交差点手前の車両通行帯通行区分違反

弁護士河原崎法律事務所ホーム交通事件

相談

交差点の手前30メートルだけ矢印で進行方向が指定され、白の実線になっている通行区分帯は、何か意味があるのでしょうか。やっぱり白の実線は進路変更禁止でしょうか(1回、警察官に元の車線に戻るように注意を受けました)。でも、それなら、何で黄色の実線にしないのでしょうか。また、道路交通法には、「交差点の手前30メートルは進路変更禁止」という条文はどこにも見当たりません。
友人の弁護士に尋ねると、交差点の手前30メートルでも(黄色の実線じゃなければ)進路変更はできるみたいです。
進路変更禁止でしたら、なぜ黄色の実線にしないのでしょうか。通行区分帯にかかわらず、進路変更できるのでしょうか。

回答:進行方向別通行区分

白線の進行方向別通行区分道路標示 黄色の線の進行方向別通行区分道路標示
白線の進行方向別通行区分黄色の線の進行方向別通行区分

交差点の手前30メートルだけ矢印で通行方向が指定されているところがあります。これには2つあり、 白線で通行区分帯が指定されているもの(写真左)と、 黄色の線で通行区分が指定されているもの(写真右)があります。
黄色ではなく、白線のところは、この線をまたいで通行してよいのでしょうか。交差点手前30m以内は追い越し禁止だから、車線変更できないのでしょうか。でも、追い越し目的でない車線変更なら許されるのでしょうか。疑問が多くありますね。

実は、 この道路標示は、交差点において直進、左折または右折する場合における通行区分を意味する「進行方向別通行区分」を示しています。「進行方向別通行区分」の道路標示等がある場合には、車両が交差点において直進、左折または右折する場合において、その区分に従い、あらかじめ、その指定された車両通行帯を通行しなければならないと規定されています(道路交通法35条)。
ここでは、「この方向に進む車両はこの車線を通行してください(指定方向外進行禁止)」という意味になります。 進行方向別通行区分の道路標示で指定された通行でしか、進行できないわけです。すなわち、左折レーンから、左折しかできない、直進レーンから、直進しかできない、右折レーンから、右折しかできないのです。 交差点手前にある「進行方向別通行区分」に反する方向への進行は許されません。この通行区分に違反すると、道路交通法35条違反になります。
ちなみに、違反に対する罰金は5万円以下、反則金は大型7千円、普通6千円、二輪6千円、原付5千円、違反点数は1点です。

通行区分の指定は、黄色の線でなされる場合と、白線でなされる場合があります。黄色の線での指定の場合は、線を跨いでの車線変更は許されません。白線で指定されている場合は、白線を跨いで車線変更は許されます。
交差点手前30mは追い越し禁止です(30条3号)。しかし、黄色の線でなければ車線変更はできます。
わかり難いので、免許証交付、更新の際に、警察(公安委員会)が誤解を解くPRをすべきですね。
進行方向別通行区分の道路標識指定通行区分を示す道路標識は、左記の通り。意味は道路標示と同じです。

法律

道路交通法
(指定通行区分)
第35条  車両(軽車両及び右折につき原動機付自転車が前条第5項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする原動機付自転車を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、前条第1項、第2項及び第4項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。ただし、第40条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないときは、この限りでない。
2  前条第6項の規定は、車両が前項の通行の区分に従い通行するため進路を変更しようとして手又は方向指示器による合図をした場合について準用する。
神谷町 河原崎法律事務所 弁護士河原崎弘 03-3431-7161
2011.9.3