婚姻生活の破綻の一例
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Last update Nov. 10,2013mf
相談
28歳の会社員です。私が原告で、現在、
離婚裁判中です。婚姻期間3年、別居期間1年、離婚調停は不調でした。弁護士を頼み、裁判していて、今月で、3回目になります。
離婚理由はセックスレスです。子供はありません。財産分与請求していません。マンションは夫名義なので、私はただ、離婚して、若干の慰謝料(300万円くらい)をもらえればいいです。
しかし、夫は一向に、「納得できない」と、言い、「離婚はしない」と、言っています。だから、離婚するには判決しかないと思っているのです。でも、物的証拠がないので、勝てるか微妙な問題ではありますし、そして、弁護士が70歳位なんですが、最初の頃と違い、自分が面倒なので、私に、「お金で解決したら」と、勧め、一緒に闘うという気持ちが全くないのです。
私はどうしたらいいのでしょう。
お答え
性的不能(セックスレス)は夫婦の間に愛情があり、信頼があれば問題ではありません。
しかし、性的不能により、婚姻生活が破綻して、あなたがそれに責任のない場合は離婚判決が出ます。上記原因で別居しているのですから婚姻生活は破綻しています。
あなたに責任があるとかの特別な事情がない限り、離婚判決は出ると思います。慰謝料も請求できます。物的証拠がなくも、あなたが陳述書を書き、法廷で述べれば良いです。
今依頼している弁護士に相談し、あなたの真意を伝える必要がありますね。
判例
あなたのケースと似た事例(性的不能)で婚姻生活の破綻を認めた離婚判決は沢山あります。新しいものを挙げておきますので、図書館などで捜して読んで下さい。
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東京地方裁判所平成19年5月28日判決(判例秘書)
婚姻関係中に性的交渉を持たず,引いては離婚を余儀なくされたとする不法行為に基づく100万円の損害賠償請求を認めている。
- 東京地方裁判所平成17年9月15日判決(判例秘書)
本訴は,原告が,同居義務の不履行など婚姻を継続し難い重大な理由があるとして離婚請求等の,反訴は,被告が,原告が性的不能や精神疾患などを秘匿して婚姻したことや暴力などを理由として離婚請求等の,各請求について,離婚原因は,主として,被告の現実的な婚姻生活を無視した行動により,原告が被告との婚姻生活に嫌気がさしたもので,被告の言動等が原因であるとして,離婚請求を認容し,原告の慰謝料50万円の支払請求を認容した
- 福岡高裁平成5年3月18日判決:判例タイムズ827号270頁
原審判決の慰謝料120万円を認めている。
被控訴人(妻)と控訴人(夫)の婚姻生活は、控訴人が自営業であつて収入に不安定な面があるため、当初からその生計に不安定要因を抱えていたものであるが、被控訴人としてもこれを納得しながら、他方では控訴人が被控訴人と話し合つて十分な説明をしないまま、生活費に事欠く状態であるのに、交際と称して出歩くことから控訴人の態度に思いやりのなさを感じたもので、控訴人においても多忙であるとはいえ、家庭を顧みて被控訴人の不満を解消する努力が十分でなかつたといえるし、また、被控訴人と控訴人との性交渉は入籍後約5か月内に2、3回程度と極端に少なく、平成2年2月以降は全く性交渉がない状態であるのに、反面控訴人自身はポルノビデオを見て自慰行為をしているのであつて、性生活に関する控訴人の態度は、正常な夫婦の性生活からすると異常というほかはなく、これらの点を指摘する被控訴人に対して、控訴人は、一旦は改善を約しながら依然として改めていないこと、被控訴人は、控訴人への愛情を喪失し、婚姻生活を継続する意思が全くないこと等の事情からすると、控訴人と被控訴人との婚姻生活は既に破綻しているものといわざるを得ず、被控訴人と控訴人との間には『婚姻を継続し難い重大な事由』があると認めるのが相当である。
- 岡山地裁津山支部平成3年3月29日判決:判例時報
1410号100頁
結婚後9か月で協議離婚した夫婦で、離婚の原因が妻の性交渉拒否にあるとして、妻に慰藉料150万円の支払いと結納代わりの指輪の返還をを命じた。
原告・被告A子間の婚姻は、前記検討の結果からすると、結局被告A子の男性との性交渉に耐えられない性質から来る原告との性交渉拒否により両者の融和を欠いて破綻するに至つたものと認められるが、そもそも婚姻は一般には子孫の育成を重要な目的としてなされるものであること常識であつて、夫婦間の性交渉もその意味では通常伴うべき婚姻の営みであり、当事者がこれに期待する感情を抱くのも極当たり前の自然の発露である。しかるに、被告A子は原告と婚姻しながら性交渉を全然拒否し続け、剰え前記のような言動・行動に及ぶなどして婚姻を破綻せしめたのであるから、原告に対し、不法行為責任に基づき、よつて蒙らせた精神的苦痛を慰謝すべき義務があるというべきである。
- 京都地裁平成2年6月14日判決:判例時報1372号123頁
夫が性的交渉を持たなかつたことが原因で離婚に至つたとして、協議離婚後に、妻が夫に対して慰謝料を求め、慰謝料請求を認容した。
原被告は昭和63年4月8日婚姻届をし、同年7月7日離婚届でをした。(中略)結局、被告が性交渉に及ばなかつた真の理由は判然としないわけであるが、前記認定のとおり被告は性交渉のないことで原告が悩んでいたことを全く知らなかつたことに照らせば、被告としては夫婦に置いて性交渉をすることに思いが及ばなかつたか、もともと性交渉をする気がなかつたか、あるいは被告に性的能力について問題があるのではないかと疑わざるを得ない。(中略)そうすると、本件離婚により原告が多大の精神的苦痛を被つたことは明らかであり、被告は原告に対し慰謝料500万円の支払をする義務がある。
- 京都地裁昭和62年5月12日判決:判例時報1259号92頁
夫が性的不能を告げずに結婚し、同居期間約3年半の夫婦において、婚姻に際し妻に自己の性交不能を告知せず、またその後も性交不能が続いている場合には、民法770条1項5号にいう「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断した。
慰謝料は200万円であった。
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