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2011.4.27mf
弁護士河原崎弘

刑法改正前の犯罪に改正法は適用されますか

質問

私の弟が、窃盗罪で勾留されています。
最近、刑法が改正されて窃盗罪に罰金刑があると聞きました。これは、改正後に捕まった人から、適用されるのですか、それとも、改正前に捕まった人にも適用されるのですか。
現在、保留(判決待ち)の人にも適用されるのですか。

弁護士の回答

刑事法の大原則に罪刑法定主義があります。犯罪の後に刑罰を決め、犯罪を処罰することは許されません。これを刑法不遡及の原則と言います。
しかし、犯罪が行われた(犯罪時)後、裁判時までの間に、刑が変更になった場合は、軽い刑を適用するとなっています(刑法6条)。
平成18年4月25日、可決された「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」は、窃盗罪に懲役刑の他に、罰金刑を決めています。
従前は、窃盗罪の刑は、罰金刑はなく、10年以下の懲役刑だけでした。万引きなどに対処するために、改正法では、窃盗罪の刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金になりました。新法の方が刑が軽いので、 施行前の窃盗についても、刑法6条により、新法が適用されます。

刑法

第6条(刑の変更)
犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる。
登録 2006.4.26