弁護士(ホーム) > 法律事務所 > 法律書式 > 答弁書の書き方 答弁書の書き方/弁護士の書式
Last updated 2023.1.5mf
答弁書作成の注意点
訴えられた当事者(被告)は、答弁書を提出する必要があります。本人訴訟 の場合に使える答弁書の書き方と手続きを説明します。
- 見本は、 貸金請求の訴状 が届いた場合の答弁書の書式です。
- A4の用紙を使い、縦書き、横書きにし、左に3cmくらい空け、左綴じとする。
- 字の大きさは12ポ位
- 被告が第1回目の口頭弁論期日に欠席すると敗訴判決を受けることがあります(民事訴訟法159条3項)。 しかし、答弁書が提出してあれば答弁書を陳述したとみなされ、欠席しても大丈夫です(擬制陳述、民事訴訟法158条)。
- 印紙は不要です。
- 答弁書は、裁判所用と原告用と合計2通を、裁判所に提出してください。
- 切手(裁判所では郵券といいます)は1,050円を2組くらい提出するよう求められます。
- 管轄違い、あるいは、裁判をしないとの契約がある場合、例えば工事請負契約では「建設工事紛争審査会の斡旋または調停により解決する」との約定がよくあります。その場合、管轄違いとか上記審査会で解決をすべきだから、まず、管轄違いとか、却下の裁判を求めて下さい(裁判所は、管轄がないと認めたときは、管轄裁判所に移送します)。争わずに、応訴すると、管轄を認めたとみなされます(応訴管轄、民事訴訟法12条)。
請求原因に対しては、「仮に、前記答弁が認められない場合」として予備的に答弁すると、よいでしょう。- (ワ)は、裁判所が一般事件に付ける事件の符号です。
- 被告から答弁書が提出されたら、原告は、反論のため 準備書面 を出す必要があります。
- 被告提出証拠は、乙1、乙2のように、番号を付けて、写しを提出します(原告提出証拠は、甲1、甲2と番号を付ける)。
答弁書見本/書式:A4横書き
平成15年(ワ)第〇〇〇〇号貸金請求事件 原告 株式会社〇〇〇〇 被告 〇〇〇 〇〇〇 答弁書 平成16年2月3日 (事務所及び送達場所) 〒〇〇〇-〇〇〇〇 東京都港区虎ノ門3丁目〇〇番〇号
〇〇ビル〇〇号
被告訴訟代理人弁護士 〇〇 〇〇 印
電話 〇〇-〇〇-〇〇
ファックス 〇〇-〇〇-〇〇東京地方裁判所 民事〇〇部 御中 第1 請求の趣旨に対する答弁 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 請求の原因に対する答弁
1 請求原因1項中、300万円を借り受けた事実は否認する。原告会社の社内規定などについては不知である。その余は認める。
被告は、留学に際し、原告から金270万円を借用した。被告は契約の際、原告の求めに応じて、金300万円の借用書を書き原告に交付したが、実際に受領した金額は270万円である。
消費貸借契約は要物契約である(民法587条)。被告は、金270万円の交付しか受けていないので、金270万円の金銭消費貸借契約しか成立していない。
金300万円交付したとの立証責任は原告にある。原告が証拠を提出し、立証すべきである。2 請求原因2項中、被告が支払いをしなかったことは認めるが、その余は否認する。 3 請求原因3項は争う。
第3 被告の主張1 被告が借りた金は前述の通り、金270万円である。 (弁済) 2 その後、被告は、アメリカに滞在していたので、アメリカから、友人○○ ○に依頼し、下記の通り、原告に対し合計金120万円を弁済した。
(1)平成7年5月 9日 金70万円(乙1号証)
(2) 平成7年7月31日 金50万円(乙2号証)(時効) 仮に、被告に、返済義務が認められる場合 3 原告は、会社であり、原告の本訴債権は商事債権である(商法503条2項)。
原告の本訴提起のときに、既に弁済期である平成7年8月12日から5年を経過している。被告は、商事債権の消滅時効を援用する(商法522条)。
添付書類1. 乙号証写 1通 2. 訴訟委任状 1通 答弁書中の法律用語の説明
請求原因に対する答弁では、次の法律用語を使うと簡便です。
認否 内容 認める。 認める場合。 不知である。 知らない場合。ただし、自分が関与した事実は、忘れた場合でも、「不知」とするのは、おかしいです。自分に関する事実は、認めるか、否認するか、どちらかです。 否認する。 否認する場合。
相手方の主張を安易に認めてはいけません。わからない場合は、「不知」としましょう。
相手方の主張事実を認める陳述を自白と言います。自白は、相手に異議のないとき、あるいは、真実に反しかつ錯誤に基づく場合にのみ撤回できます。簡単には撤回できないのです。
商事債権の時効期間を5年間と定めている商法522条は削除され、2020(令和2)年4月1日以降に成立した債権については、商事債権であるかどうかにかかわらず、消滅時効期間は原則5年となります。答弁書提出の手続き
答弁書を持参する場合は裁判所の書記官室で、答弁書の控えに受付印を押してもらうと良いでしょう。郵便で送る場合は(簡易)書留にすべきです。普通郵便で出し、後で、(よくあることですが)裁判所から、「届いていません」、「書類は受取っていません」と言われたら、抗弁しようがありません。
自分のことは自分で守り、証拠を確保するよう手続きに気を付けてください。訴訟費用の負担について
訴訟費用は印紙代、書類作成費、日当などですが、実際は計算が面倒なため請求しないことがほとんどですので、心配する必要はありません(多額の鑑定費用がかかった場合は別です)。
訴訟費用には弁護士費用は含まれません。弁護士費用は、(原告、被告)各自負担が普通です。