公正証書にすると強制執行ができる

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Last update 2012.5.21mf
弁護士河原崎弘

なぜ公正証書にするか

遺言、契約書などを公正証書にすると便利な場合があります。
自筆証書遺言は、あとで、「偽造で無効だ」と言われことがよくあります。公正証書遺言は作成時に本人確認をしますので、裁判で偽造と判定されることは、ほとんどないです。
公正証書は、原本を公証役場で保管しますので、遺言書紛失の危険はありません。さらに、遺言者死亡後、公正証書遺言は検認手続きが不要です(民法104条2項)ので、遺言の執行が即時可能で、妨害される可能性が少ないです。
契約書の場合も同様です。
執行認諾文言(公正証書中で債務者が強制執行に服すること認めた陳述)付の公正証書に表示された金銭債権は、強制執行が可能です(民事執行法22条5号)。従って、金銭の貸借契約を公正証書にすると、裁判所の判決と同様に、差押えなどの強制執行ができます。しかし、公正証書では、明渡しの強制執行はできませんので、不動産賃貸借契約を公正証書にしても、家賃の取立には有効(強制執行できる)ですが、明渡については意味がありません(強制執行できない)。
不動産賃貸借契約 書でも、定期借地権契約 や、定期借家権契約 、などは、書面にする必要がありますが、公正証書にすることが多いです。任意後見 契約は、公正証書で締結する必要があります。

手続き

本人が実印、印鑑証明書を持参し(代理人の場合は、本人の実印による委任状と本人の印鑑証明および代理人の実印と印鑑証明が必要)、公証役場に行き、作成してもらいます。
公証役場は各地(全国で約300)にあります。弁護士を通して、公正証書を作成する方が多いですが、直接公証役場に行っても作成できます。場所がわからないときは、日本公証人連合会(03-3502-8050)に電話をし、近くにある公証役場の所在を尋ねて下さい。
遺言書の場合は、証人2人が必要です。体が悪く、公証役場に行けない場合、あるいは、入院している場合は、公証人に来てもらえます(出張)。日当を負担する必要がありますので、費用は高くなります。

費用

公正証書を作成する際、公証役場に支払う費用は下記表の通りです。これは相続人が取得する価額についての手数料です。相続人が1人の場合はこの手数料額になります。相続人が複数の場合は、この表の手数料額を合計します。

目的の価額 手数料
100万円まで5,000円
200万円まで7,000円
500万円まで11,000円
1,000万円まで17,000円
3,000万円まで23,000円
5,000万円まで29,000円
1億円まで43,000円
以下、超過額5,000万円ごとに 3億円まで13,000円、
10億円まで11,000円、10億円を超える場合8,000円加算
遺言手数料の場合は、目的の価額が1億円まで11,000円加算
売買、請負契約など双務契約では目的の価額は2倍に計算し、
賃貸借契約では期間中の賃料総額の2倍が目的の価額です。

公証役場のその他の業務

確定日付

公証役場では書類に確定日付(郵便局のスタンプのようなものです)を押してくれます。その日に書類が存在したことを証明できす。契約書などを、日付を溯らせて作成したと疑われることを防止できます。手数料は1通700円です。

会社の定款の認証

定款の認証は、会社の本店所在地の管轄法務局所属の公証人によって受けます。
手数料は5万円

私署証書の認証

公文書以外の私人が作った文書の署名(記名捺印)が、本人のものに間違いないことを公証人に証明してもらうことです。
外国語で書かれた文書の認証もできます。

東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)弁護士河原崎法律事務所 電話 3431-7161