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2015.7.8mf更新
遺言による後見人指定があると家裁の審判は不要ですか
相談:遺言執行が不要な場合
遺言執行(詳しくは、遺言/相続/遺言執行)について質問します。法律の本によりますと、「遺言の内容によっては、遺言が効力を発生すると同時にその内容が実現され、執行を要しないものがあります。例えば後見人の指定、相続分の指定、遺産分割の禁止などは、執行の必要がありません」とあります。
遺言書による後見人の指定は執行の必要がないということは、指定された後見人は自動的に就任できるのでしょうか。後見開始の審判は必要ないのでしょうか。
財産の処分等は、後見人を指定した遺言書があれば、その人が未成年者の代理人として有効に実行できるのでしょうか。
説明:後見人の指定は執行が不要だが、後見開始の届出をする必要あり
弁護士の説明は次の通りです。
未成年者に対し最後に親権を行使する者は、遺言で後見人を指定できます(民法839条1項)。これを指定後見人といいます。この場合、家庭裁判所の審判は必要ありません。
指定後見人は、遺言の効力発生時(被相続人死亡時)に就職したものとみなされます。指定後見人は、その日から、10日以内に、区役所あるいは市町村役場に、後見開始の届出をする必要があります(戸籍法81条)。
指定後見人には、法定代理人として、未成年者の財産につき処分権限があります。民法859条1項では、未成年者の財産管理権を規定しており、財産管理権は売却などの処分権を含むと解せるし、2項の代理権で処分できると解することができます。
判決
- 仙台家庭裁判所昭和45年10月26日審判
本件請求の許否を決するには本件事案のように、離婚の際未成年の子の単独親権者となつた者が死亡した場合民法第838条により後見が開始し、指定後見人が存しない場合は家庭裁判所が後見人を選任することとなるが、その場合親権者とならなかつ
た他方実親が生存しており、新たに親権者になることを希望し、且つその者が未成年子の監護養育の適任者と認められる場合、親権者
を死亡した単独親権者よりその生存する実親に変更することが許されるか否か、後見人選任以外に出来ないのかということ、更に親権
者変更が許されるとするなら、その時期は何時迄か、すでに生存実親でない者が後見人に選任されていた場合にも親権者変更の余地が
あるかという点が問題となるが、当裁判所は右いずれについても、積極と解する。
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