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2024.8.25 mf更新
弁護士河原崎弘

自分の持っている絵をホームページに使えるか
絵の所有権と著作権は別

相談:絵の所有権

私は、ある有名な画家(日本人。1998年に死亡)が描いた絵を所有しています。この絵を写真にとって、私のホームページの背景画として使いたいのですが、法律上は許されますか。

弁護士からの回答:絵の所有権と著作権は別

著作物の所有権と著作権は区別されます。 あなたは著作物(絵)の所有権を持っていますが、著作権は持っていません。著作権者は亡くなっていますので、その相続人が著作権を持っています。
従って、この絵を写真にとって、あなたのホームページの背景画として使うことは著作権者の承諾が必要です。この場合は、相続人の承諾が必要です。無断で使えば著作権侵害となります。
著作権の保護期間は、原則として、著作者の死後70年です(著作権法51条2項)。別の言葉で言えば、著作者の死後70年経過したものは自由に使えることになります。

下の判例は、ピカソの絵画展で、主催者が、(絵画の解説をした)小冊子および絵画展の入場券にピカソの絵を使ったところ、ピカソの著作権承継人から、使用差止め請求がされた事件の判決です。
裁判所は、小冊子にも、入場券にも無断で絵を複製できないと判断し、差止めを認めています。 著作物の種類ごとの保護期間は次の通りです。
著作物保護期間著作権法
実名の著作物死後70年51条2項
無名、変名(ペンネーム)の著作物発表後70年52条1項
団体名義の著作物公表後70年53条1項
映画の著作物公表後70年
創作後70年以内に公表されなかったときは、創作後70年
54条1項
共同著作物の保護期間は、共同著作者のうち最後に死亡した著作者の死亡時点から70年51条2項かっこ書き
平成30年12月30日以前にすでに著作権が切れた著作物保護期間は終了
外国人の著作物58条
相互主義
日本人の著作物相互主義

判例

法律

著作権法47条の2
(美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等)
美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所(新設) 有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権原を有する者が、第二十六条の 二第一項又は第二十六条の三に規定する権利を害することなく、その原 作品又は複製物を譲渡し、又は貸与しようとする場合には、当該権原を 有する者又はその委託を受けた者は、その申出の用に供するため、これ らの著作物について、複製又は公衆送信(自動公衆送信の場合にあつて は、送信可能化を含む。)(当該複製により作成される複製物を用いて 行うこれらの著作物の複製又は当該公衆送信を受信して行うこれらの著 作物の複製を防止し、又は抑止するための措置その他の著作権者の利益 を不当に害しないための措置として政令で定める措置を講じて行うもの に限る。)を行うことができる。

政令・省令の基準

著作権法施行令7条の2
著作権法施行規則4条の2

許される複製
デジタル媒体
画素数が三万二千四百以下
紙媒体
五十平方センチメートル以下

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