死亡事故の被害者として執行猶予判決に不満

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2015.6.19mf更新
弁護士河原崎弘
質問
私の父(58歳)は、本年7月、交通事故で亡くなりました。父は横断歩道を青信号でわたっていたときに、信号を見落とした普通乗用車にはねられたのです。
加害者の若者(28歳、会社員)は、香典として20万円を置いていき、その後、4度ほど謝罪に来ました。私どもは、香典など受け取る気持ちがないので、送り返しました。
加害者車両は、対人賠償額無制限の任意保険に加入しているそうですが、私たちが応じていないので、示談は成立していません。

検察官から、裁判の期日の連絡があったので、刑事裁判は、傍聴席で見ました。3回目の日に、判決があり、被告人の若者は、禁固3年執行猶予5年の判決を受けました。
示談も成立していないのに、執行猶予とはおかしいです。私は、被害者の遺族として、この判決に納得できません。私は、判決に不服なので、控訴など不服申立てができますか。
相談者は、弁護士会の無料電話相談で、弁護士に尋ねました。

回答
被害者の遺族が被告人(加害者)から香典を受け取らなくても、被告人が香典を出した事実は、刑事裁判では、被告人のよい情状として考慮されます。刑事裁判では、被告人の反省などの態度を問題にしているので、被害者に謝罪し、香典を置いていったとの態度は考慮されます。
被害者が香典を送り返したとの行動は、被害者の感情がおさまっていないとの事実としては考慮されます。
示談が成立していない理由は、被害者に原因があるのです。対人賠償額無制限の保険が付けてあるのですから、裁判官は、示談はいずれ成立すると考えているのでしょう。

あなたは、刑事裁判の当事者でないので、控訴できません。公益の代表者である検察官だけが控訴するか否かを決めるのです。
判決に不服の場合は、あなたが、担当検察官に、控訴を求める上申書を出すことです。たいした効果はないと思いますが、検察官が控訴すべきか、迷っているときには効果があるでしょう。
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