親権者死亡の場合の親権者変更
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2017.10.13更新mf
相談
2年前に離婚しました。子ども(6歳)の親権者である母親(元妻)が死亡しました。現在、子どもは、元妻の両親が育てています。私が子どもを引き取り、育てたいです。どうしたらよいですか。
相談者は、区役所の法律相談室を訪ねました。
回答
担当した弁護士の説明は次の通りでした。
実の親は、家庭裁判所に親権者変更の審判を求める申立ができます(民法819条6号)。手続きとしては家庭裁判所に対し親権者変更の申立をしてください。ただし、相手の両親が、引き続き子供を育てたい場合は、相手の両親は、未成年者後見人選任の申
立ができます(民法838条)。
親権者変更と未成年者後見人が競合した場合、現在の養育環境に問題がなく、実の親の養育環境に問題がなければ、
子供は、実の親の下で養育されることがよいか、子供の現状の養育環境を重視するか、家庭裁判所が決めます。
家庭裁判所の裁判官が、どちらを選択するかで、結論が異なります。
なお、
子どもが「〇〇と暮らしたい」と意思表示すると、裁判所は子供の意思を重視し、判断も変わってきます。
判決
- 福島家庭裁判所平成2年1月25日審判
本件はいわゆる「単独親権者死亡後の親権者変更申立事件」であり,本来の親権者の指定・変更とは性質を異にするものであって,その
実体面,手続面において種々の考え方がなされるところであるが,単独親権者の死亡後は親権者,後見人未定の状態となり,そのいずれにするかは家庭裁判所の裁量に
よって定まるものと解するを相当とする。
そこで本件についてみるに,前記認定の事実によれば,申立人夫婦の離婚の際,事件本人らの親権者をいずれも父志郎と定めたのは,申立人が離婚の1か月前家出
してまだ生活が十分に安定した状態になかったという事実もあったが,事件本人両名の学校の問題が主な理由であったこと,申立人は,父志郎死亡後,それまで事件本
人らにしてやれなかった母親らしいことをしてやりたいと考え,葬儀終了後直ちに未成年者の今後について事件本人らの父方親族と協議し合ったこと,事件本人両名も
申立人を親権者とし同居することを望んでいること,事件本人らの父方親族は,申立人の内縁の夫も事件本人らと同居することを快しとせず,事件本人らに関すること
からは一切手を引き,事件本人らのため後見人選任申立の意思はないこと,事件本人里子は,本年10月10日の誕生日で成年に達する年齢であり,両親不在中も勉学
を続ける傍ら,アルバイトにも励み,弟の面倒をよく見るというしっかり者で,申立人及びその内縁の夫との人間関係も悪くはないことが認められる。こうした事情を
考慮すると,申立人を親権者として不適であるとして排斥する理由は見られず,事件本人両名の福祉のためには,事件本人両名の親権者をいずれも母親である申立人と
定めるのが相当である。
- 福岡家庭裁判所小倉支部平成11年6月8日審判
離婚により未成年者の親権者となった母が死亡した後、未成年者(小学6年生)の父から親権者変更の申立てがされた事案において、申立人に親権者を変更するよりも、亡親権者母の母を後見人に選任することが相当であると認め,申立てを却下
- 福島家庭裁判所平成2年1月25日審判
本件はいわゆる「単独親権者死亡後の親権者変更申立事件」であり,本来の親権者の指定・変更とは性質を異にするものであって,その
実体面,手続面において種々の考え方がなされるところであるが,単独親権者の死亡後は親権者,後見人未定の状態となり,そのいずれにするかは家庭裁判所の裁量に
よって定まるものと解するを相当とする。
そこで本件についてみるに,前記認定の事実によれば,申立人夫婦の離婚の際,事件本人らの親権者をいずれも父志郎と定めたのは,申立人が離婚の1か月前家出
してまだ生活が十分に安定した状態になかったという事実もあったが,事件本人両名の学校の問題が主な理由であったこと,申立人は,父志郎死亡後,それまで事件本
人らにしてやれなかった母親らしいことをしてやりたいと考え,葬儀終了後直ちに未成年者の今後について事件本人らの父方親族と協議し合ったこと,事件本人両名も
申立人を親権者とし同居することを望んでいること,事件本人らの父方親族は,申立人の内縁の夫も事件本人らと同居することを快しとせず,事件本人らに関すること
からは一切手を引き,事件本人らのため後見人選任申立の意思はないこと,事件本人里子は,本年10月10日の誕生日で成年に達する年齢であり,両親不在中も勉学
を続ける傍ら,アルバイトにも励み,弟の面倒をよく見るというしっかり者で,申立人及びその内縁の夫との人間関係も悪くはないことが認められる。こうした事情を
考慮すると,申立人を親権者として不適であるとして排斥する理由は見られず,事件本人両名の福祉のためには,事件本人両名の親権者をいずれも母親である申立人と
定めるのが相当である。
- 仙台高等裁判所昭和63年12月9日決定
(5) そこで、抗告人甲木次郎、同甲木ハナ両名の即時抗告の当否について検討するに、当裁判所も、この点については、原審の判断を正当と認めるが、その理由
は、原審が詳細に説示するとおりであるので、これを引用する。
(6) 現に養育に関係する抗告人らの心情は察するに余りがあるが、子である太郎(事件本人)の将来を踏まえた幸福ないし福祉のためには、現在、親権者を父で
ある相手方に変更するのが、むしろ、相当と認められるのであり、抗告人らも、亡春子の遺志を強調せずに、太郎(事件本人)の将来という大局的見地からも考慮し、
実父でありかつ兄を養育している相手方に親権者を変更することの相当性に理解をすることを強く希望するものである。
- 福岡家庭裁判所小倉支部昭和55年5月6日審判
離婚の際定められた親権者である父死亡後、子(小学四年生)について父方伯母から後見人選任の申立てがされたことを知った母が親権者変更を申し立てたケースでは、母は親権者として欠けるところはないものの、子とは生後7か月から全く交渉がないのに対し、生後7か月目以降を監護養育している伯母と子との間は真実の母子同様の情愛で結ばれており、右伯母との別離により子の受ける精神的外傷は極めて大きいと考えられること等を考慮すると、当分の間右伯母の養育を受けることが最も子の福祉に沿うものとして申立てを却下
港区虎ノ門3丁目18-12-301(東京メトロ神谷町駅1分)弁護士河原崎法律事務所 03-3431-7161
2006.9.20