非居住者に対する贈与税/弁護士の法律相談

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質問
私は、アメリカの大学を卒業し、当地(アメリカ)で働いています。国籍は日本です。大学を卒業し8年になります。
私が現在住んでいるマンションは、父のものです。父は、このマンションを私に与えてもよいと言っています。このマンションの贈与を受けた場合、私に日本の贈与税は課せられますか。
相談者は法律事務所を訪れました。

回答
弁護士の回答は次の通りでした: 贈与を受けた人は贈与税を支払う義務があります。基礎控除は年間 110 万円です。
相続税などに比べて、贈与税は高いです。
外国にいる方(非居住者)に対する贈与税は、従来、次のようになっていました。

居住者は、財産の所在地にかかわらず、贈与を受けた全ての財産につき、贈与税を課せられる(相続税法第2条の2、1項
非居住者は、贈与を受けた財産のうち、日本にある財産について贈与税を課せられます(相続税法第2条の2、2項)。

相続税基本通達1・1の2共-6では、次の者の住所は日本にあると扱っています。 あなたの場合は、非居住者のようですし、贈与を受けた資産は日本にありませんので、従来(2000年3月31日まで)、あなたには日本の贈与税は課せられませんでした。

ところが、租税特別措置法69条の2が、新に、2000年4月1日から、次の表のように規定しています。なお、相続税も同じです。

贈与者
日本に住所あり日本に住所なし
5年以内に
日本に住所あり
日本に住所なし
5年越える


日本に住所あり 国内、国外財産ともに課税
日本に
住所なし
日本国籍あり5年以内に
日本に住所あり
日本に住所なし
5年越える
国内、国外財産ともに課税 国内財産のみ課税
日本国籍なし 国内財産のみ課税

あなたのお父さんは居住者(日本に住所がある人)ですので、2000年4月1日以降は、あなたには日本の贈与税が課されます。
一般的に言えば、贈与ではなく、遺言などで資産を移転させる(その場合は相続税)方が税金は安いです。贈与税は非常に高く、相続税は非常に安いからです。

相続税法
第1条(相続税の納税義務者)
左に掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。
相続又は遺贈(贈与者の死亡に因り効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)に因り財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの
相続又は遺贈に因りこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの
第1条の2(贈与税の納税義務者)
左に掲げる者は、この法律により、贈与税を納める義務がある。
贈与(贈与者の死亡に因り効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)に因り財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの
贈与に因りこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの
第2条(相続税の課税財産の範囲)
第一条第一号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈に因り取得した財産の全部に対し、相続税を課する。
第一条第二号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈に因り取得した財産でこの法律の施行地にあるものに対し、相続税を課する。
第2条の2 (贈与税の課税財産の範囲)
第一条の二第一号の規定に該当する者については、その者が贈与に因り取得した財産の全部に対し、贈与税を課する。
第一条の二第二号の規定に該当する者については、その者が贈与に因り取得した財産でこの法律の施行地にあるものに対し、贈与税を課する。

登録 Sept. 26, 2000