内縁にあった男性を窃盗罪で告訴できますか

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Last Updated 2011.12.3mf
弁護士河原崎弘

相談:彼にお金を持ち逃げされた

私は、同棲していた彼に、母から預かっていた、現金120万円を持ち出され逃げられました。 返してもらいたいので、刑事告訴しようと思っています。
内縁関係にあると、警察は刑事事件として扱ってくれないし、処罰もされないと聞きましたが、本当ですか。

弁護士の回答:親族間の犯罪の特例

刑法244条では、配偶者など一定の親族間の窃盗は、刑を免除すると規定しています。この理論根拠理由には次の3つがあります。 実際の学説判例を見ますと、配偶者に内縁関係を含むと考える積極説と、内縁関係には適用しないとの消極説があります。
判例は消極説(処罰可能)ですので、あなたが告訴すれば警察は受理します。ただし、法律は家庭に入らずとの考えがありますので、警察は示談による解決を勧めるでしょう。

判例:配偶者に内縁は含まれない

最高裁平成18年8月30日決定
刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ職権で判断すると,刑法244条1項は,刑の必要的免除 を定めるものであって,免除を受ける者の範囲は明確に定める必要があることなど からして,内縁の配偶者に適用又は類推適用されることはないと解するのが相当で ある。したがって,本件に同条項の適用等をしなかった原判決の結論は正当として よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21 条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する(判例時報1944-169)。

法律

刑法 第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
登録 2006.6.12