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2024.3.24mf更新

遺言書の破棄/弁護士の法律相談

相談

父は、生前、私が家族と共に住んでいる家(土地付き)を、私に相続させると言っていました。父が亡くなり、遺言書(自筆証書)が見つかりましたが、一部マジックインキで塗りつぶされており、判読できません。多分、その個所に私に対する相続のことが書かれていたと思います。
このままだと、自宅と私の住んでいる家を4人兄弟、姉妹で平等に分けることになりそうです。どうしたらよいでしょう。家を出なければいけませんか。

回答

弁護士は次のように説明しました。 遺言書がマジックインキなどで消された場合、元の字が判読できるかによって扱いが違います。元の字が判読できれば、民法が要求する遺言書の変更の要件(民法968条2項)を満たさない限り、消される前の文字による遺言として扱われます。

元の遺言が判読できないと遺言の破棄

消された前の文字(元の遺言)が判読できない場合は、遺言の一部ないし全部を破棄として扱われます。遺言者が故意に破棄した場合は、遺言の一部ないし全部を取消したものとみなされます(民法1024条)。
あなたの場合,特に第三者が破棄したとの証明ができないと、遺言者が故意に破棄したと推定されるでしょう。

現状を前提とする遺産分割を主張する

遺言の破棄とされた場合でも、あなたがその家に住んでいますから、まず、それを前提に、遺産分割手続きをしてもらうように主張してください。具体的には、あなたがその家を取得し、他の相続人に代償金を支払う遺産分割協議をしたら良いでしょう。現状を前提に遺産分割することは、現在の家庭裁判所の実務では、普通のことです。

遺言の全部あるいは一部を抹消した場合の比較表
遺言書の抹消元の文字が判読可能変更要件具備(民法968条2項遺言書の変更と解釈
変更要件具備しない抹消前の遺言が有効
元の文字が判読不可能遺言者が故意に抹消遺言書の一部または全部の破棄
それ以外元の遺言を証明できれば元の遺言が有効
相続欠格の問題発生

法律

民法
第968条 (自筆証書遺言)
1自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

第1024条 (遺言書又は遺贈の目的物の破棄)
遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。

判例


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