前の遺言を取消す遺言書の書式
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2011.6.1mf
弁護士河原崎弘
遺言書
1.
私は、平成20年10月7日、自筆証書をもって遺言したが、この度、この遺言の全てを取消します。
2.
本遺言のため遺言者は本遺言の全文を自筆で書き、日付、氏名を自書して捺印した。
平成21年7月20日
〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇〇番〇〇号
遺言者甲野 太郎
印
遺言はいつでも取消す(正確には撤回)ことができます。取消しはこのような遺言でする(民法1022条)か、前の遺言と異なる遺言をする(1023条)か、遺言書を破棄して(1024条)もできます。
取消しを内容とする遺言を取消しても前の遺言の効力は復活しません。例外として詐欺脅迫により遺言を取消した場合、あるいは遺言書の記載上遺言者が当初の遺言の復活を希望することが明らかな場合は、前の遺言は復活します(最高裁平9.11.13判例時報1621-92)
捺印は、実印でなくとも、認印、拇印でも良いです。
本遺言書中の「2.」は書かなくても良いです。
判決
最高裁判所平成9年11月13日判決
ところで、遺言(以下「原遺言」という。)を遺言の方式に従って撤回した遺言者が、更に右撤回遺言を遺言の方式に従って撤回した場合において、遺言書の記載 に照らし、遺言者の意思が原遺言の復活を希望するものであることが明らかなときは、民法一〇二五条ただし書の法意にかんがみ、遺言者の真意を尊重して原遺言の効力 の復活を認めるのが相当と解される。
これを本件について見ると、前記一の事実関係によれば、亡Aは、乙遺言をもって甲遺言を撤回し、更に丙遺言をもって乙遺言を撤 回したものであり、丙遺言書の記載によれば、亡Aが原遺言である甲遺言を復活させることを希望していたことがあきらかであるから、本件においては、甲遺言をもって 有効な遺言と認めるのが相当である。
登録 Nov. 13, 1999