借りている家が売られた場合賃貸借契約は
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2016.2.17mf
弁護士河原崎弘
相談:不動産
今、店舗を借り、自営業をしています。店舗の上に家主が住んでいます。
最近、家主が店舗を転売するかも知れないとの話を聞きました。
もし、家主が代わった場合、保証金とか、敷金を、また支払わなければならないのでしょうか。
もし新しい家主が、別の商売をするから立ち退いてくださいと言われたら、どうしたらいいのでしょうか?
回答
借地借家法第31条(旧借家法1条1項)は、「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」と定めています。
借主は、旧家主との法律関係を、新家主に対して主張できます。新家主は、旧家主の法律上の地位を引き継ぐのです。
敷金とは、賃貸借契約から生じる一切の債務を担保するために借主から貸主に対して交付する金銭であり、賃貸借が終了して賃貸目的物の明渡しの際に賃借人に債務不履行があればその賠償額が当然に控除され、債務不履行がなければそのまま返還される金銭です。賃貸人の地位が承継された場合、敷金返還債務は賃貸人の地位の移転に伴って承継されます。
名目が
保証金でも、実質的に敷金の趣旨ならば、借主は、改めて保証金を支払う義務はなく、立退きする義務もありません。
保証金預託契約が、賃貸借契約とは別の契約なら(敷金ではないなら)、新家主に引き継がれません。その場合は、旧家主に保証金の返還請求をすることになります。
判決
- 最高裁判所昭和44年7月17日決定
敷金とは、賃貸借契約から生じる一切の債務を担保するために借主から貸主に対して交付する金銭で
あり、賃貸借が終了して賃貸目的物が明渡しの際に賃借人に債務不履行があればその賠償額が当然に控除され、なければそのまま返還される金銭であり、賃貸人の地位が承継された場合、敷金返還債務は賃貸人の地位の移転に伴って承継される(金融商事判例175号10頁)。
-
大阪地方裁判所平成17年10月20日判決
商業ビルの賃貸借契約に伴って差し入れられた賃料の55か月分の金員全額について敷金であると認定し賃貸人の地位を承継したビルの競落人が敷金全額の返還債務を承継するとされた(金融・商事判例1234号34頁)。
虎ノ門 弁護士河原崎弘 03−3431−7161
2007.12.1