遺留分侵害額の対象は、遺留分を超える部分/弁護士の法律相談
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2022.11.21mf
弁護士河原崎弘
遺留分侵害額の計算
遺留分を請求される受遺者、受贈者が相続人である場合、その者には、遺留分があります。そこで、遺留分を請求されても、請求される者の遺留分は確保するために計算方法があります。
民法1047条1項本文での「目的の価額」とは、相続分のうち、自己の遺留分を超過した金額を指します。相続人が遺贈された額が遺留分に満たない場合、減殺を受けません。
遺留分の計算は下記の通り。
- 遺留分(あるいは、遺留分不足額)を計算します。
- 遺贈、贈与のうち、遺留分を超過した部分(以下、超過部分)を計算します。
- 各受遺者、受贈者の超過部分に応じて、負担額(負担部分)を計算します。
これが、請求できる金額になります。
最高裁平成24年1月26日決定が、持ち戻し免除との関係で決定をしていますので、これに従って、計算すると、下記の通りとなります。
遺言者は、持ち戻し免除の指定ができます。持ち戻し免除の意思表示は、遺産分割の場合には、効力あります。しかし、遺留分侵害額請求の場合は、遺留分侵害額請求が優先します。
最高裁平成24年1月26日決定に基づく、遺留分減殺請求された後の相続分の計算方法
@ 抗告人3人の遺留分(遺留分侵害部分)
遺留分不足額の計算
| 遺留分不足額
|
1/10×1/2 | 1/20
|
指定相続分
名前 | 指定相続分 |
Y1 妻 | 1/2 |
Y2,Y3 | 各1/4 |
抗告人3人 | 0 |
A遺留分を超過する部分の計算:指定相続部分から遺留分をマイナスする
名前 | 指定相続分 | 遺留分超過部分の計算 | 超過部分 |
Y1 妻 | 1/2 | 1/2-1/4 | 1/4 |
Y2,Y3 | 各1/4 | 各1/4-1/20 | 4/20 |
抗告人3人 | 0 | 0 | |
B遺留分負担割合の計算:超過額に応じて、遺留分を負担させる。
名前 | 超過部分 | 計算 | 負担部分(減殺部分) |
Y1 妻 | 1/4 | 3/20×1/4÷(1/4+4/20+4/20) |
3/52 |
Y2,Y3 | 各4/20 | 各3/20×4/20÷(1/4+4/20+4/20) | 12/260 |
抗告人3人 | 0 | 0 | |
C各相続分:指定相続部分から負担部分をマイナスする。
名前 | 相続分の計算 | 相続分 |
Y1 妻 | 1/2-3/52 | 23/52 |
Y2,Y3 | 各1/4-12/260 | 各53/260 |
抗告人3人 | 0 | 1/20 |
登録 2012.4.27
東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)弁護士河原崎法律事務所 03-3431-7161