クラブ・須弥山井戸端会議神以前の神々

    井 戸 端 会 議   <第4回> ・・・・< エッ、神様は本当にいるの?・・・ No.3

       神以前の・・・神々  wpe83.jpg (15847 バイト)    wpe5.jpg (38338 バイト)   

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プロローグ     今日は、寿司屋台が出前出張 2006.10.21
No.1 〔1〕 この世界の“ストーリイ性”とは 2006.10.21
No.2     <私が私でありつづける風景> 2006.10.21
No.3 〔2〕 超越の領域=生態系上位システムとしての神 2006.10.21

     

プロローグ       index292.jpg (1590 バイト)  wpe4F.jpg (12230 バイト)

                           <弥生>     <響子>   <支折>

  支折が、インターネットカメラのアングルを、モニターで確かめた。それから、カウント

ダウンが始まり、ランプが赤、黄...青と変わった。支折が、コクリとうなづいた。

「羽衣弥生です。秋がいよいよ深くなってきました...

  ええ、<第4回>“井戸端会議”を開催します...今回は、“クラブ須弥”の中

は、ススキの株の鉢を、多数配置しました。響子さんが、【軽井沢・基地局】から送っ

てきたものです。響子さん、ありがとうございます」

「いえ、軽井沢では、ススキは裏山に幾らでもありますわ。それに、“危機管理センタ

ー”のある《航空宇宙基地/赤い稲妻》も、ススキの大草原の中にあります」

「はい。ススキはいいものですね」

「そうですね。素朴で、私も大好きです...

  さて、今回の“井戸端会議”は、“エッ、神様は本当にいるの?”・シリーズの、

回目になります。したがって、2回目/“神の座標”続編となります。どうなので

しょうか、支折さん...長くなり過ぎたでしょうか?」

「うーん...」支折が、前髪を、指で耳の後ろに流した。「“井戸端会議”だし、形式は

どうでもいいのではないかしら。そのための“井戸端会議”ですわ、」

「そうですね、私もそう思います」

「では、よろしいんですのね」弥生が言った。

「はい...責任は、私が持ちます...

  うーん...“エッ、神様は本当にいるの?”ですが...本当は、“生態系の上位

システム”“神々”について、ちょっと説明してもらうつもりでした。でも、高杉・塾長

は、ずいぶんと丁寧に、周辺のことを解説しはじめました。それはそれで、いいと思う

のですが...」

「そうですね...」支折がうなづいた。「“この世”の、“全体の枠”を扱うページが、他

になかったことによると思います。マチコたちも、“クラブ須弥山”での仕事が、とても

気に入っているようですし、いいと思います。私も、気に入ってます。でも、弥生さん

は、大変ね、」

「あら!」弥生が、驚いて見せた。「お店としては、繁盛ですわ!それに、ここを使って

くださることは、光栄に思っていますのよ。私は、喜んでいますの。本当に!

  響子さん、今回で、“エッ、神様は本当にいるの?”は、終わりと言うことになリま

すの?」

「さあ、どうかしら、」響子が、首をかしげた。「どうなるか、分りません...高杉・塾

長は、まだずいぶんと、話したいことがありそうですから、」

“井戸端会議”には...」弥生が、両腕を絞り、後ろに身を引いた。「“企画室”の方

から、次々に予定が入ってきておりますわ」

「そうですね」響子が、唇にコブシを当てた。「私がが流したものです」

「うーん...」支折が言った。「なるように、なるんじゃないかしら。順序は、問題では

ないと思います。なにしろ、“井戸端会議”ですもの。

  あ、そうそう、響子さん、新しいスタッフが配置になるんですか?」

「あら、そうなんですの?」弥生が言った。

「はい...

  でも、多分それは、 think tank赤い彗星方だと思います。《航空宇

宙基地・赤い稲妻》の中に設立されている、シンクタンクです。今、“癌/cancer”

の仕事を開始していますが、新規スタッフも順次採用しています。

  《赤い稲妻》には、私が常駐している“危機管理センター”もあります。広いスペ

ースがありますから、 think tank赤い彗星は隣に設立しました」

「うーん...」支折が、微笑んだ。「あそこは、私も好きです」

「今後は、あのシンクタンクが、力強く育っていくと思います。当面は、主力メンバー

支援していくことになりますが、そのうちに人材も充実していくと思いますわ」

「にぎやかになりますわね」

「うーん、楽しみよね」

think tank赤い彗星には、“事務担当”も置きました。ポンちゃんやコッ

コちゃんのように、助手ではなく、事務局事務員を設置しました」

「ああ、」弥生が、大きくうなづいた。「二宮エリカさんね、」

「ええ、」

「今日、ここに見えていおりますわ。“ロビー”岩清水千春さんと...多分、お寿司

を食べていましてよ」

「あら、それでは、“井戸端会議”に呼びましょう、」響子が言った。

「うーん...シンクタンクですか、」支折が、天井を見上げた。

「そうそう、支折さん、」響子が言った。

「はい?」

“俳句コーナー”なんですけど...この秋は、新作・俳句が欲しいわね」

「うーん...じゃ、一風(ボスの俳号)先生に、伝えておきますわ...一風さんが忙しいよ

うでしたら、私の方で何か企画します、」

「そう...お願いします」響子が、小さく頭を下げた。

“短歌”の担当は、響子さんですけど、」

「うーん...忙しくて、とても手が回らないわねえ、」

「あら...」弥生が、スッと、椅子から立ち上がった。「高杉さんたちが、お見えたよう

ですわ」

 

          

  高杉と津田が、“クラブ須弥山”のドアを押した。入ると、今日は音楽ではなく、江

戸前寿司が屋台を開いていた。寿司職人も2人いて、大繁盛している。カウンター客

の中に、マチコと夏美の後姿があった。彼女らは、高校時代以来の親友で、相変わら

ず仲が良かった。

  マチコの横にいるのは、“ロビー”担当の岩清水千春だ。そして、彼女の反対側に

いるのは、 think tank赤い彗星事務員二宮江里香だろう...カウンタ

ーの他に、周りのテーブルも、かなりの寿司客がひしめいていた。

  津田が、マチコに声をかけた。夏美が振り向いて、手を上げて答えた。マチコは、ビ

ールをあおっている。高杉は、ウエイターのサブローに、ビールを注文した。二宮江里

が、高杉たちに挨拶した。弥生が迎えに歩いて来た。

  高杉は、みんな引き連れて、ボックス席へ向かった。ボックス席は、ひときわ大きな

ススキの鉢が配置されてあった。すでにビールのつまみ等を整えてある。ブラッキー

が、奥の特等席に椅子をかまえ、ウィスキーをやっていた。

「寿司は食べたのかね?」高杉が、弥生に聞いた。

「私たちは、まだですわ」

「マチコたちは、もう、たらふく食べたようだ」津田が言った。

「まだ食べるわよ!」背後から、マチコが言った。飲みかけのビールのジョッキを持っ

ていた。

「うむ、」高杉が言った。

「スッごく、おいしいですよ!」夏美が強調して言った。「今日の寿司は!」

「そいつは、楽しみだ」津田が言った。

「あら、お寿司を注文してきますわ!」弥生は、まわりのボックスを見回した。そして、

ツカツカと寿司屋台の方へ歩いて行った。

  〔1〕  この世界の“ストーリイ性”とは  

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     <マチコ>      <夏美>         <津田>      <高杉>        <千春>    <江里香>

  弥生が帰って来ると、響子が立ち上がり、ボックス席を見回した。

「ええと、いいかしら...」響子が言った。「千春さん、江里香さん、参加してくださっ

て、ありがとうございます。ビールを飲みながら、自由に発言してください」

「はい」江里香が、うなづいた。

「はい」千春も、飲みかけのジョッキを手にしながら言った。

「では、」高杉が言った。「始めようか」

「はい!」響子が、あらためて、かるく全員にお辞儀をした。「では...あらためて、第4

回/“井戸端会議”を開始します...

  今回は...前回の“神の座標”続編という位置付けになります。前回は、マチ

コが酔いつぶれてしまったので、あれで中断となりました」

「うーん...」マチコが言った。「そうだったかしら?」

「いえ...」響子が、手を立てた。「マチコが責任を感じることはありませんわ。それを

潮時に、あまり長くなったので、分割したのです」

「うん、」マチコが、納得した。

「最近、分割が多くなったわね」夏美が言った。「“海洋の激変”でもそうでした、」

「そうですよね、」支折が、うなづいた。「“脱・車社会”や、“人間の巣”企画でもそ

うでした」

「はい...」響子が、ソファーに腰を沈めながら、言った。「企画全体が長くなる傾向が

あり...分割する方針にしたのです。ホームページ全体が、進化していると考えて下

さい...これは、企画会議で決定したことですが...どうでしょうか、高杉・塾長?」

「うーむ...いいと思います。それで、うまく行っているようですから」

「はい!」響子が、強くうなづいた。

 

「ええ、本題に入ります...」響子が、超小型パソコンを、膝の上でのぞいた。「前回

は...ええと...

  リアリティー“人間的な強いバイアス(偏向)のかかった、“言語的・亜空間世界”

が...私たち〔主体〕の、“認識空間”の中で、合成されているというものでした、」

  響子が、高杉の方に顔を向けた。

「うーむ...」高杉が言った。「そんな話だったかなあ...」

「どうも、ブランクがあると、」津田が言った。「話が、思い出せないな、」

「ええと...」響子が、パソコンを見た。「つまり、私たちは...

  人体の“5感(眼・聴・臭・味・触)と、第6感(意識レベルの直感)という...直接的/ダイレクト

に感知される“直接的知識”/リアリティーと...、それと“言語的・亜空間”に形成さ

れた“象徴的知識”/“バーチャル世界”との...“2つが合成された世界”/“人間

原理空間”を形成し...その中で、人生の旅を体験して行くわけです...」

「うーむ、その通りです...」高杉が言った。「その、“非常に豊かな情緒的空間”/

“人間原理空間”の中で、は人間的に教育され、訓練を受け、人生を体験しつつ、

ストーリイを紡(つむ)ぐ旅を続けるわけですねえ...

  そして...やがて、がおとずれて、心が解放され、リアリティーの世界に還元

れて行くのです...無数の“主体が生滅”し、波動関数の闇に消えていきます...

そうした中では、人間の欲望など、どれ程のものでしょうか...

  すべて、と消え行く中で、だけが、何者かにかすかに記憶され、蓄積紡がれ

いきます。そして、さらにそこに...宇宙生命進化のベクトルが、果てしなく流れ

果てしなく巡り、やがてそれも、に没していくのでしょうか...」

「はい...」支折が、小さくうなづいた。

「こうした...」高杉は、概念を頭の中から繰り出しながら、言葉を選んだ。「“非常に豊

かな情緒的空間”における、物理法則に...量子力学があります...この力学体

において、科学は初めて、〔主体性/主観性〕というものを正式に認知しました。こ

れが、いわゆる、量子力学“参与者”の導入です...

  うーむ...千春さんも、江里香さんも、最初は理解できないかも知れませんが、ま

あ、聞き流していてください。そのうちに、少しづつ、理解できるようになるものです。こ

こにいる、みんなも、そうやって学んできました」

「はい、」江里香が、コクリと、高杉にうなづいた。

  千春はジョッキを持ちながら、マチコの方に体を寄せ、うなづいた。

「さて...

  量子力学という、厳密な基礎科学の領域に...〔主体/主観〕が導入されたとい

うことは、どう言うことなのか...これは、実に大変なことなのです...しかし、極限

的厳密世界だからこそ、そうせざるを得なかったのです...

  このことにより、“光”というものは...〔主体〕と思えば、電磁波という波動性

が認識されます。しかし、〔主体〕粒子と思えば、光子という粒子性が見えてくるわ

けです...しかし、どっちかに決めなければならず、同時に波動性粒子性を見るこ

とは不可能です。

  ゆえに、〔主体性〕というものは、この“非常に豊かな情緒的空間”においては、

常に重要な意味をもつということです」

〔主体性〕とは、さあ...」マチコが言った。「それじゃあ、何なのよ?」

〔主体性/主観性〕とは...おそらく、“意識”でしょう...いわゆる“一人称”であ

り、“この世”リアリティーを目撃している何者か...つまり、“自己/私”なのだと思

います...」

「うーん、回りくどい言い方をするわよね、」マチコが、ジョッキを口に当て、少し傾けた。

「さて...」高杉が言った。「光の、波動性粒子性の関係を、“相補性”という言葉で

表現します。どちらも真実ですが、同時に両方は観測できないという奇妙な関係です。

唯物論的には、主観の好みで、にも粒子にも見えるというのはでは、非常に困った

ことです。

  まあ...こうした“相補性”や、“ベルの定理”に見る“非局所性の概念”...“量

子もつれ”“量子テレポーテーションの概念”...それから、ユング心理学で言う

“同時性(シンクロニシティ)という、“意味のある偶然の一致”が、多発する世界...

  私たちの旅をしている“この世”とは、こうした“いわゆる人間的幻想世界”だという

ことです...がおとずれて、“心/意識”が解放される時、チベットの死者の書

によれば...原初の“クリアー・ライト”が見られ、“法身”が得られると言います...

  まあ...これは、欲望に支配されない、“悟り”を得た人でしょう...通常は、“輪

(りんね)の世界”を巡るようです...ここに、通常は、私たちの知りえない、この世界

の、≪上位システムの世界≫の姿が描かれています...

  このチベットの死者の書のような書物が、どのような知識によって、どのように描

かれたかは、普通の人間である私たちには、知るよしもありません。これは仏典です

が、聖書コーランなとの聖典もしかりです。そこには、はるかな≪上位システムの世

界≫の姿が描かれています...

  これらもまた...この“井戸端会議”のテーマである、“神以前の神々”の、1つの

風景でしょう。私たちが十分に認識しているとはいえない、<上位システム世界>

いうのは、まだ無数に存在しているのです。いや、人類文明は、ほんの1つの窓、ほん

1つの切口を見ているのに過ぎないのでしょう...」

「あの、塾長...」支折が言った。「チベットの死者の書にある、原初の“クリアー・

ライト”というのは、どんなものかしら?たとえて言えば...」

「うむ...

  がおとずれて、“心/意識”が解放される時...“クリアー・ライト”が見られると

いいますねえ...それは、“真のリアリティーである、眩しく、輝く、透けた発光”だと

言われます...チベットの死者の書に、そう記されています...

  この書物は、私たちの意識の“死後の世界への転移”について、仏教的な覚醒

諸段階が記されたものです。まあ、詳しい内容については、別の機会に話すことにし

ましょう」

「はい、」

「さて...

  人間は、先ほど言ったような...無数相互主体性が創出した...“脳内のバー

チャル空間”/“人間原理空間”を形成し、私たちの心はそこに住みつきます...そ

して、その“豊かな情緒的空間”で、“永遠の今”の広がりの上をし、その生涯を送

ることになります...

  この“脳内のバーチャル空間”は、人間の脳だけが正しく認識し、理解する事がで

“抽象的な亜空間世界”です。訓練を受けていない他の生物種は、その存在すら、

アリティーの中には認識できないでしょう...

  ただ、人類文明がここまで高度に発展した後、“空きニッチ”に、ミュータント(突然変異

体)が出現した時、訓練ではなく、直観力で、この“人間原理空間”を理解するかも知れ

ません。いずれは、茫々と流れる生命進化のベクトルの中で、そうしたこともあるので

しょうか。

  人によっては、この“文明空間”マイナスにも作用します。しかし、人という“種の

共同意識体”の中にいる以上は、選択の余地はありません。イワシはイワシの群れ

の中にあるのであり...ここにあるススキは、ススキの株の中で、その生涯を送るわ

けです。

  したがって、イワシになりたい、ススキになりたいといっても、それは生態構造的

不可能です。ただ、最高上位“36億年の彼”の中では...リアリティーとして

可分の全体です...」

「うーん...」マチコが、ビールのジョッキを口に当てた。

生物無生物の違いは...」高杉が言った。「そこに“意識”が介在しているかどう

かの違いだと...私は考えています。

  多細胞生物の膨大な機能をコントロールしているのは...おそらく“意識”だろう

、私は考えています」

「そうなのでしょうか、」響子が言った。「塾長は、いつもそう言っていますけど、」

「うーむ...響子さんは、別の意見がありますか?」

「いえ、私も考えました。でも、反論するのも、難しいですわ」

「うむ...

  昆虫程度の脳細胞で...複雑な生態系を生き抜いていけるのは、“非常に高度

なシステム”でコントロールされているからでしょう。コンピューターのような、並列計算

処理のレベルでは、たちまち計算時間が爆発してしまいますからねえ...

  空間に瀰漫(びまん)している“意識”なら、生命体は、どのような生命体も、優劣はな

いのでしょう。あるいは、全生命体は、“36億年の彼”リンクしていると考えるのも、

1つのモデルとしては成立します...まあ、当ホームページで、≪ニュー・パラダイ

ム仮説≫として主張しているものですが...」

ゴキブリは、」弥生が言った。「本当に頭がいいですわ。いくら追いかけ回しても、逃

げ延びてしまいますもの...あの頭の良さと、素早さは、絶対に私以上ですわ、」

「うーん...」マチコが、感心して、弥生に同意した。「ゴキちゃんは、確かに頭の回

が速いわねえ。カンもいいし...」

「本当に、ものすごくカンがいいですわ」弥生が言った。「あれは、何処で分るのかし

ら?」

「うーん、」支折が言った。「一回りして、また戻ってきたりするわよね」

「犬や、猫や、ゴキブリも、」響子が言った。「その他の動物たちは...“5感(眼・聴・臭・

味・触)という、ほとんどダイレクトリアリティーの中で生活しているわけです...人

間だけが、それに“言語的・亜空間世界”を加えた“豊かな情緒的空間”...〔人間

原理空間〕(当ホームページのタイトル)を形成し、その中で生活しているわけですね...

  でも...リアリティーの中でも、“運動”“変化”の連続で、“ストーリイ(物語)は流

れていきます...そのあたりは、どうなのかしら?」

「そういうわけよね...」支折が言った。「リアリティーの中でも、“ストーリイ/物語”

が形成されていくわけですよね...どうしてかしら?」

「はい、」響子が、支折にうなづいた。「そこにおける“ストーリイ性”というものが、“ユ

ング心理学”“同時性(シンクロニシティ)と言われる、“意味のある偶然の一致”を多発

するわけです...これは、塾長、どういうことを意味しているのでしょうか?」

「うーん...」マチコがうなった。「難しいことを言うわねえ...第1、“ストーリイ”って、

何よ?」

「マチコの言う通りだ...」高杉が言った。「そもそも、“ストーリイ”というのは、何だろ

うか...その意味を、深く考えたことはあるかね...何故そこに、有意意味性

流れていくのだろうか...そもそも、認識の形式や、認識そのものとは、何なのだろう

か...

  結局それは...〔意識/主体/我〕とは...何なのかということになります。ま

あ、何でもいいわけですがね...ともかく、〔主体〕というものが、ここにあるわけで

れは、愉快なことでしょう」

物語/ストーリイよね...」マチコが言った。

「うむ...」高杉が、マチコの方を、それから天井を眺めた。「実は、この“物語性/スト

ーリイ性”...これこそ...〔意識/主体/我〕姿であり、“人間の正体”ではない

かと思います...

  “我”という、“絶対一人称の本質”は...この“物語性”という、“プロセス性”にあ

るのだろう...」

「うーむ...」津田が、ウエイターのサブローから、ビールのジョッキを受け取りなが

らうなった。何か言いたげだったが、ジョッキの方を口へ持っていった。

「遅れてすみません」サブローが、弥生に言った。「樽のセットでトラブルがありました」

「大丈夫ね?」

「はい!」

          

 

<私が、私でありつづける風景> wpe8B.jpg (16795 バイト)        

             

  みんなも、それぞれ自分のジョッキを受け取り、各自の場所に置いた。続いて、寿

司もワゴンで運ばれてきた。弥生が小皿と箸を添えていった...みんな、それぞれ

に、ビールと寿司に手をつけた。

“人間”とは何か...」津田が、重々しく宣言し、ゆっくりとビールを喉に流し込んだ。

それから、寿司を1つ、大口へ放り込み、もぐもぐやった。

理科系の輩(やから)は...」津田が言った。「“人間”生命機械のように見るが...

文科系の私は、必ずしもそうは見ていません...」

「そうかしら...」支折が言った。「人間は、本来、色々な側面がありますわ」

「まあ、」津田は、支折にうなづいた。「そうです...

  私も、高杉・塾長が言ったように...“人間”とは“プロセス性”に、その本質がある

と思います...人体はおよそ、60兆個の細胞から構成されていると言います。そし

て、全細胞は凄まじい速度で、新しい細胞と入れ替っていると聞きます。その、全身

新陳代謝のための作業は、膨大なものでしょう...

  では...“生まれてから今日までの私”...戸籍で記されている、“私と

いう人格”“私というアイデンティティー”は、一体何処に、何に依拠しているのでしょ

うか...

  こうしたこと考える時、〔意識/主体性/我〕の本質とは、その“プロセス性の全

景”にあるというのは、賛成です。それが...“人格/パーソナリティー”というものな

のでしょう」

「その“人格/パーソナリティー”は...」響子が、体を乗り出した。「“今”という“永遠

の現在”に、どのように広がっているものでしょうか?“ストーリイ性”と、どう関連をもっ

ているのでしょうか?」

「うーむ...」津田が、首をひねった。「高杉さんも言ったように、そこが難しい...

  まず、“時間”の本質や、“今の概念”の広がりを、どう整理したらいいかという問題

があります...時間が、単なるパラメーター(媒介変数)なら、コトは非常に簡単なので

すがねえ...しかし、そんなわけはないでしょう...」

「その通りです...」高杉が言った。「リアリティー“時間”“空間”に分割した時点

で、“時間”を単なるパラメーターとして分離したわけではないということです。そもそも

それは、それほど単純な光景ではなかったでしょう...

  まず、“分断”した刃物が、“言語”という問題があります。これは、強烈〔意識/

主体〕をはらんでいます。“時間”“空間”、そしてその切口は、当然その“影と臭い”

がつくわけです。

  しかも、これを、“認識/意識”という〔主体が支配する鏡〕に映し出しているわけで

す。強烈な“人間的なバイアス(偏向)がかかってきて当然です。したがって、“時間”

本質や、“今の概念”の広がりを、いまだに解決できないでいるわけです。これは、も

ちろん、“空間の人間的側面”ついても、言えるわけですね...」

「非常に、単純なことですが...」津田が言った。「60兆個の細胞は、アポトーシス(プ

ログラム的な細胞死)によって、日々凄まじい勢いで新陳代謝しています...

  ならば...“全身性エリテマトーデス(遺伝性の自己免疫疾患)の患者の体も...半年か

1年もたてば、そうした全身の細胞も、入れ替わるはずです...しかし何故、自己免

疫疾患という病気は、のように受け継がれていくのでしょうか...

  “全身性エリテマトーデス”は、免疫機構が男性よりも強い女性に...特に若年の

女性に多く見られるわけですが、彼女たちを見ていて、深く考えさせられました...」

「お知りあいが、おありですの?」弥生が聞いた。

「知人の子供です...彼女が、“彼女でありつづける”と言うことは、実に不思議なこ

とです...まあ、病気というものは、どれもそうなのですが...」

「そうですね、」響子が、ジョッキに、もう一方の手を添えた。「ガン細胞が、増殖しつづ

けるのは分るとしても、免疫疾患のようなものまで、なぜ新しい細胞に引き継がれる

のでしょうか...新しい細胞に、せっかく入れ替わるのに...」

「だから、病気なんじゃないかしら?」マチコが言った。

「うーん...」響子が言った。「マチコの言う通りですけど...病気悩みも含めて、

60兆個の細胞が...そして全人格が、一瞬一瞬更新され、年輪が加えられて行く

わけです...これは、一体、何なのかしら?」

「そして...」高杉が言った。「という海の中で、個体新陳代謝し...生態系の中

で、さえも新陳代謝していきます...また、全生態系/地球生命圏も、ガイア(大

地の女神)仮説(/ジム・ラブロック)に見るように、生命システム論的に生きていると考えら

れます。

  ボスの書いた小説・人間原理空間は...生きている地球が、生命システム論

にもとずいて、“増殖”するという過程を描いたものです...地球が1個の生命体なら

ば、“増殖”するわけであり...19の下位システムのうち、最後に“増殖”という条件

が残されていたそうです。

  ストーリイは、太陽を周回する“人類の宇宙植民地/巨大人工島”が、人為的に生

態系を確立し、細胞分裂させ、“地球という命”増殖するというものです...」

「はい、」支折がうなづいた。「本当は、そんな内容だったんですか、」

「ええーと...」響子が言った。「今日の話は何だったかしら...話が、とんでもない

方向へ脱線しているようですわ」

    (小説は、こちらの小説工房に収録されています)index.9112.1.jpg (2872 バイト)

         現在、リニューアルの作業中です。詳しくは、そちらのページでご覧下さい                

 〔2〕超越の領域   wpe83.jpg (15847 バイト)   

           === 生態系上位システムとしての神々 ===

  wpe5.jpg (38338 バイト)    wpe89.jpg (13738 バイト)  wpe8B.jpg (16795 バイト)    

  <生態系上位システム・未確認システムの存在...>

 

「さて...」高杉が言った。「このホームページでは、ガイア仮説の概念を拡大し、

“36億年の彼”を提唱しています。

  それは、地球生命圏生命体とみなし、“1個の人格”“時空間の広がり”を与え、

その膨大で複雑なシステムを、解明しようと試みるものです...この≪ニュー・パラ

ダイム仮説≫のプログラムは、現在も進行中です。

  ともかく...人類文明の理解を超えた、“はるかな上位システム”は、様々なレベ

ルで存在しています。人類文明は、ヒトゲノムの解読タンパク質の解読糖鎖の解

読...等で、ようやくその端緒に取り付いた観があります。

  しかし、霊魂などの未確認の膨大なシステムは、まだほとんど解明が進展してい

ません。精神意識の解明も、“文明の第3ステージ/意識・情報革命”が本格化する

中で、新展開するものと思われます」

「それは、」響子が言った。「例えば、どんな風景になるのでしょうか...予想するの

は、難しいと思いますが、」

「そうですねえ...

  重力理論である一般相対性理論も...そして斬新的量子力学も越えた...

ューパラダイムが登場するかも知れません。20世紀初頭に、ニュートン力学を超越す

相対性理論が登場したようにです。

  現在は、一般相対性理論量子力学ダブルスタンダードの時代です。しかし、2

つの相容れない理論が、科学技術文明の土台になっている事は矛盾です。この矛

盾は、克服しなければなりません。一連の統一理論や、ひも理論などが有名ですが、

他にも様々に考えられています。

  しかし、本当は、“文明の第3ステージ/意識・情報革命”の基礎となるような...

精神と物質を統合して説明できるような、全く新しいパラダイムが出てくるかもしれま

せん。当然、そうしたものは、どこかに必ず眠っているわけです...」

「それが...」支折が言った。「“文明の第3ステージ/意識・情報革命”が、本格化

するには必要なのでしょうか?」

「そうですね、」

「人類は...」津田が、高杉の顔を見た。「そこまでたどり着けるでしょうか...

  “核兵器”“遺伝子操作”という玩具を両手に持ち...相変わらず、感情に振り回

されて叫びあっています。精神的に、進歩が見られません...」

「私は、“文明の第3ステージ”としての、安定期が、必ず訪れると考えています。21世

紀の、“大艱難の時代”を乗り切れば、ですが...」

「現在が、ボトル・ネックということですね、」

「はい...いよいよ、“大艱難の時代”に突入するようです。私たちは、“人間の巣”

展開で、“この時代を乗り切る”ことを提案しているわけですが...」

「はい、」支折が、コクリとうなづいた。

 

「ええ...」響子が言った。「今回の、“井戸端会議”のテーマに入りましょう...

  今、塾長が言いましたように、今回の“井戸端会議”のテーマは、まさに“生態系の

上位システムとしての神々/神以前の神々”ということです...ずいぶんと道草をし

てしまいました...」

  高杉は、黙って、静かにうなづいた。

                 

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