犯罪の被害者は刑事記録の閲覧ができるか

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2015.7.7mf
弁護士河原崎弘

質問

サイトを拝見させていだきました。 いろいろ参考になる情報が多数あり非常にありがたかったです。
参考になりついでに、二、三お教え願いたいことがあるのですが、 もし、お忙しくなければ、回答していただけたら嬉しいです。
  1. 刑事告訴についてですが、告訴状を提出した場合、その受理・不受理というもの は、どれくらいの期間で決まるのでしょうか。
  2. 名誉棄損などの疑いで、刑事告訴をする場合、住所、氏名不詳の人物に対する告 訴状と言うものは受理される可能性はあるのでしょうか。
  3. 公判記録の閲覧は、受刑者の刑期が終わるとできなくなるようですが、それは、 当該事件の被害者でも駄目なのでしょうか。

回答

  1. 受理などとの概念は、行政機関が勝手に決めていることです。「(受理ではなく)預かる」とか、言いますが、これは、仕事をサボる公務員の言い逃れです。 提出が、すなわち、受理と考えていいです。
    警察が、「預かる」と言うのを嫌がり、告訴状を書留郵便で送る弁護士もいます。
  2. 住所、氏名不詳の人物に対する告訴 でも大丈夫です。 告訴は、通常は、書面でしますが、口頭でもできます(刑事訴訟法 241条1項)。
  3. 刑事事件記録の閲覧謄写
    • 公判中
      被害者は、閲覧謄写できます(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律3条)
    • 事件終結後
      記録の保管者は、第1審の裁判所に対応する検察庁の検察官です(刑事確定訴訟記録法2条1項)。
      刑事確定訴訟記録法に細かな閲覧期間、保管期間が規定されています。刑事記録は、刑事訴訟法53条により、誰でも、被告事件の終結後閲覧できます。
      公判記録の閲覧は、刑事被告事件確定後3年まで、できます。 刑事確定訴訟記録法4条2項2号に規定されています。

参考条文

【刑事訴訟法】 第53条(訴訟記録の閲覧) 
@ 何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるときは、この限りでない。
A 弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録又は一般の閲覧に適しないものとしてその閲覧が禁止された訴訟記録は、前項の規定にかかわらず、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があつて特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ、これを閲覧することができない。
B日本国憲法第八十二条第二項但書〔政治犯罪・出版犯罪または基本的人権に関する事件〕に掲げる事件については、閲覧を禁止することはできない。
C訴訟記録の保管及びその閲覧の手数料については、別に法律でこれを定める。

刑事確定訴訟記録法】 第4条(保管記録の閲覧)
@ 保管検察官は、請求があつたときは、保管記録(刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録に限る。 次項において同じ。)を閲覧させなければならない。 ただし、同条第一項ただし書に規定する事由がある場合は、この限りでない。
A保管検察官は、保管記録が刑事訴訟法第五十三条第三項に規定する事件のものである 場合を除き、次に掲げる場合には、保管記録(第二号の場合にあつては、終局裁判の裁判書を除く。) を閲覧させないものとする。ただし、訴訟関係人又は閲覧につき 正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場合については、この限りでない。
保管記録が弁論の公開を禁止した事件のものであるとき。
保管記録に係る被告事件が終結した後三年を経過したとき。
保管記録を閲覧させることが公の秩序又は善良の風俗を害することとなるおそれが あると認められるとき。
保管記録を閲覧させることが犯人の改善及び更生を著しく妨げることとなる おそれがあると認められるとき。
保管記録を閲覧させることが関係人の名誉又は生活の平穏を著しく 害することとなるおそれがあると認められるとき。
B第一項の規定は、刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録以外の 保管記録について、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者 から閲覧の請求があつた場合に準用する。
C保管検察官は、 保管記録を閲覧させる場合において、その保存のため適当と認めるときは、原本の閲覧が 必要である場合を除き、その謄本を閲覧させることができる。
登録 2003.11.15
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