弁護士(ホーム) > 婚約破棄/離婚 >
2015.4.30mf更新

配偶者の不貞相手に対する慰謝料の最高額は

弁護士河原崎弘

相談:夫の不貞相手にいくら請求すべきか

私の夫は、もう3年以上、愛人の女性と関係(不倫)が続いています。子供が2人いるので、私は、我慢していましたが、そろそろ限界です。
パソコンのメールでも、夫と愛人との間に、肉体関係があることは、はっきりしています。私は、相手の女性に慰謝料請求の裁判をしようと思います。
まず、はがきで、交際禁止と、慰謝料を請求し、次に、内容証明郵便で請求し、次に訴えを提起しようと決めました。
今、いくら請求したらよいか、考えています。このような場合、裁判では、夫の不貞相手(愛人)に対しては、最高額いくらの慰謝料が認められているのでしょうか。
相談者は、うつ状態で法律事務所に現れ、弁護士の意見を聴きました。

愛人に対する慰謝料額

回答:不貞に加担した者が負う慰謝料の最高額は500万円です

不貞行為(不倫)をしている配偶者の相手(愛人)が負う慰謝料は、通常は、200万円前後です。これが基本です。
尻軽な配偶者で、夫婦に子供がいないと、愛人の責任は50万円くらい(配偶者の責任が大きく、愛人の責任は小さい)。 自己の配偶者が交際に積極的であった場合は、愛人の責任は100万円〜150万円くらい(愛人は受身であって、責任は小さい)。 夫婦に子供がいて、夫婦に亀裂が入った場合は、愛人の責任は200万円を越える場合があります(愛人の責任は大きい。被害が大きい)。
ときどき、クラミジアの感染などが、云々されますが、それが完全に証明されなくとも、裁判官には、(ひどい人との)強い印象を与えますので、検査の証明書を証拠として提出すると有効です(慰謝料が増える)。

精神的打撃や、慰謝料は証明できませんので、証明する必要はありません。しかし、通常は、 受けた精神的打撃を、陳述書の中で、配偶者の不貞行為により受けた苦しみを説明し、証明します。
さらに、配偶者の不貞で、精神的にストレスを受け、病院に通った人も多いです。そこで、診断書、治療費などの領収書を証拠として提出すると有効です(慰謝料額が増える)。診断書は、心身症、不安神経症、不眠症などだけでなく、精神的なストレスが原因の消化器系統の病気でも有効です。
裁判官は、診断書、領収書を、精神的打撃が大きかったことを認定する証拠として使いますし、損害額(治療費など)を証明する証拠としても使います。

刊行されている文献では、判決上の慰謝料最高額は500万円です。1つの例では、男性ですが、不貞の相手(愛人の女性)の夫の勤務先まで、妻の不貞を知らせたとの悪質な例です。
両方とも浦和地方裁判所ですが、判決を言い渡した裁判官は、違います。
最近の判決では、東京地裁で、弁護士が依頼人と不倫をし、依頼人が離婚したケースでは2000万円の請求に対して300万円を認めた判決がありました。
また、大阪地裁で、金1200万円の請求に対し、300万円を認めた判決がありました。これは、不貞関係が約20年と長かったことが、慰謝料が高額であることの理由の1つでした。
また、不貞期間20年、こどもが2人いるケースでは、妻は、亡夫の愛人に1億円請求しましたが、判決では500万円でした。

以上を概括すると、不貞相手になった愛人の負う慰謝料(相場)は、200万円くらいが標準で、特別の事情があると500万円前後になると言えます。

判決


東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)弁護士河原崎法律事務所 03-3431-7161