2012.4.21相談
雑居ビルを所有し、賃貸しています。家賃が遅れる人が多く、不動者屋の助言で、契約書に「家賃が遅れた場合は、支払期日の翌日から完済まで、年15%の遅延損害金を支払う」との条項を入れることにしました。
これは、法律に違反しませんか。回答
そうですね。遅延損害金は、実際に、請求しなくても、このような定めは、家賃の遅れを防止するために有効です。 特別な定めをしなくとも、現在でも遅延損害金を請求できます。
- 損害賠償額の予定(違約金)の特約がない場合。
特約がない場合でも、遅延損害金を取れます。金額は法定利率によって計算した金額になります(民法419条1項)。
計算式は、次の通りです。「法定利率」は、民法改正により、2020.4.1から、年3%(商法514条は廃止)。
遅延損害金の額=支払いが遅れた賃料金額×法定利率×支払が遅れた日数÷365(または366)
「支払が遅れた日数」は、支払期限の翌日から計算します。
- 損害賠償額の予定(違約金)の特約がある場合
- 借主が個人(非事業者)の場合
相談者は、事業者ですので、借主が個人の住居用に使う場合は、消費者契約法が適用されます。
消費者契約法9条2号は、金銭の不払いについての損害賠償額の最高額を年14.6%と決めています。 従って、14.6%を超える部分は無効となります。決める場合は、14.6%以下にしてください。
なお、これは、 明渡しの遅延損害金とは異なります。- 借主が、個人の事業者、あるいは、法人の場合
この場合は、消費者契約法は適用ありません。さらに、この場合は、家賃支払い遅延のために生じた損害であって、金銭消費貸借契約でないため、出資法や利息制限法による制約はありません。 遅延損害金の年利については社会通念を超える法外なものでない限り、自由に決めてください。計算式は、法定利率が、約定利率になるだけで、あとは同じです。
遅延損害金の額=支払いが遅れた賃料金額×約定利率×支払が遅れた日数÷365(または366)