実印、不動産の権利証の盗難

弁護士(ホーム) >  不動産の法律相談
2013.7.15mf更新
相談:不動産
7月23日に自宅に空き巣が入り、実印、印鑑登録カード、不動産の登記済権利証を盗まれました。私は、翌日区役所に行き、印鑑登録の廃止届けをし、さらに、法務局へ行き、「不正登記防止申出」をしました。「不正登記防止申出」の期限は3か月だそうです。
その間に、盗んだ権利証を利用して登記申請があった場合はどうなるのでしょうか。
相談者は、弁護士会の無料電話相談があることを知り、相談者はこれを利用しました。

回答
盗まれた不動産の権利証(現在は,「登記識別情報」として12桁のアラビア数字その他の符号)、実印を使って登記をしても、それは真の所有者の意思に基づかないものですので、無効です。その登記を基にさらに登記がされても同じです。
登記を信用して不動産を買っても、真実の所有者から買わない限り、買主は不動産の所有権を取得できないわけです。
真実の所有者は、虚偽の登記がされても権利を失いません。しかし、虚偽の登記が転々とされては、真実の所有者も困ります。
そこで、現在、法務局では、「不正登記防止申出(旧、不実の登記防止の申出書)」を提出することを認めています。不動産登記事務取扱手続準則35条に規定されています。これは法的根拠があるわけでありません。これを出せば虚偽の登記が効力がなくなるわけではありません。
しかし、これを出しておけば、提出後3か月間は、申出者名義の登記申請があった場合、登記所は、電話などで登記申請があったことを申出者に知らせてくれます。申出者はこの知らせを受けたら、すぐ、処分禁止の仮処分の申立などの対策を立てることができるわけです。
不正登記防止申出をする場合は、警察等への被害届け、防犯の相談又は告発、市町村長への印鑑証明書を無効とする手続き(廃止、変更)の依頼等をしていることが必要です(平成17年2月25日法務省民二第457号の第1の2)。

不動産登記事務取扱手続準則は、2005年(平成17年)2月25日に法務省民事局第二課民事局長から、全国の法務局長及び地方法務局長宛に出された通達です。


港区虎ノ門3丁目18-12-301(東京メトロ神谷町駅1分)河原崎法律事務所 弁護士河原崎弘 03-3431-7161