修繕積立金を滞納している区分所有者対策
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2012.8.24mf更新
相談:修繕積立金を滞納している区分所有者
私は、築23年マンションの管理組合の役員をしています。このマンションは3年前に外壁の大修繕工事を7千万円で実施しました。そのときは1戸平均50万円の一時金を集めて工事費を支払いました。
現在、管理組合では、8年後に予想される大修繕に備えて、毎月、特別の修繕積立金を上乗せして徴収する決議をしました。その結果、積立金は1戸平均1万3000円(修繕積立金5000円、特別修繕積立金8000円)になってしまいました。
ところが、エントランス改修などで、修繕積立金を使ってしまい、現在、修繕積立金は、未だ、800万円しかないのです。
その結果、管理費は払うが、特別修繕積立金の支払を拒否する人が80戸中、9戸あります。
この対策は、どのような手段がありますか。
回答:修繕積立金の徴収方法、不払いに対する対策
相談者は、管理会社の顧問弁護士から、次のようなアドバイスを得ました。
修繕積立金の滞納に対しては、まず、説得です。9戸も滞納しているのですから、それなりの理由もあると考えられます。
問題となっているのは、修繕積立金の額および使途です。
金額については、1ヵ月6千円/戸(築5年未満)から1万円/戸(築17年以上)くらいが標準との考えもあります。積立金が多いとマンションの価値は高いとの考えもあります。
大規模修繕の際には、(ローンに頼るなどは別として)契約時には、そのお金がないと、管理組合としては、自信をもって、工事を発注できないでしょう。
徴収方式:修繕費用を、毎月、積立てるか、一時金として徴収するかです。- 毎月、積立てる方式
この方法は、堅実に見えますが、公のお金は無責任に使われ易いです。お金が溜まると狙う人が出てきます。
積立金が組合の役員に横領された例もあります。印鑑と通帳を分けて保管する必要があります。
また、管理会社が、工事を提案し、何かとそれを使わせようとする例は多いです。
その意味では、管理会社は、よい会社を選び、普段のチェックが必要です。
この方式は、管理組合がお金を保管するのですから、管理組合活動が活発で、うまく運営されている場合は、問題ないでしょう。 - 一時金徴収方式
毎月、修繕積立金を集めるが、大修繕実施の直前に一時金として徴収する方式も悪くはありません。これは、各区分所有者が各家庭でお金を積立て、大規模修繕の際に管理組合に支払うのです。
各区分所有者がお金の管理する方式です。区分所有者が管区組合に無関心な場合には、この方式の方が安全です。
不払い防止策:さらに、修繕積立金の滞納を防止するためには、「期日までに支払のない場合には、支払い期日の翌日から支払済みまで年15%の遅延損害金を付加して支払う」と、過怠条項を決める。必要ならこの割合を、20%ないし30%にすると良いでしょう。
しかし、各区分所有者は仲間なのですから、過酷な請求をすべきではありません。
- 個別的な決議で決める場合は、2分1以上の賛成(建物の区分所有権等に関する法律38条)が必要です。
- 規約の中で決めるには、4分の3以上の賛成(同法31条1項)が必要です。
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