあります。

  ともかく人為的に、トカゲのような再生能力を獲得するわけですから、生物学的に言っ

ても大問題なのでしょう。でも、医療は、学問的に解明されていなくても、臨床応用でどん

どん進んで行く面もあるのです」

「はい...そうですね、」

「ええと...

  ES細胞iPS細胞は、共通する課題も多いわけです。現在の所、同じものとみられて

いますが...移植について、少し話ましょうか...実際の移植のあたりを...」

  アンが、外山の方を見た。

「うーむ...」外山が、椅子を引いて体を前にのり出した。「そうですね...ES細胞は、

ご存知のように...まず、“無限の増殖能力”があります...

  ES細胞を、そのままマウスに移植すると...“奇形腫”と呼ぶ、“様々な種類の細胞

からなる腫瘍”をつくります...したがって、ES細胞再生医療に使う場合は、まずこの

危険性があるわけです。

  まあ...この“奇形腫”ができるかどうかが...実は、ES細胞であるかどうかを確認

する、1つの手段になっているのです...ES細胞威力のほどが分かるでしょう...」

「うーん...」響子が、顎に手を当てた。「だから...移植する時には、ある程度分化さ

せてから...ということになるわけですね?」

「その通りです...

  ES細胞再生医療に使う場合は...まず、別の種類の細胞に分化させてから行い

ます。患者の体内に移植する細胞や、組織や、臓器に、もしES細胞が残留していたら、

この“奇形腫が発生する危険あるわけです...どのようなケースが想定されるのかは

分かりませんが、しっかりと足場を固める必要があります」

ES細胞には...そういう危険があるわけですね...」

「いや、これはiPS細胞でも全く同じです。ES細胞と同様に、“無限の増殖能力”があり

ますからねえ、」

「あ、そうですね...iPS細胞でも、“奇形腫”ができるわけですか、」

「まあ...

  iPS細胞の場合は... さらに、“大人の細胞を、無理やりにES細胞に戻したようなも

の”です。それだけに、より多くの人為的な操作が加わっているわけですねえ...その

影響を、詳しく知っておく必要があります...ともかく、どんな不都合が出てくるか分かり

ません。安全性を、しっかりと確認しておくことが必要です...」

「そもそも...」アンが、人差し指を立てた。「iPS細胞は、無毒化したレトロウイルス(逆転

写酵素を持つRNAウイルス)を運び手として使い、細胞遺伝子を組み込んで行くわけですね。

  この手法は、すでに遺伝子治療にも使われているものですが...遺伝子を組み込む

細胞が本来持っている遺伝子を、傷つけてしまう恐れがあるのです。これがまず、

全面での課題になっているようですね...

  遺伝子治療の場合は...組み込んだ治療用・遺伝子が、患者の体内で、ずっと働き

続けてくれることが望ましいわけです。でも、iPS細胞の場合は、その逆になります。

伝子を導入し、体細胞ES細胞のような性質に変わるまでは、キッチリと働いてくれるこ

とが大事です。でも、いったんiPS細胞になった後は、むしろこの遺伝子の働きは、邪魔

になるのです」

「うーん...アン...こうした遺伝子は、その後、どうなるのかしら?」

「そこが問題ですね...導入・遺伝子のその後の振る舞いは、長期間にわたる追跡研

が必要になるということですわ」

「だから...遺伝子での導入は、避けたいのですね?」

「特に、ガン遺伝子は、避けたいでしょうね、」

「うーん...iPS細胞も、いいことばかりではないわけですね、」

「でも...免疫問題はクリアされますし、倫理的問題も回避できます。その壁が、取り払

われたわけです」

「はい、」響子が、うなづいた。

「現時点では...」外山が言った。「ES細胞と、iPS細胞相違点は、見つかっていな

いわけです...が、はたして、本当に同じものかどうかは、今後の確認が必要になるで

しょう」

「はい、」響子が、外山にうなづいた。

 

<日本での、法的な準備・・・>   

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「ええと、日本でも...」アンが、眼鏡の真ん中を押し、顔を上げた。「ES細胞臨床試

に使うさいの、ガイドラインづくりの準備が始まっているようですわ...

  厚生労働省が設置した研究班のレポートによれば...2010年度までの、ガイドライ

ン整備を目指しているようですね。これは、ES細胞だけでなく、iPS細胞も対象になるよ

うですね」

「はい、」

「いずれにしても...

  現時点ではまだ、日本には臨床試験に使えるようなES細胞は、存在していません。

もちろん、そんなiPS細胞も無いわけですね。研究ではなく臨床に使うとなれば、その扱

いは、さらに格段に厳しいものになるからです」

マウスではなく、臨床応用に進むのは、やはり、まだだいぶ先になるわけですね、」

アメリカで...」外山が言った。「まず、ES細胞1例目の臨床研究が始まるようです

が、それは一般の人々が思う再生医療のイメージとは、少し異なるものかも知れません

ね。それは、心にとめておくべきでしょう」

「はい、」響子が、外山の方を見た。

「実際...ES細胞から、治療に必要な種類の細胞分化させることは...ある程度は

可能になっています。しかしまだ、組織臓器という段階ではありません。最初は、“細

胞移植”になりますね...」

「はい...」響子がうなづいた。「今、活発な研究が、スタートを切ったという所なのです

ね。再生医療を待ちわびている患者は、大勢いるのでしょうが、すぐに役立つという段階

ではないということですね...成功のニュースはいろいろありますが、」

「そうですねえ...まず、しっかりと足場を固めなければならないということでしょう。本格

的な臨床応用は、それからでしょう」

「でも...」アンが、そうした患者を気づかうように言った。「世界中で、これまでにない

しい研究競争が始まっていますわ。当然、新たな事態の展開もあるかも知れませんね。

iPS細胞をつくるということでも、さらに研究成果が上がっているようですわ...

  ええと...アメリカ/スクリプス研究所/ディン・准教授は...2つの遺伝子化合物

だけでも、iPS細胞をつくり出すことに成功しているようです。それから、遺伝子を使わず

に、化合物だけの方法も、実験中だということです...

  それと...中国/科学院/上海生命科学研究院/ジン教授も、この化合物でのiPS

細胞づくりを進めているようです。詳しいことは分かりませんが、世界中活発な研究

進んでいます」

「はい!」響子が、口に手を当てた。

<再生医療を患者へと導く ・・・水路・・・>       

             

「さて...」外山が、肩を持ちあげた。「名古屋大学/上田実・教授は、このように言って

おられます...

  “iPS細胞は、いわば泉のようなもの。泉から水がわき出ていても、河口にいる患者さ

んのもとに届けるには、水路が無くては駄目だ”と...iPS細胞安全性の確認や、

成効率の改善などは、泉の周辺の地固めに相当すると言います。

  もちろん、これらも大事な仕事ですが...水路のにある動物実験や、臨床研究などが

なくては、患者のもとに水は届かないということですねえ。まあそこで、途中の水路を、

リカなどに、“全て特許で押さえられてしまう”と、日本の患者莫大な費用を支払うは

めになると言います。日本のトップ研究者は、このことで、盛んに檄を飛ばしていますね」

「分かりますが...」響子が言った。「そこが、問題ですわ...

  再生医療テクノロジーの開発は分かりますが、生命体本来備えているシステム

を、特許で囲い込むのはおかしいのではないかしら。その治療法テクノロジーを、他で

使ってはダメだというのは...」

「まあ、そういう意見もあります...

  しかし、研究者の努力にも報いなければなりませんし...大資本を投入して、開発を

進めている企業にも報いなければなりません...まあ、これは、別の問題/社会システ

ムの問題として、ここでは分離して考えましょう」

「うーん...」響子が、まばたきした。「分かりました。それが、現在の社会のパラダイム

ということですね、」

「そういうことですねえ...」

 

「ええ...」アンが、モニターを見ながら言った。「アメリカでも日本と同様に、ES細胞

使う研究を、連邦政府が制限しています。

  でも、アメリカでは、“大統領株”と呼ばれている、“使用が認められているES細胞”

あるそうですね。そのES細胞を使い、豊富な資金で、着実に水路づくりが進められてい

るようですね」

「うーん...それで、いよいよ臨床研究に入るわけですか...」

医療現場の一般論としては...」アンが、体をそらし、脚を組み上げた。「同じ疾患に

対しては、その治療方法というものは、多いほどいいわけですわ...

  その方が、病状年齢生活環境経済状況...それから、地域医療体制などに応

じて、適切な治療法選択できるわけですね。そうした意味で、再生医療様々な水路

があった方がいいわけです。

  アメリカの水路ばかりでなく、日本の水路のようなものも、早急に確立しておくべきです

わ。それが、アメリカなどの特許に、対抗することにもなるのかも知れません。響子さん

の言うように、あまりいい話ではありませんが、まさに研究競争になっているのです。とも

かく、多くの水路があれば、独占的な状況はなくなりますわ...」

  響子が、黙ってうなづいた。

「ともかく...」アンが言った。「日本基礎研究ではトップクラスでも、臨床研究では遅

れを取っていると言われています。まさに、しっかりとした国家戦略のない日本の状況

考えれば、この分野での出遅れも、納得がいくのではないでしょうか」

「うーん...」

「あ...こういう話もあります...

  中山伸弥・教授(/京都大学)は、外国人の研究者から、“日本人は、マウスの治療は得

だとからかわれる”、と言っておられるそうですね...これは、iPS細胞で、突然ホー

ムランを打たれたやっかみ半分もあるのでしょう。でも、現実問題として、“かなり後れを

取っている”のを感じ取ることができますわ」

「うーん...そういう状況なのですね...」

韓国/ソウル大学でも、ES細胞での焦りから、“論文捏造事件”を引き起こしてしまっ

ていますね」

「はい...」

水路を作ろうにも...」外山が言った。「周りの地形を、全て外国の特許で埋められてし

まっては、どうにもうまくないわけですねえ...

  そうかと言って、日本がうまく追いつけばいいというものでもありません。まあ、このあ

たりに、ギャンブル資本主義喧噪があるわけですがね...しかし、これがブチ壊れて

しまっても、開発は大幅に遅れます...」

  響子が、唇を引き結び、うなづいた。 

      
                            

「ええ、厨川アンです。今回は、ここまでとします。

  先行している組織幹細胞等の周辺状況を考察しようと思っていたので

すが、次の機会にしたいと思います。ご静聴ありがとうございました。どう

ぞ、次の展開に、ご期待下さい...」

 

 

 

 

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