利息制限法を超えた利息/過払い金の返還請求
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2015.9.17mf
相談
最近、騒がれている金融の事で気になったのですが、利息のグレーゾーンの事を初めて知りました。27.9%の利息で借りているところ、7社に借金があります。もう長い間(8年)借りてますが、途中で契約書の書き換えもしています。
自己破産だけは避けたく、返していくつもりでいます。利息を下げてもらえるのであれば、早く返済できます。仕事に支障がなく、できるのであれば手続きしたいのですが、可能なのでしょうか。
相談者は、弁護士会が開設しているクレサラ相談所を訪れました。
過払い金の返還
利息制限法で決められている最高利率、遅延損害金の最高金利は下記の通りです。
元本 | 最高利率 | 最高遅延損害金利率 | |
10万円未満 | 20% | 29.2% | |
10万〜100万未満 | 18% | 26.28% | |
100万円以上 | 15% | 21.9% | |
27.9%の利息契約は、利息制限法の利率(元金10万円未満20%、100万未満18%、100万以上15%)を超えていますので、無効です。
支払い済の場合は、過払金を不当利得返還請求できます。長期間、借りと返済を繰り返している場合は、過払い金が発生しています。8年間も借りと返済を繰り返していると、過払い金がでていると思います。過払い金が出ている場合は、もう返済する必要はなく、逆に過払い金を請求できるのです。
ただし、支払い期日に遅れている場合の遅延損害金は上記の1.46倍(平成12.5.31までは2倍)まで認められています。
この計算で、過払利息があれば、残元金の支払いに充当できます。債務者本人が、債権者と交渉しても、債権者は、中々、過払い金の返還に応じないでしょう。弁護士に依頼すべきでしょう。
債権者と交渉で、過払い金を全額取り戻すことは、なかなか難しかったのですが、最近は、業者も過払い金の返還に応じます。どうしても、全額返還してもらいたい場合は、裁判するしかないでしょう。裁判にすると、若干の費用と時間が必要になります。
見なし弁済
利息制限法を越える利息を支払った場合でも、貸金業者が一定の書面を交付していると、弁済は有効(返還請求できない)とされるときがあります(貸金業規制法17条、貸金業規制法18条、貸金業規制法43条 )。
最近、裁判所は、この書面の要件を厳格に解釈して弁済が有効とされる例は少なくなっています(最高裁平成18年1月13日判決、平成18年03月17日判決)。
かっては、過払い金返還請求をすると、信用情報登録機関に登録されるとの不利益がありました。2010年4月19日以降は、引き直し計算すると債務がなくなる場合の過払い請求は、事故として登録されません。安心して過払い請求ができます。債務が残っている状態での過払い請求では、事故登録されます。
クレジット契約
カードを使った売買契約代金の立替え払いには利息制限法が適用されません(キャッシングには適用される)。従って、引き直し計算の対象になりません。
クレジットカードを使った
商品等の購入における購入者と信販会社間の立替払契約の法的性質については、金銭消費貸借と考える説と購入者が信販会社等に対して商品等の代金債務の弁済事務を委任し、委任事務費用及び報酬を分割払いする契約と解する説(準委任説)があります。
立替払契約における手数料について利息制限法を適用すべきか否かについては、
立替払契約を金銭消費賃借と解すると肯定されますが、準委任説を採る判例・実務では消極的で、利息制限法の適用はないとしています。
判決
下級審ですが、下記判決があります。- 東京地裁平成11年1月19日判決(判例タイムズ1049-256)、ダイビング器材購入者のために購入代金の立替払いについて
被告は、本件立替払契約は実質的に消費貸借に極めて類似した性質を有する契約であるから、本件手数料については、利息制限法の適用あるいは類推適用を受け
るべきであると主張するので検討する。
前記争いのない事実と弁論の全趣旨によれば、本件立替払契約は、割賦購入あっせん等の業者である原告が、提携した販売店であるエグザスダイブカレッジ大森から
被告がダイビング器材を購入する際に、右購入代金を一括して販売店に支払い、その後、被告が原告に対し、右購入代金相当額に本件手数料を加算した額を割賦で返済
することを内容とするもので、原告と販売店間の契約及び被告と販売店間のダイビング器材の売買契約と一体をなすものであり、ダイビング器材の購入者である被告か
ら見ると、経済的には原告から購入代金の融資を受けるという金融の手段としての面を有することは否定できない。そして、金融による対価という側面からすると、本
件手数料に利息に類する部分が含まれうるというべきである。
しかし、本件手数料は、一方で、立替払いに対する報酬、諸経費等を含むというべきであり、また、割賦販売法三〇条の三第二項により、割賦購入あっせんに係わる各
回ごとの支払義務が履行されない場合の遅延損害金については法定利率(年六パーセント)を超えることができないと制限されていることも衡量すると、本件立替払契
約については、利息制限法の適用あるいは類推適用の余地はないと解すべきである。
登録 2006.4.21
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