経営委任をした相手が商品を横流ししている。対策は

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2013.11.8mf更新
弁護士河原崎弘


質問
当社は、半年前から、私の友人と業務委託契約を締結し、飲食店の経営を、友人(受託者)に任せています。ところが、友人は、当社が以前から取引している(現在分かっているだけで)食品卸業社7〜8社ほどに、当社および別会社名で現在分かっているだけで約500万円発注しています。
それが発覚したのは、ごく最近です。大量注文した請求書が(間違えて)当社に来て いたので、おかしく思い、食品卸業者と受託者に説明を求めると、食品卸業者は、「印鑑証明やその他の書類を受託者から受取っている」とのことでした。
業務委託する前と、業務委託した後では、店の売上げがそれほど変わっていないのに、材料注文の額が(月額)50万円ほど多くなりました。私は、おかしいと思っていたのですが、毎日、当日の売上金の入金があるので、材料の注文が増えたことについては特に追求しませんでした。
作った契約書は簡単なもので、保証金も取ってなく、連帯保証人もいません。受託者は金はないけど、やる気だけは満々の気合いだけです。
私が、受託者をきつく追求すると、彼は逃げてしまいそうです。彼が逃げた後、500万近い支払い請求が私のところに来るのではと、心配で、なかなか受託者に「連帯保証人の要求」ができません。もし受託者が支払いをせず、姿をくらましたら、どうなるのですか。
相談者は、弁護士に相談しました。

回答
商法14条は、「自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う」と、規定しています。これは名前を貸した人(名義を貸した人)の責任で、名板貸人の責任と言います。
この規定によると、受託者があなたの会社名で発注した仕入れ代金については、あなたの会社は責任を負います。別会社名で発注した分については、あなたの会社は責任を負わないでしょう。
受託者の行為はおかしいですので、すぐ事情を聴いて、犯罪(背任)に当たる場合は契約を解除してください。早いうちに話し合い、受託者に事情を説明する文書と、弁済を約束する文書(債務弁済契約書)を書かせるとよいでしょう。事情を説明する文書は刑事事件(横領罪あるいは背任罪)で告訴するとき、弁済を約束させる文書は民事事件で訴えを提起するとき役立ちます。時間が経つと相手は居直り、書類を書かなくなります。
経営委任(業務委託)は、信用できる相手を選ぶ必要があります。きちんと、 営業委託契約書 を締結し、必要なら、保証金を預かり、連帯保証人を付けてもらうと、よいでしょう。
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