財産のない夫婦の離婚/弁護士の法律相談

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2013.11.11mf更新


相談
私は32歳、5歳の子どもがいます。結婚して6年になります。私の月収は30万円、妻は19万円です。
妻は、「離婚したい、1000万円払って下さい」と、言っています。毎晩この話で、私も疲れてしまいました。預金は、通帳には40万円しかありません。私は、浮気などはしていません。

回答
離婚の際、婚姻中(婚姻破綻時まで、離婚成立時ではない)築いた財産を、2人で分ける制度が財産分与です(清算的財産分与)。通常、共稼ぎ夫婦では、財産分与の割合は、妻の割合は2分の1、妻が専業主婦の場合は、妻の割合は、3分の1から2分の1くらいでしたがが、最近は、財産分与の割合は、原則とした2分の1です。
結婚後築いた財産がなければ、通常は、財産分与をする義務はありません。 例外として、婚姻中の生活費 の清算をする必要がある場合、あるいは、離婚後一方の(収入を得る能力がない)配偶者が収入を得る見込みがないので、他方の配偶者からの扶養を要する場合(扶養的財産分与)は、若干の財産分与が認められます。
扶養的財産分与として、婚姻費用に準じて計算した額、あるいは、収入の20%〜30%を、期間は1年ないし3年くらいです。例えば、月額10万円を1年分として120万円とするなどです。

慰謝料については、離婚に至る責任が100%あなたにあるのなら、慰謝料として300万円位支払う義務があります。責任が夫婦双方に同じ位あるのなら慰謝料を支払う必要はありません。あなたの責任が大きいなら若干支払う必要なあります。
平成7年における家庭裁判所における調停、審判での財産分与・慰謝料の平均は405万円です。約92%は夫から妻に対して支払っています。
あとは、子どもの親権者を決めます。幼い子の場合、親権者はほとんど母親です。平成7年の家庭裁判所の調停、審判における統計でも80%以上母親が親権者になっています。
子どもを母親が育てるのなら 養育費 を決めます。平成7年における家庭裁判所における調停、審判では子ども 1 人の場合月額 2 万円ないし 4 万円前後が、子供 2 人の場合は 4 万円ないし 6 万円前後が多いです。
以上が話合いで決まれば離婚届けを出し、話合いがまとまらなければ家庭裁判所で話合い、家庭裁判所でまとまらなければ地方裁判所が判決してくれます。
あなたの場合、慰謝料支払い義務はないでしょう。およその感じとしては、扶養的財産分与が200万円、養育費が月額5万円くらいが、落ち着くところでしょう

婚姻中築いた財産ではなく、夫婦の一方が結婚前から持っていた財産、あるいは、相続財産などがあった場合は、他方の配偶者がその維持に寄与した場合に、清算的財産分与が認められます。

2人で話をして、結論がでないなら、家庭裁判所に調停申立をすると、よいでしょう。調停なら、弁護士を頼まず、自分でもできます。

判決に現れた扶養的財産分与例
事件扶養的財産分額状況
東京地方裁判所平成17年5月13日判決 150万円 その他180万円、養育月12万円
東京地方裁判所平成17年3月8日判決 50万円 慰謝料250万円、養育月11万円
東京地方裁判所平成17年2月22日判決 月額3万円5年間養育費月5万円、夫は妻に対し80万円の慰謝料請求権

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