行方不明者がいるので遺産分割協議ができない

弁護士(ホーム)弁護士による遺言、相続法律相談 > 行方不明者がいるので遺産分割協議ができない
2015.7.31mf更新
弁護士河原崎弘

相談

1年前に叔母が92歳で亡くなりました。叔母は、大きな家がありますが、子どもがいません。私は、叔母の妹の長女で、叔母の世話をしてきました。
相続人は、叔母の兄弟姉妹ですが、中に、死亡した者が居ます。結局、死亡した兄弟の子どもが相続人だそうですが、子供の中の1人だけ行方不明です。この場合、遺産分割協議できません。どうしたら、よいですか。
相談者は、弁護士会の法律相談所を訪れました。

回答

被相続人が死亡しても、遺言がない場合は、相続人全員において、遺産分割協議を行わなくては遺産の分割はできません。遺産の分割は、相続人全員の協議で行わなければならないのです。
行方不明には色々の状態があります。 住民票ないし戸籍の附票をとっても、現住所が不明の場合は、次の手続きをとってください。

行方不明者(不在者と言います)には次の2つがあります。
  1. 住所が不明で連絡できない場合
  2. 行方不明から7年以上経過している場合
1の場合は、家庭裁判所に、申立て、相続人以外の者(相続に利害関係ない者)を、「財産管理人」に選任してもらいます(民法25条)。不在者に代わり、その財産管理人に遺産分割協議に参加しててもらい遺産分割します。

2の場合は、「失踪宣告」の手続をとります(民法30条)。
不在者の生死が7年(戦争や遭難などの危難により生死不明である場合は1年)以上明らかでないとき、利害関係人が家庭裁判所に請求し、失踪宣告してもいらいます。
失踪宣告により、その不在者は死亡したものとみなされます。その者は遺産分割協議から排除されます。この場合、代襲相続はありません。兄弟姉妹の代襲相続は、甥、姪まで、だからです。民法889条2項は、887条2項(代襲相続)を準用しているが、887条3項(代襲相続の代襲相続)を準用していないからです。
東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)河原崎法律事務所 弁護士河原崎弘 03-3431-7161